• ページ数 : 379頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2022年3月9日
¥6,050(税込)
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商品情報

内容

真実を見る!いのちを考える!

社会情勢のさまざまな変化により,死亡の原因究明に法医学が期待される場面が増えています.2020年から世界的に多数の死者が出ているCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の法医病理学的な記述も含めた最新の情報と,医学生が学ぶうえで必要とされる法医学の歴史と今後の課題について,グラフや写真を使い,コンパクトにまとめて解説しています.また,巻末には関連法規をまとめて収載しており.学生だけでなく検死と関わる方の参考書としても活用できる一冊です.

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序文

改訂4版の序


2019年12月に新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)が発生し,翌年3月にはWHOによってパンデミックが宣言され世界の死亡者数は2021年末までに500万人を超えた.現在の日本の累計死亡者数は約1万8,000人で死因順位は9位となり,毎年発生するインフルエンザの約6倍である.「ウィズコロナ」を前提として,人々の健康と安全を最優先と位置づけ,ワクチンと治療薬によって完全な社会生活の回復を期待したい.

人口動態調査から今後の年間死亡数は増加傾向を示し,2020年の約137万人から2040年には約166万人に達すると推計されている.2020年の死因順位として老衰が2年連続の3位となり,これは急激な高齢化率の動向を反映したものであろう.警察が取り扱う死体数は2010年に約17万体に達し,解剖率も11%前後とそれほどの変動はない.他殺による死亡が1955年に戦後最大の2,119件発生していたが,2020年には250件にまで減少している.犯罪死の見逃し例の発生を懸念して,2013年に推進計画が閣議決定され,2020年4月1日には「死因究明等推進基本法」が施行された.この法律により特に人材の育成と教育・研究の充実と発展が期待され,死因究明がさらに推進することを祈念したい.

2015年に開始された「医療事故調査制度」に基づく詳細な年報が毎年報告されている.2020年までに医療事故報告が1,931件,年間では355件前後の発生状況がある.医療事故が発生した場合,医療機関が自ら調査し届け出を義務づけた制度であるが,事故として「医療事故調査・支援センター」に報告することを躊躇するケースが多くあることも否定できない.

コロナ禍での大学教育はオンラインも取り入れて行われるようになってきたが,医学教育には実習を除外できない科目も多い.本書は学生の教科書としての内容説明に重点を置き,同時に臨床医,法曹,警察関係等での実務的活用にも役立つ構成となっている.今回の改訂版では福島弘文が編集から監修に移り,新たに舟山眞人と齋藤一之が編集を担当し,より充実した体制で臨むこととなった.「法医学総論」は2人の編者が分担し法医学の歴史や業務・鑑定を解説している.コロナ禍で児童虐待対応件数が年間20万件以上に急増し,臨床医,法医学者,児童福祉司,自治体などとの連携強化が急務である.このような背景から,「児童虐待」を井濱容子先生に,さらに「物体検査」と「個人識別」を中西宏明先生に,「死亡診断書の作成」を金涌佳雅先生にそれぞれの専門の立場から新たに執筆をお願いした.血液型は輸血以外にも個人識別の重要な検査項目であり,発見から100年間法医学の研究や教育内容に大きな位置を占めてきた.2019年の国際輸血学会が報告した38種類の血液型とその合成に関する責任遺伝子の内容を鈴木廣一先生が「血液型」で紹介している.法医学会などで医療事故関係の研究発表が極端に少なくなり,各教科書でもその扱いが減少傾向にあるなか,本書では高橋識志先生が「医療事故・医事紛争」を詳細に解説している.

改訂3版の執筆に携われた吉田謙一先生と太田正穂先生に深甚なる謝意を表し,また本改訂版の企画・編集にご協力いただいた各分担者ならびに南山堂編集部や,印刷に携わった方々に心から感謝申し上げたい.


2021年12月

監修者,編集者 一同

目次

第1章 法医学総論

Ⅰ. 法医学の社会的役割と歴史 [齋藤一之]  

1. 法医学とは

2. 法医学の諸分野と研究・検査機関

3. 法医学の歴史

Ⅱ. 法医学領域における社会的活動と最近の動向

1. 死因究明制度の問題点

2. DNA 鑑定の進歩と課題

3. 裁判員裁判への法医学の対応

4. 異状死の概念と医療事故調査制度

Ⅲ.法医学の業務,鑑定 [舟山眞人]

1. 検査の対象

2. 検案・検視および非犯罪死体の取り扱い

3. 鑑定

Ⅳ.解剖資格と法医解剖

1. わが国における死体解剖と解剖資格

2. 法医解剖

3. 遺族の承諾

第2章 個体死・死体現象

Ⅰ.個体死 [舟山眞人]

1. ヒトの死

2. 脳死

Ⅱ.死体現象 [浅村英樹]

1. 早期死体現象

2. 晩期死体現象

3. 死後経過時間の推定

第3章 内因による死

Ⅰ.突然死(内因性急死)と法医学 [齋藤一之・髙田 綾・高橋識志]

1. 突然死と内因性急死

2. 突然死の社会医学的意義と問題点

3. 突然死と救急医学

Ⅱ.突然死の疫学

Ⅲ.突然死の原因となる疾患

1. 虚血性心疾患とは

2. 虚血性心疾患以外の心疾患

3. 大血管疾患など

4. 脳血管障害

5. 呼吸器疾患

6. 消化器疾患

7. 腎・尿路疾患

8. アルコール関連障害

9. 内分泌・代謝性疾患

10. 産科的疾患

11. 呼吸器系以外の感染症

12. 悪性腫瘍

13. 血液疾患

14. その他の疾患・病態

Ⅳ.小児の突然死 [齋藤一之]

1. 疫学

2. 乳児期の突然死

3. 乳児期以降の若年者の突然死

第4章 外因による死

Ⅰ.損 傷 [村井達哉]

A.総 論

1. 皮膚の構造と損傷

2. 損傷の分類法

3. 創傷の観察と記載法

B.各 論

1. 皮膚の連続性が断たれた創傷

2. 皮膚の連続性が保たれた創傷

3. 軟部組織の損傷

4. 骨の損傷(骨折)

5. 内部臓器の損傷

6. 損傷と死因

7. 交通事故損傷 [福永龍繁]

Ⅱ.窒 息 [村井達哉]

1. 窒息総論

2. 頚部圧迫による窒息

3. 気道閉塞による窒息

4. 低酸素環境による窒息

5. その他の窒息

Ⅲ.異常環境による死 [黒田直人]

1. 温度異常

2. 放射線傷害

3. 感電

4. 異常気圧による傷害

5. 爆発

Ⅳ.中 毒 [上野易弘]

A.総 論

1. 法医中毒学

2. 毒物および中毒

3. 薬毒物の分類

4. 中毒発現の条件

5. 中毒発生の原因と現状

6. 薬毒物の代謝と排泄

7. 中毒および中毒死の判定

8. 薬毒物分析用の試料採取とその保存

9. 薬毒物分析

B.各 論

1. 有毒ガス

2. 工業用化学物質

3. 農薬および類似化合物

4. 神経剤

5. 自然毒

6. アルコールの法医学

7. 医薬品

8. 乱用薬物 [井上博之]

第5章 小児の法医学

Ⅰ.嬰児殺 [福永龍繁]

1. 嬰児殺とは

2. 胎児の発育程度と生活能力

3. 生死産の別

4. 出生後の生存期間

5. 死因

Ⅱ.児童虐待 [井濱容子]

A.総 論

1. 児童(小児)虐待とは

2. 歴史的背景

3. わが国の社会的背景

4. 虐待の分類

5. 統計

6. 虐待の影響

B.各 論

1. 生体鑑定

第6章 性に関る法医学

Ⅰ.妊娠,分娩,中絶 [福永龍繁]

1. 妊娠,分娩

2. 流産,早産

3. 堕胎

4. 死産

5. 母体保護法

Ⅱ. 性の決定とセクシュアリティ [渡邉和美]

1. 生物学的性

2. 性同一性障害(性別違和,性別不合)の性別

3. 性嗜好異常

Ⅲ.性犯罪 [福永龍繁]

1. 犯法的性行為

2. 法医学的検査

第7章 犯罪と心理

Ⅰ.犯罪原因論 [渡邉和美]

1. 緊張理論

2. 分化的接触理論

3. 社会コントロール理論

4. ライフコース理論

Ⅱ.犯罪被害者の心理

1. 被害者の心理

2. 遺族の心理

3. 医療関係者が受ける二次的なトラウマ

Ⅲ.殺人の心理

1. バラバラ殺人

2. 性的殺人

3. 連続殺人

4. 大量殺人

Ⅳ.性犯罪の心理

1. 性犯罪者の心理メカニズム

2. 認知の歪み

Ⅴ.犯罪者プロファイリング

1. FBI 方式

2. リヴァプール方式

3. 日本の分析方式

4. 事件リンク,犯人像推定,地理的分析目的

第8章 遺伝形質と親子鑑定

Ⅰ.血液型 [鈴木廣一]

1. はじめに

2. 糖鎖による血液型

3. アミノ酸配列による血液型

4. その他

5. HLA

6. 血液型と臨床

Ⅱ.DNA の多型 [関口和正]

1. DNA を個人識別に用いる意義

2. DNA の長さの違いによる多型

3. DNA の塩基配列の違いによる多型

4. DNA 多型の有用性の評価

5. ミトコンドリアDNA 多型[安達 登]

Ⅲ.親子鑑定 [関口和正]

1. 親子鑑定の意味

2. 検査方法

3. 確率計算

4. 大規模災害でのDNA 検査

第9章 物体検査と個人識別

Ⅰ.物体検査 [中西宏明]

1. 鑑定資料の取り扱いと鑑定の注意事項

2. 鑑定の流れ

3. 血痕

4. 唾液

5. 精液・腟液

6. 尿

7. 汗・糞便

8. 毛髪

9. 組織片

Ⅱ.個人識別

1. 個人識別の意義

2. 皮膚紋理

3. 白骨検査 [宮坂祥夫]

4. 歯牙 [水口 清]

5. 顎顔面形態からの個人識別 [宮坂祥夫]

第10章 死亡時画像診断

1. 単純X 線撮影 [舟山眞人]

2. 単純CT 撮影

第11章 死体の検査と事務的処理

Ⅰ.異状死の判断と死体検案 [舟山眞人]

1.異状死体とは

2.死体検案

Ⅱ.大規模災害時の法医学的対応

1.法医学的に何を求められるのか

2.死因

3.死亡時刻

4.身元確認

Ⅲ.死亡診断書(死体検案書)の作成 [金涌佳雅]

1.死亡診断書(死体検案書)の役割

2.死亡診断書(死体検案書)発行の義務

3.死亡診断書と死体検案書の区別

4.死亡診断書(死体検案書)の作成

5.死亡診断書ならびに死体検案書の訂正

6.死産証書(死胎検案書)の作成と発行

第12章 医と法

Ⅰ. 医師に必要な法律概念 [岩志和一郎]

1.法的な存在としての医療

2.法と倫理

3.法と法律

4.公法と私法

5.法と裁判

6.行政処分

Ⅱ.医師の法的地位

1.医師の資格と名称独占

2.医師の業務と業務独占

3.医師ゆえに生ずる義務

Ⅲ.医師と患者の関係

1. 医療行為

2. 承諾と説明

3. 医療契約(診療契約)

4. 医療事故と医事紛争 [高橋識志]

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書籍情報

  • ISBN:9784525190743
  • ページ数:379頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2022年3月9日
  • 判:四六変判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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