手の運動を学ぶ―手の役割と手の機能解剖との関係から運動を紐解き、臨床に活かす

  • ページ数 : 130頁
  • 書籍発行日 : 2017年9月
  • 電子版発売日 : 2022年3月30日
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商品情報

内容

間違った手指訓練で、患者の手の機能回復を妨げないために、知っておくべき手の臨床的知識

患者が“自然(無意識)”に使ってくれる手の再構築を目指して
◎日常生活における手の役割とはなんだろう ?
◎手の役割を支える手の機能解剖はどうなっているんだろう ?
◎整形外科疾患や脳血管疾患により、手がその役割を果たすのが難しくなった時、再び手の役割を再構築するための機能的治療訓練とはどのようなものだろうか ?
これらの疑問に、数多くの文献と臨床知から深く答える1冊

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序文

はじめに

長くも,短くも筆者らは,手に興味を持ちつつ,さまざまな身体の障がいをもつ人々に対するリハビリテーションの領域での臨床を続けてきている.そこでは,疾病・外傷の種類も,その障がいの程度も,また年齢層もさまざまである患者さんの治療訓練に関わってきた.特に,手の機能的障がいが生活に影響を及ぼし,その手を使うにあたって日々不自由を感じている方々に接してきた.そして日々セラピストとして,それぞれに勤務する病院・リハビリテーション・センターで臨床に携わってきている.

しかしながら,治療訓練に携わる中で,われわれがそこで出会い・接してきた患者さんの問題(障がい・現象・出来事)をすべて理解できたわけではない.当然ではあるが,それら多くの問題を解決して今日に至ったとはいえない.むしろ,十分な問題解決もできずに,それぞれの患者さんとのかかわりの中では“心残り・後ろめたさ”を抱きながら今日に至っているのが真相といえる.ゆえに,われわれがたどってきた臨床活動を振り返ってみても,セラピストとして患者さんたちに十分な手を差し伸べられたかは疑問な点も多くある.それらの問題の中には未だに解決できず,悩みながらその解決に挑戦し続けるものも多くある.その一方で,今ここでそれらの問題をすべて解決することはむずかしいことも心得ている.だからこそ,もう少し時間をかけて,これまでの疑問をこれからも解決する道を探していきたいと考えている.

いま,筆者らが経験してきた手に障がい(不自由さ)をもった患者さんたちの問題を,再度自分たちなりに捉え・考え,理解することで見えてきた解決の道を読者に紹介していきたい.そして,読者の皆さん自身が日々接している障がいを抱えた患者さんの諸問題の解決・理解への基盤ができればと願う.そこで,常に多くの臨床的疑問を抱きながら努力し,前進している2 人の若いセラピストの力を借りながら,この本を書くことにした.初心者の方にもある程度経験を積んでいるセラピストの皆さんにも,この本が臨床での疑問・問題の解決の糸口になり,少しでも皆さんが患者さんたちの手助けになれば幸いであり,さらに発展させていただければと願うしだいである.

本書の目的は,われわれセラピストが手に障がいをもった患者さんの手の機能の再構築を努力することによって,患者さんが普段の生活の中で自然(無意識)に手を使ってくれるような状況を再び作り出すことである.自然な手の機能の再構築を目指すためには,セラピスト自身が“手”とはなんだろうか? と手の役割について再度考えてみる必要があるように思われる.

そこで,本書でははじめに手の機能的役割を明確にし,その手の役割を果たすのがむずかしくなったとき,その機能が低下したとき,その機能を失ったときの患者さんの“手のリハビリテーション=自然に使ってくれる手にするための治療訓練”におけるセラピストの仕事(目指すもの=手の機能の再構築)を明確にしていきたいと考える.それには,さまざまな手の機能を支えている機能解剖学的な側面も同時に明らかにしていかねばならないだろう.そして,筆者らが考える手の機能の成り立ちを示すことが不可欠と考える.さらに,障がいを抱える手の役割(機能)の再構築を進めるにあたって障壁となる,臨床でのさまざまな問題をどのように解決していったらよいかを示せればと考える.ここで,本論に入る前にここまでたどりついた執筆者3 人から感謝の気持ちを表したい.最大の謝辞は,われわれに勉強と挑戦の機会を与えてくださった多くの患者さんに贈りたい.また,本書の誕生に心強い意見を述べてくださった我妻さん,雑用や写真撮りに協力してくださったゼミ学生の荒井さん,稲葉さんに感謝する.そして,仕事とはいえ,最も尽力を注いでくださった三輪書店の佐々木さんには心から感謝する.

最後にはなるが,3 人がいつも自由に患者さんに接し,挑戦し続けることの自由な環境を知らずして整えてくれているわれわれの家族にはただ感謝するのみである.ありがとうございます.


2017年7月15日

矢﨑 潔,小森健司,田口真哉

目次

第Ⅰ章 手ってなんだろう !

はじめに

1.1  人類学的な痕跡を追って

1.2  手の機能:指の機能的役割区分と5つの手の機能

1.2.1 指の機能的役割区分

 ① 橈側動的区分

 ② 中央静的区分

 ③ 尺側動的区分

1.2.2 5つの手の機能

 ① 道具としての手(造る手)

 ② 道具を操る手(操作・操縦する手)

 ③ 探る手(みる手)・治す手

 ④ 伝える手(意志・表現・伝達する手)

 ⑤ 支える手(支持する手)

1.2.3 5つの手の機能を支える“対立運動”

第Ⅱ章 この本を理解するための基礎知識

はじめに

2.1  運動

2.2  動き

2.3  動きの要素

 ① すべり

 ② ころがり

 ③ ひねり

 ④ ひらき(開離)

2.4  関節運動の効率化

2.4.1 機能的な関節運動の効率化:生理的共同運動

2.4.2 構造的な関節運動の効率化:靱帯性腱鞘(滑車)・支帯

2.5  共同筋と協同筋

2.5.1 共同筋

2.5.2 協同筋

2.6  凹凸の法則

2.7  閉鎖肢位と開放肢位

2.7.1 閉鎖肢位

2.7.2 開放肢位

第Ⅲ章 手関節を知る !

はじめに

3.1  手関節の骨構成

3.1.1 手関節の関節構成とその構造

 ① 遠位橈尺関節

 ② 橈骨手根関節

 ③ 手根中央関節

3.2  手関節の靱帯構成

3.2.1 遠位橈尺関節を支える靱帯

3.2.2 手関節の靱帯

 ① 橈骨手根骨間および尺骨手根骨間の靱帯:外在靱帯

 ② 三角線維軟骨複合体

 ③ 手根骨間の靱帯:内在靱帯

 ④ 屈筋支帯(横手根靱帯)と伸筋支帯

3.3  手関節の運動とその特徴

3.4  手関節の力源:作用する筋群

3.4.1 背屈(伸展)運動と作用する筋

3.4.2 掌屈(屈筋)運動と作用する筋

3.4.3 橈屈運動と作用する筋

3.4.4 尺屈運動と作用する筋

3.5  臨床でのチェックポイント

3.5.1 生理的共同運動の再構築

3.5.2 分廻し運動

3.6  日常生活と手関節

第Ⅳ章 手部を知る !

はじめに

4.1  手部の骨構成

4.2  把握動作と非把握動作(圧排動作)

4.2.1 把握動作

 1 つまみ動作

 ① 指尖つまみ

 ② 指腹つまみ

 ③ 鍵つまみ

 ④ 側つまみ

 2 にぎり動作

 ① ボールにぎり(ボールグリップ)

 ② ハンマーにぎり

 ③ フックにぎり(フックグリップ)

3  複合動作

4.3  非把握動作(圧排動作)

4.4  手のアーチ

4.4.1 横アーチ(近位横アーチと遠位横アーチ)

4.4.2 縦アーチ

4.4.3 対立アーチ

4.5  尺側動的区分と第4・5 CM関節

4.6  手部における臨床でのチェックポイント

第Ⅴ章 母指を知る !

はじめに

5.1  母指の安静肢位と前腕の肢位

5.1.1 前腕中間位での母指

5.1.2 前腕回外位での母指

5.1.3 前腕回内位での母指

5.2  母指の骨構成

5.3  母指を構成する関節

5.3.1 大菱形中手関節

5.3.2 大菱形中手関節を支える靱帯

 ① 中手間靱帯

 ② 前斜靱帯

 ③ 後斜靱帯

 ④ 橈側側副靱帯

5.3.3 TMC関節の運動

 ① 直線的な運動

 ② 回旋運動

5.3.4 TMC関節の運動における筋

5.3.5 母指の中手指節関節(母指のMCP関節.骨構成を含む)

 ① 母指のMCP関節の靱帯構成

 ② 母指のMCP関節運動

 ③ 母指のMCP関節の運動と作用する筋

5.3.6 母指の指節間関節(母指のIP関節.骨構成を含む)

 ① 母指のIP関節を支える靱帯

 ② 母指のIP関節の運動と作用する筋

5.3.7 母指の総合運動を考える

 ① にぎり動作と母指

 ② 対立運動と母指(3点つまみ)

第Ⅵ章 手指を知る !

はじめに

6.1  手指の骨構成と関節

6.1.1 遠位指節間関節:その構造と動き

 ① DIP関節の骨構成

 ② DIP関節の靱帯構造

 ③ DIP関節に作用する筋

6.1.2 近位指節間関節:その構造と動き

 ① PIP関節の靱帯構成

 ② PIP関節の筋

6.1.3 中手指節関節(MCP関節):その構造と動き

 ① MCP関節の構造

 ② MCP関節の靱帯構成

 ③ MCP関節の運動と筋

6.1.4 手指の総合運動:全伸展から全屈曲

 ① 手指の屈曲運動

 ② 手指の伸展運動

 ③ これは指伸筋の回復 ?

付録

資料1 関節可動域表示ならびに測定法

資料2 上肢の筋

資料3 橈骨神経が支配する筋

資料4 正中神経が支配する筋

資料5 尺骨神経が支配する筋

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書籍情報

  • ISBN:9784895906036
  • ページ数:130頁
  • 書籍発行日:2017年9月
  • 電子版発売日:2022年3月30日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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