慢性活動性EBウイルス病とその類縁疾患の診療ガイドライン2023

  • ページ数 : 80頁
  • 書籍発行日 : 2023年1月
  • 電子版発売日 : 2023年1月20日
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商品情報

内容

慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)および,その類縁疾患であるEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH),種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV-LPD),重症蚊刺アレルギー(SMBA)の4疾患からなる診療ガイドライン.2016年の初版発行以降,2022-2023年にはWHOリンパ腫分類が改訂され定義も新たになり,疾患名を国際的な診断名と合致させるため刷新.本疾患群の新知見が詰まった1冊です.

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序文

改訂にあたって

2016年に本ガイドラインを発刊して以降,本疾患群に関する様々な新知見が蓄積してきた.2017年にはWHOリンパ腫分類の改訂第4版が出版され,本疾患群の定義も新たになった.さらには,2018年EBV DNA定量法が保険収載されるなど診療を取りまく環境も変化してきた.このような背景の下,本ガイドラインの改訂は必須と考えられ,2021年4月,厚生労働省難治性疾患政策研究事業の一環として,「慢性活動性EBV感染症と類縁疾患の疾患レジストリ情報に基づいた診療ガイドライン改定」研究班(班長;木村 宏)を立ち上げた.

改訂の方針として,基本的に前ガイドラインの内容を尊重し,新たに加えるべき事項,変更すべき点は最小限に留めることとした.最も大きな変更は,WHOリンパ腫分類に基づく国際的な診断名と合致させるために,疾患名を慢性活動性EBウイルス感染症から慢性活動性EBウイルス病へ,種痘様水疱症から種痘様水疱症リンパ増殖異常症へ,蚊刺過敏症から重症蚊刺アレルギーへと変更した点であろう.すでに世の中に広く受け入れられているこれらの疾患名を変更するのは,苦渋の決断であった.従来の慢性活動性EBウイルス感染症という疾患名は,患者および担当医に,単なる感染症ではないかという誤った概念を想起させ,治療/管理法をも誤らせる懸念があった.新たな疾患名に変更することで,本症が感染症ではなく,リンパ増殖性疾患であることを浸透させる点でも意義深いと考えている.また,改訂ガイドラインでは,新たに種痘様水疱症リンパ増殖異常症,重症蚊刺アレルギーの診断基準を加えている.

一方,本疾患群の本態については未解明の部分が多い.治療についても,造血移植が有効であることがわかっているが,治療成績は必ずしも満足できるものではなく,新規治療法の開発が望まれている.この改訂ガイドラインが,広く用いられることにより,本疾患群のさらなる病態解明が進み,疾患予後・患者の生活の質改善が進むことを切に願っている.


2022年12月

診療ガイドライン統括委員会委員長
木村 宏


序文(2016年版)

慢性活動性EBウイルス感染症,EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症,種痘様水疱症,蚊刺過敏症は,未だ十分に発症機構が解明されていない希少疾患である.これら4疾患はそれぞれ異なる疾患概念をもつ.しかし,EBウイルスが感染したT細胞・NK細胞の増殖に端を発するという共通点をもち,臨床的に重複する部分もある.また,本疾患群は,感染因子,遺伝因子など複数の要因がかかわり,全身・局所的な病変をきたすため,特定の疾患領域/診療科に帰属させることが困難であった.さらに,いずれの疾患も難治であり,効果的な治療法は確立されていない.こうした状況のもと,疾患領域・診療科を超え,共通の指針に基づく診療ガイドラインを作成することが望まれていた.

2009年に厚生労働省難治性疾患克服研究事業として「慢性活動性EBウイルス感染症の実態解明と診断法確立に関する研究」(班長;藤原成悦)が採択され,これを機に本疾患群の病態解明・診断法開発・新規治療探索研究が深まった.2014年4月,厚生労働省難治性疾患政策研究事業の一環で,「慢性活動性EBウイルス感染症及びその類縁疾患に対する診療ガイドライン作成と患者レジストリの構築」研究班(班長;木村 宏)が立ち上がった.この研究班は日本小児感染症学会を中心に,日本血液学会,日本小児・血液がん学会,日本皮膚科学会と,それぞれの領域を超え組織された.また,臨床医のみならず,基礎医学者,病理学者,健康科学分野の専門家,そして患者の会代表と幅広い職種/層より構成された.以来,2年余にわたって討議を重ね,このたび診療ガイドライン発刊の運びとなった.

なお,本ガイドラインで示した慢性活動性EBウイルス感染症の診断基準は,2003年にEBウイルス感染症研究会で策定された診断指針をベースに作成している.同研究会は,慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の基礎的・臨床的研究を行う場として四半世紀続いており,研究会でなされた数々の議論が,本ガイドラインの礎となったことを申し添える.

最後に,慢性活動性EBウイルス感染症患者の会(SHAKEの会,http://caebv.com)をはじめとする患者の皆さまから多大なご支援をいただいたことに感謝申し上げる.藤原班の採択を契機に始まった患者交流会において,多くの患者の方々とそのご家族が,受診診療科/施設に悩み,しかるべき診断・治療を受けるまでに長期間を要していること,そして生活面においても長期にわたる支障を被っていることを,目の当たりにした.このことが診療ガイドラインを一刻も早く作成・公開したいという強い原動力になった.本ガイドラインが,領域を超え広く臨床の場で用いられ,将来的に患者ご本人の予後と生活の質の改善につながることを心より期待してやまない.


2016年11月

診療ガイドライン統括委員会委員長
木村 宏

目次

ガイドラインサマリー 

診療アルゴリズム 

慢性活動性EBウイルス病(CAEBV) 

EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV—HLH) 

種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV—LPD)

重症蚊刺アレルギー(SMBA) 

略語一覧 

第1章本ガイドラインについて 

1.作成組織 

2.本ガイドラインについて 

第2章疾患の基本的特徴 

1.慢性活動性EBウイルス病(CAEBV) 

2.EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV—HLH) 

3.種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV—LPD) 

4.重症蚊刺アレルギー(SMBA) 

5.慢性活動性EBウイルス病とその類縁疾患の病理 

6.慢性活動性EBウイルス病とその類縁疾患の位置づけとWHO分類との関係

第3章クリニカルクエスチョン(CQ)に対する推奨と解説 

1.慢性活動性EBウイルス病(CAEBV) 

 CQ1 CAEBVの診断や病態評価のために行う定量PCRに用いる検体として,全血と血清(血漿)のどちらが推奨されるか? 

 CQ2 CAEBVに薬物療法は推奨されるか? 

 CQ3 CAEBVに造血幹細胞移植は推奨されるか? 

 CQ4 全身症状や臓器病変のない時期のCAEBVに,薬物療法・造血幹細胞移植などの治療介入は必要か? 

2.EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV—HLH) 

 CQ5 EBV—HLHの診断に行う定量PCRに用いる検体として,全血と血清(血漿)のどちらが推奨されるか? 

 CQ6 初感染EBV—HLHの治療開始基準として推奨されるものはあるか? 

 CQ7 初感染EBV—HLHにどのような薬物療法が推奨されるか? 

 CQ8 治療抵抗性のEBV—HLHに造血幹細胞移植は推奨されるか? 

3.種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV—LPD) 

 CQ9 種痘様水疱症リンパ増殖異常症の診断に,どのような検体・手法を用いEBVゲノムを検出することが推奨されるか? 

 CQ10 遮光は種痘様水疱症リンパ増殖異常症の予後の改善に有用か? 

 CQ11 ステロイド外用は種痘様水疱症リンパ増殖異常症の予後の改善に有用か? 

 CQ12 臓器病変のない種痘様水疱症リンパ増殖異常症に,薬物療法・造血幹細胞移植などの治療介入は必要か? 

4.重症蚊刺アレルギー(SMBA) 

 CQ13 重症蚊刺アレルギーの診断に,どのような検体・手法を用いEBVゲノムを検出することが推奨されるか? 

 CQ14 重症蚊刺アレルギーでは,蚊刺を避けることが予後の改善に有用か? 

 CQ15 重症蚊刺アレルギーにステロイド内服は推奨されるか? 

 CQ16 臓器病変のない重症蚊刺アレルギーに薬物療法・造血幹細胞移植などの治療介入は必要か? 

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書籍情報

  • ISBN:9784787880512
  • ページ数:80頁
  • 書籍発行日:2023年1月
  • 電子版発売日:2023年1月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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