心臓外科医が描いた正しい心臓解剖図【増訂版】

  • ページ数 : 258頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年3月2日
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商品情報

内容

新規イラスト追加!心カテ・心エコーに最適

初版刊行から増刷を重ね、8年が経った今も売れ続けるベストセラー。
本書では時流にあわせて内容を刷新、補強し、イラストを新たに描き下ろした。
循環器内科医、心臓外科医はもとより、循環器診療に携わるすべての医療従事者必携の一冊!

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序文

増訂版:序文


デジタルデータやVRなどの3D、動画情報が飛び交う時代に、心臓解剖の手描きのちまちました絵の本が果たして世で認められるものだろうか、という不安ばかりで、よくもまあ無名のものが描いたこのようなイラストレーションを書籍の形で世に送り出してくださったものだと、出版社の方々には感謝のような申し訳ないような思いを、初版が上梓された当時は抱いておりました。ただ幸運にもその後は(編集部の方々も想定外だったと確信しますが)、多くの読者に求められご利用いただき、9年間にわたり何度も版を重ねるという恩恵にあずかりました。こういうときこそ世の中では本当に、ひとえに皆さまのおかげです、というご挨拶をすべきであると思うので、この紙面で本当に心より御礼を申し上げるものであります。

初版本が出てほどなく、ある中学校の理科の先生から、「鶏のハツ」を用いて生徒に心臓の構造と働きについて教えているものですが、というお手紙をいただき、文書を通じて解剖談義をし、拙著が中等教育に多少なりとも役立っている喜びを知りました。また、ある震災ボランティアで全国から結集した臨床検査技師さんのチーム(被災者の下肢静脈エコーを担当)と被災地で合流した際に、多くの検査技師さんが心エコーを勉強しておられたため本を通じて私のことをすでに知ってくださっていたことがわかり、初対面でも良好なチームワークで派遣先での活動ができたことは私にとって驚きであり、出版というもののありがたみを体感しました。

しかし時間がたつとさすがに問題も見えてきて、拙いだけならまだしも(「正しい」と書名に出しているくせに)誤りを多く含んでいるし、曲がりなりにも解剖の本としては不足な点だらけであるし、これはもっと勉強して時機をみて改訂版を出さねばならないと、そのままの内容で増刷されるたびに内心忸怩たる思いも増してきました。

「絵が少し描けるくらいで本を出したりしてわかったふりをしていてはいけない。解剖を語るなら正式に解剖学教室の研究員として学び直すべきである」――と、ある医師から助言を受けたことが契機となって、2018年から佐賀大学医学部 生体構造機能学講座(解剖学・人類学分野)の教室(倉岡晃夫 教授)に入らせていただき、標本室で数多くのご遺体※の心臓と対峙してまいりました。本文にも書きましたが、それまではただ一つの樹脂固定標本を頼りに文献資料や臨床画像データを参照して解剖図を描いていた自分にとって、四半世紀ぶりの人体解剖学標本室で学ばせていただくことは驚きと感動と、そしていかに自分が心臓について何も理解していなかったかを知る絶好の機会となりました。学ぶ姿勢としては、献体していただいた方々の御遺志に十分報いるために心してしっかりと観て学びとって記録する、そしてできることならそれを未来の名医や現場の医療従事者の方々の役に立てるように伝える、そういう思いです。今回、それに基づいて旧版の中で誤った部分をただし、新たな図版や解説を加えて「増訂版」として上梓にこぎつけました。まだまだ、足りぬところはたくさんあると思いますが、未来志向でまた改訂を重ねていけたらと夢見ておりますので、再び手に取ってお目通しいただき、ご助言やご教示をいただけましたら幸甚です。

本増訂版の刊行にあたり、恩師である今井康晴先生、篠田謙一先生にあらためて心より感謝の意を表しますとともに、再び監修の労をお執りいただいた池田隆徳先生、ご教示や励ましを賜りました山岸正明先生、平松祐司先生、須田久雄先生、柴田利彦先生、故・磯松幸尚先生、ならびにご支援ご助言をいただいた多くの方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

最後になりますが、繊細で行き届いた編集で素晴らしい増訂版に仕上げてくださったメディカ出版の渡邊亜希子氏をはじめ、本の制作に関係された皆さまに心より御礼申し上げるとともに、またしてもお許しいただけるならば、日々の診療のサポートや山積する書類の肩代わりなど諸事雑事に至るまで常に苦労をかけ通しの、(正式に解剖学を学ぶべしという助言者でもある)末次啓子医師に対し、重ねて感謝と陳謝と慰労の意を表明し、増訂版の序文とさせていただきます。

ありがとうございました。


2023年2月

医療法人末次医院院長
手術図制作研究所主宰
佐賀大学医学部解剖学教室客員研究員
末次文祥


(※あらかじめ献体申込書にて献体者直筆の署名ならびにご遺族の承諾書が得られている場合に限る)

目次

・増訂版:序文

・初版:推薦のことば

・初版:解剖学からの推薦のことば

・初版:はじめに

【序章 臨床に役立てるために】

1 心臓の外観—地図式記名法―

2 造影CT立体画像—心カテの通る道―

3 右上腕動脈とその周辺の解剖―心カテの入口兼圧迫止血点―

4 心臓発生学は解剖学と表裏一体―先天性心疾患と心臓の発生の重要なポイント―

【第1章 心臓透視解剖図】―それぞれの構造物の相互の位置関係と冠動脈の走行を見る―

0 それはどこから見た心臓ですか―本当にその方向で正しいかの確認―

1 正面像:解剖学的構造物をできるだけ一枚に描き込んだ透視図

2 心臓の後ろの正面―背面から僧帽弁を真ん中に見た透視図―

3 背面像:右後方から両房室弁を見下ろした透視図

4 右側面像:「心臓の骨格」を重視した透視図

5 右後方から見た心臓線維骨格の図―心臓の骨格と僧帽弁、三尖弁―

6 右後下方から見上げて右房内腔を観察する図―下大静脈弁からの流れと右房内構造物―

7 左前斜位像:右室流出路・肺動脈と大動脈の位置関係がわかる透視図

8 左前斜位から俯瞰した図―冠動脈、心臓静脈、四つの弁膜などなるべく多くの構造物がリアリティをもって見られるには―

9 左側面像:左室側の真横から大動脈弁・肺動脈弁・冠動脈の走行を見た透視図

【第2章 心臓断面詳細図】―1つの平面で切り取った断面から立体視した解剖図―

1 心エコーの基本の構え①:左室長軸断面像

2 心エコーの基本の構え②:左室短軸断面像

3 両心室と大動脈基部を包含する断面図:五腔像

4 大動脈基部で切った心臓短軸断面像

5 4つの部屋と房室弁を同時に見る:四腔像

6 右室を見るための断面図:右室前額断面像

7 心窩部アプローチによる断面像①:sub-xiphoid view

8 心窩部アプローチによる断面像②:下大静脈—右室流出路を軸にした断面像

9 心筋シンチのための断面図:左前斜位方向から見た断面像

【第3章前編 新しい心臓解剖図】

1 地図投影法から考える新しい心臓解剖図―立体である心臓をいかに平面に表すか―

2 臨床に役立つ右心系の解剖―右房・右室・三尖弁と刺激伝導系―

3 Valsalva洞を中心に描いた心臓

4 膜性中隔を中心に描いた心臓

5 右室内腔の解剖図の比較

【第3章後編 新しい心臓解剖図】

6 新しい病態解剖図:大動脈弁狭窄症

7 新しい病態解剖図:拡張型心筋症・肥大型心筋症

【第4章 手術図・心臓の図を描くための心臓構造解剖学】―CIRCULATION GRAPHICUSより

1 伝えるチカラ―イラストという雄弁なもの―

解説:VSD(Ⅲ型)と刺激伝導系について

2 夢の運針―冠動脈の端側吻合―

解説:端側吻合の下書き/端側吻合と側側吻合

3 管は輪が集まってできる―存在感・立体感を左右する線―

解説:実際に輪をどのようにとらえて作図するか

4 そのディテール、わかりやすく正確に―シェーマとスケッチの中間に位置するイラスト―

解説:部分肺静脈還流異常症の左上肺静脈―左心耳吻合について

5 新生児ジャテーン手術絵巻―大血管スイッチ手術のクライマックス―

解説:壁内走行冠状動脈を合併する症例の手術(Shaher 5A型の場合)

6 心臓の三次元的イメージ―立体を平面に表現するために―

解説:シネフィルムを見て立体画像を作るには

7 「立体的な」孔―ファロー四徴症のVSD―

解説:ファロー今昔物語

8 ネッターの遺産―主題を明確にするという到達点―

解説:主題が明確なイラスト(論文用依頼原稿)

9 解剖学教室の深夜―観察し、探求し、没頭して描出する―

解説:正常心および先天性心疾患の心臓標本のスケッチ

10 透視図への挑戦―その隣、その後ろ、その奥にあるもの―

11 タイム・リミット―大動脈自己弁温存基部置換手術―

解説:Remodeling法(Yacoub手術)とReimplantation法(David手術)

12 ペン画の不思議―心室中隔欠損孔を線だけで描く―解説:手術記録で見る心室中隔欠損症

13 鉛筆画のクオリティ

解説:鉛筆による陰影表現の実際

14 アナログな手術記録―役立つ図を描いて残そう―

解説:術者にしかわからない所見と術式を記録する(心房中隔欠損症=下縁欠損型、両大血管右室起始症)

15 One for all, All for one!―心臓外科チームの結束―

16 「想像力」と「創造力」―デジタル化の“功”と“罪”―

17 机上の「実論」―ボールペンで血管を描く―

18 直線の曲線美―人工血管を描く―

19 絵解き従軍記―三色ボールペンで描く手術記録―

20 赤壁の戦い:RED CLIFFパートⅡ―トータル・アーチ・リコンストラクション【未来編】―

21 ザ・マイクロサージャンズ―小人化心臓血管外科医的冠動脈手術図―

22 イラストの未来へ―心臓外科医の依頼で描いた解剖図でないイラスト―

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書籍情報

  • ISBN:9784840478892
  • ページ数:258頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年3月2日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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