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- 頭痛治療薬の考え方,使い方 改訂3版
商品情報
内容
頭痛治療の必携書 待望の改訂3版!最新ガイドライン・国際頭痛分類に準拠し,新薬の情報も多数追加!ラスミタジンやゲパントによる急性期治療,新規CGRP関連抗体薬での予防療法 など国内外の最新エビデンスとリアルワールドデータで解説!開発治験中の新薬やニューロモデュレーション,認知行動療法など今後の動向も網羅.必要な情報を見やすくわかりやすくまとめた,頭痛診療の幅と深みが増す1冊
序文
改訂3版の序
「頭痛治療薬の考え方,使い方」は頭痛に関する薬のことが何でも書いてある本を目指して2014年に初版を刊行させていただいた.幸いにもご好評をいただき2016年に改訂2版を上梓することができた.2018年に国際頭痛分類第3版の英語版および日本語版が刊行された.2021年には新規カルシトニン遺伝子(CGRP)関連抗体薬がわが国でも3製剤上市され,同年,頭痛の診療ガイドライン2021が刊行された.このように頭痛診療をとりまく環境が大きくかわり,片頭痛治療のパラダイム・シフトがおきつつある.
このたび,「頭痛治療薬の考え方,使い方」の改訂3版を刊行することができることは望外の喜びである.執筆陣は初版から担当いただいた方に加え,新たに4名に参画いただき,最新のエビデンスに基づき大幅に改訂を行った.急性期治療薬では,ラスミジタンとゲパントが特に新たに加筆改訂されている.予防療法では,わが国で使用できるようになった新規CGRP関連抗体薬である,ガルカネズマブ,エレヌマブ,フレマネズマブを独立した項目として,新しい国内外のエビデンス,リアルワールドデータも加え掘り下げて執筆されている.また,2024年現在,わが国では開発治験中であるeptinezumab,経口CGRP拮抗薬atogepant,rimegepantについても造詣の深い執筆陣により詳しく解説されており,読み応えがあると思う.最近,片頭痛治療において注目されているニューロモデュレーション,認知行動療法についてもわが国のトップエキスパートに執筆していただいた.これらは治療“薬”ではないが,片頭痛マネージメントに今後重要なピースとなる治療“法”であるので,取り上げることとした.
2020年以降,頭痛に興味をもつ医師,薬剤師,コメディカルが増加しており喜んでいるところであるが,本書はこれから頭痛医療について学ぶ方にも,また,旧版の読者にとっても新たな知識の獲得とupdateのお役にたつ内容になっていると思う.
初版刊行当時から狙いとして掲げてきたことで,繰り返しになるが,本書は頭痛に関する治療薬について,何でも書いてある本を目指してきた.辞書的な使用も可能であるが,通読いただくことで自家薬籠中の物となる頭痛治療薬の種類が増え,治療の選択肢が増え,頭痛診療における幅と深みが増すであろう.どの項目も,多くの読者にとって,新たな情報や考え方にふれることができる内容になっていると思う.ガイドラインや添付文書の記載など標準的な頭痛治療薬の使い方を踏まえた上で,目の前で頭痛に苦しんでいる患者のために,持てる情報と知識,経験を総動員してベストな治療をする,個別化した医療で,頭痛をうまく治療する,そういう頭痛診療医になっていただくためのハンドブックとなれば幸甚である.
改訂3版が読者と読者が診療する頭痛患者のお役にたつことを願ってやまない.
2024年1月
著者一同を代表して
竹島多賀夫
目次
I 序章
1 片頭痛概論:分類と診断〈粟木悦子〉
A.片頭痛の疫学
B.片頭痛の誘発・増悪因子
C.片頭痛の分類と診断
D.診断上の注意事項
E.片頭痛の疾病負担(burden)とstigma,経済損失
2 片頭痛のメカニズム(CSD,三叉神経血管説)〈古和久典〉
A.血管説(vascular theory)
B.神経説(neuronal theory)
C.三叉神経血管説(trigeminovascular theory)
D.下行性疼痛調節系
E.アロディニアと感作(sensitization)
F.家族性片麻痺性片頭痛の原因遺伝子,片頭痛の疾患感受性遺伝子
G.“片頭痛”脳
3 群発頭痛・TACsの分類と診断〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
A.群発頭痛(CH)の診断
B.発作性片側頭痛(PH)の診断
C.短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)の診断
D.持続性片側頭痛(HC)の診断
4 国際頭痛分類,頭痛の診療ガイドライン,頭痛ダイアリー〈竹島多賀夫〉
5 頭痛の診療ガイドライン2021〈古和久典〉
A.頭痛診療ガイドラインの変遷
B.頭痛の診療ガイドライン2021
II 急性期頭痛治療薬を知り尽くす
1 急性期治療薬の種類と使用原則〈西郷和真〉
A.片頭痛急性期治療薬の種類
B.片頭痛薬剤使用方法(タイミング,使用量,使用頻度)
C.急性期片頭痛(発作期)の経過と内服薬のタイミング
D.緊張型頭痛における急性期治療薬
E.群発頭痛における急性期治療薬
2 アセトアミノフェン〈西郷和真〉
3 NSAIDs〈西郷和真〉
4 インドメタシン〈西郷和真〉
5 COX—2阻害薬〈西郷和真〉
6 トリプタン治療総論〈粟木悦子〉
7 スマトリプタン経口錠〈粟木悦子〉
8 スマトリプタン非経口薬〈粟木悦子〉
A.スマトリプタン点鼻液
B.スマトリプタン注射剤
C.その他のスマトリプタン非経口薬
9 ゾルミトリプタン〈石崎公郁子〉
10 エレトリプタン〈石崎公郁子〉
11 リザトリプタン〈石崎公郁子〉
12 ナラトリプタン〈高橋牧郎〉
13 アルモトリプタン,フロバトリプタン〈高橋牧郎〉
A.almotriptan(アルモトリプタン)
B.frovatriptan(フロバトリプタン)
14 後発トリプタンの使用〈竹島多賀夫〉
15 エルゴタミン〈古和久典〉
16 ラスミジタン〈石井亮太郎〉
17 ゲパント(急性期治療)〈古和久典〉
18 メトクロプラミド,ドンペリドン(経口)〈中野俊也〉
A.メトクロプラミド
B.ドンペリドン
19 メトクロプラミド(静注,筋注)〈中野俊也〉
20 プロクロルペラジン,クロルプロマジン,ハロペリドール,ドロペリドール〈中野俊也〉
A.プロクロルペラジン
B.クロルプロマジン
C.ハロペリドール
D.ドロペリドール
21 ジアゼパム(静注)〈高橋牧郎〉
22 ステロイド(静注)〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
III 頭痛予防薬を知り尽くす
1 予防薬の種類(片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛)〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
A.片頭痛の予防療法
B.緊張型頭痛の予防療法
C.群発頭痛の予防療法
2 予防薬の始め方・切り方(使用原則)〈粟木悦子〉
A.予防治療薬の使い分け
B.予防薬を終了するタイミング
C.予防薬の併用療法のエビデンスとコツ
3 ロメリジン,ベラパミル〈中野俊也〉
A.ロメリジン
B.ベラパミル
4 バルプロ酸,トピラマート〈稲垣美恵子〉
A.バルプロ酸
B.トピラマート
5 レベチラセタム,ガバペンチン,プレガバリン,ミロガバリン〈高橋牧郎〉
A.レベチラセタム
B.ガバペンチン,プレガバリン,ミロガバリン
6 カルバマゼピン,クロナゼパム,ラモトリギン,ペラン
ゾニサミド〈高橋牧郎〉
A.カルバマゼピン
B.クロナゼパム
C.ラモトリギン
D.ペランパネル
E.ゾニサミド
7 β遮断薬〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
8 三環系抗うつ薬〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
9 新規抗うつ薬(SSRI,SNRI,NaSSA)〈中野俊也〉
A.フルボキサミン
B.パロキセチン
C.デュロキセチン
D.ミルタザピン
10 ACE阻害薬,ARB〈中野俊也〉
A.リシノプリル
B.カンデサルタン
11 チザニジン〈中野俊也〉
12 オランザピン,その他の非定型抗精神病薬〈中野俊也〉
A.オランザピン
B.その他の非定型抗精神病薬
13 CGRP関連薬剤の概要(在宅自己注射を含む)〈古和久典〉
14 ガルカネズマブ〈團野大介〉
A.作用機序と薬理学的特徴
B.主要臨床試験の成績
C.投与対象となる頭痛患者
D.ガルカネズマブによる片頭痛治療の実際
E.禁忌および安全性
15 エレヌマブ(アイモビーグ®)〈菊井祥二〉
A.臨床試験
B.リアルワールドでのエレヌマブの有効性,安全性の検討
16 フレマネズマブ(アジョビ®)〈菊井祥二〉
A.臨床試験
B.リアルワールドでのフレマネズマブの有効性,安全性の検討
17 eptinezumab〈石井亮太郎〉
18 atogepant〈瀧川洋史・花島律子〉
19 rimegepant〈古和久典〉
IV サプリメント,代替療法,漢方薬,非薬物療法
1 リボフラビン,葉酸〈古和久典〉
A.リボフラビン
B.葉酸
2 マグネシウム(静注療法も含む)〈古和久典〉
3 Feverfew,Butterbur,その他のハーブ〈古和久典〉
A.Feverfew(ナツシロギク)
B.Butterbur(セイヨウフキ)
C.その他のハーブ類
4 漢方薬〈西郷和真〉
A.頭痛の診療ガイドライン2021でエビデンスのある漢方薬
B.頭痛診療で報告のあるもの
5 ニューロモデュレーション〈團野大介〉
A.一次性頭痛に対するニューロモデュレーション治療
B.非侵襲的迷走神経刺激(nVNS:non—invasive vagal nerve stimulation)
C.経皮的三叉神経刺激(eTNS:external trigeminal nerve stimulation)
D.単発経頭蓋磁気刺激(sTMS:single—pulse transcranial magnetic stimulation)
E.経皮的複合後頭神経・三叉神経刺激(eCOT—NS:external combined occipital and trigeminal neurostimulation)
6 認知行動療法,集学的治療,チーム医療〈團野大介〉
A.認知行動療法
B.片頭痛の認知行動療法マニュアル
C.頭痛診療における集学的治療
D.富永病院頭痛センターにおけるチーム医療
7 ボツリヌス毒素〈西郷和真〉
8 食事療法〈石崎公郁子〉
A.頭痛誘発に関連する食品・成分について
B.包括的な食事療法(ケトン食,高オメガ3/低オメガ6脂肪酸食)
C.頭痛予防に有効な食品
D.片頭痛と食生活・食習慣
9 頭痛体操,鍼灸,カイロプラクティクス〈高橋牧郎〉
A.頭痛体操
B.鍼灸
C.カイロプラクティック
V 頭痛治療戦略の実際
1 慢性片頭痛の治療戦略〈竹島多賀夫〉
A.慢性片頭痛の診断
B.慢性片頭痛の治療
C.難治例のアプローチ
D.難治性慢性片頭痛の対処法
2 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の対処法〈竹島多賀夫〉
A.MOHの有病率と主要症状
B.MOHの診断
C.鑑別診断
D.MOH治療の実際
E.MOHの予防
3 月経関連片頭痛・純粋月経時片頭痛の治療戦略〈稲垣美恵子〉
A.女性ホルモンと片頭痛
B.純粋月経時片頭痛と月経関連片頭痛
C.月経関連片頭痛の急性期治療
D.月経関連片頭痛の予防療法
E.月経困難症と片頭痛
4 妊娠希望の片頭痛患者にどう対応するか〈稲垣美恵子〉
A.片頭痛の急性期治療
B.片頭痛の予防薬物療法
5 妊娠中の片頭痛・群発頭痛の治療〈稲垣美恵子〉
A.妊娠と片頭痛
B.妊娠期の片頭痛急性期治療
C.妊娠期の片頭痛予防療法
D.群発頭痛と妊娠
E.妊娠期の群発頭痛の治療
6 授乳中の片頭痛・群発頭痛の治療〈稲垣美恵子〉
A.授乳期の片頭痛
B.授乳期の片頭痛治療
C.授乳期の群発頭痛と治療
7 頭痛のない片頭痛の治療(閃輝暗点,腹部片頭痛など)〈高橋牧郎〉
A.閃輝暗点
B.小児周期性症候群
8 前庭性片頭痛の治療〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
A.臨床像
B.鑑別診断
C.治療
9 緊張型頭痛の治療〈竹島多賀夫〉
10 反復性群発頭痛の治療〈石崎公郁子〉
A.急性期治療
B.短期予防療法
C.(維持的)予防療法
D.ニューロモデュレーション
11 慢性群発頭痛の治療〈石崎公郁子〉
A.急性期治療
B.予防療法
C.ニューロモデュレーション治療
12 インドメタシン反応性頭痛の治療のコツ〈石崎公郁子〉
A.発作性片側頭痛(paroxysmal hemicrania:PH)の治療
B.持続性片側頭痛(hemicrania continua:HC)の治療
C.その他のインドメタシン反応性頭痛の治療
13 SUNHAの治療〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
A.薬物治療
B.外科的治療
14 一次性雷鳴頭痛・性行為に伴う一次性頭痛・一次性運動時頭痛・RCVSによる頭痛の治療〈菊井祥二・竹島多賀夫〉
A.一次性雷鳴頭痛の治療
B.性行為に伴う一次性頭痛の治療
C.一次性運動時頭痛の治療
D.RCVSによる頭痛の治療
15 一次性穿刺様頭痛・貨幣状頭痛の治療〈古和久典〉
A.一次性穿刺様頭痛
B.貨幣状頭痛
16 睡眠時頭痛の治療〈中野俊也〉
17 新規発症持続性連日性頭痛の治療〈石崎公郁子〉
A.臨床的特徴・診断
B.病態生理
C.治療
D.小児例への対応
18 COVID—19と頭痛〈高橋牧郎〉
A.COVID—19患者における頭痛の発症頻度
B.頭痛の性状,部位と特徴
C.COVID—19患者における頭痛の発症機序
D.COVID—19による頭痛の治療
19 精神疾患と頭痛(精神疾患による頭痛の対処と,一次性頭痛と共存する精神疾患,その治療上の注意)〈粟木悦子・竹島多賀夫〉
A.精神疾患による頭痛とその対処
B.一次性頭痛と共存する精神疾患
C.精神疾患の共存と頭痛の予後
D.精神疾患と頭痛治療薬の選択
E.非薬物療法
20 婦人科疾患と頭痛治療(経口避妊薬を服用している片頭痛患者の治療を含む)〈稲垣美恵子〉
A.月経異常(月経困難症・月経前症候群)と頭痛
B.OCと頭痛
C.片頭痛とOC
D.更年期障害と頭痛
21 高齢者の一次性頭痛:二次性頭痛の鑑別と一次性頭痛の治療〈竹島多賀夫〉
A.高齢者の一次性頭痛の診断
B.高齢者の一次性頭痛の治療
C.高齢者で特に注意が必要な頭痛の共存症
22 小児の一次性頭痛:二次性頭痛の鑑別と一次性頭痛の治療〈竹島多賀夫〉
A.小児頭痛の治療
23 三叉神経痛〈西郷和真〉
A.原因と分類
B.診断
C.治療
24 後頭神経痛・他の頭頸部神経痛の治療〈西郷和真〉
A.後頭神経痛
B.舌咽神経痛
C.多発性硬化症(MS)による頭頸部の神経障害性疼痛
D.ラムゼイ・ハント(Ramsay Hunt)症候群
E.トロサ・ハント(Tolosa Hunt)症候群
F.傍三叉神経性眼交感症候群(レーダー症候群)
G.再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチー(RPON)
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書籍情報
- ISBN:9784498428041
- ページ数:410頁
- 書籍発行日:2024年2月
- 電子版発売日:2024年2月8日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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