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- 後遺障害の患者さんを救う! 交通事故診療のピットフォール
商品情報
内容
交通事故診療は通常の保険診療とは異なる点が多く、治療後に予期せぬトラブルに発展することも少なくありません。自分には関係ないと思っていても、ある日突然、交通事故患者はやってきます。その際に慌てないために、最低限の知識を身に付けておきましょう。日経メディカルオンラインの好評連載を再構成、交通事故診療で必要な自賠責保険や後遺障害認定の基礎知識に加え、適正な後遺障害認定を得るために全診療科の医師が知っておきたい後遺障害診断書の書き方のコツを紹介します。
序文
はじめに
交通事故診療は、急性期を扱う臨床医にとって診療機会は多いものの、外傷が多部位にわたる事例があることや、後日症状固定や後遺障害の判断が必要になることなど、通常の健康保険を用いた診療とは違った対応を必要とするため、時間的心理的ストレスを覚える臨床医も多い現状があります。外傷に対する医学的対応は当然として、損害賠償という法律問題を理解することで、対応に悩む機会は少なくなります。
この本は、日経メディカルオンラインで、「治療だけで終わらせない交通事故診療」として連載されたコラムが書籍化されたものです。著者の濱口裕之先生は、整形外科専門医として臨床医でありながら、交通事故事案の相談を受ける会社を立ち上げ、代表として全国の専門医や弁護士と協力して、多くの事案の解決に取り組んでおられます。その経験を元に書かれた連載コラムは、臨床医にとってたいへん役立つ内容になっています
臨床医は、目の前の患者が完治することを第一に全力で治療にあたりますが、交通事故は損害賠償事案でもあるため、ほとんどの場合、加入した自賠責保険や任意保険の損害保険会社が医療機関に関与し、損害保険会社へ診断書等を提出することになります。受傷後早期からの症状を十分に聴取した上で、カルテや診断書にも記載しておくことは、特に重要なポイントになります。最終的に損害賠償は、「示談」として金銭的な解決がはかられますが、この際に、後遺障害診断書をはじめとした経過診断書に記載された医師の所見は、非常に重要な意味を持つことも知っておかねばなりません。後遺障害診断書をどのような点に注意して記載するのかについても、本書は詳しく示しており、「医学的事実をあるがままに詳しく記載する」ことの重要性が理解できます。
最近は、交通事故診療に関する弁護士からの問い合わせも増えています。この要因の一つに、弁護士費用特約の普及がありますが、法律家からの問い合わせは、臨床医にとってストレスを感じることの一つでもあります。患者の治療に全力を尽くすのは当然ですが、一方で臨床医は患者の医学的所見を第三者的立場で考える必要もあります。他方、弁護士は加害者や被害者の代理人として、依頼者の利益を優先するという職業上の立場があり、臨床医はこれに巻き込まれないよう常に注意する必要があります。交通事故診療は損害賠償事案を扱っているという意識を持って、治療だけで終わらない場合を考慮した対応をすることが、今まで以上に重要になってきています。
本書の内容は、臨床医の交通事故診療のストレスの軽減につながり、被害者救済の一助となるものと確信しております。
慶仁会やました整形外科
山下 仁司
目次
1章 医師として交通事故診療に向き合う
・交通事故に遭った患者さんを正しく救えていますか
・後遺障害認定を左右する「意見書」と「診断書」はどう違う?
・送られてきた「治療状況照会状」への正しい回答は
・「後遺障害認定にMRI が必須」と誤解される理由
・難しい「症状固定」の判断時期、肝心なのは?
・交通事故患者への「ドクハラ」三大パターン
・交通事故診療に関わるとコワイ人が出てくる噂の真偽は
・保険会社の対応は本当に最悪なのか?
コラム:交通事故診療では医療過誤が免責に?
2章 知っておきたい自賠責保険のカラクリ
・この交通事故診療は自賠責保険か健康保険か
・後遺障害の賠償金額は“ダブルスタンダード”
・通勤中の交通事故、労災保険と自賠責保険のどちらを選ぶ?
・交通事故で整骨院通院が勧められない三つの理由
・初回認定率はなんと約5%!自賠責保険の厳しい現実
・異議申し立てしても後遺障害等級の変更はごくわずか
・交通事故診療では弁護士から連絡が来ても怖くない!
コラム:保険加入時には「弁護士特約」附帯が必須!
・むち打ちの患者さんはなぜ長期に頻回通院したがるのか
・むち打ちの通院、毎日でも2日に1回でも賠償金は同額
・二回目の交通事故は後遺障害認定が難しい
・抜釘のタイミングで圧迫骨折の後遺障害等級が変わる
・「いつの間にか骨折」悪化と判断されて慰謝料が減額
・圧迫骨折の「後遺障害」はあるのに「後遺症」はない
・脊髄損傷が自賠責保険で非該当となる意外な理由
・「美形」は外貌醜状の後遺障害認定で有利ってホント?
・歯科医の治療方針で慰謝料が大きく変わる?
3章 適正な後遺障害認定のための基礎知識11
・橈骨の関節内骨折では多方向からレントゲン写真を撮ろう
・むち打ちの後遺障害認定に必須の三つの条件とは
・むち打ちのつらい症状は首の痛みだけではない!
・見逃しやすい高次脳機能障害、意識レベルの正確な記載から
・高次脳機能障害の定義のあいまいさは被害者救済のため
・高次脳機能障害の定量化には限界があることを知る
・脳挫傷による後遺症、全身に及ぶことを念頭に記載を
コラム:遷延性意識障害では住宅改修費も補償の対象に
・関節可動域制限を治したい!熱意が裏目に出ないためには?
・“死を覚悟する”PTSDは後遺障害に認定される
・顔面骨折では眼科、耳鼻科、皮膚科も後遺障害を評価
・癒合で安心しがちな鎖骨骨折の裏に潜む意外な後遺障害
4章 患者さんを悲しませない!非該当になる8の法則
・「中心性脊髄損傷」という怪しげな傷病名の実態は…
・交通事故による半月板損傷は変性とみなされやすい
・交通事故診療では骨挫傷の記載だけではダメな理由
・その腱板断裂、ホントに交通事故の後遺症?
・治療期間の長いCRPS、客観的な証明が難しい
・重症外傷の骨盤骨折でも重度の後遺障害にはならない
・むち打ちによる耳鳴りや難聴は発症時期が大事
・胸腹部臓器損傷で緊急手術しても後遺障害認定は難しい
5章 今後増えそうな後遺症トラブルはこの3つ!
・アスリートの交通事故診療ではドーピング検査への配慮を
・自動運転の普及で頸椎捻挫絡みのトラブルが増える?
・普及の進む電動キックボード、自転車とどちらが要注意?
コラム:交通事故鑑定は事故をすべて科学的に解明できるか
6章 押さえておきたい!交通事故診療の書類作成のコツ
・後遺障害診断書の記載を“盛って”はダメな理由
・全科の医師必読!患者さんを救う後遺障害診断書の書き方
・初診時は診療録に漏れなくすべての傷病名を記載しよう
・画像鑑定は一人歩きしがち?転記だけではダメな理由
・オープン型MRIの画質は後遺障害認定に適さない
・単なる日本語訳じゃない!交通事故診療のカルテ翻訳とは?
・「人身傷害保険」は医師にはデメリットばかり?
7章 特別再録インタビュー「交通事故診療のトラブル回避術」
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書籍情報
- ISBN:9784296204762
- ページ数:266頁
- 書籍発行日:2024年5月
- 電子版発売日:2024年5月28日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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