性感染症のみかた,考えかた 性の健康を守るアプローチ

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2024年6月
  • 電子版発売日 : 2024年6月26日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

性感染症の診断と適切な対応がよくわかる
「性病」だけでなく「性の健康」を重視し,性に関するネガティブなイメージを払拭することが,性感染症の対策を進めるために重要! 急増する梅毒をはじめ,クラミジアや淋菌,HIVなど各種疾患について必要な情報をわかりやすくまとめた,プライマリケアや公衆衛生の現場でも役立つ性の健康を守るためのポジティブハンドブック.性感染症は,何か悪いことをしたからなるものではありません.当事者が自責の念に駆られる必要はなく,医療者が怖がったり,陰性感情を持つ必要もありません.正しく知れば,性感染症は防げる・治せる!

序文

はじめに


本書は,性感染症の教科書ですが,タイトルの通り,「性の病気」を治すだけでなく「性の健康」を促進することを強調しています.一般的に,「性の病気」の印象は悪く,性感染症になると恥ずかしくて,病院に行っても医者に怒られそう,など,検査にも受診にもたどり着くのはハードルが高いのが現状でしょう.日本では,性に関する事柄は性教育を含めてオープンに語られることはなく,特に若い当事者では,充分な知識がないことが多いと思います.そもそも性感染症になったらどうしたらいいか分からないということもあるかもしれません.

国内で従来から根強い性に関するネガティブなイメージが,若い当事者が自らを守るために必須な性教育を普及できないことの一因になっており,また,誰かに相談しにくく病院にもかかりにくく診断の遅れにもつながるなど,性感染症の対策を進める障害となっています.一方,世界的には,「性病」だけでなく「性の健康」を重視し,性に関するネガティブなイメージを払拭することが,性感染症の対策を進めるために極めて重要であると考えられており,性感染症を考える上で必須の考え方になっています.

これは,一部にみられる「性の事柄をオープンにすると性が乱れる,性感染症が増える」という偏見とは真逆の考え方ですが,科学的根拠をもって発展してきたものです.梅毒が若い男女で急増している昨今,性に関する知識の向上は不可欠であり,そのためには「性の健康」の考え方の普及により性に関する正しい情報を当事者に広く伝えていくことが求められています.このように,性感染症の対策は,医師だけでは解決できず,教育,公衆衛生,医療に携わる皆さんに加えて,当事者の方も含めた取り組みが必要となります.

そのため,本書では対象とする読者を,医師だけでなく,看護師や公衆衛生に従事する保健師,性教育の関係者,性感染症に興味のある当事者など,幅広い方々を対象としています.本書の内容は,現時点の世界の標準診療をベースにしていますが,最先端の知識を知りたい医師向けの「性感染症の未解決課題」,当事者にも役立ちそうな「コラム」も記載しています.幅広い読者を対象とした取り組みではありますが,「性の健康」の普及と性感染症の蔓延阻止にわずかでもお役に立てることを願っています.


2024年5月

水島大輔

目次

1 性の健康(sexual health)について

1 性の健康について

▶性の健康とは

▶「性の健康」の考え方:理念的観点から

・基本的人権,well-beingとしての性

・性に関する情報へのアクセスの重要性

・性感染症の検査・治療のアクセスの重要性

・性の健康の考え方と医師・医療者の心構え

▶「性の健康」の考え方:米国での議論から見る具体的な方向性

・性の健康のパラダイムの採択:米国全米アカデミーズによる提言

・国内の現状を踏まえた「性の健康」サービスの担い手

2 性感染症について(総論)

2 性感染症について(総論)

▶頻度の多い性感染症の特徴,検査法による簡単な分類

▶誰にどうアプローチするか

▶症状から見る性感染症の考え方

・尿道炎

・子宮頚管炎,おりものの量・性状の変化

・咽頭炎

・直腸炎

・皮疹

・全身症状

3 性感染症について(各論)

1 淋菌

▶症状

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

COLUMN 1.うがいで性感染症が予防・治療できるか?

2 クラミジア感染症

▶症状

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

3 マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症

▶症状

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

COLUMN 2 マイコプラズマ・ホミニス,ウレアプラズマは治療が必要?

4 (膣)トリコモナス症

▶症状

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

5 梅毒

▶症状

・早期梅毒

・後期(三期)梅毒

・無症候性梅毒(早期および後期)

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

COLUMN 3 治療後いつから性行為を再開してよいか?

6 HIV

▶症状

▶診断

▶治療・薬剤耐性

▶予防・公衆衛生

7 その他の(性)感染症

▶単純ヘルペスウイルス:HSV

▶B型肝炎ウイルスおよびA型・C型肝炎ウイルス

▶ヒトパピローマウイルス:HPV

▶赤痢アメーバ症

▶細菌性膣症・カンジダ膣炎

▶亀頭包皮炎

8 新興性感染症としてのエムポックス(旧サル痘)

▶症状

▶診断

▶治療

▶薬剤耐性

▶予防・疫学

4 性の健康の増進に向けて具体的に何ができるか

1 性の健康増進に向けた基本的な考え方

▶当事者の主体性の重要性

▶性の健康とエビデンス

▶地域・集団の疫学エビデンスの重要性

▶トップダウン的アプローチの役割とパターナリズムの問題点

▶拡大するボトムアップ的アプローチの担い手とトップダウン的アプローチとの連携

2 性の健康の情報提供・教育

▶エビデンスに基づいた科学としての性教育

▶医療現場におけるセルフケアと性の健康の普及

3 検査

▶検査の現状の枠組み

▶無料検査:HIV・梅毒の検査対象の疫学情報に基づいた明確化・最適化

▶無料検査の匿名性と疫学データとしての活用化

▶低額検査における郵送検査・self-testのソーシャルビジネス的な取り組みの可能性

4 治療・予防

▶partner notificationとexpedited partner therapy(EPT)

▶PrEP導入の性の健康の推進へのインパクト

▶細菌性性感染症の積極的な予防戦略(Doxy PEP,MenBワクチンなど)

5 性感染症の未解決課題

1 淋菌・クラミジアの見逃しをなくす混合検体検査

2 ドキシサイクリンによる曝露後予防内服

3 淋菌の予防ワクチン

おわりに

索 引

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書籍情報

  • ISBN:9784498021525
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2024年6月
  • 電子版発売日:2024年6月26日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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