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- 成人慢性水頭症 ハキム病診療ハンドブック
商品情報
内容
歩くのが遅くなってきた.転びやすくなった.やる気が出なくなった.やったことを忘れてしまう.トイレが近くなった.様々な症状から始まり、気づかないうちに進行して介護が必要な状態に陥る可能性があるハキム病.認知症と間違われて見逃されていることがあります.実は65歳以上の1%以上,70歳以上の3%以上にハキム病が潜んでいる可能性があります.特発性正常圧水頭症(iNPH)診療ガイドライン第3版以降に蓄積されたエビデンス,最新の診断・治療法を解説.適切な診療をすれば症状が劇的に改善するハキム病を見逃さないための1冊.
序文
序
本書を手にとって頂き,ありがとうございます.水頭症のことをよく知っている方でも「ハキム病(Hakim’s disease)」の名前を耳にしたことがない読者が多いのではないでしょうか.
ハキム病とは,これまで「特発性正常圧水頭症:idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus(iNPH)」と呼ばれてきた病気のことです.この病名は聞いたことがあっても,その症状,検査方法,治療後の症状の改善の程度などについては知らない読者が多いでしょう.歩くのが遅くなってきた.バランスが悪くなって転びやすくなった.最近,やる気が出なくなった.やったことを忘れてしまう.トイレが近くなった.トイレで失敗してしまった.など,様々な症状から始まり,気づかないうちに進行して,歩けなくなる.自分で判断できなくなる.紙パンツが必須.と介護が必要な状態に陥る可能性があります.
実は65歳以上の高齢者の1%以上,70歳以上となると3%以上にハキム病が潜んでいる可能性がありますが,多くの方は年を取ったせい,腰や膝が痛いせいと思い込んで,病院を受診せず,発見が遅れることが多い病気です.また,転倒して頭を打撲し,病院を受診して頭部のCTスキャンを撮ってもらっても,評価する医師に知識がなく,いまだに見落とされることが非常に多い病気です.しかし,この病気は進行性の病気であり,見逃されて重症化してしまってから診断に至っても,治療で症状改善を得るのが難しく,生命にも関わる病気であり,見逃してはいけない病気であるという認識を持 って頂きたいと思います.
日本は,65歳以上の高齢者が3650万人以上,全人口の3割を占め,また30年後には5人に1人は75歳以上になる超高齢化社会であり,ハキム病患者も急増することが予想されます.2020年3月に発刊された特発性正常圧水頭症(iNPH)診療ガイドライン〈第3版〉以降に蓄積されたエビデンス,私が行ってきたAIを活用した最新の検査方法やシミュレーションを駆使した手術法も記しましたので,これからの診療のハンドブックとしてご活用頂き,多くの患者さんが適切な時期に,適切な診断と治療を受ける機会に恵まれるように願います.
2024年7月
山田茂樹
目次
はじめに
▪サロモン・ハキム(Salomón Hakim) 1922–2011
CHAPTER 1 特発性正常圧水頭症(iNPH)の歴史
CHAPTER 2 ハキム病の命名
▪何故,名称変更が必要であったか
▪名称変更検討会議
CHAPTER 3 ハキム病の頻度(疫学)
▪ハキム病を発症するリスク要因
CHAPTER 4 ハキム病の発症機序
▪仮説1.脳室拡大の機序
▪仮説2.DESHの機序
CHAPTER 5 ハキム病に特徴的な症状の総合評価
▪iNPH Grading Scale
▪modified Rankin Scale(mRS)
▪Hellström iNPH Scale
CHAPTER 6 ハキム病に特徴的な歩行障害
▪歩行障害
▪Timed Up & Go test(TUG)
▪単純歩行検査
CHAPTER 7 ハキム病に特徴的な認知障害と排尿障害
▪認知障害
▪Mini-Mental State Examination(MMSE)
▪その他の認知機能検査
▪排尿障害
CHAPTER 8 画像検査
▪脳室拡大の指標
▪DESHの指標
▪3次元MRIによるDESHの定量的評価
▪CT・MRI以外の画像検査
▪ハキム病以外の大人の慢性水頭症(CHiA)
CHAPTER 9 髄液排除試験(タップテスト)
▪どのような患者がタップテスト偽陰性となりやすいのか?
▪タップテスト偽陰性が疑われた場合にどのように診療を進めていけばいいのか?
▪タップテスト前後の症状変化を評価する方法と時期
CHAPTER 10 鑑別診断と併存疾患
▪髄液バイオマーカー
CHAPTER 11 治療方法
▪(1)脳室−腹腔(V-P)シャント術
▪(2)腰部クモ膜下腔−腹腔(L-P)シャント術
▪(3)脳室-心房短絡術(V-Aシャント術)
▪(4)第三脳室底開窓術(ETV)
▪(5)その他.手術以外の治療方法
CHAPTER 12 合併症
▪(1)シャントカテーテル挿入時の脳内出血や腸管穿孔,臓器損傷
▪(2)シャント感染症
▪(3)髄液過剰排出による慢性硬膜下血腫と起立性頭痛
▪(4)シャントチューブの閉塞・断裂,逸脱によるシャント機能不全
CHAPTER 13 髄液シャント術後のマネージメント
▪シャントバルブ圧の設定と術後管理
▪術後経過と長期の機能予後
CHAPTER 14 ハキム病に関連する我が国の医療制度と医療資源
▪リハビリテーション
▪医療資源
CHAPTER 15 特に印象に残っているハキム病患者さんたち
▪仮名:ハキムAさん(89歳,女性)
▪仮名:ハキムBさん(91歳,女性)
▪仮名:ハキムCさん(71歳,男性)
▪仮名:ハキムDさん(78歳,男性)
▪仮名:ハキムEさん(7(5)歳,男性)
▪仮名:ハキムFさん(94歳,男性)
あとがき
参考文献
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書籍情報
- ISBN:9784498428188
- ページ数:140頁
- 書籍発行日:2024年10月
- 電子版発売日:2024年9月28日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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