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- ビジュアルレクチャー 地域理学療法学 第4版
商品情報
内容
●自立とは? ノーマライゼーションとは? 地域リハビリテーションとは?
●本書では,初学者にもご活用いただけるよう120点を超える図表を掲載しつつ地域理学療法学の要点を解説している.
●第4版では,感染予防対策,災害時のリハビリテーション,SDGsなどについて解説を追加したほか,関連制度・法律・統計データのアップデート,令和6年版理学療法士国家試験出題基準への対応を図った.
序文
第4版に寄せて
本書の第3版が発行されたのは2019年の1月でした.同年5 月には元号が平成から令和に変わっています.令和の幕開けは新型コロナウイルス感染症との長きにわたる闘いの始まりでもありました.新型コロナウイルス感染症は私たち理学療法士に影響を及ぼしただけでなく,養成校に通う未来の理学療法士にも大きな影響を及ぼしたものと思います.授業はオンラインで実施され,演習科目は学生同士での接触が制限され,実習前の外出自粛,実習期間の短縮等,学習の機会さえも奪われてしまいました.臨床の現場に目を向けるとクラスターによる病棟閉鎖,通所系サービス・訪問系サービスの休止等がありました.また緊急事態宣言下では市中の人々に移動制限が課せられ,高齢者ではフレイル化も深刻な問題となりました.しかしながら,ウィズコロナで医療・保健・福祉の分野はさらなる発展を遂げたのではないかと思われます.徹底した感染対策はたとえ新型コロナウイルス感染症が終息しても活かされます.オンラインの活用はさまざまな参加の機会を広げるきっかけにもなったと思いますし,リモートでのリハビリテーションサービスの提供も進みました.まさにピンチはチャンスだったのかもしれません.
また,2024 年の幕開けには能登半島地震が発生しました.この場をお借りしてお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに,被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます.私自身もJRAT チームの一員として被災地支援に携わらせていただきました.被災地の対策本部には多くの医療チーム,福祉チーム等が入っていました.そこでは情報の集約化がとても大切です.各々のチームが避難所を訪問しますが,避難されている方に同じような情報収集を行ってしまうことが少なくありません.避難されている方にとっては迷惑な話です.チーム間の連携がとれていれば情報の集約化が進み,避難されている方に負担をかけることなく支援活動が行えます.地域リハビリテーションでも重要なポイントであると思います.また,JRAT の活動は段階的に地域の医療サービスや介護サービスに移行し,最終的に地域リハビリテーション支援活動にバトンを渡すことにあります.地域リハビリテーション支援体制がしっかりと構築されていれば難しいことではありません.また,避難所では多くの方が受動的になりやすく,能動的に動くことを支援するのも私たちの役割となります.このように考えると災害リハビリテーション活動は地域リハビリテーション活動そのものであるように思います.
ピンチはチャンス,これらの困難を乗り越えて地域理学療法も発展していくことでしょう.第2版に寄せての最後の段落に「地域理学療法の分野は変動的な状況です」と記しています.これからも同じように変動的な状況に合わせ,地域理学療法は発展していかなければなりません.本書をその一助としてご活用いただければ幸いです.
2024年10月
編者 浅川育世
序
「理学療法士及び作業療法士法」によれば理学療法の対象は「身体に障害のあるもの」とされています.万人の願いであった長寿社会も既に人生80 年を迎え,ほぼ目標に到達したと思ったのもつかの間に,少子高齢化という問題が明らかとなりました.女性の社会進出や,核家族化という背景も伴い,今度は介護問題がクローズアップされるようになると健康寿命の延長が命題となってきました.そこで理学療法の対象も身体に障害のあるものばかりではなく,健康管理,身体機能維持・増進を目標に,いわゆる健常者までに拡大されてきています.
また,2000 年の介護保険制度導入では社会的入院を余儀なくされていた要介護者を居宅(住み慣れた場所)で介護していく方向へ修正が図られ,地域には潜在的に理学療法を必要とする対象者が増えることとなりました.さらに2006 年の介護保険法改正では介護予防に重点が置かれ,よりいっそう理学療法士の活躍の場が広がっています.医療施設でも地域連携クリティカルパスが導入され,疾病の発症から維持期まで切れ目のない医療が提供されるようになり,まさしく誰もが住み慣れた地域で生涯を安心して過ごすことが実現可能になってきています.このような社会情勢において「地域理学療法」を学習することはとても大きな意義があります.
本テキストでは,必要な知識の基礎をなるべくわかりやすく解説したつもりです.地域という幅の広いフィールドでの対象者は重度の障害をもった方から健常者までそれこそ千差万別で,対応に明確な答えはありません.この分野の理学療法は歴史も浅く,関連法律の改正や制定により変動的でもあります.関連する法律等は現行のものを主に掲載していますが,改正については常に目を配っておく必要があるでしょう.テキスト内には適宜紹介事例を盛り込んでいますが,それらはあくまでも参考であり,皆さんが臨床場面で遭遇するケースは似通ってはいても必ずしも一致はしません.
このテキストを手がかりに,皆さんが地域理学療法の本質とは何かを学び,将来地域理学療法の実践の担い手として活躍していただくことを切に願います.
2011年12月
編者 浅川育世
目次
1章 地域リハビリテーション総論
(浅川育世)
I.地域リハビリテーションの概念
A リハビリテーションの定義
1 自立とは?
2 QOLとは?
3 ノーマライゼーションとは?
B “地域”とは
1 現実的な生活空間からみた地域
2 行政(保健医療政策)からみた地域
3 日常生活圏域
4 地球規模でとらえた地域
C 地域リハビリテーション
1 地域リハビリテーションの定義とは?
2 地域リハビリテーションの活動指針
3 地域リハビリテーションを推し進めるための施策は?
D CBR(Community Based Rehabilitation)
1 CBRの定義と目標は?
2 CBRマトリックスとは?
II.地域理学療法の概念
1 理学療法とリハビリテーション
2 地域理学療法の定義は?
3 地域理学療法誕生の背景は?
4 本書における地域理学療法の定義
III.多職種連携
1 協働とは?
2 地域理学療法における協働者
3 連携とは?
4 連携の方法は?
2章 地域理学療法の対象および関連制度
(浅川育世・松田智行)
I.地域理学療法の対象者
1 高齢者が対象です
2 障害のある人が対象です
3 障害のある児童が対象です
II.介護保険制度
1 介護保険制度創設の背景は?
2 被保険者とサービスとの関係
3 介護保険制度改正について
III.障害者総合支援法
1 「支援費制度」から「障害者自立支援法」,そして「障害者総合支援法」へ
2 「障害者総合支援法」の目的は?
3 「障害者自立支援法」・「障害者総合支援法」の主な改正内容は?
4 サービスの内容は?
5 サービス利用までの流れは?
IV.地域における社会資源
1 フォーマルサービスとインフォーマルサービス
2 法律や制度
3 地域包括支援センター
V.地域包括ケアシステムの構築
1 地域包括ケアシステムの考え方
2 5つの構成要素
3 「本人・家族の選択と心構え」と「自助」「互助」「共助」「公助」
4 地域包括ケアシステムにおける理学療法士への期待
VI.地域共生社会
1 地域共生社会の定義
2 地域共生社会の実現に向けた背景
3 地域共生社会の構想
4 共生型サービスについて
5 2040年に向けて
3章 介護保険制度下での地域理学療法
(松田智行・浅川育世)
I.要介護認定とケアマネジメント
A 要介護認定
1 要支援1・2で利用できるサービスは?
2 要介護1~5で利用できるサービスは?
3 地域支援事業とは?
B ケアマネジメント
II.介護保険における理学療法
A 施設サービス
1 生活場面に即した介護の実践と評価
2 施設における理学療法士の役割
3 “獲得された無力感”への配慮
B 通所サービス
C 訪問サービス
III.特定疾病の特徴と介入への視点
1 シャイ・ドレガー症候群の事例「娘の結婚式で挨拶がしたい」
4章 在宅理学療法
(橋本貴幸・浅川育世)
I.在宅医療にかかわる知識
A 呼吸
1 在宅人工呼吸療法(HMV)とは?
2 在宅酸素療法(HOT)とは?
B 栄養状態
1 摂食・嚥下とは?
2 栄養法にはどのようなものがあるの?
C 褥瘡
1 褥瘡を生じやすい局所要因は?
2 褥瘡を生じやすい全身要因は?
3 褥瘡を生じやすい社会的要因は?
4 褥瘡の好発部位は?
5 褥瘡を予防するには?
6 保存的治療
D 感染予防
1 接触感染とは?
2 飛沫感染とは?
3 空気感染とは?
4 新型コロナウイルスの感染経路は?
5 湿性生体物質とは?
6 標準予防策
7 蓄尿バッグの管理
II.健康状態の評価とリスク管理
1 生活リズムの評価
2 バイタルサインの評価
3 運動を開始するうえでのリスク管理の基準は?
4 注意すべきリスク(1)起立性低血圧
5 注意すべきリスク(2)高齢者の気管支炎・肺炎
6 注意すべきリスク(3)逆流性食道炎
7 注意すべきリスク(4)脱水(高齢者)
8 注意すべきリスク(5)低酸素血症
9 注意すべきリスク(6)薬剤
10 注意すべきリスク(7)深部静脈血栓症(DVT)
11 心肺蘇生(CPR)
III.住環境の整備
1 「住宅」と「住まい」の違いは?
2 住まいに必要とされる条件は?
3 住環境はどのように評価するの?
4 福祉制度はどのように利用できるの?
5 住宅改修の実際
IV.福祉用具の導入
1 福祉用具の歴史と定義
2 福祉用具を有効に利用するためには?
3 福祉用具の給付・貸与制度は?
4 歩行補助具
5 車椅子
6 移動用リフト
7 日常生活用具
8 環境制御装置(ECS)
9 ICT(情報通信技術)
10 レクリエーション・スポーツ
V.動作指導と介助方法の指導
1 ベッド上でのポジショニングは?
2 動作指導と介助方法の指導ポイントは?
VI.健康増進への取り組み
A 健康増進のための活動量の指標
1 歩行
2 METs
3 国際標準化身体活動質問表(IPAQ)
4 歩数計や加速度計
B 介護予防事業
1 介護予防の定義と概念
2 介護保険法における介護予防事業
3 介護予防事業の変遷とリハビリテーション専門職
4 ロコモティブシンドローム
5 サルコペニア
6 フレイル
7 高齢者が運動を行ううえでの注意事項
8 介護予防の評価方法
9 地域開発をも目指した介護予防事業
10 介護予防を通じ高齢者の社会参加を図る取り組みの紹介
C 産業保健分野での理学療法
1 産業保健
2 産業保健分野と理学療法士
VII.終末期のリハビリテーション
1 終末期とは?
2 ケアの種類
3 インフォームド・コンセントと終末期
4 がん患者リハビリテーションの4つの病期と目的
5 終末期におけるリハビリテーションの目的と内容
6 終末期の主な症状とリスク
7 終末期のリハビリテーションの役割
5章 症例検討・演習課題
(松田智行・橋本貴幸)
I.施設入所例
II.在宅復帰例
III.在宅例
索引
コラム目次
1章
(1)リハビリテーションの4分野
(2)「自立」の意味するもの
(3)ノーマライゼーション
(4)3つの保健医療圏
(5)SDGs
(6)「維持期リハビリテーション」=「地域リハビリテーション」?
(7)理学療法の範囲は拡大している
(8)福祉関係八法の改正
(9)介護保険制度誕生の背景にあるもの
(10)地域密着型サービス
(11)“連携”を英語で言うと?
(12)「入退院支援加算」と「地域連携診療計画加算」
2章
(1)「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」について
(2)介護保険の保険料
(3)介護予防
(4)介護支援専門員(ケアマネジャー)
(5)措置制度と契約制度
(6)応能負担と応益負担(定率負担)
(7)難病
(8)障害支援区分
(9)成年後見制度
(10)団塊の世代
(11)理学療法士への大きな期待
3章
(1)市町村における地域づくり
(2)介護老人福祉施設と介護医療院
(3)人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセス
(4)「看取り」について
(5)「活動と参加」と「リハビリテーションマネジメント」
(6)指定難病と特定疾病
4章
(1)深部静脈血栓症(DVT:Deep Vein Thrombosis)
(2)鼻カニュラと酸素吸入装置
(3)知っておきたいパルスオキシメーターのこと
(4)胃瘻(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)
(5)中心静脈栄養法(TPN)
(6)中心静脈栄養法(TPN)に関連する用語
(7)栄養状態の指標
(8)体位変換の頻度
(9)ずれ力の発生を抑えるギャッジアップ操作
(10)褥瘡評価ツール(DESIGN-R(R))
(11)腸閉塞(イレウス)
(12)バイタルサイン
(13)誤嚥性肺炎
(14)自動体外式除細動器(AED)
(15)バリアフリーデザイン・ユニバーサルデザイン・アクセシブルデザイン
(16)なぜ起こる? 家庭内事故死
(17)なぜ上限が20万円なのか?
(18)出入りは玄関から?
(19)日本家屋の建築基準(尺貫法)
(20)生活支援機器
(21)介護保険法と障害者総合支援法との関係
(22)特例補装具費の支給
(23)CaneとCrutch
(24)シルバーカー
(25)車椅子の幅とハンドリム
(26)車椅子のメンテナンス
(27)スリングシート
(28)健康日本21とは?
(29)介護保険法第4条(国民の努力及び義務)
(30)災害支援
5章
(1)5疾病・6事業とは?
(2)医療機能の分化・連携
(3)病診連携
(4)認知症
(5)徘徊
(6)災害時要援護者に対する避難支援について
(7)終末期リハビリテーション
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書籍情報
- ISBN:9784263218150
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2024年12月
- 電子版発売日:2024年11月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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