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- 経橈骨動脈脳血管内治療(TRN)超入門
商品情報
内容
脳血管障害の手術では、低侵襲の血管内治療が急速に普及しているが、最も普及している大腿動脈からの治療では、穿刺部合併症などが問題となる。
経橈骨動脈脳血管内治療(TRN)のパイオニアである著者らが、豊富な症例を用いて、安全・確実な治療法を基礎からレクチャーする。
序文
はじめに
「TRN」に関してご質問をいただくことが多いが、「なぜTRNを始めたのですか?」と聞かれることが最も多い。振り返ってみれば、「始まり」はとても自然だったと思う。
2015年春に伊那中央病院から信州大学医学部附属病院に転勤した。長野県内の日本脳神経血管内治療学会認定医は10名余で、機械的血栓回収療法の社会的ニーズに対応しきれていない状況にあった。動脈瘤コイル塞栓術やCASを含む脳血管内治療に対する期待も大きく、その全てに対して信州大学で応えることは困難であった。そのため、出張治療が増えていくことになった。当時のアクセスルートは当然ながらTFAである。何の疑いもなく大腿動脈を穿刺し、デバイスを用いて止血していた。穿刺部からの出血や術後仮性動脈瘤は脳血管内治療において避けては通れない必要悪であると、当時はその問題を傍らに追いやっていた。
そんな折、㈱メディキットの高橋順一氏から経上腕動脈用の「Axcelguide Stiff-J」というガイディングシースを紹介された。千葉大学の小林英一先生が開発された本シースは、これまで見たこともない独特の先端形状をしていた。同時に、湘南鎌倉総合病院の森貴久先生ご自身が開発された「MSK」を用いて治療する透視動画を拝見させていただいた。そのときまったく自然に、これらのカテーテルを用いてTRAで治療できないだろうかという考えに及んだのである。ひらめいたというより、TRAで治療したいと率直に思ったのである。おそらく、TFA治療後の穿刺部合併症に対する苦い記憶が常に無意識下にその改善の道を私に探させていたからであろう。
新しい治療コンセプト、テクニックやデバイスに対する着想は、不意に脳裏に現れるものではない。それがそのとき現れたのは、これまでの自分の置かれた環境や状況などが私を後押しした必然の結果と言えるであろう。TRAによる診断撮影の豊富な経験、日本脳神経血管内治療学会指導医の資格取得、信州大学医学部附属病院への異動、脳血管内治療に対する社会的ニーズの高まり、そして常に脳血管内治療医を悩ませ続けてきたTFA術後穿刺部合併症が、「Axcelguide Stiff-J」との出会いにより、その全てが有機的に結びついた結果、2016年にTRNを自然と始めることになったのである。
「TRN」はあくまでも「アクセスルートの変更」である。TFNであれば実施することができる治療手段やテクニックを奪うことになってしまうと本末転倒である。TFAで実践することができるすべての治療やテクニックをTRAにおいても同様に実施できるよう、これまでに様々な「工夫」や「改善」を進めてきた。
本書は、我々がリアルに経験してきたTRN 1,000症例から得られた「技」や「思考」を共有することによって脳血管内治療におけるTRNの「到達点」と「未来」を読者に問いかけるものである。
2024年9月吉日
小山 淳一
目次
【0章 我々のTRNの歩み】
・01 総説
【1章 TRNのスタンダードテクニック】
〈Ⅰ 橈骨動脈から大動脈弓に至るまでの技術〉
・01 遠位橈骨動脈アプローチ(dRA)穿刺技術
・02 橈骨動脈に留置した4Frシース撮影所見と穿刺部合併症
・03 Radial cocktailの使い方 ―橈骨動脈血管攣縮の予防―
・04 GSの穿刺から鎖骨下動脈までの誘導方法 ―スティッフワイヤー交換法―
〈Ⅱ 大動脈内でのカテーテル操作の技術〉
・05 TRNにおける穿刺部位およびGS/GCの選択と誘導方法
・06 Type 3の左CCAに対するストレート形状バルーン付きGC誘導法
・07 経橈骨動脈治療における左穿刺について
〈Ⅲ 止血技術〉
・08 TRNの「止血」 ―最後までこだわる!―
【2章 難易度別TRN症例集】
〈0 TRNの実践〉
・01 TRNのセッティング
・02 「TRN症例集」の見方
〈1 TRN初級編〉
・症例01 未破裂右内頚動脈前壁動脈瘤
・症例02 未破裂右内頚動脈 ―後交通動脈分岐部動脈瘤
・症例03 未破裂右中大脳動脈瘤
・症例04 未破裂左遠位部後大脳動脈瘤
・症例05 脳底動脈分岐部動脈瘤
・症例06 症候性右海綿静脈洞部内頚動脈瘤
・症例07 未破裂右中大脳動脈瘤
・症例08 未破裂前交通動脈瘤
・症例09 未破裂右中大脳動脈瘤
・症例10 脳底動脈 ―上小脳動脈分岐部動脈瘤
・症例11 無症候性右頚動脈狭窄症
・症例12 症候性右頚部内頚動脈狭窄症
・症例13 無症候性右頚部内頚動脈狭窄症
〈2 TRN中級編〉
・症例14 未破裂左内頚動脈瘤
・症例15 未破裂左前大脳動脈瘤
・症例16 未破裂前交通動脈瘤
・症例17 未破裂右脳底動脈 ―上小脳動脈分岐部動脈瘤
・症例18 未破裂脳底動脈分岐部動脈瘤
・症例19 両側脳底動脈 ―上小脳動脈分岐部動脈瘤
・症例20 左椎骨動脈瘤
・症例21 未破裂前交通動脈瘤
・症例22 未破裂前交通動脈瘤
・症例23 未破裂左内頚動脈 ―後交通動脈分岐部動脈瘤
・症例24 未破裂前交通動脈瘤
・症例25 未破裂左中大脳動脈瘤
・症例26 未破裂左内頚動脈 ―後交通動脈分岐部動脈瘤
・症例27 無症候性左頚動脈狭窄症
・症例28 無症候性左頚部内頚動脈狭窄症
・症例29 無症候性左頚部内頚動脈狭窄症
〈3 TRN上級編〉
・症例30 未破裂右内頚動脈瘤
・症例31 未破裂左内頚動脈 ―眼動脈分岐部動脈瘤
・症例32 未破裂左内頚動脈 ―眼動脈分岐部動脈瘤
・症例33 未破裂前交通動脈瘤
・症例34 未破裂前交通動脈瘤
・症例35 未破裂左内頚動脈 ―後交通動脈分岐部動脈瘤
・症例36 未破裂右内頚動脈 ―後交通動脈分岐部動脈瘤
・症例37 症候性左頚部内頚動脈狭窄症
・症例38 症候性左頚部内頚動脈狭窄症
・症例39 無症候性左頚動脈狭窄症
・症例40 症候性左頚部内頚動脈狭窄症
【3章 TRNのカテーテルトラブルとシースに関する考察】
・01 カテーテル破損による橈骨動脈損傷についての考察
―FUBUKI DKを用いた引張試験―
・02 GSの利点と欠点
―シースイントロデューサーの使用について―
・推薦のことば
・はじめに
・編集・執筆者一覧/本書の使い方
・おわりに
・謝辞
・動画の視聴方法
・編者紹介
・略語集
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書籍情報
- ISBN:9784840487580
- ページ数:248頁
- 電子版発売日:2024年11月28日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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