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- かんテキ 肺保護にこだわる人工呼吸
商品情報
内容
「かんテキ」は、疾患・患者・看護・観察が感覚的にわかる、感動の一冊!
医師・ナースをはじめとする医療従事者向けに、患者の肺にやさしい換気のしくみを徹底的に見える化。リアルな臨床現場で本当に必要な知識が、この一冊でパッとつかめる。
筆者独自のユニークな切り口・語り口で、「人工呼吸のコアの知識」をどこまでも丁寧に、とことん根拠にもとづいて解説。どこから読んでもわかりやすく、つまずいたときに何度でも振り返ることができる。
序文
はじめに
2022年夏、メディカ出版のS氏より人工呼吸器に関する本を出さないかとの突然のメールがありました。「初学者の視点からわかりやすく、呼吸療法のおもしろさを存分に伝える書籍」を出したいとする熱いメッセージがあふれていました。
少し脱線します。筆者は若手であった頃、看護師との共同の詰所に置かれているメディカ出版の専門誌の愛読者でした。『ハートナーシング』『呼吸器ケア(現 Respica)』は、どの詰所にも置かれていました。わからないことを先輩に聞いても、「勉強不足やな~、自分で勉強しろ」と言われた時代です。途方に暮れた筆者の知識の整理を応援してくれたのが、それらの専門誌でした。
時は流れ、2013年頃から筆者は出版の機会をいただくようになりました。本を執筆する際、筆者は常に「途方に暮れる若手医療者に届く」ことを意識しています。時に冗長な表現であっても、読者に届けることを優先してきました。ある程度、医師や臨床工学技士の読者にリーチできたのではないかと感じています。一方で、看護師の読者はいるものの十分にリーチできていないのではないかという感覚がありました。ベッドサイドにいる時間が圧倒的に長いのは看護師です。看護師になんとかリーチできないかと思案している時に、S氏から挑戦状が舞い込みました。思い出のメディカ出版であり、縁を感じました。
おそらくどの病院であっても詰所の書棚に人工呼吸器の解説書は山ほどあるのではないでしょうか。本書の執筆にあたって、S氏と過去の人工呼吸器関連の出版物を研究しました。多くの優秀な著者が懇切丁寧に解説しており、率直に言って、筆者が新たにオーソドックスなテキストを執筆しても、読者に振り向いていただけるとは思えませんでした。
歴史あるメディカ出版のかんテキシリーズという舞台をいただいたわけですが、筆者は生意気ながらいくつかお願いをしました。
● 例えて言うなら「平和は大切」といった総花的解説ではなく、「このように平和への道を模索したい」といった、現場のリアルを伝える内容としたい。
● 看護師だけを対象としない。医師・臨床工学技士・薬剤師などの方にも手に取ってもらえる書籍を目指す。
● 簡単すぎる内容としない。やや難しいこともイラストなどを活用し理解されるべく頑張って盛り込む。
● かんテキシリーズ自体は網羅性(特定分野全体をカバー)が特徴の一つであるが、スピンオフ企画として網羅性にこだわらず、パワーワードである肺保護にこだわった人工呼吸をテーマとしたい。
S氏は筆者のわがままな要望に応え、おそらく社内調整にも相当な努力をしていただきました。本書は、S氏との共同作です。S氏の筆者への最初のメッセージ「初学者の視点からわかりやすく、呼吸療法のおもしろさを存分に伝える書籍」となったかを判断するのは、読者です。彼女(S氏)に、そして筆者に、「この点はわかりづらかった」「これについて解説してほしい」といったメッセージをいただければありがたいです。
本書は、今までの人工呼吸テキストにはない構成です。おそらく、読者が読みやすく興味を持ちやすい部分もあれば、やや理解が難しい部分もあります。どうぞ、スキップするように、読みやすい部分から読んでください。いきなり、肺保護換気をテーマとした4章から読んでいただいても構いません。
人工呼吸の今を感じていただき、人工呼吸のおもしろさが読者に伝わることを願います。
2023年12月
京都府立医科大学 麻酔科学教室・集中治療部 小尾口 邦彦
目次
・はじめに
・本書の使い方
【1章 人工呼吸器モード】
換気様式・換気モード
プロローグ:人工呼吸器モードをざっくり整理
VCV
VCV独自の設定項目
VCVの長所・短所
VCV圧波形とポーズ時間
気道内圧・肺胞内圧
VCV圧波形における気道成分・肺胞成分
VCV圧波形を診断してみよう
PCV
PCV独自の設定項目
PCVの長所・短所
PCV流量波形の成り立ち
PCVにおける肺保護換気設定の考え方
慣れればイージー 肺コンプライアンス計算
PSV
PSVのサポートの特徴
PSVの設定項目と注意点
PSVで使いこなしたいTC(チューブ補正) 機能
A/C・SIMV
調節換気・補助換気・強制換気を理解しよう
A/CとSIMVの違いをしっかり理解しよう
どちらを使う? A/C vs. SIMV
APRV
APRVの特徴
APRVの設定項目
APRVへの逆風
【2章 人工呼吸器グラフィック】
基本の3波形
これだけは理解したい! PCVとVCVの基本3波形
最低限必要な人工呼吸器グラフィック読影を学ぶために
PCVの流量波形から肺の硬さがわかる
流量波形の呼気成分
Auto PEEP
人工呼吸器を扱う医療者はマスト理解のauto PEEP
Auto PEEPの解説の前に
Auto PEEPの存在を直感的に感じよう!
誰でも簡単 呼気流量波形の観察
Auto PEEPの3大リスク
Auto PEEPへの対処
Auto PEEPが発生しやすい患者・状況
リーク
リークが教えるエアウェイ異常
換気量波形でリークを見つけよう
リーク補正機能と換気量波形
ループ波形
基本5波形におけるループ波形とは
圧- 換気量曲線(PV曲線)
静的PV曲線と動的PV曲線
PCV・VCVの動的PV曲線
動的PV曲線の活用方法を考える
流量- 換気量曲線を学ぶ前に
流量- 換気量曲線(FV曲線)
ループ波形は閉じなければならない
【3章 COPD】
COPDを正しく簡単に理解しよう
COPDの身体所見.
高二酸化炭素血症とCO2ナルコーシス
COPDに合併する肺高血圧症・右心不全
重症COPD・COPD増悪の人工呼吸管理
重症COPDの人工呼吸 vs. ARDSの人工呼吸
COPDへの呼吸療法を整理しよう
【4章 肺保護換気】
基本概念
人工呼吸・肺保護換気戦略は大きく変わった
過去の反省の上に、肺保護換気の進歩がある
定番の風船実験で肺保護換気を理解する
人工呼吸器設定・管理
低容量換気(一回換気量制限)
PEEPの重要性を知ろう
圧- 換気量曲線からイメージする肺保護換気
プラトー圧の制限
PCVにおけるプラトー圧の測定
駆動圧を最重視する概念の登場
肺傷害のメカニズム
自発呼吸の害を理解するための予備知識
近年強調される自発呼吸の害・P-SILI
暴れる自発呼吸の害 ①陰圧性肺水腫
暴れる自発呼吸の害 ②Pendelluft現象
自発呼吸の強さを評価するためのP0.1
暴れる自発呼吸を抑え込むための筋弛緩薬
無気肺とリクルートメント手技
ARDSで背側肺がつぶれるメカニズムを正しく理解する
酸素化不良の4原因をマスターする
腹臥位療法
腹臥位療法の有効性を示した試験
腹臥位が換気・血流にもたらす効果
腹臥位の真のねらいは肺を「均質に」膨らますこと
腹臥位療法を実施する流れ
腹臥位療法での皮膚軟部組織損傷を最小限とするために
腹臥位療法における体位変換.
パンケーキ法で安全・簡単に腹臥位へ体位変換する
ステップアップ
コロナ禍の学びをこれからの人工呼吸管理に活用する
エピローグ:肺リクルータビリティ
・引用・参考文献
・索引
・著者略歴
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書籍情報
- ISBN:9784840481519
- ページ数:328頁
- 電子版発売日:2025年2月1日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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