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- アトラス骨・関節画像診断 4.骨・軟部腫瘍
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内容
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序文
監修の序
厚生労働省で3年に一度実施している国民生活基礎調査からも明らかなように,国民の自覚症状の上位を腰痛や肩こり,関節痛などの運動器障害が占めている.実際の受診病名別でも腰痛は高血圧の次に多い疾患にランクされている.さらに,関節症や転倒・骨折が要支援・要介護の原因として大きく関与していることも明らかとなっている.これらの運動器疾患・障害は高齢化と共に増加の一途を辿ることは間違いなく,整形外科医の果たす役割,責任は極めて大きい.実際,運動器に疾患や障害を有する子供からお年寄りまで,多くの患者さんが整形外科外来を受診し,また入院治療を行っているのが現状である.
一方,近年特に医療界では国民への的確で安全・安心な医療の提供が医療側に強く求められている.診断には問診,視診,触診などの診察に加えて,特に運動器疾患・障害には各種画像検査法は必須の補助診断法となっている.画像検査も以前は単純X線のみであったが,その後CTそしてMRIが臨床応用され,それらも今や三次元立体画像から組織型まである程度判断できるまでになっている.さらには特殊な画像処理をすることにより高磁場MRIを用いて夢であった脊髄投射路まで描出可能なところまで来ている.以前は全く描出不可能であった病変が今や鮮明に映し出される時代になったと言っても過言ではない.診察をおろそかにして画像検査のみに頼ることは決して良くないことであるが,補助診断法として有効活用することは必要なことである.CTやMRIは,今後もMDCTやMR myelography,MR angiography,拡散テンソルtractographyなどを含め幅広く発展し,病変部位をより詳細かつ鮮明な画像として描出してくれるものと期待している.さらには,PETやSPECTなどの核医学検査を加えることで,腫瘍性病変などはより早期に確実な診断が可能となっている.
そこで今回,運動器の各分野で多くの臨床経験を有し,現在も第一線で活躍中の我が国トップレベルの整形外科医に資料提供と執筆をお願いし,整形外科領域の画像診断のレファランスとして,「1. 関節─上肢─」「2. 関節─下肢─」「3. 外傷」「4. 骨・軟部腫瘍」「5. 脊椎・脊髄」「6. 小児」の6冊からなるシリーズ書籍『アトラス骨・関節画像診断』を刊行することとなった.本書は整形外科画像診断の教科書としてバイブル的存在に成り得るものであり,その内容も,日常良く遭遇する疾患・外傷から専門性の高い稀な疾患までを全て網羅し,鮮明な画像と共に,その疾患の「概念」「特徴と読影のポイント」「Question & Answer」「ワンポイント」などでわかりやすく説明されている.
本書が整形外科を志す若手医師,専門医を目指す整形外科医,常日頃一般診療に携わっている整形外科医,そして学生教育を担当している整形外科医の座右において頂いて,運動器を扱う整形外科の診療,教育の一助となれば幸いである.
2010年 6月
戸山 芳昭
序
このたび,「アトラス骨・関節画像診断」全6巻が刊行されることになった.その第4巻が「骨・軟部腫瘍」であり,骨腫瘍と軟部腫瘍により構成されている.間葉系腫瘍が主体の骨・軟部腫瘍は,個々の腫瘍においては,上皮性腫瘍と比べて発生頻度が少ない.従って,一般の整形外科診療において,遭遇する機会が少ないことが考えられる.そのようなことからも,整形外科医のなかには,骨・軟部腫瘍と聞いただけで,避けて通りたいと思うものがいるかもしれない.しかし,整形外科での日常診療において,骨・軟部腫瘍の患者が受診する可能性は常にある.そして,診断,治療が直接,生命に関わる場合もあり,整形外科医として診療する限り,避けて通ることができないのは当然である.また,診断,治療に迅速性が必要な場合や,間違った診断,治療が決して許されない場合も多く,的確な対応するためには,ある程度以上の知識が必要である.
骨・軟部腫瘍の分野は,診断,治療において,ここ20年の間に飛躍的な進歩がみられている.その進歩に大きく寄与したものの1つが,多くの重要な情報を提供してくれる,種々の画像診断であるといっても過言ではない.例えば,MRIの登場により,骨・軟部腫瘍の進展範囲を把握できるのみならず,質的診断もある程度可能とした.しかし,画像診断が大きく進歩することは,骨・軟部腫瘍に積極的に取り組んでいる整形外科医と,そうでない整形外科医との間に,この分野における知識に,大きな差を開かせている可能性も考えられる.
骨・軟部腫瘍は,症例数の割には種類が多い.しかも生物学的態度も多岐にわたっている.従って,本書では,骨腫瘍,軟部腫瘍のほぼ全域を網羅するようにと,第一線で活躍中の骨・軟部腫瘍を専門としている,整形外科医に執筆をお願いした.難しい,取っ付きにくい分野と思われる一般整形外科医もいるかもしれないが,鮮明な画像に,「概念」,「特徴と読影のポイント」,「Question & Answer」,「ワンポイント」に分けて,簡明に解説していただき,非常にわかりやすいアトラスとなっている.本書は,今後,専門家を目指す整形外科医,この分野を専門とされていない一般整形外科医はもちろん,骨・軟部腫瘍の専門家にとっても,日常診療において,非常に役立つものと同時に,骨・軟部腫瘍患者にも恩恵が与えられるものと思っている.本書を診療の場に置いて,そのような症例にあったときに,参照していただくことにより,的確な判断がなされることを願っている.
2010年 6月
矢部 啓夫
目次
Chapter 1 骨腫瘍
A 原発性骨腫瘍
Section 1.骨形成腫瘍
類骨骨腫
骨芽細胞腫
Section 2.骨内骨肉腫
骨内通常型骨肉腫
血管拡張型骨肉腫
骨内高分化型骨肉腫
Section 3.表在骨肉腫
傍骨骨肉腫
骨膜性骨肉腫/表在低分化骨肉腫
Section 4.軟骨形成腫瘍
軟骨腫(内軟骨腫/骨膜軟骨腫)
骨軟骨腫(単発性/多発性)
軟骨芽細胞腫
軟骨粘液線維腫
原発性軟骨肉腫
二次性軟骨肉腫
骨膜性軟骨肉腫
淡明細胞型軟骨肉腫
Section 5.骨巨細胞腫
骨巨細胞腫
Section 6.円形細胞腫瘍
Ewing肉腫/PNET
骨髄腫/骨リンパ腫
Section 7.脈管腫瘍
血管腫/血管肉腫
1.血管腫
2.血管肉腫
Section 8.その他の結合織腫瘍
骨内脂肪腫
骨線維肉腫/骨悪性線維性組織球腫
骨平滑筋肉腫
脊索腫
長管骨アダマンチノーマ
B 続発性骨腫瘍
転移性骨腫瘍(脊椎を除く)
C 腫瘍類似病変
単発性骨腫
動脈瘤様骨腫
巨細胞修復肉芽腫
傍関節骨胞(骨内ガングリオン)
骨幹端部線維性骨皮質欠損
好酸球性肉芽腫
線維性骨異形成
骨線維性異形成
D きわめてまれな腫瘍
類腱線維腫
Chapter 2 軟部腫瘍
弾性線維腫
デスモイド型線維腫症
腱鞘巨細胞腫
良性線維性組織球腫
脂肪腫/脂肪腫症/褐色脂肪腫
グロムス腫瘍
血管腫
神経鞘腫
筋肉内粘液腫
孤在性線維性腫瘍と血管周皮腫
Atypical lipomatous tumor/well differentiated liposarcoma
脂肪肉腫(脱分化型,粘液型,円形細胞型,多形型,混合型)
線維肉腫
粘液線維肉腫
低悪性度線維粘液性肉腫
悪性線維性組織球腫(未分化多形肉腫)
平滑筋肉腫/横紋筋肉腫/MPNST/間葉性軟骨肉腫
滑膜肉腫/類上皮肉腫/胞巣状軟部肉腫/明細胞肉腫
1.滑膜肉腫
2.類上皮肉腫
3.胞巣状軟部肉腫
4.明細胞肉腫
骨外Ewing/PNET/線維形成性小細胞腫瘍
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書籍情報
- ISBN:9784498054622
- ページ数:166頁
- 書籍発行日:2010年8月
- 電子版発売日:2011年12月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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