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- EBM泌尿器疾患の治療2015-2016
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内容
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> EBMシリーズ
序文
序文
今日,治療医学の進歩は日進月歩であり,新しい治療技術が急速に実地臨床へ応用されている.また,膨大な数の臨床研究データが医療現場から生産・蓄積されているが,IT 環境の進歩によって,世界中の臨床データを誰でも瞬時に見ることができ,最新の臨床情報が治療現場に活用されている.
EBM(evidence-based medicine)に基づく医療とは,「良心的に,明確に,分別を持って,最新最良の医学知見を用いる」医療のあり方をさすもので,臨床医は,専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し,客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら,患者と共に方針を決めることを心がけなければならない.EBM に基づく診療を実践することにより,最新最適で標準化された治療を患者に提供することができ,さらには患者も科学的な根拠に基づいて医師と共に臨床判断を行うことができる.EBM 診療ガイドラインは,エビデンスレベルの高い臨床データに基づいて,標準化された最適な疾患の診断・治療法を医師,メディカルスタッフ,あるいは患者に示すための指針であり,本邦においても膨大な数の診療ガイドラインが出版されている.泌尿器科領域における診療ガイドラインは30 にも及び,いかに泌尿器科が,標準化を必要とし,需要の多い,多彩な疾患を含蓄する領域であるかを物語っている.他方,臨床データの生産は加速度的に早くなり,新規治療が次々に開発されるなか,ガイドラインの改訂が追いつかない状況も起こっている.
本書は,2009 年に出版された「EBM 泌尿器疾患の治療2009-2010」に続いて,6 年ぶりに出版された泌尿器科専門医向けの書である.日進月歩の医療の進歩のなかで,医師は常に自らの専門の分野の最新の情報を熟知していなければならないが,一人の臨床医が膨大な科学情報を把握することは到底困難であり,診療ガイドライン以外にも,臨床判断に必要なタイムリーで,エビデンスレベルの高い臨床情報が必要となるが,本書はまさにその目的のために編集されたものである.本書は,泌尿器科専門医を対象とし,泌尿器科の臨床現場で遭遇するクリニカルクエスチョンを選択し,最新のエビデンスに基づいて答えようとするものである.広範な泌尿器科のすべての領域を包括することは困難であることから,本書では2009-2010 年版と同様の領域,すなわち前立腺癌,膀胱腫瘍,腎癌,精巣腫瘍,副腎腫瘍,下部尿路機能障害,結石,感染症について,実地臨床において重要な質問を厳選した.各質問に対してEBM に基づいた臨床判断を示し,その根拠となる具体的な研究論文とその要旨を紹介し,さらに臨床研究の問題点と限界まで解説し,極めて高い科学的レベルで質問に答えようというもので,各質問に対して,編者が最もふさわしいと考えるエキスパートに回答をお願いした.最新のEBM に基づいて素晴らしい回答と解説をいただいた各執筆者の先生に,編者を代表して御礼を申し上げるとともに,本書が多くの泌尿器科医に活用され,実地診療における臨床判断の役に立てば,編者の大きな喜びである.
2015年3月
編者を代表して 後藤百万
目次
目次
I.前立腺癌
1 前立腺癌ラテント癌の頻度と悪性ポテンシャルは?
2 PSAテストを受けるべき年齢の上限と下限は?
3 PSAに替わる新規マーカーの臨床的有用性は?
4 PSA監視療法中のBPH/LUTS対策は?
5 前立腺癌原発病巣の量的・質的診断法としてのMRIの位置づけは?〜特に手術療法における有用性について〜
6 骨転移に対する治療戦略は?
7 アジュバント放射線療法の適応とアウトカム
8 High risk癌に対するリンパ節郭清の意義は?
9 間欠的内分泌療法に関する臨床的エビデンスは?
10 GnRHアンタゴニストの臨床的有用性は?
11 去勢抵抗性前立腺癌に対する新規ホルモン療法の展望は?
II.膀胱腫瘍
1 膀胱癌の分子機構の解明と新規分子マーカー開発の現状は?
2 筋層非浸潤膀胱癌(Ta)再発予防に対しての至適な膀胱内注入療法は決まっているか?
3 膀胱癌の病理診断の現状と最近の課題は何か?
4 膀胱癌に光力学診断は有用か?
5 BCG抵抗性筋層非浸潤性膀胱癌に対する有効な治療法は?
6 筋層浸潤膀胱癌に対してのロボット支援下膀胱全摘除術は有用か?
7 高齢者の筋層浸潤性膀胱癌に対する治療で考慮すべき点は何か?
8 筋層浸潤性膀胱癌に対して術前または術後の補助化学療法は行うべきか?
9 進行性膀胱癌患者においてCDDP-unfitの場合の推奨化学療法は?
10 筋層浸潤膀胱癌に対する膀胱温存の適応と方法は?
11 上部尿路癌根治術後の膀胱内再発予防は可能か?
12 上部尿路腫瘍に対する腎尿管全摘術におけるリンパ節郭清の意義は?
III.腎癌
1 小径腎癌に対するablation therapyの医療成果は?
2 小径腎癌に対するactive surveillanceの意義と適応は?
3 高齢者における腎温存手術の意義は?
4 分子標的薬時代のサイトカイン治療の位置づけは?
5 分子標的薬時代のM1症例に対する原発巣摘除の意義は?
6 腎癌転移巣に対する外科的治療の意義は?
7 Presurgical療法の適応と効果は?
8 分子標的薬の効果判定としてのPET-CTの意義は?
9 分子標的薬治療のon-target AEとoff-target AE
10 1st line TKI failure後の2nd line治療薬の選択は?
11 腎血管筋脂肪腫に対するエベロリムスの効果は?
IV.精巣腫瘍
1 病期I症例に対するサーベイランスにおいてCT施行回数は減らせるか?
2 サルベージ化学療法としての推奨プロトコールは何か? 幹細胞移植併用大量化学療法の有用性は確立しているか?
3 難治性精巣腫瘍におけるオキサリプラチン含有レジメンの意義は?
4 精巣腫瘍における腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術の適応は?
5 HCG偽陽性についての最新知見は?
6 腫瘍マーカーが正常化しない場合の救済外科療法の意義は?
V.副腎腫瘍
1 褐色細胞腫の成因はどこまで解明されたのか?
2 転移性副腎腫瘍の診断法と治療の適応は?
VI.下部尿路機能障害
1 メタボリック症候群は下部尿路症状の病因となるか?
2 前立腺肥大症に対するα1遮断薬,5α還元酵素阻害薬の使い分けは?
3 前立腺肥大症に対する各種α1遮断薬の効果に差はあるか?
4 前立腺肥大症に対するPDE5阻害薬の有効性と適応症例は?
5 前立腺肥大症に対するPVP(レーザー前立腺蒸散術)の有効性と適応は?
6 過活動膀胱を伴う前立腺肥大症患者に対してβ3作動薬は推奨されるか?
7 過活動膀胱に対する抗コリン薬とβ3アゴニストの併用は推奨されるか?
8 男性過活動膀胱患者に対して,抗コリン薬単独治療は推奨されるか?
9 難治性過活動膀胱に対する治療は?
10 低活動膀胱に対するコリン作動薬の投与は推奨されるか?
11 女性腹圧性尿失禁に対する手術治療において,TVT手術,TOT手術いずれが優れているか?
12 膀胱瘤手術と腹圧性尿失禁手術の併用は推奨されるか?
13 混合性尿失禁に対するスリング手術は推奨されるか?
14 前立腺手術後の腹圧性尿失禁に対する有効な治療法は?
15 根治的前立腺全摘除術後の腹圧性尿失禁に骨盤底筋訓練は推奨されるか?
16 夜間頻尿の診療において排尿日誌は推奨されるか?
17 夜間頻尿に対して抗利尿ホルモンの投与は推奨されるか?
18 夜間頻尿に対して抗コリン薬は有効か?
19 間質性膀胱炎に対する膀胱内注入治療は推奨されるか?
20 間質性膀胱炎に対する薬物内服治療は推奨されるか?
VII.結石
1 Low dose CTは尿路結石の診断に推奨されるか?
2 尿路結石の疼痛コントロールにNSAIDs,抗コリン剤は推奨されるか?
3 薬剤による尿路結石の排石促進は推奨されるか?
4 PNL術後に腎瘻留置は必要か?
5 小腎結石に対する内視鏡手術はmicro-PNLかRIRS(f-TUL)か?
6 尿管結石に対する内視鏡手術は硬性鏡か,軟性鏡か?
7 尿路結石に対して腹腔鏡下手術は選択されるべきか?
8 尿路結石排石促進にビールは推奨されるのか?
9 感染性結石にクランベリージュースは有効か?
10 結石成分分析はすべての結石に推奨されるか?
11 再発予防の食事指導の適応と有用性は?
VIII.感染症
A.尿路感染症
1 急性単純性膀胱炎の原因菌の薬剤耐性化は進行しているのか?
2 急性単純性膀胱炎の治療に,ニューキノロン薬やセファロスポリン薬以外に有効な抗菌薬はあるのか?
3 複雑性尿路感染症におけるβラクタム系抗菌薬に対する高度耐性菌は増加しているのか?
4 尿路閉塞を伴う有熱性腎盂腎炎には,尿管ステント留置と腎瘻造設とどちらを選択すべきか?
B.性感染症
1 男子尿道炎を惹起する可能性のある淋菌とクラミジア以外の微生物は何か?
2 尿中のhuman papillomavirusの病的意義は何か?
3 淋菌の薬剤耐性化は進行しているのか?
4 淋菌感染症におけるアジスロマイシンの単独,セフトリアキソンとの併用による治療は有効か?
5 Mycoplasma genitaliumによる尿道炎の治療の第一選択は何か?
6 性感染症患者の咽頭の細菌検査の必要性は?
C.精巣上体炎と前立腺炎
1 Chlamydia trachomatisの精巣上体炎と前立腺炎における役割は?
2 急性細菌性前立腺炎に対して外来治療は可能か?
3 慢性前立腺炎に有効な薬物療法は何か?
4 慢性前立腺炎に対する薬物療法以外の有用な治療は何か?
D.カテーテル関連尿路感染症
1 尿路カテーテル留置患者からの定期的な尿の監視培養検査は必要か?
2 バイオフィルム感染症に有効な治療法はあるか?
E.小児尿路感染症
1 小児の再発性尿路感染症に対して,抗菌薬の長期予防投与は必要か?
F.周術期感染
1 泌尿器科領域において,周術期感染予防ガイドラインに従った予防策は行われているか?
2 前立腺生検感染予防にニューキノロン薬はまだ有効か?
3 好中球減少時における抗菌薬投与の適応は?
G.その他
1 尿路に真菌を認めた場合には,どのように対処すべきか?
2 日本における尿路性器結核の動向は?
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書籍情報
- ISBN:9784498064249
- ページ数:616頁
- 書籍発行日:2015年4月
- 電子版発売日:2015年5月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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