腹膜透析ハンドブック

  • ページ数 : 260頁
  • 書籍発行日 : 2012年9月
  • 電子版発売日 : 2013年8月10日
4,840
(税込)
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商品情報

内容

腎不全医療に関わるすべての人々のために!

腹膜透析は、拘束時間が短くQOLが非常に高いこと、残腎機能の保持に優れることなど多くのメリットを有する優れた腎代替療法です。本書では、その考え方から、関連する手術手技、患者教育の手法に到るまで、東大病院を中心とするスタッフが培った腹膜透析医療の実践的ノウハウが惜しみなく開陳されている。腎医療に携わる全ての医療人必読の書です。

序文

本書を上梓する背景について述べる.腎不全医療は大きく進歩し,末期腎不全患者は,透析療法や腎移植を組み合わせることにより30年から40年以上もの長期生存が可能となった.腎不全医療に携わるあらゆる医療者にとって,これらの治療技術を駆使し腎不全患者さんが希望をもって生きていくことを支援することができれば,これ以上の喜びはない.

日本の腎不全医療の中心は血液透析であり,広く一般化されている.腎不全患者さんが,例外なくその恩恵に預かることができることは素晴らしい進歩であるが,一方でややマニュアル化医療に偏りすぎている側面もあると思う.治療技術の確立した現在こそ,「腎不全とともに生きる個々の人間をみる」腎不全医療のあり方を改めて見直すべき時期と思う.

私は,シニアレジデントであった三井記念病院時代に,恩師である多川斉先生および杉本徳一郎先生の御指導の下,腹膜透析(PD)の患者さんを継続的に受け持たせていただいた.PDは,患者ニーズに合わせたオーダーメードの腎不全医療であり,「個々の人間をみる」という腎不全医療の本質を経験させていただくことができ,深く感謝している.

東海大学で腹膜劣化機序の研究に携わった後,東京大学医学部附属病院22世紀医療センターで,全人的総合的腎不全医療(Total Renal Care:TRC)としてPDの推進・普及のための診療・教育活動に専念し,幸運にも全国の多くの腎不全診療に携わる医療者と交流する機会に恵まれた.この活動の中で,腎不全医療者にとってPD医療に関する知識や経験を得る機会が極めて少ないと実感した.本書は,これらの医療者の知識習得を目的としたものであり,当時の東京大学医学部附属病院や外部医療機関の,志を同じくする医療者の方々との共同執筆である.筆不精の私一人では,到底完成することは叶わなかったと思う.編集および執筆してくださった先生方,また貴重な写真を多数提供して下さった三井記念病院三瀬直文先生にはこの場を借りて御礼を申し上げたい.

全人的医療の実践には,チーム医療や地域医療連携に基づいた全人的な視点が必要となる.日本の腎不全医療をPDを積極的に取り入れた形でさらに進歩させ,世界の模範となるようにTRC ALL JAPANのチームで取り組むことが近未来の夢である.


2012年夏

石橋由孝

目次

第1章 総論 Total renal care─腎代替療法を柔軟に使い分ける─

腎代替療法選択上のポイント

第2章 PDの原理

PDの原理

腹膜の特性

PDの特性

第3章 PDの適応と禁忌

PDの絶対禁忌

PDの相対的禁忌

PDの適応と患者選択

第4章 至適透析の考え方

至適透析とは

至適透析量

透析不足の臨床症候と他治療への移行

第5章 残存腎機能とPDファースト・インクリメンタルPD

PD患者におけるRRF保持

PDファースト

インクリメンタルPD

RRF低下と有害事象

RRF低下後の対策

第6章 PD+HD併用療法

適応

PD中止の基準

問題点

予 後

第7章 PD処方

治療パターンの種類と選択

処方の組み立て

処方決定の実際

第8章 PD透析液の種類

透析液の種類

第9章 腹膜平衡試験(PET)

至適透析

第10章 PD透析液の生体適合性

第11章 患者教育・自己管理

急性疾患と慢性疾患の違い

CKDにおけるearly referralの重要性

保存期・多職種教育の重要性

腎代替療法選択に与える影響

多職種チームによる教育

患者教育の方法論:学習/記憶理論の重要性

ツールの利用

第12章 PD導入入院

第13章 PD関連手術

13-1 テンコフカテーテル留置

術前に行うこと

周術期の準備

手術手技の実際

術後管理,その他

13-2 出口部変更術

術前に行うこと

周術期の準備

手術手技の実際

術後管理,その他

第14章 高齢者におけるPDと在宅支援

高齢腎不全患者の特徴と透析療法の選択

Assisted PD(介助を要するPD)

在宅支援の立場から見た基幹病院と地域連携のそれぞれの役割

保険制度

生活支援の実際

実際の症例から学ぶ

今後の課題

第15章 栄養評価

栄養評価

当院における栄養評価と至適透析の実際

第16章 腹膜細胞診

細胞診の手技

排液細胞診のポイント

中皮細胞診のポイント

第17章 腹膜組織診

正常腹膜組織とPDに伴う変化

腹膜組織所見と腹膜機能・予後

腹膜予後の改善を目指して

腹膜生検における注意点

第18章 PD長期継続への方策

体液管理

腹膜機能保護

RRF保持

PD+HD併用療法

第19章 MIA症候群とPD

定義

機序

治療

一時的なHDへの移行

第20章 災害時のPD

CAPDの透析液交換時やAPD器機接続中に発生した災害

災害時の緊急切り離し

避難時の持ち出し用品

避難所などでのPD

災害時の連絡方法

緊急連絡先

第21章 TRC研修

TRC

第22章 カテーテル出口部管理

ケアの注意点

カテーテル挿入周術期(術後<6週間)のケア

維持期(術後≧6週以降)のケア

感染時のケア

第23章 出口部感染

定義と分類

診断

治療

第24章 排液混濁の考え方

診断

治療

第25章 PD関連腹膜炎

背景

症状

診察

患者教育

検査

診断基準

治療

抗菌薬の投与期間

予防

難治/再発/再燃/反復例に対する対処

カテーテル抜去の適応

カテーテル抜去後の再挿入時期

第26章 抗酸菌性腹膜炎・出口部感染(結核および非結核性抗酸菌感染症) 〈城 愛理〉

起因菌と頻度

抗酸菌性腹膜炎の原因・由来

診断

治療

第27章 被嚢性腹膜硬化症(EPS)

概念

発症機序

EPS発症に関するリスクファクター

診断とステージ分類

治療

第28章 注排液トラブル:カテーテル位置異常・疼痛・排液不良,機械トラブル 〈河原崎和歌子〉

カテーテル位置異常と閉塞

疼痛や機械トラブル

第29章 透析液リーク,ヘルニア

分類・部位・危険因子

頻度

症状

診断

予防

治療

第30章 横隔膜交通症

診断

治療

第31章 体液管理:食塩の重要性(利尿薬の使い方も含めて)

PDにおける体液管理の現状と重要性

体液管理の対策

第32章 CKD-MBDとPD

CKD-MBDとは

Ca/P代謝とCKDに伴う影響

PDにおけるCKD-MBDの特徴

検査項目・管理目標値

骨代謝と骨代謝マーカー

治療

治療薬

第33章 貧血とPD

第34章 脂質代謝異常とPD

病態

診断

治療

第35章 糖尿病とPD

糖尿病PD

糖尿病PD管理の考え方

治療目標

第36章 心疾患とPD

PD患者の心不全の背景と心疾患各論

PD透析患者の心不全の治療

第37章 腹部手術既往歴とPD

腹部手術歴のある患者におけるPD導入

PD患者の腹部手術

第38章 多発性嚢胞腎とPD

第39章 肝疾患とPD

肝疾患を有するCKD患者の特徴とHDの問題点

肝疾患を有する患者におけるPDの特徴

第40章 高安動脈炎(大動脈炎症候群)とPD

総論

高安動脈炎における透析療法選択

第41章 腎移植

生体腎移植

献腎移植


巻末資料:患者指導用資料

1.患者用緊急対応マニュアル

2.患者の知識確認用クイズ

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書籍情報

  • ISBN:9784498124905
  • ページ数:260頁
  • 書籍発行日:2012年9月
  • 電子版発売日:2013年8月10日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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