不妊症・不育症診療 その伝承とエビデンス

  • ページ数 : 780頁
  • 書籍発行日 : 2019年11月
  • 電子版発売日 : 2019年11月11日
13,200
(税込)
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商品情報

内容

熟練の「技」と「知」の集合

全国のエキスパート達から、「伝えたい」というテーマを収集.
教科書やマニュアルには書かれていない技術と知識が満載.
最新のエビデンスにも考慮した、実践的バイブル.

序文

巻頭言


私が産婦人科医になった1980年代中盤の頃を思い浮かべますと,施設が違えども若手医師が置かれた臨床研修の環境は概ね共通し,当該施設で脈々と受け継がれてきた診療方針にともすれば従い,先輩達の技術や知識を見て,聞いて,産婦人科医としての基本的な診療を学ぶというスタンスでした.学会などの場では,「うちではこんな風にしています」というような発表もありがちな時代でしたが,実際にそれをお聞きして自らの施設に持ち帰っても,結局のところは受け入れて採用する機会は少なかったのではないかと記憶しています.

やがて各学会でも認定医あるいは専門医制度が始まり,施設間で大筋の所では共通な診療指針が必要となってきました.わが国でも1995年頃から,臨床経験,患者の価値観,あるいは最良のエビデンスを統合するため,EBMの実践という当時としては画期的な概念が提唱されました.すなわちそれまでの様々な臨床研究の結果が,日常の診療で十分に活用されていない状況を改善しようとする動きが始まりました.このEBMに基づく診療の実践により,施設間の診療データの比較を正しく行いやすい状況に流れが変わり始めました.

ところでsubspecialityの資格も得てその方面で活躍する機会が増しますと,自らの専門分野以外の技術や知識についていくことは困難となりました.そこで2011年には日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の共同編集による「産婦人科診療ガイドライン」が発刊されました.例えば生殖医療の診療では自信を持つ先生方でも,いざ子宮頸がん検診で異常所見が見つかったような場合の結果説明の場面で,ご自身の記憶だけで完璧に対応するのは難しいのではないかと思います.そんな時にガイドラインに従い診療を行えば,万一の誤った判断によりトラブルに陥る可能性は極めて低くなります.

私自身もこのようなマニュアル書の恩恵を受けており,ガイドラインの存在を否定する立場では毛頭ありません.ただ全国の生殖医療のエキスパートの先生方の中には,これからの生殖医療を担う若手の医師・看護師・胚培養士・カウンセラーなどの皆様に対し,マニュアル書には記載されていないが是非伝承したい技術や知識がおありではないか,と考えるに至りました.そこでご賛同いただける先生方には,ご自身でテーマをお決めのうえご執筆いただくため,この「不妊症・不育症診療―その伝承とエビデンス」を発刊することを決意致しました.

本書では冒頭で述べました「脈々と受け継がれてきた診療方針」などをただ伝承するのではなく,最新のエビデンスにも十分にご配慮いただきながら,様々なテーマをご提案のうえご執筆を賜りまして,ここに深く感謝を申し上げます.また本書の企画以来,中外医学社の皆様方からは献身的なご協力,ご指導をいただきました.ここに御礼を申し上げます.

現行のマニュアル書からだけではなく,本書の執筆陣である不妊症・不育症のマイスターの先生方から多くの技術や知識を伝承していただき,日頃の診療にお役立ていただけましたら,望外の喜びです.


令和元年10月

兵庫医科大学産科婦人科学講座主任教授
柴原浩章

目次

IA 女性不妊症

1 接遇

 1 不妊患者とのコミュニケーションスキル

 2 挙児希望患者への向き合い方

2 検査

 1 スクリーニング

 2 内分泌

 3 頸管

 4 HSG

 5 MRI

 6 AMH

 7 内視鏡

3 治療

 1 排卵誘発・OHSS

 2 タイミング療法

 3 AIH

4 疾患と治療

 1 原因不明不妊症

 2 卵胞発育・加齢

 3 内分泌

 4 免疫性不妊症

 5 卵管性不妊症

 6 良性腫瘍

 7 CSS

 8 妊娠

 9 遺伝

 10 感染・細菌叢

IB 男性不妊症

1 検査・診断

 1 診察

 2 精液検査・精子機能検査

 3 内分泌

 4 精巣

 5 精路

2 薬物治療

3 疾患と治療 

 1 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症

 2 射精障害

 3 精索静脈瘤

 4 無精子症

 5 免疫性不妊症

 4 その他

II 生殖補助医療(ART)

1 体外受精・IVM

 1 IVF受精障害への対策

 2 小卵胞由来卵子を用いた体外受精

 3 黄体刺激/黄体補充:黄体補充療法の要点

2 採卵・胚移植

 1 採卵手術のコツ・裏技

 2 胚移植のコツ

 3 凍結融解胚移植周期における子宮内膜の調整法

 4 胚移植のタイミングと妊娠率の相関

3 卵細胞質内精子注入法(ICSI)

 1 顕微授精のリスクについての説明を求められたら

 2 Piezo--ICSIは通常ICSIに優るか

 3 1995年から臨床応用してきたICSIの変遷および高受精率維持の努力と胚培養士教育

 4 ICSI受精障害への対策

4 胚・胚培養

 1 凍結融解:2012年から実施してきたfreeze--allの成績と当院の方法

 2 タイムラプスシネマトグラフィー解析から見えてきた新たな現象について

 3 連続観察法による胚評価

 4 培養環境

5 着床

 1 ERAと子宮内細菌叢検査

 2 慢性子宮内膜炎の病態と治療

 3 着床不全を解明する免疫学的アプローチ

 4 難治性不妊治療における末梢血リンパ球投与

6 将来展望・その他

 1 生殖医療と生殖幹細胞

 2 ライセンス制若手医師教育

 3 日本の生殖補助医療の統計から見える課題

III がん・生殖

1 精子・精巣凍結

 1 がんと生殖医療

 2 がん化学療法に伴う精子凍結保存

 3 Onco--TESE

 4 精子・精巣組織凍結の実際

2 卵子・胚凍結

 1 エストロゲン受容体陽性の乳がん患者に対する卵巣刺激方法は

 2 卵巣刺激はいつから開始するか

 3 がん生殖医療(卵子凍結)の実際

3 卵巣凍結

 1 標準的な卵巣凍結保存法とは

 2 卵巣組織凍結保存のための卵巣摘出方法のコツは

4 その他

 1 妊孕性温存を希望する患者が受診したら

 2 女性がん患者に対する妊孕性温存の現状

 3 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)におけるカウンセリング

 4 女性患者に対する妊孕性温存療法のエビデンスに関するアップデート

 5 当院でのがん・生殖医療における生殖補助医療胚培養士の業務

 6 挙児希望を有する若年がん患者が不妊外来を受診したら

IV 不育症

1 接遇

 1 不育症患者への接し方

2 診断と治療

 1 流・死産を2回以上繰り返したら

 2 不育症に対する低用量アスピリン療法

 3 ヘパリン療法の実際

 4 ヘパリンカルシウム療法と好酸球

 5 子宮形態異常の診断について(不妊症のHSGも含む)

 6 不育症に対する子宮鏡検査

 7 中隔子宮と診断したら

 8 リスク因子不明不育症を減らすための免疫学的アプローチ

 9 免疫グロブリン大量療法

 10 不育症と抗リン脂質抗体

 11 不育症における甲状腺機能異常症の対応

 12 染色体異常

3 ケア

 1 ART専門医が実践する効果的な不育症ケア

V その他

1 社会的卵子凍結

2 精子提供

3 生殖医療とファミリープラニング:最後の子どもの不妊治療から逆算する新しい考え方

4 不妊患者の精神的サポート

5 生殖医療におけるシェアード・デシジョンメーキング

6 円錐切除術と不妊治療

7 広汎子宮頸部切除術後の不妊治療

8 生殖年齢の男性更年期障害患者の治療

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書籍情報

  • ISBN:9784498160002
  • ページ数:780頁
  • 書籍発行日:2019年11月
  • 電子版発売日:2019年11月11日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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