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- 臨床薬学テキストシリーズ 神経・筋・精神/麻酔・鎮痛
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内容
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序文
薬物治療に関わる薬剤師には,薬物の薬理作用と作用機序,薬物動態,安全性などの薬理学的知識はもとより.疾患の病態や症候,臨床検査・診断,そして非薬物治療も含む治療全般についての知識が求められるようになった.これらを修得することにより,調剤,服薬指導,処方設計の提案などの薬学的管理の基盤を築き,医薬品を安全かつ有効に使用することが可能になる.
本書は,臨床薬学テキストシリーズの第5 巻として,第4 巻『[薬理・病態・薬物治療]薬物治療総論/症候・臨床検査/個別化医療』に続き,[薬理・病態・薬物治療]の各論を構成する一冊であり,1)神経・筋疾患,2)精神疾患,および3)麻酔・鎮痛の三つの領域を対象とする.薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25 年度改訂版)との関係では,「E2 薬理・病態・薬物治療」のうち,「(1)神経系の疾患と薬」に該当し,この項目には「①自律神経系に作用する薬」,「②体性神経系に作用する薬・筋の疾患の薬,病態,治療」,「③中枢神経系の疾患の薬,病態,治療」,および「④化学構造と薬効」が含まれている.
神経・筋疾患は,脳神経内科のほかに一般内科,脳神経外科等でも取り扱われ,神経線維の脱髄,神経細胞の脱落といった神経系の器質的障害を伴うものが多く,それに応じた神経症候を生じるという特徴がある.精神疾患は,精神科,心療内科等で取り扱われ,身体的疾患とは極めて異なる性質をもっており,その背景には中枢神経系の分子メカニズムや病態が存在するものの,精神状態の平均的価値や基準からの「偏り」というヒトに固有の問題が中心になる.さらに,麻酔・鎮痛は,手術侵襲や手術ストレスに関わる急性期の反応と,がん疼痛のような慢性反応のコントロールに重要な役割を果たす.これらの疾患の薬物治療を系統的に学習するうえで,神経系の構造と機能を理解し,主な神経・筋・精神疾患を理解しておくことは,非常に大切である.
脳科学,神経科学領域の研究の進歩に伴い,これらの疾患の薬物治療にも大きな変革がもたらされている.さらに,この領域にはアルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢性疾患が含まれており,これらの疾患の克服が,超高齢社会を迎えた我が国の医療における重要な課題となっている.薬学生諸君が本書で学ぶことにより,薬剤師,薬学者として必要な神経系の薬物治療に関する知識・技能・態度を身につけていただきたい.
本書は,臨床的な記述を充実させるために,薬学者のみならず,第一線で活躍中の医学側執筆者との共同作業によって生み出されたものである.難解と思われる医学用語や関連する知識などはサイドノートでご説明いただき,最新のガイドラインの内容や近年導入された新薬,そして多数の構造式も盛り込んでいただいた.編集に際しては,国際医療福祉大学の辻 稔先生のご協力を得た.ここに記して謝意を表したい.
2019年7月
赤池 昭紀
目次
第1章 神経・筋疾患
A 総論
1 修得すべき知識の概要
2 神経の解剖生理学と疾患の概要
1 神経の解剖生理学
2 主な神経疾患と治療の概要
2.1 てんかん
2.2 脳血管障害
2.3 パーキンソン病
2.4 認知症
2.5 頭痛
3 骨格筋の解剖生理学と疾患の概要
1 骨格筋の解剖生理学
2 主な筋関連疾患と治療の概要
2.1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2.2 筋ジストロフィー
2.3 重症筋無力症
2.4 ギラン・バレー症候群
2.5 悪性高熱症
4 神経・筋疾患の治療薬の概要
1)自律神経系に作用する薬
1 交感神経興奮薬(アドレナリン作動薬)
1.1 直接型アドレナリン作動薬
1.2 間接型アドレナリン作動薬
1.3 混合型アドレナリン作動薬
2 交感神経遮断薬
2.1 アドレナリン受容体遮断薬
3 副交感神経興奮薬(コリン作動薬)
3.1 直接型コリン作動薬
3.2 間接型コリン作動薬
4 副交感神経遮断薬(抗コリン薬)
5 神経型ニコチン性アセチルコリン受容体に作用する薬物
2)体性神経系に作用する薬
1 知覚神経に作用する薬物:局所麻酔薬
2 運動神経に作用する薬物
2.1 神経筋接合部興奮薬
2.2 神経筋接合部遮断薬(筋弛緩薬)
3 神経筋接合部以外を標的とする筋弛緩薬
3.1 中枢性筋弛緩薬
3.2 その他の筋弛緩薬
B.疾患各論
1.てんかん
1 てんかんとは
2 疫学
3 分類
3.1 複雑部分発作
3.2 欠神発作
3.3 ミオクロニー発作
3.4 強直間代発作
4 検査・診断
5 治療方針
6 治療薬
6.1 第1世代抗てんかん薬
6.2 第2世代抗てんかん薬
6.3 小児てんかんに対する最近の抗てんかん薬
2.脳血管障害
1)脳出血
1 脳出血とは
2 疫学
3 検査・診断
4 臨床症状
5 治療方針
6 治療薬
2)脳梗塞(脳血栓、脳塞栓、一過性脳虚血)
1 脳梗塞とは
2 疫学
3 診断・分類
3.1 発症機序による分類
3.2 臨床的分類
4 治療方針
5 治療薬
3)くも膜下出血
1 くも膜下出血とは
2 疫学
3 原因
4 臨床症状
5 診断
6 治療方針
7 治療薬
3.パーキンソン病
1 運動機能調節の概要
2 パーキンソン病とは
3 疫学
4 パーキンソン病・パーキンソニズムの分類
4.1 薬剤性パーキンソニズムの原因となる薬物
4.2 脳血管性パーキンソニズムの治療薬
5 検査
5.1 MIBG心筋シンチグラフィー
5.2 ドパミントランスポーターシンチグラフィー(DAT スキャン)
5.3 CTおよびMRI検査
5.4 嗅覚障害および睡眠障害の検査
6 治療方針
7 治療薬
7.1 ドパミン補充薬
7.2 ドパミンアゴニスト
7.3 ドパミン放出促進薬
7.4 MAO-B阻害薬
7.5 抗コリン薬
7.6 ノルアドレナリン補充薬
7.7 レボドパ賦活薬
7.8 アデノシンA2a 受容体アンタゴニスト
4.ハンチントン病
1 ハンチントン病とは
2 疫学
3 症状
4 病態生理
5 検査
6 治療
5.認知症
1)アルツハイマー型認知症
1 アルツハイマー病(AD)とは
2 疫学
3 診断
4 治療
4.1 認知症治療薬の分類と種類
4.2 認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の治療薬
4.3 脳循環改善薬と脳代謝改善薬
4.4 認知症の進行を抑える薬
2)血管性認知症
1 血管性認知症(VaD)とは
2 疫学
3 分類
4 診断・検査
5 治療
5.1 脳血管障害(CVD)の再発予防
5.2 認知症に対する対症療法
6 予防
6.1 発症抑制のための予防対策
6.2 急性期での処置の重要性
6.3 慢性期での処置の重要性
3)レヴィ小体型認知症
1 レヴィ小体型認知症(DLB)とは
2 疫学
3 分類
4 検査
4.1 生化学検査
4.2 神経心理学的検査
4.3 画像検査
5 治療方針
6 治療薬
6.1 認知機能障害に対する薬物療法
6.2 BPSDや睡眠異常に対する薬物療法
6.3 パーキンソニズムなどの他の神経症状に対する薬物療法
4)前頭側頭型認知症
1 前頭側頭型認知症(FTD)
2 臨床類型と特徴
2.1 行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)
2.2 進行性非流暢性失語症(PNFA/nfvPPA)
2.3 意味性認知症(SD/svPPA)
3 分子病理類型
3.1 FTLD-tau
3.2 FTLD-TDP
3.3 FTLD-FUS
3.4 FTLD-UPS
3.5 FTLD-ni
6.頭痛
1)片頭痛
1 片頭痛とは
1.1 血管説
1.2 神経説
1.3 三叉神経血管説
2 疫学
3 分類
3.1 前兆のない片頭痛
3.2 前兆のある片頭痛
3.3 慢性片頭痛
4 検査
5 治療方針
5.1 急性期治療
5.2 予防療法
6 治療薬
6.1 急性期治療
6.2 予防薬
2)緊張型頭痛
1 緊張型頭痛とは
2 疫学
3 分類
4 治療方針
5 治療薬
3)群発頭痛
1 群発頭痛とは
2 疫学
3 分類
4 治療方針
5 治療薬
7.髄膜炎・脳炎
1 髄膜炎
1.1 髄膜炎とは
1.2 疫学
1.3 分類
1.4 検査
1.5 治療方針
1.6 治療薬
2 脳炎
2.1 脳炎とは
2.2 疫学
2.3 分類
2.4 検査・診断
2.5 治療方針
2.6 治療薬
8.熱性けいれん (大野行弘,下竹昭寛)
1 熱性けいれんとは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
9.プリオン病
1 プリオン病とは
2 発症機序
3 ヒトのプリオン病
4 症状
5 病理
6 診断
7 治療
8 感染予防・滅菌法
10.多発性硬化症 (吉田侑矢,河野武幸,山下博史)
1 多発性硬化症(MS)とは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
11.視神経脊髄炎
1 視神経脊髄炎(NMO)とは
2 疫学
3 臨床症状
4 検査
5 治療方針・治療薬
12.筋萎縮性側索硬化症
1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
13.進行性筋ジストロフィー
1 進行性筋ジストロフィー(PMD)とは
2 疫学
3 分類
4 症候・経過
5 検査
6 治療方針
7 治療薬
7.1 副腎皮質ステロイド製剤
7.2 心筋障害治療
14.重症筋無力症
1 重症筋無力症(MG)とは
2 疫学
3 分類
3.1 抗AChR抗体による分類
3.2 抗MuSK抗体による分類
4 検査・診断
5 治療方針
6 治療薬
15.ギラン・バレー症候群
1 ギラン・バレー症候群(GBS)とは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療
第2章 精神疾患
A.総論
1.修得すべき知識の概要
2.精神疾患の治療の概要
1 精神機能とその障害
2 精神疾患の分類
3 精神疾患の治療
3.1 身体療法
3.2 精神療法
3.精神疾患の治療薬の概要
1 向精神薬とは
2 主な向精神薬の適応症状・薬理作用・副作用
2.1 抗精神病薬
2.2 抗うつ薬
2.3 気分安定薬
2.4 抗不安薬
2.5 睡眠薬
2.6 精神刺激薬
B.疾患各論
1.統合失調症
1 統合失調症とは
2 疫学
3 分類
4 検査・診断
5 治療方針
5.1 薬物治療
5.2 電気けいれん療法(ECT)
6 治療薬
6.1 第1世代(定型)抗精神病薬
6.2 第2 世代(非定型)抗精神病薬
2.うつ病・躁うつ病(双極性障害)
1 うつ病・躁うつ病(双極性障害)とは
2 疫学
3 分類・診断
4 治療方針
4.1 うつ病(日本うつ病学会治療ガイドライン II.うつ病〈DSM‐5〉/大うつ病性障害2016)
4.2 躁うつ病(日本うつ病学会治療ガイドライン I.双極性障害2017)
5 治療薬
5.1 抗うつ薬
5.2 気分安定薬
3.不安症(パニック障害、全般性不安障害)
1 不安症とは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
6.1 ベンゾジアゼピン系抗不安薬
6.2 非ベンゾジアゼピン系抗不安薬
4.心身症
1 心身症とは
2 疫学
3 分類
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
5.不眠症
1 不眠症とは
2 疫学
3 分類
4 病態生理と薬理
5 検査
6 治療方針
7 治療薬
8 睡眠薬の問題と副作用
6.過眠症・ナルコレプシー
1 過眠症とは
2 疫学
3 分類と症状・病態生理
3.1 ナルコレプシー
3.2 特発性過眠症
3.3 クライネ・レヴィン症候群
3.4 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
3.5 その他
4 検査
5 治療方針
6 治療薬
7.薬物依存症
1 薬物依存症とは
2 疫学と動向
3 分類
4 検査・診断
5 治療方針
6 治療薬
8.アルコール依存症
1 アルコール依存症とは
2 疫学
3 診断
4 治療方針
5 治療薬
5.1 抗酒薬:シアナミド,ジスルフィラム
5.2 断酒補助薬:アカンプロサートカルシウム
5.3 飲酒量低減薬:ナルメフェン
9.パーソナリティ障害
1 パーソナリティ障害とは
2 疫学
3 分類
3.1 妄想性パーソナリティ障害
3.2 統合失調質パーソナリティ障害
3.3 統合失調型パーソナリティ障害
3.4 境界性パーソナリティ障害
3.5 自己愛性パーソナリティ障害
3.6 反(非)社会性パーソナリティ障害
3.7 演技性パーソナリティ障害
3.8 依存性パーソナリティ障害
3.9 強迫性パーソナリティ障害
3.10 回避性(情緒不安性)パーソナリティ障害
4 治療方針
5 治療薬
10.自閉スペクトラム症
1 自閉スペクトラム症とは
2 疫学
3 分類
4 治療方針
5 治療薬
11.せん妄
1 せん妄とは
2 疫学
3 分類
4 評価
5 治療方針
6 治療薬
第3章 麻酔・鎮痛
A.麻酔
1 麻酔とは
2 麻酔深度
3 全身麻酔薬の作用機序
4 全身麻酔薬の分類と特徴
5 麻酔補助薬とバランス麻酔
6 現代の麻酔と今後の展望
B.鎮痛
1 痛みとは
2 痛みと発現機序
2.1 末梢から脊髄までの痛みの伝達
2.2 脊髄における痛みの伝達
2.3 脊髄上行路と視床,大脳皮質における痛みの伝達
3 非オピオイド鎮痛薬
3.1 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
3.2 解熱鎮痛薬
3.3 神経障害性疼痛治療薬
4 オピオイド鎮痛薬
4.1 オピオイド受容体のタイプ
4.2 内因性オピオイド
4.3 オピオイドμ受容体作動薬の主な作用
4.4 オピオイド鎮痛薬各論
C.緩和
1 緩和ケアとは
2 がん疼痛の分類と発生機序
3 痛みの病態生理とがん疼痛
4 痛みの性質分類
5 がん疼痛の評価
6 WHO方式がん疼痛治療法
7 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),アセトアミノフェン
8 オピオイド鎮痛薬
9 レスキュー薬(レスキュー・ドース)
10 オピオイド・スイッチング
11 オピオイド鎮痛薬の副作用と対策
12 オピオイド鎮痛薬に反応しにくい痛み
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書籍情報
- ISBN:9784521744513
- ページ数:372頁
- 書籍発行日:2019年8月
- 電子版発売日:2020年4月1日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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