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- 循環器感染症 ー難治性症例へのアプローチー
商品情報
内容
循環器領域の治療では人工物留置が多く,感染症は難治性になる傾向が強い.さらに,患者の高齢化,重症化,難治化および併存症の増加に伴い,診療のアプローチに有用な情報は重要である.本書では,循環器領域の難治性感染症に関するこれまでのエビデンスを網羅するとともに,現段階での最適の予防および治療方法を症例とともに解説.
序文
感染対策の仕事をしている関係で,抗菌薬の適正使用に関する種々の学会セッション,研究会,講演会,勉強会等に参加させていただいているが,こうした場では"多領域に共通した抗菌薬適正使用"の話になることが多く,特殊病態下における抗菌薬療法に関する話は避けられる傾向にあることを感じていた.特に循環器領域では,感染症の頻度自体が少ないこともあり,抗菌薬治療や感染対策の話題に触れることができる機会が極めて少ない.感染性心内膜炎以外ガイドラインらしいものはない中で,経験と技術のみで目の前の感染症と日々格闘しているのが循環器感染症診療の現状であり,こうした厳しい環境の中,24時間体制で患者と向き合っている心臓血管外科医および循環器内科医のために本書は誕生した.
言うまでもなく,感染症診療で最も大切なことは,薬剤耐性菌を出さないことではなく,感染症を治癒させ,患者の命を守ることである.耐性菌抑制の観点では適切な抗菌薬の選択であっても,感染症が制御できず患者が亡くなってしまったのなら,それは不適正な抗菌薬使用と言わざるを得ない.重篤な心血管疾患患者における感染症治療では,ちょっとした抗菌薬の選択ミスが死に直結することもある.こうした循環器感染症の特徴は,主治医だけでなく,感染制御チーム(Infection Control Team:ICT),抗菌薬適正使用支援チーム (Antimicrobial Stewardship Team: AST) も肝に銘じておくべきである.
本書では,循環器感染症診療の第一線で活躍されている一流の先生方に執筆をお願いした.執筆にあたっては,もともとエビデンスが少ない領域なので,文献を集めた総説的な内容ではなく,日々の格闘記録を,臨場感をもってお伝えできるような構成とした.日々循環器感染症診療に従事されている心臓血管外科および循環器内科の先生方のみならず,看護師,薬剤師,検査技師,ICT・AST のメンバーの方々にも是非ご一読願いたい.本書が少しでも皆様の日常診療の一助となれば,編者として大いなる喜びである.
最後に,遅々として進まぬ編者の作業を,最後まで忍耐強く,かつ暖かい眼差しで見守ってくださった南山堂編集部のスタッフの皆様に心から感謝申し上げたい.
2019年3月
国立循環器病研究センター感染対策室 室長 佐田 誠
目次
第1章 ゼロから学ぶ「循環器感染症」総論
1 "循環器感染症"の特徴と循環器領域における抗菌薬に対する基本的な考え方
・循環器感染症の特徴
・循環器感染症に対する抗菌薬治療における考え方
1.抗菌薬の選択と投与量・投与方法
2.カテーテル関連血流感染(CRBSI)
2 循環器感染症の画像診断
・感染性心内膜炎
・術後縦郭洞炎
・感染性大動脈瘤
・人工血管感染
・心移植関連感染症
3 循環器領域で留意する抗菌薬の薬物動態
・抗菌薬の薬物動態
1. Pharmacokinetics 薬物動態学
2. Pharmacodynamics 薬力学
・抗菌薬のTDM
・抗菌薬の薬物動態における疾患の影響
1.腎機能障害
2.透析(HD,CHDF)
3.心不全
4.炎症
4 循環器領域における周術期感染予防
・循環器領域における周術期感染予防の重要性
・術前感染予防
・術後感染予防
第2章 エキスパートの診療アプローチ
1 感染性心内膜炎(内科的治療・外科的治療)
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
2 術後縦隔洞炎
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
3 感染性大動脈瘤
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
4 人工血管(グラフト)感染
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
5 左心補助人工(LVAD)と感染症
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
6 心蔵移植後感染症
・診療シミュレーション
・症例から学ぶ
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書籍情報
- ISBN:9784525233914
- ページ数:97頁
- 書籍発行日:2019年3月
- 電子版発売日:2019年6月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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