処方の選択肢プラスワン! 高齢者のための漢方薬

  • ページ数 : 137頁
  • 書籍発行日 : 2015年6月
  • 電子版発売日 : 2019年6月12日
2,200
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商品情報

内容

高齢者に西洋薬が効き過ぎる・・・と感じたことはありませんか.その悩みを漢方薬で解決します!

本書では,高齢者を診る際に重要となる漢方医学的な病態の捉え方が解説されているため患者さんに合った漢方薬が選べます.よく遭遇する疾患は,チャートを掲載して漢方薬が選べるように工夫しました!

序文

今から16年ほど前の平成11年(1999年)7月,私は,とある小さな出版社から『明日から使える高齢者のための漢方』という高齢者の漢方治療に関する書籍を上梓した.当時(平成11年10月1日)のわが国における65歳以上の高齢者人口は2,199万人,高齢化率は16.7%,また高齢社会の代名詞ともいえる認知症に対する治療薬として,ネペジル塩酸塩(アリセプトR)が上市されたのもこの頃(同11月)であった.それからわずか15年,平成26年(2014年)11月1日現在の高齢者人口は3,309万人,高齢化率は26.0%へと跳ね上がり,"高齢社会"は進む一方である.

ところで,高齢になればなるほど,多くの疾患(特に慢性疾患)に罹患しやすいことから,高齢者には複数の治療薬(通常は現代西洋薬)が処方される傾向にある.しかし,本文でも指摘したように,高齢者では現代西洋薬が"効きすぎる"ことが少なくない.そのような場合には,むしろ漢方薬のほうが,有用性の点で勝ることも多い.すなわち,高齢社会においてこそ,漢方薬は見直されるべきであろう.しかし,高齢者の漢方治療に関して系統的に網羅している書籍は,意外と少ない.

今回,幸運にも,南山堂のご厚意により,高齢者の漢方治療に関する書籍を出版する運びとなった.本書は,16年前の自著の内容を基にはしているものの,最近の高齢者医療や漢方治療のエビデンスを加えた形で,内容を一新している.高齢者医療に従事する方々が,日常のさまざまな臨床場面で本書を活用していただければ幸甚である.

2015年5月

山田 和男

目次

第1章 漢方治療を行うにあたって

1 高齢者漢方医学のススメ

① 薬(向精神薬)浸けになっていたAさんの話

② 思わぬ副作用に驚いたBさんの家族の話

③"病名漢方"で処方する医師たち

④ 本書を執筆しようと思った理由

⑤"高齢者漢方医学"のすすめ

2 漢方治療のメリット

① なぜ高齢者には漢方薬による治療がよいのか

②「心身一如」と「未病を治す」

③ 漢方薬に対する誤解

3 漢方医学の基礎 ―高齢者の特性を中心に―

①「証」「陰陽虚実」などの基本的概念

②「気・血・水」とは

③「腎虚」とは

④「胸脇苦満」とは

⑤ 漢方医学における診察法

⑥ 高齢者の特徴と頻用処方

4 漢方薬を使用する際の注意点

① 一般的な注意

② 副作用と禁忌

第2章 領域・疾患別の漢方治療

1 内科系

● 感冒・気管支炎

① 一般的な治療と漢方治療との違い

② 感冒に対する漢方薬の用い方

③ 気管支炎に対する漢方薬の用い方

④ 高齢者の呼吸器疾患に漢方薬を用いる際の注意

● 冷え性(冷え症)

① 冷え(冷え症)の治療

② 冷えと疼痛

③ 食事

④ 冷え症に対する漢方薬の用い方

●その他の疾患・症状

① 全身倦怠感(易疲労感)

② 高血圧

③ 動悸(頻脈)

④ 肥満

⑤ 糖尿病

⑥ 貧血傾向

⑦ 浮腫

⑧ 盗汗(ねあせ)

⑨ のぼせ症

⑩ 凍傷(しもやけ)

⑪ 気管支喘息

2 精神神経系

●うつ病(うつ状態)

① 高齢者のうつ病(うつ状態)と漢方薬

② うつ状態に対する漢方薬の用い方

③ 高齢者のうつ状態の治療に用いる機会が多い漢方薬

④ 抗うつ薬と漢方薬の併用

●不眠症(睡眠障害)

① 不眠症とその治療

② 不眠症に対する一般的な治療と漢方治療との違い

③ 高齢者の不眠症の治療に用いる機会が多い漢方薬

④ 漢方薬と向精神薬の併用による不眠症の治療

●認知症(BPSD)

●その他の疾患・症状

① うつ・不眠・認知症以外の精神症状に対する薬物療法と漢方薬

② 脳血管障害後遺症

③ 不安

④ 興奮

⑤ 不定愁訴

⑥ 三叉神経痛

⑦ 頭痛

⑧ しびれ

⑨ 眩暈(めまい,たちくらみ)

⑩ パーキンソン病

3 整形外科系

●腰痛

●坐骨神経痛

●変形性膝関節炎(膝痛)

●肩関節周囲炎(五十肩)

●その他の疾患・症状

① 関節リウマチ

② 筋肉痛・こむら返り

③ 打撲・捻挫

④ 肩こり(首こり)

⑤ 骨粗鬆症

4 消化器系

●便秘

① 便秘に対する一般的な治療と漢方治療との違い

② 便秘に対する漢方薬の用い方

③ 便秘治療の注意点

④ 食事

●その他の疾患・症状

① 胃炎・胃腸虚弱(胃下垂)

② 食欲不振

③ 嘔気・嘔吐

④ 下痢(腸炎)

⑤ 肝炎・肝機能障害

⑥ 口渇

⑦ 口内炎

⑧ 逆流性食道炎

⑨ 腹痛

⑩ 痔核

5 泌尿器系

① 泌尿器疾患に対する一般的な治療法と漢方薬

② 前立腺肥大症

③ 尿路結石

④ 腎炎

⑤ 膀胱炎(尿道炎)

⑥ 排尿異常

⑦ 夜間尿

⑧ 無症候性血尿

⑨ 陰萎

6 眼科・耳鼻科・皮膚科系

●眼科系

① 白内障

② 緑内障

●耳鼻科系

① 耳鳴り

② アレルギー性鼻炎(花粉症)

●皮膚科系

① 湿疹・瘙痒感

② 褥瘡

7 緩和ケア

① 緩和ケアにおける漢方薬の役割

② 緩和ケアにおける漢方薬の用い方

③ 緩和ケアで用いる機会の多い「補剤」とは

④ 化学療法や放射線療法の副作用に対して用いる漢方薬

⑤ 疼痛のコントロール

⑥ 緩和ケアにおける精神医学的アプローチと漢方薬


参考文献

付録・方剤一覧

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784525470210
  • ページ数:137頁
  • 書籍発行日:2015年6月
  • 電子版発売日:2019年6月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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