Dr宮城の教育回診実況中継

  • ページ数 : 230頁
  • 書籍発行日 : 2006年9月
  • 電子版発売日 : 2013年12月20日
4,180
(税込)
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商品情報

内容

ホンモノの診察技法と疾患を劇的に絞り込む思考プロセス

臨場感たっぷりの会話形式で、一流指導医の教育回診が体験できる!
問診と身体所見から、まるで推理小説を解くかのように疾患を絞り込んでいくプロセスは一見の価値あり。鑑別などの重要ポイントも一目でわかります。

序文

はじめに

宮城征四郎先生に初めて教わったのは,もう8~9年も前のこと,私が沖縄県立中部病院初期研修医だった頃にさかのぼります.そして研修後は1年間の離島勤務という貴重な経験をさせていただきました.その後,私はクリスチャンでもあり,全人医療を模索するなか,聖書・カウンセリング・倫理学などを学ぶため,ニュージーランドの神学校(Lifeway College)に留学しました.その結果,臨床医としてはなんと3年間ものブランクができてしまったのです.帰国後,臨床医に復帰するならば,まずは"リハビリ"が必要でした.そんな折,当時,中部徳洲会病院院長をしておられた安富祖久明先生に事情を話すと,こんな私を快く受け入れてくださったのです.群星沖縄に参加する中部徳洲会病院に入職してから,院内で宮城先生による教育回診が定期的に行われているのを知り,他の研修医の先生方と参加しました.私は研修医をもう一度しているということがどうしても恥ずかしく,宮城先生とは視線を合わせないようにしていました.ところがそんな私の気持ちを吹き飛ばすかのように,この回診はまさに「衝撃的」でした.私の頭の中は久し振りに大きく揺さぶられ,まるでタイムマシンに乗って,県立中部病院時代まで一気にワープしてしまったかのようでした! なぜならそこには以前,体で覚え込まされた基本があったからです.

そして回診が終了したちょうどそのとき,宮城先生が突然,私の方を向きました."あ,まずい..." と思ったのも束の間,宮城先生は開口一番「君は県立中部病院にいただろう?英語ができたなあ.伊江島にも行っただろう? ところでその後どこにいたんだ?」と言われました.それで私は「ニュージーランドの神学校に留学してカウンセリングや倫理学,聖書を学んで卒業してきました.これからはそれらをぜひ活かしたいと思っていますが,まずは総合内科医として頑張ります.」と言うと,宮城先生は「ふんふん.そうかそうか.それでいいよ.頑張りなさい.」と励ましてくださいました.これで一気に肩の力がとれ,それ以来研修医の先生と毎回欠かさず教育回診に参加するようになりました.

宮城先生のおっしゃることはいつもはっきりしていて,的をついていて,そこが宮城先生らしいところだと思いますが,毎回頭を殴られるような強い衝撃を受け,まるで自分のルーツを何度も確認しているかのようでした.それは「まずは問診と身体所見,そして診断のために必要最小限の検査の助けをかりる」ということの徹底でした.臨床医としてようやく3年目になったとき,離島に勤務しましたが,プライマリケア出身の私が特別な手技ができるわけではありません.しかしそんな私でも何とかやれたのは,こうした初期研修のおかげだと確信しています.

教育回診に参加するなか,私は毎回,症例をワープロで打ち直し,要点をまとめたものを研修医の先生方に配布し,それが習慣になっていきました.そしてある日,私は次のように決意しました.「今の医療ではやや軽視される傾向にあるが,もう一度,問診と身体所見を学びなおして,この病院でどこまでやれるか,とことん挑戦してみよう!」実はこれがまだ何も知らず,臨床経験年数としてはやっと4年目になろうとする医師のなんと"今年の目標" となりました.

研修が10 カ月ほど経ったある夜,いつものように回診内容をまとめていたら,ある考えが頭をよぎりました."この資料を群星沖縄だけで持っていたらもったいないんじゃないのか? 日本の多くの研修医の先生達に公開していかないともったいない.症例を紹介していくなかで,読者も一緒にこの回診に参加しているような気持ちにさせて,楽しみながら読めて,終わりまで読んだら,群星沖縄の研修医の先生と一緒に成長できるような本が書きたい!」こんな情熱が湧き上がってきたのです.

私は医学的知識でなく,英語力だけで県立中部病院の研修医枠に潜り込めたような者だったので,当時の優秀な研修医のなかでは,とてもできの悪い研修医だったと思います.実際,烈火のごとく本気で怒らせてしまった何人かの先輩レジデントの顔を忘れることができません.しかしそんな自分でもなんとか平均点までは成長することができました.そしてこの体で覚え込まされた研修内容は3年間のブランクを経た後も,ずっと体に染み付いていたのです.今ではこんな貴重な研修を経験できたことをとても感謝しています.そして私が県立中部病院で受けたような研修が群星沖縄の教育回診でも行われてきました.本書では回診でプレゼンテーションされた中部徳洲会病院の症例からシンプルな14 症例を選んでその様子を皆さんに公開したいと思います.そして最後に15例目として,米国ピッツバーグ大学病院総合内科チーフレジデントのマイケル・マクナマラ先生を群星沖縄が招待したとき,(当時私が勤務していた)中頭病院の回診で提示したケースを紹介します.このとき私は自分がこれまで行ってきた研修が正しかったことを再確認しました.

私はいわゆる問診と身体所見の詳細なテキストを書くつもりはありません.しかし全国の研修医の先生方に,私が臨床研修において間違いがないと確信している「まずは問診と身体所見,そして診断のために必要最小限の検査の助けをかりる」ということが一体どんなことなのかがわかり,まるで推理小説を解くかのように,自身のとった所見から問題を拾い上げて解決していく醍醐味と楽しさをぜひ知っていただきたいと願っています.そしてこれが皆さんの日常診療でもごく当たり前のように実践されていくための"はじめの一歩" になれればと願います.また世の本にはあまり書かれていなく,またその機序もよく知らないけれど,臨床をやっているなかで経験的に知っていることも(賛否両論あるのはわかっていますが)臆せず書くことにしました.

最後に本書を出版するに当たって,本当に忙しいなか,私にさまざまなアドバイスをしてくださった徳田安春先生と宮城征四郎先生に心から感謝いたします.

それでは,準備はいいですか? コーヒーでも用意して,肩の力を抜いて回診に参加してください.Here we go !


2006年8月

オリブ山病院ホスピス科
重森 保人

目次

Case1  その浮腫,緊急事態かも〜労作時呼吸苦と全身浮腫(54歳 女性)

Case2  痛みに"きく"10カ条 左側胸部〜背部痛(30歳 男性)

Case3  起炎菌の手がかりを見逃すな!〜発熱,全身倦怠感および咳(58歳 男性)

Case4  喘息患者さんの対応には自信をもとう〜喘息発作が収まらない(49歳 女性)

Case5  判断材料は一通り洗い出す〜乾性咳と微熱(32歳 女性)

Case6  その熱はどこからくるのか〜高熱および悪寒(73歳 男性)

Case7  終末期医療に面して〜安静時呼吸苦(76歳 女性)

Case8  1つの症例から多くを学べ〜2階から転落(50歳 男性)

Case9  大酒も10年続けば肝硬変を念頭におこう〜肝硬変と腹水貯留の疑い(38歳 女性)

Case10 疾患を絞り込むプロセスの醍醐味を知る〜乾性咳と弛張熱(49歳 女性)

Case11 疑わしきは虫歯... 〜高熱,悪寒と右前胸部痛(36歳 女性)

Case12 この発表の良さがわかる医師になろう〜安静時呼吸苦とチアノーゼ(83歳 女性)

Case13 問診が全人的医療のカギとなる〜頻脈と呼吸苦(86歳 女性)

Case14 historyからstoryを立てて身体所見〜心窩部痛(93歳 女性)

Case15 問診と身体所見にヒントがある!〜高血圧患者が3日前から起座呼吸(86歳 男性)

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書籍情報

  • ISBN:9784758106153
  • ページ数:230頁
  • 書籍発行日:2006年9月
  • 電子版発売日:2013年12月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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