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- "トコトンわかる"てんかん発作の聞き出し方と薬の使い方
商品情報
内容
てんかんを専門にはしていないけれど、時々はてんかんの患者さんも診る機会があり、てんかんという疾患に対して少し苦手意識を持っているという精神科医を主な対象とし、ありそうな質問や症例を挟んで解説していきます。
序文
はじめに
この本は私が2012年から2016年までに行った,主に若手の精神科医を対象にしたてんかんの勉強会を基に書いています。これに一般医または精神科医を対象にした講演会の内容を加え,さらにもっと話をしたいことや,数々の症例,失敗談などを合わせて読みやすくしたものです。対象とする患者さんは思春期から60歳までで,脳の器質的疾患も知的障害も伴わない方です。最後に施設に通所または入所している知的障害を持つてんかん患者さんについても書き加えています。これは精神科医が時として知的障害者施設の嘱託医を引き受けることがあるからです。
てんかん勉強会は当初脳波の勉強会として依頼を受けました。今の精神科医はほとんど脳波が読めなくなっているので,脳波の読み方を教えてほしいと言うことでした。私は脳波の専門家ではなく,あくまでてんかんの診療の一部として脳波を見ていますので,てんかん患者さんまたはてんかんの疑いで受診した人以外の脳波は見ることがありませんが,てんかんの脳波についてなら少しは教えられますと言うことで勉強会を始めました。
ただ実際のてんかん診療において脳波の重要性は問診よりもはるかに劣ります。そして問診の中では発作症状を聞き出すことが非常に重要です。この発作症状を聞き出すという行為には,いくつか重要なポイントがあります。ポイントを外すと中身のない問診になってしまいます。しかしながら多くの精神科医は脳波さえ読めるようになればてんかん診療ができるようになると錯覚しています。この誤解を解くために脳波だけでなく,発作症状などを詳しく解説することにしました。だいたい月1回で,1回1時間の講義,参加者は毎回5〜10人程度のお気楽な会でした。この勉強会を基にしてもう少し話をしたいことを書き加えました。特に発作症状については,目撃者や本人の陳述も併せて詳細に書いています。それからできるだけ教科書には載っていないことを書くことにしました。すなわち各項目にあった症例,日常の臨床に役立つちょっとしたヒント,常識的なのに意外に本には書いていないことなどを載せるようにしています。日常臨床的なことは論文にはあまりなりませんのでエビデンスには乏しいのですが,エビデンスのあることのみでは臨床はできません。ただ臨床医には一人ひとりのくせもあって,私が日常臨床でやっていることが果たして正しいかと言われると難しいところもあります。この本ではそのあたりの批判を承知の上で私の臨床経験に基づいて多少独善的な意見を書いています。あまり鵜呑みにはしないでください。治療法についてはできるだけ複数のやりかたを書いたつもりです。選択は皆さん自身の判断にお任せします。
発作症状については本を読むだけではイメージが湧きにくいと思います。これについては拙書「てんかん発作
こうすればだいじょうぶ」(クリエイツかもがわ,2008 改訂版2014)をご参照下さい。これはもともと一般の人向けにてんかん協会との協力で書いた本ですが,発作症状と介助方法を実演したDVDがついています。専門医以外の医師には分かりやすいと好評です。本書と併せてご覧下さい。
2017年9月
川崎 淳
目次
はじめに
序章 精神科医はてんかん診療に向いている
1章 てんかん発作症状
1.てんかんとは
2.てんかん発作症状 目撃者や本人の報告の特徴
3.複雑部分発作 絶対見逃してはいけないが結構見逃されている発作
4.側頭葉てんかんの複雑部分発作2 本人の感じ方
5.単純部分発作
6.二次性全般化発作と強直間代発作(てんかん大発作)
7.強直間代発作と二次性全般化発作の鑑別
8.前頭葉期限の複雑部分発作は症状が変わっている
9.欠神発作(非定型欠神発作も含む)
10.ミオクロニー発作:あまり知られていないが、欠神発作よりも重要な発作
11.強直発作と脱力発作
2章 てんかん症候群
1.てんかん症候群分類の考え方
2.症候性部分てんかんとは
3.特発性全般てんかんとは
4.「潜因性/症候性全般てんかん」または「てんかん性脳症」
5.特発性部分てんかん
3章 てんかんの鑑別診断と分類診断
1.てんかんの鑑別診断 診断の手順と聴取のポイント
2.失神発作
3.心因性非てんかん発作
4.心因性非てんかん発作 その2
5.パニック発作とREM睡眠行動異常症
6.症状からはてんかんと鑑別不能まてゃてんかんの原因となる重要な疾患
7.てんかんの分類診断
8.てんかんの分類診断2
9.てんかんの診断に必要な検査
4章 薬物治療
1.治療の開始
2.薬物選択
3.てんかん症候群分類
4.薬の投与方法の原則
5.実際の臨床場面での薬の投与方法1 現在の発作状況を3つに分類
6.実際の臨床場面での薬の投与方法2 3つのステップを繰り返す
7.薬物血中濃度
8.抗てんかん薬の副作用
9.各薬剤について知っておくべき特性
10.治療の終了
5章 薬物治療 各薬剤の特徴
1.カルバマゼピン(CBZ)
2.バルプロ酸ナトリウム(VPA)
3.フェニトイン(PHT)
4.フェノバルビタール(PB)
5.ゾニサミド(ZNS)
6.クロバザム(CLB)
7.その他のベンゾジアゼピン系の薬の投与方法の原則
8.ラモトリギン(LTG)
9.レベチラセタム(LEV)
10.その他の新薬
11.2016年に発売された新薬
12.旧来薬の使い方
6章 てんかん性精神症状
1.てんかん性精神症状
2.発作周辺期精神症状
3.てんかん性精神病
4.発作後精神病
5.交代性精神病
6.発作間欠期精神病
7.てんかんの性格特徴
8.側頭葉てんかんの性格特徴
7章 日常・社会生活上の注意点
1.日常生活の注意
2.自動車運転
8章 施設の嘱託医を引き受けたとき
1.知的障害者に見られるてんかんの特徴
2.施設入所者の難治てんかんを診る際の問題点
3.知的障害を伴う難治てんかんを診る
4.知的障害を伴うてんかん患者さんの行動障害を診る
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書籍情報
- ISBN:9784765317252
- ページ数:208頁
- 書籍発行日:2017年9月
- 電子版発売日:2018年3月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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