臨床に役立つ 気胸の診断と治療

  • ページ数 : 184頁
  • 書籍発行日 : 2015年12月
  • 電子版発売日 : 2018年11月16日
6,380
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商品情報

内容

基本から専門知識まで。あるようでなかった、実践的な気胸のテキスト!

たかが気胸,されど気胸。気胸のさまざまな病態や疾患を取り上げ,すぐに臨床に役立つよう,診療の基本から専門的知識までを網羅。呼吸器外科医・呼吸器内科医必読の書。

序文

編集にあたって

気胸は胸部X線写真を撮影しさえすれば診断は容易く,治療に関しても難しいことは何もないと思われている。このため,気胸の患者が入院してくると研修医や若い呼吸器科医が受け持ちになることが多く,入院後すぐに駆けつけて診療するのではなく,ほかの診療を終えてから処置をしても特に問題はないことも多い。

一方,緊急を要する気胸(人工呼吸器管理中の気胸,緊張性気胸,両側性同時気胸あるいは肺葉切除後の気胸など)の場合は早期に胸腔穿刺や胸腔ドレナージを行わないとあっという間に致命的となることがあり,呼吸器専門医でさえ治療に難渋することが多い。このため,気胸の診療は呼吸器科の医師にとって最も初歩的な疾患であり,症例によっては最も対応の難しい疾患でもある。

気胸の大家である武野良仁,大畑正昭両先生にはそれぞれ「自然気胸」という名著があるが,最近の気胸学の進歩と発展から考えると一時代前の教科書である感は否めない。特に20年前まではあまり疾患数が多くなかった続発性気胸は現在では20疾患近くになり,今後も増え続ける勢いである。また本書で初めて取り上げたリウマチや胸膜中皮腫に伴う気胸などは呼吸器専門医にさえ認知されていないことも多く,さまざまな疾患に発生する気胸についてはその発生機序や治療法も異なっているため,気胸学は今後も大きくそのすそ野を拡げていくと考えられる。

本書では気胸のさまざまな病態や疾患を取り上げているが,ほかの教科書と違って研修医や若き呼吸器科医がすぐに対応すべき気胸や病態をまず「緊急を要する気胸や病態」として分けて取り上げて臨床に役立つことを目指して編集した。研修医や開業している先生方は是非臨床の実際として頭に入れておいてほしい。呼吸器外科医に対しては気胸の原因であるブラに対する胸腔鏡下手術の実際も詳しく記載したので自分の施設の手術と比較して参照してほしい。また切除したブラの組織学的所見についてはブラの破裂の機序や破裂部位について日本だけでなく世界で最も先端的に研究している国立病院機構東京病院の蛇澤晶博士に執筆をお願いした。

本書は現在でもその発生機序が不明な月経随伴性気胸,再膨張性肺水腫の病態やさまざまな続発性気胸を取り上げて,新しい視点も加えて執筆していただき,気胸に対する診療の基本から最新の専門的知識までをわかりやすく纏めた。この結果最も先鋭的で,気胸学の将来を見据えた新しいタイプの教科書になったと自負している。

研修医はもちろん呼吸器専門医であってもいつも手許において参照すべき内容となるように特に工夫した(文献もただ引用順に並べるだけでなく,すべての文献を読んだ執筆者に文献の中でも特に読むべき重要論文をいくつか挙げてもらった)。この教科書が気胸患者の診療に役立ち,この書を読んだ研修医や若き呼吸器科医が自信をもって気胸の診療ができることを願ってやまない。


平成27年初秋

菊池 功次
澤藤 誠
田島 敦志

目次

Ⅰ 気胸の診断と治療―歴史と今後の課題―

Ⅱ 診断

Ⅲ 気胸に対する治療

1.治療総論

2.内科的治療

3.外科的治療

4.手術が難しい気胸に対する治療

Ⅳ 一次性自然気胸の病理形態

Ⅴ 緊急を要する気胸あるいは病態

1.再膨張性肺水腫

2.両側性同時気胸

3.緊張性気胸

4.自然血気胸

5.外傷性気胸

6.肺切除の既往を有する気胸

7.手術中・術直後の気胸

8.レスピレーター管理中の気胸

9.気管気管支狭窄に伴う気胸

Ⅵ 特殊な気胸

1.月経随伴性気胸

2.高齢者気胸

3.術後再発

4.難治性気胸

5.妊娠と気胸

6.スポーツと気胸

Ⅶ 続発性気胸

1.肺癌

2.転移性肺腫瘍

3.リンパ脈管筋腫症

4.マルファン症候群

5.バート・ホッグ・デュベ症候群

6.ランゲルハンス細胞組織球症(histiocytosis X)

7.エーラス・ダンロス症候群

8.肺気腫

9.肺吸虫症

10.AIDS

11.肺結核

12.非結核性抗酸菌症

13.肺線維症

14.リウマチ

15.アスペルギルス

16.胸膜中皮腫

Ⅷ 気胸の鑑別疾患として

1.巨大肺嚢胞

2.縦隔気腫

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書籍情報

  • ISBN:9784771904514
  • ページ数:184頁
  • 書籍発行日:2015年12月
  • 電子版発売日:2018年11月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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