10分でできる 認知行動療法入門

  • ページ数 : 332頁
  • 書籍発行日 : 2016年6月
  • 電子版発売日 : 2017年11月17日
5,500
(税込)
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商品情報

内容

患者の不安を除いてあげられる医療人になろう!多忙な外来診療でも、10分あればCBTは実践できる。

認知行動療法(CBT)は、患者が抱えている様々な身体や感情の問題を理解し、乗り越えることを支援するための方法です。抑うつ、不安、不眠などの症状がある患者だけでなく、日常診療のあらゆる場面で応用できる認知行動療法のコツを紹介しています。

序文

原著者序文

本書の目的は、実用的な手引きとなることであり、認知行動療法(CBT)の原理や、そのプライマリケアへの応用に関して、包括的な概要を記している。本書は、多忙なGeneral Practitioner(GP)が求める内容を念頭に著した。すなわち、CBTの基本原則と、短時間の面接でこれらを適用するための技術について、概説している。本書はまた、CBTのアプローチが有益となるであろう、プライマリケアで遭遇する多くの問題(感情障害、慢性の身体疾患に伴う心理的問題など)の要旨も示している。

本書の対象読者は、GPの他、患者の精神的安寧を促す役割を担う他の医療従事者(看護師、保健師、作業療法士、理学療法士、言語療法士、カウンセラーなど)を想定しているが、簡便のため、本書では「GP」という語を用いている。

私自身、GPとして、プライマリケアに従事するうえでの課題や圧力が途方もないものである点を、十分に理解している。大学卒業後にCBTの研修を受けている際、このトレーニングがGPとしての自らの実践にどれほど有意義なものであるか、感銘を受けた。また、効果的なCBTに求められる技能の多くを自分が既に身につけていることも発見したし、これは我々が一緒に働くほとんどの医療従事者にも当てはまるだろう。今や、CBTの手法が、面接の中で当たり前のように用いるコミュニケーション技能の日常的なレパートリーの一部となっていることを自覚している。

10分間CBTは、プライマリケア従事者にCBTを教育するための革新的なアプローチを提案しており、プライマリケアの「現実(real-life)」の状況において活用できるようにデザインされた。我々が開催しているワークショップや研修事業からのフィードバックによると、通常のGP受診の範囲では、CBTで用いられる端的な視点や概念が有用かつ効果的であり、患者と医療従事者の双方にとって有意な有益性のあることが示されている。


2013年5月

Lee David

目次

セクションA:導入

01章 CBT概論

A. CBTとは?

B. なぜプライマリケアでCBTが重要か?

C. CBTへのアクセス

D.「10分間CBT」とは?

E. CBTの基本原則

02章 日常診療でCBTを適用するために

A. 短時間の外来にCBTを組み込むための実用的側面

B. 患者の選別

C. 時間的制約の管理

D.「パンドラの箱」を開ける

E. 現実的な態度を保つ

F. 一般外来でのCBTスキルの学習と適用

03章 認知行動モデル

A. 認知行動モデルの概論

B. 思考と認知を理解する

C. 感情と情動

D. 思考と感情の関連性

E. 行動の役割

F. 身体的な反応および症状

G. 環境、社会的状況、文化

H.「症例定式化」を展開する

04章 患者へのCBTアプローチの紹介

A. 手始めに

B. 認知行動モデル表の使用

C. 認知行動モデルを介した対話

D. 聴取したことをまとめる

05章 CBTに必要なコミュニケーション技能

A. CBTにおける効果的なコミュニケーション

B. CBTコミュニケーション技能

C. 問題焦点型アプローチ

D. 鍵となる問題に関する具体例の同定

E. 認知行動モデルを用いた具体例の探究

F. 情報の要約と、関係性の強調

G. 思考切替型の質問

H. 力づける説明

I. 宿題の設定と振り返り

J. 患者からのフィードバックと、患者の理解の確認

セクションB:様々なスキル

06章 否定的思考への対応

A. 思考/認知の変容はどの程度役立つか?

B. 役立たない思考様式

C. 否定的に考えないようにすることの問題点

D. 注意転換

E. 困難な状況に対する視野を広げる

F. 否定的思考の評価

07章 行動変容:役に立っていない行動を変える

A. 行動変容の重要性

B. 行動変容に患者を関与させるには

C. 改善に向けた現実的な予想を設定

D. 行動活性化

E.「行動実験」の活用

F. 関連性のある行動実験の同定

G. 効果的な行動実験の計画と実行

08章 ゴールの設定と、変化への抵抗の克服

A. ゴールの設定

B. ペース調整

C. 動機づけ面接

09章 実際の問題の克服:問題解決アプローチ

A.「問題解決」とは何か?

B. いつ問題解決アプローチを活用するか?

C. 患者への問題解決法の紹介

D. 問題解決の8ステップ

E. 問題解決サイクル

10章 より深層の信念:中核信念と人生ルール

A. 思考の種別

B. ルールや中核信念はどこから来るのか?

C. 役立たないルールと中核信念

D. ルールや中核信念の「自己実現」

E. なぜGPが中核信念やルールについて知る必要があるのか?

F. 中核信念やルールの同定

G. 役立たないルールを変える

H. 中核信念を変える

11章 マインドフルネスと受容

A. マインドフルネスとは?

B. マインドフルネスへのアプローチ

C. Acceptance & Commitment Therapy(ACT)

D. マインドフルネスの涵養

E. 価値観に基づいた生活を送るための、同意・選択と行動

F. その他のマインドフルネス練習法

セクションC:臨床への応用

12章 うつ病

A. うつ病の概要

B. うつ病に対するCBT

C. うつ病を理解する

D. うつ病における悪循環

E. うつ病患者への10分間CBTの活用

F. うつ病における行動変容

G. うつ病の否定的思考への対処

13章 不眠

A. 不眠とは?

B. 不眠の原因

C. 不眠への対応

D. 睡眠日記の活用

E. 不安な思考への対応

F. 問題解決

G. 瞑想とリラクセーション

14章 不安症

A. パニック症

B. 全般不安症

C. 社交不安症

D. 強迫症

15章 不定愁訴ならびに健康不安

A. 概論

B. 健康不安を理解するためのCBTアプローチ

C. 不定愁訴や健康不安への対応

D. 不定愁訴に取り組むためのCBT方略

16章 慢性的な身体疾患

A. 慢性疾患の心理的影響

B. 身体疾患や機能障害を抱える人への10分間CBTの活用

C. 身体と感情の複雑な問題を扱う

D. 不確実性への対処

E. 外見の変化

F. 不快な身体症状への対処

17章 機能性身体症状症

A. 慢性痛

B. 慢性疲労症候群

C. 過敏性腸症候群

18章 低い自己評価

A. 自己評価が低いとは?

B. 自己評価の低さに関する認知行動モデル

C. 低い自己評価の形成

D. 自己評価の低さを克服する

E. 否定的思考と自己批判に反論する

F. 自己評価が低い場合の、役立たない行動を変える

G. 自己主張の方法を身につける

19章 「滅入る」ことへの対応

A.「滅入る」とは?

B. どんな人が「滅入る」のか?

C. 滅入る反応に対して責任を持つ

D. 滅入る場合の、認知行動モデルによるアプローチ

E. 滅入る反応に変化を起こす

F. 滅入る場合の行動変容

G. 認知行動モデルを教育・訓練・指導に活用する


引用文献と推奨文献

医療従事者向けトレーニング

付録:印刷用ワークシート

訳者あとがき

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書籍情報

  • ISBN:9784822200770
  • ページ数:332頁
  • 書籍発行日:2016年6月
  • 電子版発売日:2017年11月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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