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- 改訂2版 産科スタッフのための新生児学
商品情報
内容
新生児に適切なケアを提供するために産科スタッフに必須の知識を網羅。正常・ハイリスク新生児の管理、見落としてはいけない異常所見とその対応、ハイリスク妊婦の管理、母親への指導などをわかりやすく解説する。
序文
改訂2版「序にかえて」
本書の初版は,産科医療に携わる方々を対象として,その医療の実践において是非知っておくべき新生児学を解説する書として2002年に上梓された.その目的は,初版の「序にかえて」に述べられている如く,これまでの別々に行われていた新生児と産科の医療から,周産期医療の概念の下に,両者がお互いにその医療内容を理解して協力する医療の重要性が認識されてきたからである."Neonatology Yesterday, Perinatology Today(新生児医療は昨日,周産期医療が今日)"と言われるが,同様に"ObstetricsYesterday, Peirnatology Today(産科医療は昨日,周産期医療が今日)"とも言われる時代になったのである.新生児を診る者は,母体・胎児の情報なくして適切な医療ができない.これは,患者さんのこれまでの経過(アナムネ)をまったく知らないでは適切な医療ができないことから,十分に理解できるであろう.同様に,母体・胎児を管理する産科医療に携わる者が,母体・胎児に起こっていることが生まれ来る子どもにどのような影響を及ぼすかを知らなければ適切な対応ができないことも明白であろう.このように,新生児医療の基本的な知識を身に付けることは,単に医療事故や医療訴訟を防ぐというレベルを超え,産科医療に携わる者の義務であり責任であるといって過言ではない.
本書は実践に即した内容を中心としながらも,「なぜその母体・胎児の情報が新生児にそのような医療上の問題を起こすのか」を,できるだけ学問的背景を添えて説明する努力をした.それは,過去の産科医療が「産婆学」と呼ばれていた理由は,経験的な伝承に類した内容がほとんどであったからである.もちろん,先人の経験に基づいた知識の中には,お産のコツなどのキラリと光るものなども少なくないのは事実である.しかし,過去のお産は,胎児は触ることも見ることもできない子宮というブラックボックスの中にいて,生まれてくるまで何が起こるか,まさに神の手に委ねられていた.しかし,この半世紀の周産期・新生児学の進歩は,胎児の発育や疾患の診断だけでなく,well-beingと呼ばれる健康状態まで評価できるところから,大げさな言い様ではなく,生まれてくる新生児に起こりうる疾患や問題の大半が,出生前に予測され,産科側と新生児側がそれにすぐさま対応することが可能となったのである.例えが適切でないかもしれないが,今のレベルの医療で得られる胎児情報によって,生まれてくる子どもに何が起こるかを知らずにお産をすることは,近年のアメダスなどの人工衛星からの情報を駆使することによって高い精度となった天気予報を聞かないで山登りをするようなものと言えるであろう.産婆学は産科学になり,さらに周産期学になったのである.
第2 版では,仁志田がこれまで共に働いた産科医の中で最も優れた周産期医療の知識と経験をもっている進純郎博士に,第3 部「ハイリスク妊婦とその新生児の管理」の項で貴重な助言を頂いたことが,今回の最大の改訂であった.お互いを信頼する新生児科医と産科医のチームがあって初めて,良い周産期医療(すなわち母子医療)が実現するように,本書も2 人のコンビでひとまわりグレードアップした本になったと言えよう.改めて進純郎博士に感謝する.
2007年6月
仁志田 博司
目次
第1部 新生児に関する基礎知識
第1章 新生児医療の特徴
1 分娩および出生はリスクを伴う生理的現象である
2 新生児の医療はなぜ地域医療なのであろうか
3 新生児の医学的特徴
4 新生児の能力
第2章 新生児医療の基本
1 新生児医療の原則とルチーン
2 保温に関する基本とその実際
3 栄養に関する基本とその実際
4 感染防止の基本とその実際
5 母子関係確立のための基本とその実際
第3章 分娩室における新生児管理
1 正常新生児の分娩室におけるケアの流れ
2 分娩室における新生児の蘇生
第4章 正常新生児に管理
1 新生児管理の基本
2 入室時のルチーン
3 正常新生児管理の実際
4 母子同室における新生児管理
第2部 正常新生児の診察と異常への対応
第5章 正常新生児の診察法
1 診察における一般的な注意
2 診察の手順
3 診察におけるチェックポイント
4 新生児特有の所見
第6章 成熟度の評価
1 在胎週数の持つ意味と重要性
2 産科学的方法による在胎週数の推測
3 新生児学的方法による在胎週数の推測
第7章 新生児によく見られる所見とその対応
1 皮膚
2 頭部
3 顔面
4 頸部
5 体幹
6 臍部
7 背部・臀部
8 外陰部
9 四肢および指趾
第8章 新生児の見落としてはいけない異常所見とその対応
1 何となく元気がない(not doing well
2 異常な顔貌と小奇形
3 半陰陽(外性器の異常)
4 黄疸
5 チアノーゼ
6 呼吸障害
7 易刺激性および痙攣
8 メレナ(下血・吐血などの消化管出血)
9 腹部膨満および嘔吐
10 心雑音
第9章 ハイリスク新生児の管理
1 ハイリスク新生児とは
2 ハイリスク新生児となる因子
3 ハイリスク新生児への対応
4 リスク因子に応じたハイリスク新生児の管理
第10章 産科施設で管理可能な軽度異常児への対応
1 発熱
2 低体温
3 発疹
4 体重増加不良
5 低血糖
6 多血症
7 無呼吸発作
8 黄疸
第11章 新生児医療における事故とその対策
1 医療事故の原因と背景
2 医療事故の原因による分類
3 医療事故が起こったときの対応
4 医療事故の予防
第12章 新生児搬送と周産期医療の地域化
1 なぜ新生児搬送および周産期医療の地域化が必要か
2 新生児・周産期医療の地域化の効果
3 新生児搬送の適応
4 新生児搬送の実際
5 新生児搬送後のフォロー
第3部 ハイリスク妊婦とその新生児の管理
第13章 妊娠・分娩に伴う児へのリスクとその管理
1 多胎児
2 重症妊娠高血圧症候群および子癇の母体から出生した児
3 前期破水の母体から出生した児
4 帝王切開で出生した児
5 羊水過多および羊水過少の既往のある児
6 難産で出生した児
7 血液型不適合妊娠で出生した児
第14章 母体の感染に伴う児へのリスクとその管理
1 流行性ウイルス感染症
2 その他のウイルス感染症
3 原虫・細菌などによる感染症
第15章 母体の内分泌疾患・自己免疫疾患に伴う児へのリスクとその管理
1 糖尿病を有する母体
2 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)を有する母体
3 橋本病を有する母体
4 副甲状腺機能亢進症を有する母体
5 全身性エリテマトーデスを有する母体
6 特発性血小板減少症を有する母体
7 重症筋無力症を有する母体
第16章 その他の母体疾患に伴う児へのリスクとその管理
1 心疾患を有する母体
2 腎疾患を有する母体
3 易出血性疾患を有する母体
4 悪性腫瘍を有する母体
5 気管支喘息を有する母体
6 筋ジストロフィーを有する母体
7 てんかんを有する母体
8 精神障害を有する母体
第4部 母親への指導
第17章 妊娠中の母親への指導
1 両親学級
2 出産前小児保健指導(プレネイタル・ビジット)
3 胎児異常が診断された妊婦への対応
第18章 出産後から退院までの母親への指導
1 授乳指導
2 沐浴指導
3 退院指導
4 諸手続きおよび届出に関する指導
第19章 退院後の母親への育児サポート
1 育児のもつ本質的な意味
2 育児における「優しさ」の重要性
3 父親への指導
4 子どもを失った母親への援助
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書籍情報
- ISBN:9784840421553
- ページ数:296頁
- 書籍発行日:2007年7月
- 電子版発売日:2013年7月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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