リハビリテーション職種の在宅リハビリ・ケア

  • ページ数 : 316頁
  • 書籍発行日 : 2020年9月
  • 電子版発売日 : 2021年8月25日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

本書は在宅の最前線で活動しているリハビリテーション職種の在宅現場における様々な課題の解決に必要な知識や技術について解説したものである。理論的に解決する手法だけでなく、在宅の現場でよく遭遇する「理不尽な事柄」や「正論が通用しにくい事柄」などの事例も提示し、その対処法についても解説した。また、事例の提示においてはイラストを用いて紹介しており、できるだけ在宅の初心者の方にもわかりやすい内容とした。

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序文

序文

地域包括ケアシステムの導入により日本の医療・介護の状況は大きく変わった。特に2010年以降、医療機関の機能分化、介護事業所の質の向上、医療・介護の在宅シフトが加速的に全国各地で進んだ。このような医療・介護を取り巻く環境変化は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリテーション職種の役割にも影響を与えた。

リハビリテーション職種は、地域包括ケアシステムが本格的に導入される以前は、主に「心身機能の改善」を目的としたリハビリテーションを提供していた。しかし、地域包括ケアシステムの導入以降は、「心身機能」だけでなく「活動」「参加」にも焦点を当てたリハビリテーションを提供する必要性が生じた。利用者一人ひとりが在宅や地域で自立した生活を継続するためには「活動」「参加」の取り組みが欠かせないからである。また、重度者や看取りの利用者において、たとえ「心身機能」の改善が見込めなくても、その人の生活環境や支援内容を変化させることで「活動」「参加」を向上させることがリハビリテーションやケアの役割であると認識されつつある。

このように地域包括ケアシステムの導入以降、リハビリテーション職種の役割は大きく変化したが、多くのリハビリテーション職種はその役割を十分に果たすことができていない。なぜならば、現代に働くリハビリテーション職種は学生時代や就職後も含めて、「心身機能」「活動」「参加」に関する知識や技術を包括的に学習する機会が少なかったためである。そのため、非常に複雑な課題を持つことが多い在宅療養患者に関する評価や介入を苦手とするリハビリテーション職種が多い。これは学生教育や卒後教育が地域包括ケアシステムに対応していないことが原因である。そのため、現在の在宅療養患者に対するリハビリテーションやケアは決して十分な質を担保しているとは言えない。

本書は在宅の最前線で活動しているリハビリテーション職種が在宅現場における様々な課題の解決に必要な知識や技術について解説をしたものである。本書では理論的に解決する手法だけでなく、在宅の現場でよく遭遇する「理不尽な事柄」や「正論が通用しにくい事柄」などの事例も提示し、その対処法についても解説した。また、事例の提示においてはイラストを用いて紹介しており、できるだけ在宅の初心者の方にもわかりやすい内容とした。本書が読者の皆さんの在宅リハビリテーションやケアの一助になれば幸いである。


2020年7月

高木綾一

目次

第1章 在宅リハビリテーション・ケアの今後の課題と本書の特徴

1 在宅リハビリテーション・ケアの課題解決のために

1. 本書の使い方

2. 地域包括ケアシステムにおけるチーム医療・ケアの重要性

第2章 在宅リハビリテーション・ケア【マネジメント編】

1 多職種連携の組織マネジメント

1. はじめに

2. 理念とビジョンの設置

3. 組織に対するコミットメントを高める

4. 専門職や他職種を束ねるジェネラリストを養成する

5. 専門性と連携を両立させるメンバーシップを持つ人

6. 冗長化と属人化

2 目標設定の重要性

1. 目標設定とモチベーション

2. 目標設定の手順と工夫

3. 目標設定と心身機能・活動・参加の関係

3 統合型ケアの重要性

1. はじめに

2. Community Based Care

3. Integrated Care

4. 臨床的統合の必要性

5. 同一法人での統合的なケア

4 在宅リハビリテーションにおけるマネジメントとリーダーシップの違い

1. はじめに

2. マネジメントとリーダーシップの違い

5 利用者の獲得に必要なマーケティングの考え方

1. マーケティングとは何か?

2. マーケティングのプロセス

6 ハンズオンとハンズオフのアプローチ

1. ハンズオンとハンズオフの重要性

2. ハンズオフの具体的アプローチ

7 通所介護・通所リハビリテーション・訪問リハビリテーション・訪問看護の違い

1. はじめに

2. 訪問リハビリテーションと通所リハビリテーション

3. 訪問看護と通所介護

8 軽度者と重度者の支援方法

1. はじめに

2. 軽度者支援

3. 重度者支援

9 地域包括ケアにおける各医療機関・介護施設・介護事業所の役割の違い

1. 各自医療機関・介護事業所の機能の違い

10 在宅復帰の阻害要因

1. はじめに

2. 在宅復帰を促進する施策

3. Patient Flow Management とは

第3章 在宅リハビリテーション・ケア【スキル編】

1 多職種間における共通言語の重要性

1. はじめに

2. 地域包括ケアシステムではジェネラリストが必要とされる

2 摂食嚥下に対するアプローチ

1. はじめに

2. 「食べる」意義とは

3. 摂食嚥下障害により生じる生活上の問題

4. 誤嚥性肺炎の確定診断と症状

5. 口腔内細菌と誤嚥性肺炎

6. 摂食嚥下障害の病態

7. 摂食と嚥下の違い

8. 嚥下のメカニズム

9. 嚥下の各期における評価のポイントと治療的介入

10. 姿勢と嚥下の関係

3 終末期リハビリテーション

1. はじめに

2. 看取りにセラピストが関わる必要性について

3. 看取りに関わるときの心得4 カ条について

4. 看取りにおけるリハビリテーションの目標設定について

5. 看取り期における実施可能な4 項目について

6. 看取り期の評価と介入について

7. おわりに

4 自立支援を目的としたリハビリテーション

1. 「自立(律)支援」と「リハビリテーション」

2. 手を出さないリハビリテーション

3. 「活動」と「参加」

4. リハビリテーションの卒業

5. 真の“対象者中心”であること

5 フィジカルアセスメント

1. はじめに

2. 指示内容の主病名のみに対する評価について

3. 関節可動域検査と筋力検査はフィジカルアセスメントの中心ではない

4. 多職種連携におけるフィジカルアセスメントの活用法

5. フィジカルアセスメントの複数評価の重要性

6. バイタルサインの評価を軽視してはいけない

7. 脱水の危険性

8. 計測値の左右差について

9. 機器のみの測定では不十分である

10. 血圧測定における禁忌事項

11. 呼吸リハビリテーションの評価のポイント

12. 廃用症候群以外の疾患を除外する思考の危険性

13. 運動よりもリスク管理を優先する

14. 評価の基礎となる視診の重要性

15. おわりに

6 シーティング

1. はじめに

2. シーティングとは

3. 生活期におけるシーティングの課題

4. 車いすシーティングの考え方

5. 車いすシーティングのための評価

6. 車いすシーティングの適合方法

7. 駆動

7 ポジショニング

1. はじめに

2. ポジショニングの目的

3. ポジショニングの評価

4. ポジショニングの実践方法

8 移動支援技術

1. はじめに

2. 移乗とは

3. 立位移乗

4. 座位移乗

5. リフト移乗+臥位移乗

9 福祉用具の意義とその活用

1. 福祉用具の定義

2. 福祉用具と国際生活機能分類(ICF)

3. 福祉用具とセラピスト

4. 福祉用具と介護保険制度

5. ADL と福祉用具

10 在宅における健康管理

1. 在宅利用者の健康管理の重要性

11 廃用症候群の予防

1. はじめに

2. 廃用症候群の原因

3. 廃用症候群に対する対策

12 家屋評価のポイント

1. はじめに

2. 家屋評価について

3. セラピストが自宅を訪問するメリットについて

4. 自宅について

5. 今後の医療保険と介護保険から考える家屋評価の必要性

6. 家屋と身体機能や動作が不適合になる理由について

7. 介護保険における住宅改修について

8. 住宅改修と福祉用具について

9. 退院前訪問時の動作がすべてではない

10. 個々の動作方法の理解なくして住宅改修は成立しない

11. 在宅生活再開時にはセラピストが関わるべきである

12. セラピストが関わるメリットはまだまだ理解されていない

13. 各家屋評価におけるポイントについて

14. おわりに

13 更衣動作のアプローチ

1. 更衣の自立度低下が生活に及ぼす影響

2. 過介助を受けやすい「更衣」

3. 動作面における更衣の特徴とセラピーの考え方

4. 工程分析

5. 更衣で生じやすい問題点とアプローチ方法の提案

6. 衣服の工夫

7. 在宅生活で更衣の障害が生む課題

14 入浴動作のアプローチ

1. 入浴の目的と方法

2. 入浴に伴うリスク

3. 入浴動作

4. 浴槽の構造

15 認知症のアプローチ

1. はじめに

2. リスク因子と予後予測について

3. 認知症の方へのリハビリテーション

4. 評価

5. 認知症の症状と対応のポイント

6. BPSD(認知症の行動・心理症状、周辺症状:Behavioral and Psychological Symptoms

of Dementia)

7. おわりに

16 カンファレンスの重要性

1. はじめに

2. サービス担当者会議について

3. 退院前カンファレンスについて

17 地域ケア会議とは何か?

1. はじめに

2. 地域ケア会議とは

3. 地域ケア会議へ助言者として出席するまでの流れ

4. 助言者としてセラピストに求められる役割

5. 助言者としての留意点

6. セラピストは地域に求められている

18 自助具の意義とその活用

1. 自助具とは

2. どのようなときに、自助具を導入するか?

3. 自助具の作成・提供のポイント

4. 提供されることが多い自助具

5. 自助具が持つ可能性とは

19 呼吸リハビリテーションのアプローチ

1. はじめに

2. 呼吸器疾患の病態と呼吸リハビリテーションのポイント

3. 呼吸リハビリテーションのリスク管理

20 コミュニケーションツール

1. コミュニケーションを支援する機会

2. コミュニケーションツールの適応

3. コミュニケーションツールについて

4. 導入方法と制度について

5. セラピストが行うべき評価や、確認しておくべき項目

6. コミュニケーションを支援することの意義と本質

21 排泄動作のアプローチ

1. はじめに

2. 排泄の生理学

3. 排泄動作

4. おむつについて

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書籍情報

  • ISBN:9784908083594
  • ページ数:316頁
  • 書籍発行日:2020年9月
  • 電子版発売日:2021年8月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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