臨牀消化器内科 2021 Vol.36 No.11 胆管癌診療の現況

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2021年9月
  • 電子版発売日 : 2021年9月29日
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内容

特集「胆管癌診療の現況」

胆管癌は予後不良な悪性腫瘍である.胆管癌の治療成績向上を目指して,診断・治療法の開発・改善のさまざまな取り組みが行われてきた.胆管癌の高危険群に対する検索から,早期の胆管癌を診断できる可能性もあるが,多くの胆管癌は進行癌の状態で診断されている.(編集後記より抜粋)

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序文

巻頭言


胆道系疾患の診療を行ううえで,胆管癌は重要な疾患の一つである.

以前は,患者が黄疸を発症して病院を訪れることが多く,肝炎や膵癌などの鑑別を行うことが重要であった.最近では画像診断の進歩もあり,検診などで肝機能障害を指摘されたことを契機に,体外式超音波検査,CT 検査,MRI (MRCP)検査などが行われる.とくにCT やMRCP などで三次元構築された画像は,胆道系疾患の診断に有用である.また,造影CT 検査で血管の走行を三次元構築することで,胆管癌の血管浸潤の有無を推測できることは有用である.EUS なども外来で施行され,総胆管狭窄や,周囲リンパ節腫脹の有無も診断できる.部位によってはリンパ節腫大に対してEUS‒FNA で組織診断を行うことができる.胆管癌が疑われれば,入院でERCP,胆管細胞診,胆管生検診断,IDUS や胆道鏡などが施行される.

ERCP 施行時には,胆汁細胞診,胆管擦過細胞診,透視下胆管生検などを行う.これらのすべてを行っても少なからず癌が陰性の場合がある.胆道鏡を用いて胆管内を観察することで,局在診断,直視下生検,側方進展診断を行う.以前は経皮的ルートからの胆道鏡診断が行われていたが,侵襲的であることや胆道スコープの画質が向上したことにより,近年では経口的胆道鏡が最初に行われている.胆道スコープもビデオスコープ化によって,各種画像強調機能を使用することが可能になり,新たな知見が得られる可能性がある.しかし平坦型の早期胆管癌を診断することは,現状でも難しいようである.

外科手術に関しては,術前胆管ドレナージ術や術前・術後の化学療法の併用で,術後の成績は向上している.外科切除成績のさらなる向上には,術前診断の精度向上や新しい抗がん剤,分子標的薬の出現が重要と考えられる.

外科手術不能例に対する対応として,放射線療法,化学療法などと同時に胆道ドレナージ術が重要である.部位によっては経皮的ルートを併用することがあるが,多くは内視鏡的に経乳頭的に行うことができる.留置するステントの材質は,プラスチック製,金属製などがあり形状もさまざまである.総胆管が主体の胆管癌では,腫瘍のingrowth を防ぐためにcovered type の金属ステントを選択するが,胆囊管の位置を確認しながら留置する必要がある.また膵機能が正常であることから,内視鏡的乳頭切開術を行った後にステントを留置することが膵炎予防には重要である.ステント留置において,一番の難題は,放射線治療の併用である.放射線治療は胆管癌に有効であるが,時間の経過とともに胆管の萎縮・収縮が起こる.そのため最初に留置した胆管ステントと長さや胆管形態も変化するので,交換可能なステントを選択する必要がある.

上記のように胆管癌の診療では,いろいろなことを考慮して行わなければならない.それでも特殊な症例には注意する必要がある.たとえばIgG4 関連硬化性胆管炎の肝管限局狭窄型などは,胆管癌の術前診断で手術されることがある.ほかにも原発性硬化性胆管炎の約10%に胆管癌が併発することがある.

本特集では,疫学・背景・診断・病理・治療などの現況が述べられており,胆管癌の診療を理解するのに最適と考えられる.今後の診療に役立てていただければ幸いである.


五十嵐良典

目次

【特集:胆管癌診療の現況】

0 巻頭言  五十嵐 良典

1 胆管癌の疫学・成因・リスクファクター  窪田 賢輔

2 胆管癌の分子異常  全 陽

3 胆管癌の病理  佐々木 素子

4 胆管癌の診断・治療方針  中井 陽介

5 TUS,EUS  橋本 千樹

6 CT,MRI  松原 崇史

7 胆道鏡  羽場 真

8 外科治療  佐野 圭二

9 胆道ドレナージ・ステント  植木 敏晴

10 胆管癌の薬物療法  佐竹 智行

11 放射線療法  山崎 秀哉

12 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)  窪田 敬一

13 肝内胆管癌の診断・治療のトピックス  有泉 俊一

【連載一覧】

内視鏡の読み方

14 濾胞性リンパ腫(十二指腸)  永塚 真

学会だより

15 第24回 日本肝臓学会大会  飯島 尋子

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書籍情報

  • ISBN:9784004003611
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2021年9月
  • 電子版発売日:2021年9月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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