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- 脳神経外科速報2021年増刊 脳神経外科手術 基本手技のバリエーション
商品情報
内容
脳べらを積極的に使う? 極力使わない?
MCA,IC-PC動脈瘤のアプローチはpterional? それともsubfrontal?
脳神経外科医が手術時に感じる、「他の施設のやり方がなぜ違うのか知りたい」に応える1冊。
手技のポイントがよくわかる手術ビデオも多数収載!
あわせて読む → 「脳神経外科速報」バックナンバー
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序文
序文
「そちらでの常識はこちらの非常識」.とあるセミナーでのdiscussion 中に言われた言葉です.Acom 動脈瘤で,前頭葉底面の展開についてでした.うるさい私を黙らせるためでしたでしょうし,もちろん「常識/非常識」の本来の意味よりもっとフランクなニュアンスではあった(と思っている)ものの,施設ごとに手技に対するコンセプトの違いがあることを再認識させられました.
若手と話すと,その違いへの疑問はもっと裾野が広いことを知ります.Pterional が良いかsubfrontal が良いか.そもそも開頭は小さいほうが良いか大きいほうが良いか.更には吸引管は細いほうが良いか太いほうが良いか……といった具合です.ある程度経験を重ねた術者であれば,吸引管は太さが問題なのではないことを知っています.本質はその術野で吸引管を使って何をするかであり,それによって吸引管の太さは自ずから決まってくるからです.ではAcom 動脈瘤のアプローチの本質は? なぜpterional / inter-hemi が議論されるのか? はたまた,CEA で頚動脈プラークは引き抜いては駄目なのか?
A vs B と考えられる手技でも,良い/悪いではなく,そこにはそれぞれのコンセプトがあります.また少数派と思われる手技をとっている施設でも,背景には理由やそこに至った経験があるはずです.手技のバリエーションの違いを比較しそれぞれのコンセプトを理解することにより,その手技の本質に近づけるのではないかと考えました.このため,本書ではなるべくVS 形式でバリエーションを比較するという形式を採っています.また手技法を書いた単なる手術書にとどまらず,なるべくその背景にあるコンセプトが読者に伝わることを目標としました.
このようなこれまでにない設定やテーマのために,そしてまた私の力不足故に,途中でこの企画は出版に至らないだろうと思ったことも,実は何度かありました.しかしそのたびに導いてくださった監修の大宅宗一先生と,辛抱強く対話を続け最終的に形にしてくださったメディカ出版の岡哲也さんに感謝申し上げます.そして何よりも,快く執筆を引き受け熱い原稿を書いてくださったすべての執筆者の先生方にこの場を借りて心より御礼を申し上げます.
手術手技の一番の本質は,安全確実に実行しそれを終えることで間違いはありません.本書が若手の先生方の明日からの手術に少しでもお役に立ち,患者さんやご家族の笑顔に貢献できれば幸いです.
帝京大学ちば総合医療センター脳神経外科
竹田 理々子
目次
1章 手術の基本コンセプトと技術
A 手術教育
〈総論1〉若手の教育(2 hands or 3 hands?)
ⅰ.「2 hands派」の立場から
ⅱ.「3 hands派」の立場から─若手の顕微鏡下手術における指導的助手の役割
B 開頭のバリエーション
〈総論1〉前頭側頭開頭のバリエーション(適応,コンセプト,皮切デザイン,筋肉剥離)
ⅰ.Pterional approachを企図した前頭側頭開頭
ⅱ.あらゆる病変に対応可能なアプローチとしての前頭側頭開頭法
〈総論2〉後頭下開頭のバリエーション(適応,コンセプト,皮切デザイン,筋肉剥離)
ⅰ.まず浅い術野の展開を
ⅱ.体位・頭部固定が最重要
〈コラム1〉Orbitozygomatic(OZ)craniotomy
〈コラム2〉2-layerのやり方:その工夫とメリット・デメリット
ⅰ.Yasargil原法①
ⅱ.Yasargil原法②
C マイクロ操作
〈総論1〉基本操作:シルビウス裂開放のバリエーション
(シルビウス裂は広く開ける?必要最小限?/どこから入る?)
ⅰ.病変に応じたシルビウス裂開放
ⅱ.まずは十分なシルビウス裂開放から
〈総論2〉器具の使い方のバリエーション
(脳べらを積極的に使う?極力使わない?/吸引管,ハサミはどのように使い分ける?)
ⅰ.「脳べら積極派」の立場から
ⅱ.脳へらを極力使用しない手技
〈総論3〉静脈温存のコンセプト
(静脈はどこまで温存すべきか?/切断可能かどうかの判断法は?)
ⅰ.原則,すべての静脈を温存
ⅱ.術野展開の妨げとなる場合の対処法
D アプローチ
〈総論1〉前床突起切除法(intradural or extradural?/drill or CUSA?)
ⅰ.「Intraduralからの切除」の立場から
ⅱ.「Extradural派」の立場から
〈総論2〉MCA, IC-PC動脈瘤のアプローチ
(pterional or subfrontal?その適応とコンセプト/母血管の取り方)
ⅰ.「Pterional派」の立場から
ⅱ.「Subfrontal派」の立場から
〈コラム1〉Dural ringの切開って?(適応,解剖,手技)─中枢側より剥離せよ
2章 頭部外傷の手術
〈総論1〉頭部外傷手術のバリエーション(開頭術の適応あるいはタイミングは?/脳室ドレーンや硬膜下ドレーン挿入部から髄液漏れを防ぐための固定法のバリエーション/減圧開頭の範囲の決定法と術後CTでどう評価するか?/術中の止血困難な状況における対処法のバリエーション/HITTは行うべきか?/減圧開頭時の硬膜形成のバリエーション/ICPモニタリングの適応と留置部位に関する施設間のバリエーション)
ⅰ.まず迅速な減圧.穿頭術も併用しつつ積極的な開頭術を実施
ⅱ.ICP亢進や意識レベル低下などの生理学徴候を優先して減圧開頭術を判断
〈コラム1〉脳圧亢進に対する対処法─Multimodalなmonitoringを駆使せよ
〈コラム2〉後頭下減圧開頭を行うための皮膚切開のバリエーション
〈コラム3〉慢性硬膜下血腫に対する穿頭術で,術中にできる再発率低下のための工夫は?
3章 脳血管障害の手術
A 頚動脈内膜剥離術(CEA)
〈総論1〉内頚動脈側のプラーク処理(引き抜く?絶対に引き抜かない?)
血管縫合時の運針作法(ロックをかける?かけない?/靴紐縫合する?しない?/intactな部分から縫う?縫わない?)
ⅰ.「引き抜かない派」のプラーク剥離・露出と血管縫合時の運針作法
ⅱ.CEAにおけるプラーク剥離と血管縫合
〈コラム1〉CEAにおける血管遮断の工夫,遮断・遮断解除の順序,その本質について
B 脳動脈瘤手
〈総論1〉クリッピング
(脳内に埋没した脳動脈瘤,完全に掘り起こす?十分なneckが出たらかける?)
ⅰ.「完全掘り起こし派」の立場から
ⅱ.「Neck派」の立場から
〈総論2〉Acom動脈瘤へのアプローチのバリエーション
(Pterional or interhemispheric approach?/視神経上面はどこまで剥離する?/半球間裂はどこまで開ける?/Rectal gyrusは吸う?)
ⅰ.Pterional approachが第一選択
ⅱ.Interhemispheric approachとpterional approachの使い分け
〈総論3〉クリップ選択のバリエーション
(Temporary clipを使う?極力使わない?/Permanent clipの選択)
ⅰ.「Temporary clipを使用する派」として
ⅱ.Temporary clipを極力使用しない立場から
〈コラム1〉くも膜下出血術中の脳圧コントロール
〈コラム2〉低位内頚動脈系動脈瘤の母血管確保(方法,タイミング,その考え方)
ⅰ.頚部頚動脈確保, 前床突起削除, anterior petroclinoid ligamentの切開
ⅱ.原則,頚部での血管確保を
C バイパス術
〈総論1〉STA-MCAバイパスのコンセプト
(皮膚切開はどうする?/ドナー剥離は動脈の表剥き?裏剥き?/Single or double bypass?/レシピエントは前頭葉?側頭葉?/間接吻合は置く?置かない?)
ⅰ.間接バイパスのdonorとなる血管,硬膜,側頭筋などの組織の温存
ⅱ.血液や過剰な髄液流入のない術野をつくる
〈コラム1〉STA graftを安全にはやくきれいに採取するには?
4章 脳腫瘍の手術
〈総論1〉良性腫瘍の内減圧の方法のバリエーション・どう使い分けるか/腫瘍摘出中の止血法のバリエーション・どう使い分けるか/術中に綿片や脳べらを積極的に利用するか,しないか.どう利用するか
ⅰ.くも膜を温存した剥離を
ⅱ.器具のセッティングは使用法と同様に重要
〈総論2〉頭蓋底骨削除の方法(ハイスピードドリルまたは超音波手術器)
ⅰ.「ハイスピードドリル派」の立場から
ⅱ.「超音波手術器派」の立場から
〈総論3〉グリオーマ摘出における各摘出器具の利点と使い分け(バイポーラまたはCUSA)
ⅰ.「吸引管とバイポーラ派」の立場から
ⅱ.「CUSA派」の立場から
〈コラム1〉顕微鏡か内視鏡か外視鏡か,それぞれの利点と欠点は?─頭蓋底腫瘍手術を念頭に
〈コラム2〉術前腫瘍塞栓術(PTE)の適応─脳血管内治療医と腫瘍摘出術者の協同
〈コラム3〉脳腫瘍手術における再手術時の留意点は?
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書籍情報
- ISBN:9784840473460
- ページ数:272頁
- 書籍発行日:2021年10月
- 電子版発売日:2021年10月13日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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