- m3.com 電子書籍
- 日本メディカルセンター
- 臨牀消化器内科 2021 Vol.36 No.12 門脈圧亢進症に対する診療

臨牀消化器内科 2021 Vol.36 No.12 門脈圧亢進症に対する診療
- ページ数 : 120頁
- 書籍発行日 : 2021年10月
- 電子版発売日 : 2021年10月27日
商品情報
内容
門脈は,肝臓と消化管の架け橋であり,消化器内科・外科・放射線科のすべての医師に関わりが深く,Axial CT を見るまでもなく腹部大動脈・下大静脈と並ぶ三本柱の一つともいうべき重要血管であると思われます.
≫ 「臨牀消化器内科」最新号・バックナンバーはこちら
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版
序文
巻頭言:門脈圧亢進症治療の今 ― 近年の動向
門脈は,肝臓と消化管の架け橋であり,消化器内科・外科・放射線科のすべての医師に関わりが深く,Axial CTを見るまでもなく腹部大動脈・下大静脈と並ぶ三本柱の一つともいうべき重要血管であると思われます.
元より,門脈血行動態は正常では,上・下腸間膜静脈や脾静脈など腹腔内のすべての静脈血が集合して,門脈本幹→右枝/左枝→二次分枝→類洞に至る順行求肝性血流を呈し,肝細胞内で解毒を中心に多彩な代謝を司り,肝静脈に流出します.腸肝循環もこの経路を利用しています.しかし,なんらかの病因によりこの門脈経路のどこかに閉塞機転が生じ1),門脈圧亢進をきたすと,肝内血管抵抗増大により肝内門脈血流は減少し,肝外門脈血流が増加して,逆行遠肝性血流となり,脾腫が生じ,食道胃静脈瘤・異所性静脈瘤に加え胃腎・脾腎・性腺静脈など肝外シャントが形成されます.
ここ最近の10年間における肝硬変・門脈圧亢進症に対する,40年ぶりの新利尿薬トルバプタン(本邦オリジナル)や門脈血栓に対するAT‒3製剤,観血的治療時の血小板増加薬ルストロンボパグ(TPO製剤),その他の新規薬物の登場,BRTOの保険適用,CARTOⅡなどIVR治療の進展は著しく2),診断においてはMDCT‒Coronal像やMRAによる門脈血行動態の診断はより容易となり,さらにMRE・Fibroscan/SWEなどの肝・脾硬度測定が臨床の現場で可能となりました.
近年,直接型抗ウイルス製剤(DAA)によりC型慢性肝疾患は減少したものの,門脈圧亢進症を合併していた代償性肝硬変や本邦で保険適用となった非代償性肝硬変では,たとえC‒SVR(C型肝炎ウイルス持続消失)となっても,その4割近くは門脈圧亢進症の増悪や肝不全への移行を阻止できない3).すなわち“Point of NoReturn”は門脈圧亢進症か? という欧米から端を発する議論が本邦からも続出し,内視鏡治療やIVRが盛んな本邦ではその先のDAA投与前後の門脈圧亢進症に対するシャント4)への治療介入のタイミングまでもが争点となっており,同様にB型肝炎の核酸アナログ製剤によるウイルス制御例でも本邦ではすでに治療介入された報告があります5).
一方,大腸癌標準治療(FOLFOX)に用いられるオキサリプラチンの類洞内皮細胞傷害に端を発するsinusoidal obstructin syndrome〔SOS:類洞閉塞症候群,以前はveno‒occlusive disease(VOD)と総称〕による脾腫増大・食道胃静脈瘤破裂が注目され,また進行肝細胞癌に対する抗VEGF主体の分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬;TKI)ではVEGFのR‒1,2,3の制御関与様式により門脈血流の維持・低下に差があり,高アンモニア血症や時に肝性脳症の出現などがある.2021年から免疫抗体チェックポイント阻害薬(IO)とベバシズマブ併用例が増加しており,門脈圧亢進症には注視していく必要があります.
かような状況下で,本特集において時流を逃さず「門脈圧亢進症に対する治療」を特集として取り上げていただいた編集委員会と,企画していただき東京大学消化器内科に赴任された藤城光弘先生の慧眼に敬意を表します.
國分 茂博
【文献】
1)國分茂博:門脈圧亢進症,矢崎義雄 総編集:内科学第11 版第Ⅲ巻.1052~1055,朝倉書店,東京,2017
2)國分茂博:「門脈圧亢進症の現状と未来~本邦から海外に向けての発信」up to date.日消誌 116;363‒373,2019
3)Di Marco, V., Calvaruso, V., Ferrano, D., et al.:Effects of eradicating hepatitis C virus infection in patients with cirrhosis differ with stage of portal hypertension. Gastroenterology 151;130‒139, e2, 2016
4)Tsuji, S., Uchida, Y., Mochida, S., et al.:Involvement of portosystemic shunts in impaired improvement of liver function after direct‒acting antivirals therapies in cirrhotic patients with hepatitis C virus. Hepatol. Res. 50;512‒523, 2020
5)Tamai, H., Minamiguchi, H., Ida, Y., et al.:Combination with portosystemic shunt occlusion and antiviral therapy improves prognosis of decompensated cirrhosis. JGH open 4;670‒676, 2020
目次
【特集目次】「門脈圧亢進症に対する診療」
巻頭言:門脈圧亢進症治療の今-近年の動向/國分 茂博
1.門脈圧亢進症の成因と疫学/石上 雅敏
2.門脈圧亢進症の診断/直江秀昭 他
3.門脈圧亢進症のおもな合併症-診療の実際
(1)食道・胃噴門部静脈瘤に対する内視鏡治療./中村 純,引地 拓人 他
(2)孤立 性胃静脈瘤の診断と治療― 内視鏡治療を中心に/永島 一憲,入澤 篤志 他
(3)異所性静脈瘤/今井 幸紀
(4)門脈圧亢進症性胃腸症の診断と治療/井上 博人 他
(5)胸 水・腹水/瓦谷 英人 他
(6)肝性脳症/遠藤龍人 他
(7)脾腫・脾機能亢進症/清水 哲也,吉田 寛 他
(8)門脈血栓症/日高 央 他
(9)門脈肺高血圧症/厚川 正則 他
4.門脈圧亢進症をきたす特殊な疾患に対する診療
(1)特発性門脈圧亢進症/柿沼 晴
(2)肝外 門脈閉塞症の診断と治療-門脈血行異常症ガイドラインをもとに/古市 好宏
(3)バッド・キアリ症候群(BCS)/赤星朋比古 他
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
- 全文・
串刺検索 - 目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
- PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
- 南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:9.1MB以上(インストール時:21.4MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:36.3MB以上
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:9.1MB以上(インストール時:21.4MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:36.3MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784004003612
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2021年10月
- 電子版発売日:2021年10月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。