拡張不全の日常診療Q&A

  • ページ数 : 230頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2015年7月3日
7,480
(税込)
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商品情報

内容

ありふれた疾患であるが、わかりにくい疾患の拡張不全にどう対処するか。

超高齢化社会の到来とともに拡張不全は増加の一途を辿っている。
本書は、今後激増する拡張不全とはどういうものか、どう対処したらよいか、この分野のエキスパートが、機序、診断法から治療戦略にいたるまで、Q&A形式で実践的に解説しています。

序文

序文

超高齢化社会の到来とともに拡張不全(拡張期心不全,heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF)ともいう)は増加の一途を辿っており,その影響は臨床の現場に確実に表れている.現在,CCUの入院患者は急性心筋梗塞患者よりも心不全患者,それも高齢者の拡張不全患者,が大きな割合を占めるようになってきている.ひと昔前では考えられなかったことである.また,外来診療でも詳しく問診をとったりBNPを計測したりすると,ほとんどの高齢者に拡張不全に伴う心不全症状があることがわかる.今後さらに高齢化が進めば,循環器救急の多くを拡張不全患者が占め,循環器内科医がその診療に忙殺されるという,まさに悪夢のような状況が迫っている.


このように拡張不全はありふれた疾患であるが,これほどわかりにくい疾患もない.


・なぜ左室の収縮力が保たれているのに心不全になるのか?

・なぜ,高齢,高血圧患者に拡張不全が多いのか?

・左室拡張能はどう評価したらよいのか?

・収縮不全患者と同じぐらいに生命予後が悪いのはなぜか?

・収縮不全に有効な治療戦略が拡張不全患者に歯がたたないのはなぜか?

・どのようにしたら拡張不全を予防することはできるのか?


疑問を抱きながら診療している先生も多いのではないであろうか?

朗報もある.拡張不全も早期に診断して生活習慣の改善や厳格な降圧療法を行うことで,心不全の発症を予防できる可能性があることが明らかとなってきた.すなわち,拡張不全は循環器専門医だけではなく実地医家が本気に取り組むことが求められる疾患でもある.


本書は,今後激増する拡張不全とはどういうものか,どう対処したらよいか,疫学,機序,診断法から治療法に関する様々な疑問に対して最新知識を交えてエキスパートにわかりやすく解説してもらうことを目的としている.本書を明日からの臨床に役立てていただくことができれば,執筆者一同の大きな喜びである.


2015年3月

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科

伊藤 浩

目次

1章 拡張不全の疫学

1●拡張不全とはどのような心不全のことをいうのでしょうか?

2●近年,拡張不全患者が増加していると聞きました.その実態を教えてください.

3●加齢とともに拡張不全が増えますが,その実態と理由を教えてください.

4●なぜ女性で拡張不全が多いのでしょうか?

5●拡張不全の予後は悪いのでしょうか? その死因は何でしょうか?

6●拡張不全患者が急性増悪する要因を教えてください.

7●拡張不全患者と心血管事故の関係を教えてください.

2章 拡張不全の原因

8●拡張不全のハイリスク患者を教えてください.

9●拡張不全患者の左室拡張動態についてわかりやすく教えてください.

10●収縮と弛緩が密接に関連するといわれています.専門的な話ですが,わかりやすく説明してください.

11●拡張不全における心筋線維化の関与について教えてください.

12●拡張不全では左室駆出率は保持されています.しかし,左室収縮能は本当に正常なのでしょうか?

13●左室心筋の不完全弛緩という病態も拡張不全に関与していると聞きました.その機序に関して教えてください.

14●血管が硬くなるだけでも拡張不全が増えるといわれています.その機序を教えてください.

15●糖尿病,メタボリックシンドロームで拡張不全が多いといわれていますが本当でしょうか? その理由も教えてください.

16●慢性腎臓病で拡張不全が多いといわれています.それはどうしてでしょうか?

17●高齢者の拡張不全は必ずしも左室肥大を伴わないと聞きました.それはなぜでしょうか?

18●心不全の進行には神経体液性因子の関与が重要といわれています.拡張不全もそうでしょうか?

19●右心負荷によって左室拡張障害が起こることがあると聞きました.その病態に関して教えてください.

20●拡張不全には左室拡張の非同期性の関与がいわれています.それはどのようなものでしょうか? 評価方法も教えてください.

21●冠動脈疾患が拡張不全の原因になると聞きました.心筋虚血と左室弛緩障害の関係について教えてください.

3章 拡張不全の診断

22●拡張不全を診断するにあたり,どのような症状に気をつけたらよいでしょうか?

23●収縮不全と拡張不全の臨床像の相違に関して教えてください.

24●拡張不全で運動耐容能が低下する理由を教えてください.

25●左室拡張能を評価する最も正確な指標は何でしょうか?

26●拡張不全においてBNPあるいはNT―proBNPの計測をする意義を教えてください.

27●高感度心筋トロポニンとは何でしょうか? 拡張不全患者において測る意義を教えてください.

28●拡張不全患者の診断や病態評価において最近注目されているバイオマーカーに関して教えてください.

 

29●心エコー図法による左室拡張機能評価,そしてHFpEFの診断のための具体的プロセスについて教えてください.

30●拡張不全患者における右室機能の評価法とその意義について教えてください.

31●心エコー図検査の正常値の加齢に伴う変化に関して教えてください.

32●心肥大に伴う心室リモデリングの評価法と分類,その臨床的意義に関して教えてください.

33●左室心筋重量係数の計測法とその臨床的意義に関して教えてください.

34●左房容積係数の計測法とその臨床的意義に関して教えてください.

35●拡張不全患者の心電図検査では何に注目したらよいでしょうか?

36●拡張不全患者における心臓CT検査の意義について教えてください.

37●MRI検査はどのような拡張不全患者に施行して,何をみたらよいのか教えてください.

38●拡張不全患者における運動負荷試験検査(CPX)の意義を教えてください.

39●血管スティフネスの評価法とその解釈について教えてください.

40●拡張不全患者における睡眠時無呼吸検査の意義を教えてください.

4章 拡張不全の特殊な病態

41●拡張不全患者に心房細動が合併するとどうなるのか,病態と治療に関して教えてください.

42●拡張不全患者には突然死リスクが高いと聞きました.その機序と対策を教えてください.

43●拡張不全患者で肺高血圧をきたす症例があります.その病態と治療に関して教えてください.

44●高齢のペースメーカー患者では,心不全の発症に注意すべきであると聞きました.なぜでしょうか?

45●肥大型心筋症のなかでも注意すべき病態はどのようなものでしょうか?

46●心アミロイドーシスの病態,診断およびその予後に関して教えてください.

47●高齢者の大動脈弁狭窄症が増えています.何に注意して評価して,治療方針を決めたらよいでしょうか?

48●収縮性心外膜炎と拡張不全心の見分けかたのポイントを教えてください.

5章 拡張不全の治療

49●拡張不全の日常管理における注意点に関して教えてください.

50●拡張不全診療における米国のガイドラインに関して解説してください.

51●血圧のコントロールは拡張不全患者に有効といわれています.エビデンスとその理由に関して教えてください.

52●拡張不全患者におけるω3多価不飽和脂肪酸の効果を教えてください.

53●心不全はできるだけ早期,すなわち心不全発症リスクの段階から治療するほうがよいといわれています.拡張不全に関してはどうでしょうか?

54●拡張不全の治療におけるACE阻害薬,ARBの役割に関して教えてください.

55●ミネラルコルチコイド拮抗薬の有効性に関して教えてください.

56●拡張不全患者における利尿薬の適切な使用方法に関して教えてください.

57●拡張不全におけるβ遮断薬の役割と有効性に関して教えてください.

58●拡張不全患者のなかにはβ遮断薬で心拍数を落とすと心不全が増悪する病態もあると聞きました.どのような病態でしょうか?

59●睡眠時無呼吸に対する持続陽圧療法(CPAP)の拡張不全患者に対する効果を教えてください.

60●心不全にカルシウム拮抗薬は推奨されていません.拡張不全にもそうなのでしょうか? 血圧コントロールで困る症例があるのですが......

61●心不全患者において抗凝固療法が注目されています.拡張不全患者においてはどうでしょうか?

62●拡張不全が非代償性心不全になったときの病態と対応を教えてください.

63●糖尿病患者に拡張不全が多いですが,糖尿病治療薬の選択はどのようにしたらよいでしょうか?

64●肥大型心筋症の左室肥大を退縮させるのに有効な治療はありますか?

65●拡張不全に和温療法は有効でしょうか?


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書籍情報

  • ISBN:9784498136366
  • ページ数:230頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2015年7月3日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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