腹部エコー診断111ステップ

  • ページ数 : 360頁
  • 書籍発行日 : 2014年10月
  • 電子版発売日 : 2015年4月17日
10,450
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 570pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

「自分は正確な診断をしているのか」・・・と迷うことはありませんか?

検査者にとって、超音波検査は決して手軽な検査ではありません。 超音波検査像と他画像、病理組織像を比較検討することで、超音波検査の有用性と問題点を明らかにすることを目的につくられた本書。とりわけ超音波検査の問題点を解決するためには、超音波検査の基礎工学も重要であることから、基礎工学についても簡潔に解説しています。

序文

超音波検査は,手軽かつ非侵襲的に病気を診断できる,とても有用な検査である.しかし手軽であるのは患者にとってであり,検査者にとってではない.他の画像診断と同じように,超音波診断にも豊富な知識が必要である.知識以外に,病変を明瞭に描出するための卓越した技術も必要である.検査者にとって,超音波検査は決して手軽な検査ではない.

 

私は「自分が検査して診断した結果が果たして正しかったのか」,「自分は正確な診断をしているのか」をいつも自問自答しながら超音波検査を行ってきた.それを確認することは難しいが,少なくとも手術症例において,病理組織診断と術前診断を照合すれば,答え合わせが可能ではないかと考えた.

 

その結果たどりついた事実は,「私は間違えてばかりである」ということだった.しかし,間違えた事実を認識し,その原因を考察し,次に生かすことは重要である.それを年余に繰り返しているうちに,超音波検査の有用性が次第にわかってきた.超音波の面白さもわかってきた.

 

特に,超音波検査像と病理組織像を比較すると,両者の間には必ずしも「1対1」の対応がないこともわかった.その乖離の原因の多くは超音波の基礎工学で説明できることもわかった.

 

本書の執筆の目的は,超音波検査像と他画像,病理組織像を比較検討することで,超音波検査の有用性と問題点を明らかにすることである.とりわけ超音波検査の問題点を解決するためには,超音波検査の基礎工学も重要であることを訴えたい.そのため,簡単ではあるが,基礎工学の解説も行った.

 

初級者には難しい内容もあるかもしれないが,辛抱して読んでいただければ幸いである.中級者が読むと,「目から鱗」のことが多いと自負している.近年,最先端の知識は目まぐるしく刷新されるので,上級者には物足りないかもしれない.本書の評価は,読者のみなさんに委ねたい.

 

本書を執筆するに当たり,亀田総合病院臨床病理科の星和栄部長,成田信先生に多大なご協力をいただいた.外科の加納宣康部長はじめ,多くの外科の先生にもご協力いただいた.基礎工学の原稿は,東芝メディカルシステムズ(株)の濱滝壽伸先生に多大なご指導をいただいた.濱滝先生は当院の超音波検査技師に基礎工学を教えるために,毎年当院に講演に来てくださっている.この場をお借りして,感謝の念を述べさせていただきたい.

 

本書を依頼くださった中外医学社の岩松宏典氏,私の拙い原稿を真剣に読んでくださった上村裕也氏に感謝する.最終段階で討論した時に,両氏をはじめとした中外医学社の方々の熱意を感じた.

 

当院では,初心者のために超音波画像をはじめとする画像のスケッチ勉強会を毎週行っている.そのメンバーの若手技師も本書の執筆に協力してくれた.モデルになってくれた新井悠太技師や石井勝技師に深謝したい.以下に本書の執筆に協力してくれた当院超音波検査室の技師の名前を記載する.

 

小宮雅明,新井悠太,鵜澤綾奈,石井勝,内海良太,小田悠太,坂巻梓帆,高橋麻理子,野口瑞恵,石井那奈,神作慎也,藤田あゆみ,金輪智子,小川ゆかり,山口美紀

 

最後に本書の執筆に没頭するあまり,私生活では妻には多くの迷惑をかけた.この場でお詫びしたい.

 

私は「三度の飯より超音波が好きな人間」である.本書を読んで,ひとりでも多くの人が超音波検査を好きになってくれれば幸いである.


2014年盛夏

若杉 聡

目次

基礎総論

STEP1 臨床医が語る超音波の基礎工学

STEP2 フレームレートとは

STEP3 多重反射〔1〕 多重反射の理解

STEP4 多重反射〔2〕 多重反射の臨床的意味(1)

STEP5 多重反射〔3〕 多重反射の臨床的意味(2)

STEP6 サイドローブとは

STEP7 屈折の理解

STEP8 空間分解能と周波数(1)

STEP9 空間分解能と周波数(2)

STEP10 Tissue harmonic imagingとは

STEP11 カラードプラ検査は有用である(1)

STEP12 カラードプラ検査は有用である(2)

STEP13 後方散乱

STEP14 超音波検査を始める際の画像の条件

STEP15 基礎工学を考慮した探触子の当て方

STEP16 造影超音波検査

臨床総論

STEP17 探触子の持ち方・当て方

STEP18 われわれの行っているスクリーニング検査(1)

STEP19 われわれの行っているスクリーニング検査(2)

STEP20 われわれの行っているスクリーニング検査(3)

STEP21 肝の描出法

STEP22 胆嚢の描出法

STEP23 肝外胆管の描出法

STEP24 膵の描出法

STEP25 脾・腎の描出法

STEP26 上部消化管(胃・十二指腸)の描出法

STEP27 下部消化管(大腸)の描出法

STEP28 虫垂の描出法

STEP29 病理組織を意識した画像の読み方(1)

STEP30 病理組織を意識した画像の読み方(2)

STEP31 病理組織を意識した画像の読み方(3)

肝疾患

STEP32 慢性肝炎,肝硬変

STEP33 肝症例(1)

STEP34 肝症例(2)

STEP35 肝症例(3)

STEP36 肝症例(4)

STEP37 肝症例(5)

STEP38 肝症例(6)

STEP39 肝症例(7)

STEP40 肝症例(8)

STEP41 肝症例(9)

STEP42 肝症例(10)

STEP43 肝症例(11)

STEP44 肝症例(12)

STEP45 肝症例(13)

STEP46 肝症例(14)

STEP47 肝症例(15)

STEP48 肝症例(16)

STEP49 肝症例(17)

STEP50 肝症例(18)

STEP51 肝症例(19)

STEP52 肝症例(20)

STEP53 肝症例(21)

胆道疾患

STEP54 胆嚢壁の層構造

STEP55 胆道症例(1)

STEP56 胆道症例(2)

STEP57 胆道症例(3)

STEP58 胆道症例(4)

STEP59 胆道症例(5)

STEP60 胆道症例(6)

STEP61 胆道症例(7)

STEP62 胆道症例(8)

STEP63 胆道症例(9)

STEP64 胆道症例(10)

STEP65 胆道症例(11)

STEP66 胆道症例(12)

STEP67 胆道症例(13)

STEP68 胆道症例(14)

STEP69 胆道症例(15)

STEP70 胆道症例(16)

STEP71 胆道症例(17)

STEP72 胆道症例(18)

膵疾患

TEP 73膵症例(1)

STEP74 膵症例(2)

STEP75 膵症例(3)

STEP76 膵症例(4)

STEP77 膵症例(5)

STEP78 膵症例(6)

STEP79 膵癌の高危険群

STEP80 膵症例(7)

STEP81 膵症例(8)

STEP82 膵症例(9)

STEP83 膵症例(10)

STEP84 膵症例(11)

STEP85 膵症例(12)

STEP86 膵症例(13)

STEP87 膵症例(14)

脾・腎・副腎疾患

STEP88 脾腎症例(1)

STEP89 脾腎症例(2)

STEP90 脾腎症例(3)

STEP91 脾腎症例(4)

STEP92 脾腎症例(5)

消化管疾患

STEP93 正常胃壁の層構造

STEP94 消化管症例(1)

STEP95 消化管症例(2)

STEP96 消化管症例(3)

STEP97 消化管症例(4)

STEP98 消化管症例(5)

STEP99 消化管症例(6)

STEP100 消化管症例(7)

STEP101 消化管症例(8)

STEP102 消化管症例(9)

STEP103 消化管症例(10)

STEP104 消化管症例(11)

STEP105 消化管症例(12)

STEP106 消化管症例(13)

STEP107 消化管症例(14)

STEP108 消化管症例(15)

STEP109 消化管症例(16)

STEP110 消化管症例(17)

STEP111 消化管症例(18)

Comment

虚像(アーチファクト)の理解

人に直接教わることの素晴らしさ

空間分解能の理解の重要性

Tissue harmonic imagingの勉強を通して

基礎工学の重要性

辺縁部に強くなろう

検査のやり方

初心者に興味を持ってもらうには

宝の一文

早期胃癌を見つける必要はない

消化管の超音波検査に強くなるには

ルーペ像は重要だ

病理と超音波の対比は意味がないのか

頻度の高い疾患に詳しくなるべきである

癌取扱い規約は重要である

解剖の知識で多くのことがわかる

お断りとおわび

限局性結節性過形成(FNH)の補足

肝血管筋脂肪腫の補足

インターネットの危険性

患者と話をすること

黄色肉芽腫性胆嚢炎の補足

胆嚢有茎性ポリープについて

超音波の長所を生かそう

病理と対比ができる画像

慢性膵炎の診断において超音波検査が重要である

スケッチのすすめ

膵臓が見えない時

膵癌の予後が悪いのは

学会,研究会に出席することの重要性

腹部超音波検査は消化器領域だけではない

お話ししながら超音波(speaking ultrasonography)

空気はお友達

経験すればそれでよいのか

最後に,反省すること


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:234.4MB以上(インストール時:509.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:937.6MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:91.9MB以上(インストール時:229.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:367.6MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498140349
  • ページ数:360頁
  • 書籍発行日:2014年10月
  • 電子版発売日:2015年4月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。