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- Gノート増刊 Vol.4 No.6 本当はもっと効く!もっと使える!メジャー漢方薬 目からウロコの活用術
商品情報
内容
風邪に葛根湯,BPSDに抑肝散…だけじゃもったいない!総合診療医×漢方医がコラボし,身近な漢方薬の意外な適応・もっと効かせる工夫をやさしく解説!現場ですぐ使える“目からウロコ”の活用術がわかります!
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序文
漢方医の立場から
医師の約9割が漢方薬を使用しているという調査があるように現在の医療において漢方治療は欠かせないものになっています.しかし,漢方薬を処方しているものの,その多くは,定石とばかりに,風邪に葛根湯,消化管の術後に大建中湯,食欲不振に六君子湯,BPSDに抑肝散...と単なる1対1対応で処方されていることも少なくありません.本来,漢方治療には異い病びょう同どう治ち(異なる疾患を同じ薬で治療することができるという意味)という特徴があり,1つの漢方薬を1つの疾患に限定してしまうことは非常にもったいないことです.また一方で,漢方がとっつきにくい理由として,「使い方がよくわからない」,「副作用が心配」,「院内に採用されている漢方薬が少ない」といった声もあり,漢方治療が普及するための妨げがあることも事実です.そこで本書は,多くの医療機関で採用・頻用されている,総合診療医にとっても身近であろう19の処方に絞って1対1対応にとどまらない使い方を解説しました.
本書の大まかな構成は,下記の通りです.
・使用頻度の高い順に漢方薬を1つずつ取り上げ解説する
→症候からでなく,1つの漢方薬の理解を深める
・漢方薬の概論を解説する(本文中見出しの例: 1 ○○湯の解説)
→漢方薬の特徴を理解する
・適応となる疾患や症候を個別に紹介する(➡各稿 2 ○○湯を使ってみよう!)
→1対1の対応だけではない幅広い漢方治療の適応を学ぶ
・もっと効かせるための工夫を紹介する(➡各稿 3 ○○湯をもっと効かせる!)
→漢方治療の次の一手を知る
これらの特徴により,読者が臨床で出会うさまざまな症候に対して,本書で取り上げた身近な処方が「○○湯で治療可能な病態」という鑑別診断の1つとして想起できるようになることが,本書作成の大きな目的です.
また,本書の特徴の1つとして,漢方医である私と総合診療医である樫尾先生がタッグを組んで漢方医と総合診療医のそれぞれの視点から編集を行ったことがあげられます.総合診療医にとっては難解と思われる漢方の専門用語はわかりやすく解説する,専門的な漢方医学的所見や考え方などはAdvanced columnとして掲載する,「総合診療医のギモン」や「漢方医のオススメ」を各稿に設ける,など双方の視点が活きる工夫をしました.さらに,総合診療医が漢方治療を行ううえで妨げとなっている漢方薬の副作用や漢方エキス製剤の併用に関しても,別途章を設けて解説しています.また,本書の執筆は,漢方薬について十分な使用経験をもち,かつ漢方への熱い情熱をもった第一線の臨床医の先生(漢方における私の先輩・同僚・仲間です)にお願いしました.
総合診療と漢方治療には,例えば,さまざまな愁訴の患者さんに対応したり,検査では異常がない症状を扱ったりと,白黒つかない部分から逃げられないこと,患者さんの周囲の状況を考慮しながら治療を行う必要があることなど,診療スタイルが共通している部分が多いと考えます.ご協力いただいた執筆者の先生のおかげで,「漢方の知恵」が凝縮された,総合診療の現場で明日から使えるクリニカル・パールが詰まった内容に仕上がったと思います.本書を通じて,1人でも多くの漢方を必要としている患者さんに適切な漢方治療が届けられ,かつ,総合診療における漢方治療が新たなステージに進むことを願っています.
2017年7月
飯塚病院東洋医学センター 漢方診療科
吉永 亮
家庭医(総合診療医)の立場から
日常診療で,筆者は漢方薬をあくまで治療の選択肢の1つとして使用しています.そのなかで目にするのが,数年単位で患者さんが悩まされている症状について,西洋医学的な精査は,文字通りくまなくされていて,西洋医学的に治療できる原因が見つからない場合に,一度も漢方薬の投与が試みてこられなかったケースです.もしくは,症状への1対1対応の漢方薬が短期間試されていて,思うような症状の緩和が得られずに,それ以降は,漢方薬が試されてこなかったケースもあります.そういった場合に(患者さんが漢方薬に関して消極的な場合には,処方の量や期間を短めにするなどしてみるということが前提になりますが...)改めて漢方薬による治療を試みると,そのうちのいくつかのケースでは,処方したこちらも驚くほどに,短期間に症状が緩和され,患者さんも「漢方薬って1年も飲まなくてもこんなにすぐに効くんですね...!」と,漢方薬の効果の「切れ味」にはじめて気づくこともあります.
ここまで読んでいただいた読者の方には,そんなことは漢方の初学者には無理だと感じるかもしれません.でもこのような経験は,実は特別な処方を出して起こったのではありません.漢方薬のなかでは比較的よく知られた処方でも,病名への1対1対応ではない「実はこんな使い方ができる」と紹介されている方法に従った結果だったりします.このような使い方は,漢方専門医の先生のなかでは,定石のうちに入っているものもあるかと思われます.ただ,漢方専門の研修を十分に受けていない総合診療医・家庭医のなかでは,どうしてこのような使い方をするのか,一見わかりにくいものもあるかと考えます
病名投与の処方でうまくいかない場合に,煎じ薬やエキス製剤以外の処方を検討し漢方専門医を紹介して,そちらに委ねるのも一法ではあるかと思われます.しかし,せっかくすぐ出せるような,いわば「ありふれた漢方薬」にもう一歩進んだ使い方があることを知れば,日常の外来で患者さんから診療の度に話されるような困っている症状に対応できるのです.今回,筆者も編集者として集まってくる原稿を読んでいて,改めて学ぶことができました.
初学者からすると,140以上あるエキス製剤を駆使することは,夢のまた夢に感じることがあるかもしれません.しかし,筆者が今まで,漢方専門外来に陪席したり,いろいろな症例発表などを見てきたなかで,初学者には手を出しにくいような珍しい処方よりは,ありふれた漢方薬でも,ふだんはそんな使い方はしないような意外な使用方法に出くわすことが少なくありません.また,漢方薬に限らずかもしれませんが,達人の域に達すると,使う処方の種類はだんだん減っていくそうです.
今回,共同編集の吉永先生をはじめ,執筆をお願いした先生方には,どの医療機関でも採用のあるような身近な漢方薬を最大限に活かす方法について記述していただきました.
どんな病院に行ってもいつも目にする書籍というものはありますが,本書が,漢方を学びたい総合診療医にとって,そのような本になることを願ってやみません.
【謝辞】
今回,書籍作成のニーズに関して大学同級生の岡崎寛子先生には貴重なコメントをたくさんいただきました.大変ありがとうございました.
2017年7月
給田ファミリークリニック/和田堀診療所
樫尾 明彦
目次
序文
付録:構成生薬一覧
第1章 誰もが使ったことのある漢方薬〜でもDo処方だけじゃもったいない〜
1 大建中湯
2 芍薬甘草湯
3 抑肝散
4 六君子湯
5 葛根湯
第2章 よく使われる漢方薬 〜意外とこんな症状にも使えます〜
1 小青竜湯・麻黄附子細辛湯
2 麦門冬湯
3 半夏厚朴湯
4 補中益気湯・十全大補湯
5 当帰芍薬散・桂枝茯苓丸
6 加味逍遙散
第3章 もっと使いこなしてほしい漢方薬〜食わず嫌いはもったいない〜
1 半夏瀉心湯
2 五苓散
3 真武湯
4 八味地黄丸・牛車腎気丸
第4章 知っておくべき副作用
1 偽性アルドステロン症
2 肝機能障害と間質性肺炎
コラム
1 漢方エキス製剤の併用の意義と法則
2 近隣の薬局に出したい漢方薬がないとき
索引
処方名・生薬名の索引
用語索引
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書籍情報
- ISBN:9784758123242
- ページ数:188頁
- 書籍発行日:2017年9月
- 電子版発売日:2018年10月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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