QUICK生理学・解剖学~人体の構造と機能・病態生理

  • ページ数 : 437頁
  • 書籍発行日 : 2022年2月
  • 電子版発売日 : 2022年2月25日
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商品情報

内容

効率的に学習できる,最初に読むべき生理学・解剖学の統合型教科書!要点整理と明快な図表で長期記憶に結びつきやすく,国試練習問題で到達目標がわかりやすい.将来の医療職に役立つ質の高い情報をギュッと凝縮!

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序文

巻頭言


COVID-19のパンデミックは,世界的に大きな被害をもたらし,文明史的にも大きな傷跡を残そう.それは人々の行動を変えただけでなく,社会構造をも変えつつある.感染拡大時期には,3密(密閉,密集,密接)回避が強く要請されていた.従前から成熟してきた社会を分かち,群れから個としての行動が感染拡大の抑制的行動だからである.学生にとっても影響は甚大で,大学キャンパスは閉鎖されグループ学習などの活動も制限された.講義スタイルは,学年全体を対象にした対面講義からオンライン講義がメインとなり,個別に講義を受けることになった.一方,教員側に立ってみると,これまで学生が理解しやすいように工夫してきた対面授業がオンラインに変わり,新たな工夫を模索しなければいけなくなった.うまくいった工夫もあるが,これまでと比べて教育効果が低下してしまった講義も少なくない.このような状況で高い学習効果を得るには,学生のしっかりした価値観と自我の確立した個別学習,すなわち自律型学習が必要となる.

本書のテーマは解剖学と生理学であり,医療を志す者であれば必ず学ばなければならない学問領域である.それでは,解剖学と生理学とはなんだろうか? 広辞苑によると,解剖学は「生物体内部の構造・機構を研究する学問」,生理学は「生体またはその器官・細胞などの機能を研究する学問」とされている. 一見別もののようだが,解剖=構造のもつ意味を理解するためには構造だけみていては不十分で,構造のもつ機能=生理を理解しなければならない.すなわち,人体について正しく理解するためには両者を統合的に理解する必要がある.医学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて,「人体の正常構造と機能」として解剖学と生理学の統合的理解を求めている所以である.統合的な人体の正常機能(クロード・ベルナールの提唱したところの「内部環境の定常性」)の理解を深めておくことが患者さんの病態の理解へとつながり,将来よりよい医療を提供できる人材になるために重要である.

以上を踏まえ,本書では,多くを学ばなければならない学生が,自律的に効率よく高い学習効果を得られるように工夫した.①将来の医療現場で役立つ質の高い情報を好きな項目から読めるようにした,また全体として読み切れる分量にコンパクトにまとめた,②構造と機能を写真やイラストを多用することで知識を長期記憶に移行しやすくした,③各項目に国試練習問題を設けることで将来の到達目標をはっきりと示した,④各項目冒頭に要点を整理することで学習内容を概観できるだけでなく反復学習を行いやすくした,などである.

医療職を目指す学生諸君は,生涯学習として最終的には医療現場で役立つ(活用できる)医学知識獲得法を構築し,それを絶えず更新していくスタイルが必要です.さらに,患者さんに接するとき,知識,技能のみならず,人間的な素養(共感できる態度)が滲み出る人格の醸成が必要です.それらが,患者さんの満足度向上につながります.基礎的な医学の学習が将来の医療(診療)スタイルにつながることを意識し自律的に学習してください.


2022年1月

松尾 理

目次

巻頭言[松尾 理]

国試練習問題について

第1章 総論 ~人体の構造と機能を制御理論から総合的に理解する~

Ⅰ.恒常性の制御理論と調節機構[松尾 理]

01 人体は動的なシステムである

02 調節機構の具体例

Ⅱ.細胞の構造と機能[高松 研]

01 細胞

02 細胞膜(生体膜)

03 細胞質と細胞小器官:ミトコンドリア

04 細胞質と細胞小器官:小胞体,ゴルジ装置,リソソーム,ペルオキシソーム

05 核

06 細胞骨格

Ⅲ.膜輸送とシグナル伝達[日臺智明,國分眞一朗]

01 総論

02 細胞膜輸送体

03 細胞の電気現象

04 膜動輸送(サイトーシス)

05 受容体を介する情報伝達

06 細胞による情報の発信

第2章 心臓の構造と機能[小野克重]

01 総論

02 心血管系の構造

03 心臓電気生理学

04 心電図

05 心筋の収縮と弛緩

06 血管生物学

07 心周期

08 心音

09 心臓における循環調節

第3章 循環系の構造と機能[森田啓之]

01 総論「循環系の概要」

02 血流量・血圧・血管抵抗

03 血行力学(血流量,血圧,血管抵抗の関係)

04 静脈系

05 微小循環

06 循環調節

07 特殊循環

第4章 血液[松尾 理]

01 総論

02 造血

03 赤血球

04 白血球

05 免疫系

06 止血機構:総論

07 止血機構:凝固系

08 止血機構:線溶系

09 止血機構:血小板系

10 止血機構の異常:DIC(紫斑の鑑別含む)

第5章 呼吸器系の構造と機能[一和多俊男]

01 呼吸の生理学的意義

02 脊椎動物の呼吸器の変化

03 呼吸器の構造と機能

04 血流分布と調節

05 ガス交換

06 酸塩基平衡

07 換気

08 呼吸筋

09 呼吸調節

10 呼吸不全

第6章 消化器系の構造と機能[吉田岳市,北野雅之]

01 総論

02 平滑筋細胞の特性

03 上部消化管:食道

04 上部消化管:胃

05 上部消化管:十二指腸

06 下部消化管:小腸

07 下部消化管:大腸

08 肝臓・胆嚢・膵臓:膵臓

09 肝臓・胆嚢・膵臓:胆嚢

10 肝臓・胆嚢・膵臓:肝臓

11 腹膜・腹壁

12 内視鏡と超音波による検査

13 人工栄養

第7章 腎泌尿器系の構造と機能[當瀬規嗣]

01 総論

02 腎小体の構造と機能

03 尿細管の配置

04 近位尿細管での栄養素の回収

05 電解質の回収

06 老廃物の輸送

07 水の再吸収

08 酸塩基平衡

09 クリアランスと腎機能指標

10 排尿

第8章 体液[中島 昭]

01 総論

02 浸透現象と浸透圧

03 浸透圧の調節① 

04 浸透圧の調節② 

05 浸透圧と細胞容積

06 体液量の調節① 

07 体液量の調節② 

08 体液量と重力

09 体液の異常

第9章 内分泌系の構造と機能[上田陽一,丸山 崇]

01 総論

02 内分泌調節機構

03 視床下部

04 下垂体

05 甲状腺

06 副甲状腺

07 成長ホルモン

08 膵臓

第10章 神経系の構造と機能[和田圭司,宮崎将行,皆川栄子]

01 総論

02 神経細胞の特徴

03 シナプスの機能

04 活動電位

05 神経回路

06 大脳皮質の機能

07 大脳基底核

08 大脳辺縁系

09 小脳

10 脳幹・脊髄

11 自律神経系

12 運動神経

13 感覚神経

14 精神・神経疾患

第11章 運動器系の構造と機能[梶 博史,辰巳公平]

01 総論

02 骨格筋の特性

03 骨リモデリング

04 骨形成

05 骨吸収

06 骨代謝調節と骨粗鬆症

07 軟骨・筋・腱・靱帯

第12章 生殖系の構造と機能[藤岡仁美,舩橋利也]

01 遺伝と分化

02 男性生殖系

03 女性生殖系

04 受精・妊娠

05 乳房

06 胎児

07 新生児

08 加齢

第13章 環境生理学・応用生理学

Ⅰ.体温調節[上嶋 繁]

01 体温

02 熱の出納

03 体温の維持

04 発熱と解熱

05 体温調節の破綻

Ⅱ.概日リズム[池田正明]

01 総論

02 概日リズムの分子機構

03 概日リズムの病態生理

第14章 皮膚の構造と機能[川田 暁]

01 皮膚の構造

02 真皮と皮下脂肪組織

03 皮膚付属器

04 皮膚の機能

第15章 歯・口腔の構造と機能[濱田 傑]

01 口腔の構造と機能

02 口腔の構成要素

03 口腔機能の障害

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書籍情報

  • ISBN:9784758121187
  • ページ数:437頁
  • 書籍発行日:2022年2月
  • 電子版発売日:2022年2月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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