必携! 血液透析実践マニュアル

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2023年6月
  • 電子版発売日 : 2023年6月1日
4,950
(税込)
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商品情報

内容

血液透析に関わる多職種の医療スタッフに役立つ重要ポイントをわかりやすく解説!

維持透析療法の現場では患者の予後・生存率を良好に保つため,腎臓病の診療に関わる様々な職種の医療従事者がチームとして連携している.本書はそのような透析医療チームの日常診療に役立つマニュアルとして,総論ではAKI・CKD とそれに対する各種療法,各論では血液透析の開始・維持・中断/中止の各段階別に,具体的な実践の手順や考え方などの重要なポイントを,最新の知見を交えて簡潔にレクチャーしている.

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序文

はじめに

私たち腎臓病の診療に関わっている医療スタッフは,患者さんや家族との連携を深め,腎代替療法の導入阻止と安定した維持透析療法の実践に努力しています.透析医療チームには,医師,看護師(透析ナース),臨床工学技士,管理栄養士,薬剤師,運動トレーナー,理学療法士,医療ソーシャルワーカー(MSW),放射線技師,看護補助者,医療事務員などが入り,一人一人の患者さんにあった透析療法を行っています.そのおかげもあって,わが国の血液透析の予後・生存率は,欧米諸国のそれに比べ明らかに良好であり,有数の長寿透析国になっているといわれています.しかし,それにもかかわらず毎年約4万人が新規に透析導入され,日本透析医学会が実施した施設調査票に基づく報告では,2021年末時点で慢性透析療法を受けている患者総数は349,700人でした.したがって,透析導入患者数の減少と安定した透析ライフの提供に向けこれまで以上に努力していくことが重要であると考えています.

今回,『血液透析の理論と実際』(中外医学社)の姉妹本ともいうべき『必携! 血液透析実践マニュアル』を上梓することになりました.編集を順天堂大学医学部附属練馬病院腎・高血圧内科 井尾浩章教授と,順天堂大学医学部腎臓内科 中田純一郎准教授にお願いし,お二人には透析医療チームの一員として活発に取り組んでおられる方々を執筆者として選んでいただきました.本書は総論として急性腎障害と慢性腎臓病,腎代替療法,透析非導入と保存的腎臓療法について概説したうえで,血液透析の開始から維持・中止までの管理で重要なポイントをわかりやすく簡潔に記載していただきました.最新の知見が含まれており腎臓・透析専門医のみならず,透析医療チームの皆さんの日常診療に活かしていただけるものと確信しています.しかし,記載の過不足もあろうかと思われますので,皆さまからの忌憚のないご意見をいただければ幸いです.編集者ならびに執筆者の皆さんには,大変お忙しいところご協力いただき厚く御礼申しあげます.また,私たちの共通の恩師でいつも温かく見守ってくださっている順天堂大学名誉教授 小出輝先生に感謝いたします.最後に本書の刊行にご尽力いただきました小川孝志部長をはじめ中外医学社の皆さまに御礼申しあげます.


2023年 春

新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を願って
富野康日己

目次

I 総論

1.急性腎障害(AKI)とは?〈中田純一郎〉

 1.診断基準

 2.AKI における血液浄化療法

2.慢性腎臓病(CKD)とは?〈井尾浩章〉

 1.腎臓の働きについて

 2.CKD の定義

 3.CKD の概念

 4.CKD の病態生理

3.腎代替療法とは?

3-1  AKI, CKD に対する透析療法導入の目安:適応と禁忌〈井尾浩章〉

 1.AKI

 2.CKD

3-2  血液透析の原理・効果と限界,早期導入と導入遅延のメリット・デメリット〈井尾浩章〉

 1.血液透析の原理・効果と限界

 2.早期導入と導入遅延のメリット・デメリット

3-3  腹膜透析の原理・効果と限界: PD first・PD last のメリット・デメリット,ハイブリッド透析療法のメリット・デメリット〈井尾浩章〉

 1.腹膜透析の原理・効果と限界

 2.PD first・ PD last のメリット・デメリット

 3.ハイブリッド透析療法のメリット・デメリット

3-4 腎移植の現況: 特に,先行的腎移植〈中田純一郎〉

 1.生体腎移植と献腎移植

 2.腎移植の適応

 3.腎移植の件数

 4.献腎移植の待機患者数・待機期間

 5.先行的腎移植

 6.移植前の透析期間について

 7.腎移植の治療成績

 8.費用

 9.献腎移植におけるレシピエント選択基準

 10.海外渡航移植の問題点

4.透析非導入と保存的腎臓療法(CKM)〈中田純一郎〉

 1.日本における背景

 2.透析非導入とCKM の実際

II 各論: 血液透析の開始から維持・中止まで

1.血液透析開始時期の対応

1-1 バスキュラーアクセス(シャント)の作製〈三代麻依子〉

 1.バスキュラーアクセスの種類

 2.長期使用可能なバスキュラーアクセスの作製法

1-2  透析機器,透析膜(ダイアライザー)の種類と特徴〈草場 岳〉

 1.血液透析器

 2. 血液濾過器(ヘモフィルター),血液透析濾過器(ヘモダイアフィルター)

 3.持続緩徐式血液濾過器

1-3 透析液の特徴と使用上の注意〈石川祐史〉

 1.透析液濃度の意義

 2.透析液の歴史と種類

 3.透析液内の各成分濃度

1-4  透析方法の実際(1): プライミングから終了まで,透析廃液の管理〈木村敦志 藤井 彩〉

 1.治療準備

 2.治療開始

 3.治療中

 4.治療後

 5.止血確認

 6.治療後体重確認

 7.装置洗浄

1-5  透析方法の実際(2): オンラインHDF・CHDF・SDHD/NHD・在宅 HD のメリット・デメリットなど〈関口 嘉〉

 1.オンラインHDF のメリット・デメリット

 2.持続的血液濾過透析(CHDF)のメリット・デメリット

 3. 夜間透析(NHD),短時間頻回透析(SDHD)のメリット・デメリット

 4.在宅血液透析(HHD)のメリット・デメリット

1-6 上手な穿刺法と疼痛緩和策〈福崎晴奈〉

 1.一般的な穿刺の流れ

 2.典型的な穿刺の実際

 3.超音波ガイド下穿刺

 4.VA 関連疼痛

 5.疼痛緩和のための対策

1-7 開始時によくみられる症状と対策・治療〈有賀誠記〉

 1.メンタル異常

 2.不均衡症候群

 3.足のつれ(筋痙攣)

 4.バスキュラーアクセス(VA)トラブル

 5.カテーテル閉塞,感染

1-8 透析施設における感染症対策〈神田怜生〉

 感染症対策の基本

2.血液透析維持期の対応

2-1  心胸郭比・ドライウエイトの見方・考え方:体重管理〈若林啓一〉

 1.体重測定

 2.心胸郭比(CTR)

 3.ドライウエイト(DW)

2-2 超音波検査による心機能の評価と治療〈狩野俊樹〉

 1.心臓超音波の役割

 2.HFpEF とHFrEF

 3.血管石灰化と弁膜症

 4.経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)

2-3 腎性貧血・ESA 療法低反応性貧血の診断と治療〈 佐藤浩司〉

 1.腎臓におけるエリスロポエチン産生制御と腎性貧血

 2.腎性貧血の診断

 3.腎性貧血の治療

2-4 CKD‒MBD の診断と治療〈前田拓也〉

 1.CKD-MBD のメカニズム

 2.CKD-MBD と心血管疾患

 3.CKD-MBD の診断

 4.CKD-MBD の治療

 5.リンの管理

 6.リン吸着薬の変遷

 7.カルシウムの管理

 8.二次性副甲状腺機能亢進症ならびにPTH の管理

2-5 血圧管理の実際〈武田之彦〉

 1.透析症例の血圧の特徴

 2.血圧測定とその評価法の実際

 3.透析患者における至適血圧とは?

 4.血圧管理のための適切な設定体重(ドライウエイト)とは?

 5.透析症例の高血圧管理の実際

 6.降圧薬による治療

 7.透析症例における降圧薬選択と適応

 8.透析症例の低血圧

 9.透析低血圧の病態と対策

2-6 透析患者の血糖管理〈村越真紀〉

 1.血糖管理の意義

 2.血糖管理の指標と血糖測定の方法

 3.血糖変動

 4.血糖管理の目標値

 5.血液透析施行中の高血糖・低血糖への対応

 6.血糖管理のための薬物療法

 7.糖尿病血液透析患者のための食事療法

2-7 HIT の診断と治療〈佐々木 有〉

 1.HIT の頻度

 2.病態生理

 3.病型分類

 4.診断

 5.治療

 6.透析とHIT

2-8 透析アミロイドーシス〈石坂匡則〉

 1.透析アミロイドーシスの所見と診断

 2.透析アミロイドーシスの治療

2-9  バスキュラーアクセス(シャント)閉塞時の治療〈佐竹健至〉

 1.VA 閉塞とは

 2.OPE かPTA か

 3.閉塞を回避するためには

2-10 末梢動脈疾患(PAD)の診断と治療〈武藤正浩〉

 1.透析患者のPAD の特徴

 2.透析患者のPAD のスクリーニングと早期診断に必要な検査

 3.PAD の予防と治療

 4.血管石灰化抑制

 5.抗血小板薬

 6.血行再建

 7.フットケア

 8.アフェレシス

 9.フィラピー療法

2-11 さまざまな合併症に対する検査と治療〈?原久嗣〉

 1.かゆみ

 2.悪性腫瘍

 3.口腔内病変

 4.便秘

 5.結核

 6.カルシフィラキシス

 7.認知症

2-12  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断と治療〈深尾勇輔〉

 1.透析患者におけるCOVID-19

 2.診断

 3.治療

2-13  透析患者に対する薬物療法の実際(投与量や投与間隔などについて)〈井下博之〉

 1.血液透析中の薬物動態と薬物除去率

 2.糖尿病治療薬

 3.抗菌薬

 4.抗がん薬

2-14 透析運動療法の実際〈臼井直人〉

 1.血液透析患者の身体的特徴

 2.機能評価

 3.運動療法の実際

 4.生活指導

2-15 栄養食事指導の実際〈岩岡愛美〉

 1.エネルギー摂取量の考え方

 2.たんぱく質摂取量の考え方

 3.塩分摂取量の考え方

 4.水分摂取量の考え方

 5.カリウム摂取量の考え方

 6.リン摂取量の考え方

2-16 透析患者の服薬指導〈中塚真衣子〉

 1.透析患者のアドヒアランスについて

 2.透析患者のOTC 医薬品・健康食品について

 3.透析患者の薬物治療評価の実践

 4.服薬指導の実践

 5.透析患者のポリファーマシー

 6.透析と認知症

2-17 透析ナースの役割: 開始から維持期,中止まで〈河合瑠美〉

 1.透析ナースの役割

 2.透析時の看護

 3.透析導入期の患者の看護

 4.長期透析患者の看護

 5.透析の中止

3. 透析療法の中断: 中止時期の考え方と実際の取り組み〈野原奈緒〉

 1.患者の意思の尊重

 2.医師および医療チームの基本姿勢

 3.透析の見合わせ

 4.共同意思決定

 5.人生会議・事前指示書

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書籍情報

  • ISBN:9784498224827
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2023年6月
  • 電子版発売日:2023年6月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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