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- カラーアトラス末梢神経の病理 第2版
商品情報
内容
神経内科専門医のために,末梢神経の病理のすべてをビジュアル的に解説した好評書,10年目の大改訂.広範な神経系の異常をわずかな標本から診断し,病理写真を読み解くために必要な知識と考え方を多数の写真とイラストを使って丁寧にまとめた.病理像の読み方だけではなく,生検の実際の処理法についても紹介し,的確かつ速やかな診療に役立つ.改訂2版は内容はより濃密に,しかしサイズはコンパクトに,利便性もアップした.
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序文
第2版の序文として
時代とともに侵襲的な検査は苦痛の少ないもので代用できるようになり,神経生検も適応が次第に限られてきたといわれる.しかし本書を見ていただくまでもなく,末梢神経疾患の知見は広がっており,決して神経生検の役割が減ってきたとは思えない.むしろ,生検の適応ありと考え,丁寧に説明したうえで同意される患者さんの中には,より診断に難渋する方が増えた感がある.
2010 年に第1 版を出した時から,免疫性疾患をはじめとして各疾患の原因究明や治療法は進歩している.第1 版は,カラー写真がきれいで類書がほぼ無かったこと,そしてありがたい書評もいただき,予想を超える売り上げがあった.脳神経内科の専門医試験の勉強にも利用されているという,うれしい評判もいただいた.それから10 年が経過し,免疫性疾患や遺伝性疾患など,古くなった内容を一新したく思い,秋口一郎先生に相談して改訂版を出すことになった.共に仕事をしてきた二人の先生も著者に加えて,なるべくわかりやすく,病理所見にとどまらず病態の理解が少しでも深まるように書いた.少ない研究費と人員で何とかやってきた成果を盛り込んだ.コンパクトかつハンディにして若い方にもなじみやすいようにした.
今回のパンデミックのように人間社会には予期しない大きなことが起こるものである.以前から選択と集中という政策のおかげでわれわれ末端研究者には本当に研究費が回ってこない,いやもっと困っているのは人文科学などの学徒だろうか.予期できないことに対処するためには,基礎研究に加えて幅広い分野で普段から専門家を育てておく必要があるとの転換があれば,少しは研究費が出るかなあ……やはり良い研究をしないといけないですね.
今回も日ごろ貴重な患者さんをご紹介くださっている多くの施設の先生方から写真を使わせていただきました.心から感謝いたします.
初版時から今日まで多数の電子顕微鏡写真撮影に尽力いただいた京都大学総合解剖センター,古田敬子,幸田晴康両氏の協力がなかったら本書は成立していない.
初学時より大西晃生,祖父江 元,神田 隆の先生方には多くの原著論文を通して勉強させていただき,本書でも引用させていただいた.症例の診断や研究指針などでは,楠 進,早坂 清,高島 博,緒方英紀,小池春樹の先生をはじめ,多数の先生方にご教示いただき,心から感謝します.
そして研究を一貫してサポートいただいている髙橋良輔先生,さらに京都大原記念病院グループ,国立病院機構南京都病院にお礼を申し上げたい.
さいごに,私たちの思い通りの書物を出すことを助けていただいた小川孝志,鈴木真美子,桑山亜也の三氏をはじめ中外医学社の皆様にお礼申し上げます.
2021年3月
岡 伸幸
目次
第1章診断へのアプローチ
1 症状の特徴はどうか
2 症状の分布
3 解剖学的パターンはどうか? 軸索性か脱髄性か?
4 発症様式は
5 電気生理学的検査による鑑別
6 診断の道筋と鑑別に役立つ検査
7 随伴症状はどうか
8 鑑別に役立つ検査
9 周辺の疾患などについて
第2章神経生検の有用性と適応
1 どのようなときに神経生検を行うか
2 神経生検の有用性 自検例から
3 生検部位に病態が反映しているか
第3章神経生検の手順
1 どの神経で行うか
2 準備
3 腓腹神経生検の手術手技
4 生検後の創傷のケア,後遺症
5 組織の処理
6 エポン標本の作製法
7 ときほぐし線維法
8 凍結切片のつくり方
9 免疫染色
10 処理過程で生じる人工産物(アーチファクト)
11 何を観察するか
12 皮膚生検
13 神経筋の剖検
第4章正常所見
1 腓腹神経に至る経路
2 腓腹神経の光顕像
3 有髄線維の軸索と髄鞘
4 G-ratio
5 無髄神経
6 Schwann 細胞質
7 ほか内鞘にあるもの
8 血管系
9 ルノーボディ(Renaut body)
10 神経周膜
11 年齢による変化
第5章末梢神経系の基本的な病態
1 神経細胞障害 neuronopathy
2 有髄神経の変化
3 軸索変性: Waller 変性とdying-back axonopathy
4 脱髄
5 再髄鞘化
6 軸索の再生
7 Channelopathy
第6章標本の見方と特異的な所見
1 基本的な見方
2 特異所見
3 特異的とまではいえないが,診断に役立つ所見
第7章血管炎性ニューロパチー
1 血管炎診断における末梢神経生検の頻度と重要性
2 末梢神経血管支配の特徴
3 血管炎の一般的な生検病理所見
4 ANCA 関連血管炎
5 非全身性血管炎性ニューロパチー(NSVN: non-systemic vasculitic neuropathy)
6 クリオグロブリン血症に伴う血管炎
7 リウマトイド血管炎
8 全身性硬化症(強皮症)
9 Sjögren 症候群
10 その他の血管炎
11 Chronic idiopathic axonal polyneuropathy(CIAP)
12 回復期
13 術後炎症性ニューロパチー(Post-surgical inflammatory neuropathy)
第8章慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー
1 CIDP の分類
2 典型的な神経生検像
3 Ranvier 絞輪,傍絞輪部蛋白に対する自己抗体を伴うphenotype の発見
4 CIDP 診療での生検の位置づけ,生検をどう考えるか
5 CIDP の細胞性免疫病理
第9章免疫性ニューロパチー
1 Guillain—Barré 症候群(GBS)
2 Acute autonomic and sensory neuropathy(AASN)
3 多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy: MMN)
第10章パラプロテイン血症に伴うニューロパチー
1 パラプロテイン血症が関係する疾患の分類,特徴
2 抗MAG(SGPG)抗体陽性ニューロパチー
3 抗disialosyl—ganglioside 抗体を伴った感覚失調性ニューロパチー
4 Waldenströmʼs macroglobulinemia
5 IgG—M 蛋白血症を伴うCIDP(慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー)
6 神経内鞘への免疫グロブリン沈着
7 白血病,リンパ腫に伴うIgM-M 蛋白血症
8 クリオグロブリン血症
第11章アミロイドニューロパチー
1 TTR 型FAP(家族性アミロイドポリニューロパチー)
2 原発性AL アミロイドニューロパチー
3 アミロイドーシスによる手根管症候群
第12章POEMS 症候群(Crow—Fukase(深瀬)症候群)
第13章遺伝性ニューロパチー
1 CMT1A
2 CMT1B
3 CMTX
4 CMT2
5 CMT3(Dejerine-Sottas 症候群)
6 CMT4
7 HNPP(遺伝性圧脆弱性ニューロパチー)
8 形態的特徴からみた疾患
9 Hereditary sensory and autonomic neuropathy(HSAN)
10 CMT と炎症性ニューロパチーの合併
第14章糖尿病性ニューロパチー
第15章薬剤性,中毒性ニューロパチー
1 薬剤性ニューロパチー
2 化学療法と潜在的CMT
3 中毒性ニューロパチー
4 ビタミン欠乏性ニューロパチーとアルコール性ニューロパチー
5 重症疾患ポリニューロパチー(critical illness polyneuropathy)
6 尿毒症
第16章腫瘍性疾患
1 悪性リンパ腫
2 成人T 細胞白血病/リンパ腫に伴うニューロパチー
3 傍腫瘍性神経症候群のニューロパチー
4 神経周膜炎
5 Neurofibromatosis(神経線維腫症)
第17章サルコイドーシス
第18章感染症
1 Hansen 病
2 Lyme 病
3 HIV 感染症
4 HAM(HTLV—1 associated myelopathy)
5 HCV
6 重症疾患ポリニューロパチー(critical illness polyneuropathy)
第19章先天性代謝異常疾患
1 ライソゾーム病
2 副腎脊髄ニューロパチー(adrenomyeloneuropathy)
3 ミトコンドリア脳筋症
4 脳腱黄色腫症(cerebrotendinous xanthomatosis)
5 Adult polyglucosan body disease
6 Nasu—Hakola 病(membranous lipodystrophy)
7 ポルフィリア
第20章神経変性疾患
1 エオジン好性核内封入体病(NIID)
2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
3 球脊髄性筋萎縮症(Kennedy—Alter—Sung 病)
4 脊髄小脳変性症
5 CADASIL
第21章Small fiber neuropathy と皮膚生検
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書籍情報
- ISBN:9784498128750
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2021年4月
- 電子版発売日:2021年4月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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