ジュンケイラ組織学 第6版(原書16版)

  • ページ数 : 612頁
  • 書籍発行日 : 2024年1月
  • 電子版発売日 : 2024年1月11日
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商品情報

内容



50年以上にわたり、本書は、医学生が最初に手にする組織学教科書として世界的な評価を受けてきました。この第6版(原書16版)でも、美しくわかりやすいカラーイラストや組織写真を用いながら、簡潔な文章で組織学を理解することができます。まず細胞質と細胞核に焦点を当て、器官を作る4つの基本組織を扱い、人体の各器官系へと進みます。細胞生物学、分子生物学、生理学とも関連づけて記述され、医学生にとって組織学の包括的で必須の知識が身につきます。/美しい顕微鏡写真とともに、イラストと合わせて構造の理解が進む/写真と図の説明文が詳しく、本文に戻らずとも重要なポイントを確認できる/随所に「臨床応用」コラムでは、組織学の知識とを臨床領域のつながりを学びとることができる/各章末の「まとめ問題」では、知識の確認や症例をもとにした問いを通して実践的な復習が可能

序文

原書序文

『Junqueira’s Basic Histology(ジュンケイラ組織学)』の第16 版の出版は,L. C. Junqueira M.D. らによるこの本の創刊から50 周年を記すものである。この組織学教科書の初版はソフトカバーで出版され,緻密で簡潔できわめて読みやすく信頼性が高く,その後の組織学と細胞生物学領域の教科書の基準になった。Junqueira の没後,私はMcGraw Hill の編集者から英語版の高い水準を維持するようにとの要請を受け入れ,医療専門職の現代の学生にこの本が役だつようにあらゆる部分を改善し,かつその手頃なサイズと使いやすさを維持するように努めた。Amazon における組織学教科書の多年にわたるベストセラーという地位と,Doody’s Book Review Service による健康科学のコアタイトルに選ばれて,『ジュンケイラ組織学』は,人体組織の構造と機能についての簡潔かつ完全な情報の傑出した源泉であり続けている。ほぼ50 年にわたり,この教育材料は学習者のニーズに応え,細胞生物学と組織学を巧みに組み合わせ要約して説明した教材として,生化学,免疫学,内分泌学と生理学の素材を統合することによって,その後の病理学の学習につながる基礎知識を提供する.本書は特に医学生と他の医療職の学生,ならびに人体組織生物学の課程の高学年の学生のために作られている。学生だけではなく教師に対する価値と魅力によって,『ジュンケイラ組織学』は世界中の10 以上の異なる言語に翻訳され,世界中の医学校で使われている.

他の組織学教科書やアトラスとは異なり,今回の版では各章に多肢選択のまとめ問題を入れて,章の理解や重要な主題の知識を読者が評価できるにようにした。いくつかの問題では,臨床関連を用いて,基礎科学の概念を医学に関連づけて,米国医学試験国立評議会の推奨にしたがい,これらを学習者による基礎概念の理解を評価する質問に加えた。各章にキーポイントのまとめを置いて,明らかに最重要の情報を学生たちが概観できるように導いた.各章の要約の表は,学習を促すために重要な情報を整理して集約した.現代的な頁デザインと画像により,この材料をより簡潔に学ぶことができる。

各章の解説をより簡潔にする一方で,特定の話題は必要に応じて拡張し改訂した。各章にわたって,多数の短い文章を挿入して,提示した情報の臨床への応用と,学習内容の基本的な役割を強調した。

イラストや他の図版を各章に掲げて,関連する情報を結びつけながら学習できるようにした.本文全体にわたって,McGraw Hill 生物医学イラストは他の同様の医学教科書と比べて,おそらく最も有用で完全で魅力的である。あらゆる人体組織と細胞は電子・光学顕微鏡写真によって示され,細胞・組織・器官構造について学生自身が実見ないしデジタル光学顕微鏡スライドから自身で集めたものに十分に匹敵する。

デジタル版(訳注:Access Medicine は英語版のみ)の『ジュンケイラ組織学』は,この版で大きな変更を行った。デジタル版は電子リソースの1 つとして医学図書館がMcGraw Hill のAccessMedicineを提供している健康科学の学生に無料で提供され,このサービスは北米の医学校の95%以上には(1)実習授業のための学習対象,(2)同定すべき重要な構造と使用し理解するべき用語のリスト,(3)各組織を学習しこれらの構造を見極めるための詳細な顕微鏡指導,(4)自己評価問題が各回に含まれる。これらの実習授業は,『ジュンケイラ組織学』の写真材料と結びつき,バーチャルないし実見スライド収集のスライドと関連し,このデジタル実習手びきは,他の組織学教科書やアトラスの学習材料にはない独自の道具になっている。組織生物学の他の主要な教科書には,学習者が顕微鏡や組織学を学ぶ典型的な医学部の実習授業のためのこのような詳細な手びきは含まれていない。2020 年代半ばのこの著作は,前回のジュンケイラ第15 版のAccessMedicine を継続して,デジタル実習手びきのこれらの特徴,およびスキャン可能でフォーカス可能なバーチャル光学顕微鏡スライドの収集を含んでいる。

AccessMedicine を利用できない学生には,このデジタル実習手びきはないが,人体組織と器官の150 を越えるバーチャル顕微鏡画像を利用することができる:http://medsci.indiana.edu/junqueira/virtual/junqueira.htm.このバーチャルスライドのセットは現在のところ,人体組織学実習のためのあらゆる使用手びきとともに利用できる.

ジュンケイラの最近の版と同様に,今回の印刷版とデジタル版はともに,学習を容易にするように構成されている.

最初の章は,細胞と組織構造を理解するための組織学的技術を概観する.

それに続く2 つの章では,人体細胞生物学の構造的・機能的構築を要約し,細胞質と細胞核を分けて提示する。

次の7 つの章では,器官を作る4 つの基本組織を扱う.上皮組織,結合組織(およびその主な亜型),神経組織,筋組織である.

残りの章では,人体の器官系それぞれにおけるこれらの組織の構築と機能的意義を説明し,特殊感覚器の眼と耳の細胞の最新の考察で終わる.

『ジュンケイラ組織学』で学んだことを復習し,提供されている資料を速やかに身につけるために,McGraw-Hill では200 枚のカラー版『Lange Basic Histology Flash Cards』を販売しており,これも私の著作である。各カードには同定すべき重要な構造の画像,その構造についての重要な事実の要約,臨床的コメントが含まれている。この価値ある補助教材は,Amazon.com から実際のカードとして,またApp Store からスマートフォンやタブレット向けのアプリとして入手できる(訳注:英語版のみ発売されている).

長所が強化され,素晴らしい教育的特徴が更新され,デジタル実習手びきとリンクして,『ジュンケイラ組織学』が組織学における最も有用で広く用いられる教育材料の1 つであり続けることを確信している.読者におかれては,本書の特徴のどのような点についても,著者にご意見を頂戴したいと願っている。


Anthony L. Mescher
インディアナ大学医学部─ブルーミントン


監訳者序文

本書『ジュンケイラ組織学 第6 版(原書16 版)』は,2021 年に出版された“Junqueira’s BasicHistology, 16th edition”の日本語訳である.この原書は1975 年に英語で初版が出版され,世界中で高い評価を受けて改訂を重ねるとともに,各国の言語に翻訳されてきた.本書は従来から,光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルの充実した写真と記述に加えて,最新の細胞生物学,分子生物学の成果を取り入れて,スタンダードな組織学の教科書という地位を確立していた.2010 年の第12 版から,初版以来の著者であったDr. Junqueira が退いて米国のインディアナ大学のDr. Mescher により全面的な改訂が行われている。美しい光学顕微鏡と電子顕微鏡写真の数々に加え、最近の細胞生物学・分子生物学の知見を取り入れてより魅力的なものになっている.今回の改訂では臨床との関連を強化し、さらに各章末に自習問題を加えて学習と復習に役立つように配慮されている。

本書の日本語訳の初版は,“Basic Histology, 10th edition”の翻訳版として2004 年に出版され,以後第2 版を2007 年,第3 版を2011 年、第4 版を2015 年、第5 版を2018 年に丸善出版から上梓している.初版以来、坂井と川上の両名でお世話をし,翻訳にあたっては実力のある全国の方々に分担をお願いしてきたが、今回の版から竹田が新たに監訳者として加わった.翻訳にあたっては,本文中でいちいち断らずに,細かな修正を適宜行い,必要と思われるところのみに訳注を付した.読みやすい教科書という原書の特徴を,訳書においても保ちたかったからである.

本文中での用語の統一は,監訳者の責任において行った.用語の選択に当たっては,組織学および細胞生物学の現行の教科書,医学生物学領域の辞書類,特に日本医学会医学用語管理委員会 編,『医学用語辞典 Web 版』と,伊藤正男・井村裕夫・高久史麿 総編集,『医学書院 医学大辞典 第2 版』を参考にした.細胞および組織に関する用語は,基礎医学と臨床医学の多くの領域にかかわるためにさまざまな表記が使われており,さらに研究の進歩とともに日々変化しうる.現時点での監訳者による判断としてご了解いただきたい.翻訳に際しては,各訳者と協力して,正確でわかりやすい訳文を実現するよう努めたが,思い違いによる誤りがないことを願っている.

本書が,人体の構造と機能を学習する知的な喜びを,少しでも多くの学生に伝えることができれば,訳者として限りなく大きな幸いである.


2023年11月

訳者を代表して
坂 井 建 雄
川 上 速 人
竹 田   扇

目次

第1章 組織学とその研究方法

研究のための組織の処理/光学顕微鏡/電子顕微鏡/オートラジオグラフィー/組織・細胞培養/酵素組織化学/特定分子の可視化/組織切片の構造の解釈

第2章 細胞質

細胞分化/細胞膜/細胞小器官/細胞骨格/細胞質封入体

第3章 細胞核

核の構成要素/細胞周期/有糸分裂/幹細胞と組織再生/減数分裂/アポトーシス

第4章 上皮組織

上皮細胞の形態的特徴/細胞頂上面の特殊化/上皮の種類/上皮を介した輸送/上皮細胞の再生

第5章 結合組織

結合組織の細胞/線維/基質/結合組織の種類

第6章 脂肪組織

白色脂肪組織/褐色脂肪組織

第7章 軟骨

硝子軟骨/弾性軟骨/線維軟骨/軟骨形成,成長,修復

第8章 骨

骨の細胞/骨基質/骨膜と骨内膜/骨の種類/骨形成/骨の改造と修復/骨組織の代謝の役割/関節

第9章 神経組織と神経系

神経組織の発生/神経細胞(ニューロン)/グリア細胞と神経活動/中枢神経系/末梢神経系/神経可塑性と再生

第10章 筋組織

骨格筋/心筋/平滑筋/筋組織の再生

第11章 循環系

心臓/血管壁の組織/血管系/リンパ管系

第12章 血液

血漿の組成/血球

第13章 造血

幹細胞,造血促進因子,血球分化/骨髄/赤血球の成熟(赤血球生成)/顆粒球の成熟(顆粒球生成)/無顆粒球の成熟/血小板の起源

第14章 免疫系とリンパ器官

自然免疫と獲得免疫/サイトカイン/抗原と抗体/抗原の提示/獲得免疫系の細胞/胸腺/粘膜関連リンパ組織/リンパ節/脾臓

第15章 消化管

消化管の一般的な構造/口腔/食道/胃/小腸/大腸

第16章 消化管の付属器官

唾液腺/膵臓/肝臓/胆路と胆嚢

第17章 呼吸器系

鼻腔/咽頭/喉頭/気管/気管支樹と肺/肺の脈管と神経/胸膜/呼吸運動

第18章 皮膚

表皮/真皮/皮下組織/感覚受容器/毛/爪/皮膚の分泌腺/皮膚の修復

第19章 泌尿器系

腎臓/血液循環/腎機能:濾過,分泌および再吸収/尿管,膀胱および尿道

第20章 内分泌腺

下垂体/副腎/膵島(ランゲルハンス島)/散在性神経内分泌系/甲状腺/副甲状腺/松果体

第21章 男性生殖器系

精巣/精巣内の生殖管/精路系/付属生殖腺/陰茎

第22章 女性生殖器系

卵巣/卵管/受精における主要な事象/子宮/着床,脱落膜,胎盤/子宮頸/腟/外生殖器/乳腺

第23章 眼と耳:特殊感覚器

眼:光受容器系/耳:平衡聴覚器系

付録:光学顕微鏡染色法

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書籍情報

  • ISBN:9784621308851
  • ページ数:612頁
  • 書籍発行日:2024年1月
  • 電子版発売日:2024年1月11日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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