学生のための リハビリテーション医学概論 第4版

  • ページ数 : 328頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年9月27日
3,520
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商品情報

内容

初学者に最適のコンパクトに“リハ医学”を学べる好評テキスト第4版!

●2020年の第3版発行以来,4年ぶりの改訂.
●リハビリテーション医学を初めて学ぼうとする理学療法士,作業療法士,言語聴覚士などを対象とした基礎テキスト.
●今版では全章に手を入れ,各種データを最新にアップデートした.

序文

第4 版の序文

学生教育の現場から離れて教科書の再版を執筆することは難しい.このたびの第4 版は新潟リハビリテーション大学の非常勤講師の立場から書き進められたことは幸運なことであった.

第1 章の「社会リハビリテーション」の中に,障害者の能力を最大限発揮し,適性に応じて働く機会があれば,自立生活あるいは共生社会の現実的な一歩になると思い,「障害者雇用促進法」について少し触れた.第2 章では2022(令和4)年に実施された「生活のしづらさなどに関する調査」結果が2024(令和6)年5 月に発表されたことから,障害者に関する統計数値をこれに準拠した.さらにHIV 感染症になぜ社会リハビリテーションが必要かと,2030 年終息目標にふれた.第5 章の「歩行練習」の中で,ロボットスーツHAL について言及した.第6 章のライフステージにおける障害特性の中で,遺伝的に規定されている「気質」に対して,乳幼児期の環境によって形成される行動特性を恣意的に「気性」と定義した.学術的に不適切であるが,これは「三つ子の魂百まで」という内容を軽い気持ちで表現しただけである.第7 章の「アルツハイマー型認知症」のところで,アミロイドβを除去する「レカネマブ」と「ドナネマブ」について言及した.第9 章の脊髄損傷では,2018 年の外傷性脊髄損傷の疫学調査結果を記載した.1990 年代の疫学と比べて,高齢社会を反映して全く異なった報告になっている.またASIA の神経学的評価表の最新版を掲載した.第10 章の神経筋疾患では,不治の病とされていた筋萎縮性側索硬化症に対して遺伝子治療薬の「トフェルセン」,脊髄性筋萎縮症に対して「リスジプラム」が保険薬として承認あるいは承認申請がなされており,希望の光が見えてきた.第11 章の運動器疾患では,実は骨リモデリングで骨細胞が骨芽細胞と破骨細胞を制御していることに触れた.関節リウマチの項目では,長年見慣れていた白鳥の首や,ボタン穴変形が手指伸筋腱皮下断裂による可能性が高いことを書き加えた.第14 章の肢体不自由児では,これまでアテトイド型脳性麻痺(CP)という用語を使ってきた.米国ではathetoid で別名dyskinetic CP が一般的な術語である.これはCP の不随意運動はアテトーゼ,ジストニア,ヒョレアの組合せであるということに基づいている.しかし学会や国家試験ではアテトーゼ型が定着していることから,本書ではこの用語に統一した.二分脊椎の胎児脊髄髄膜瘤手術についても一言加えた.第16 章の担がん患者では,化学療法の進歩である免疫チェックポイント阻害薬,分子標的薬,がんゲノム医療について簡単に記述した.第18 章の災害医学では,2023(令和5)年に災害関連死の統計が内閣府から発表されたので,これを付け加えた.

老眼もあり今回はPDF ソフトを使い初稿を拡大してチェックした.訂正線,挿入線,検索語の下線,さらに執筆・校正文章と入り乱れる原稿を,小口真司氏が丁寧に編集してくださり,深く感謝いたします.


2024年9月

栢森良二

目次

第1章 リハビリテーションの理念

1 リハビリテーションという言葉

2 リハビリテーションの定義

3 リハビリテーションの成立過程

4 障害者の復権とその源泉

5 ノーマライゼーション

6 自立生活運動

7 ユニバーサルデザイン

8 社会リハビリテーションの発展

9 教育リハビリテーションの発展

第2章 リハビリテーションの対象と障害者の実態

1 医学的リハビリテーションの対象

2 リハビリテーション医学の対象

3 リハビリテーション医学と生物学的医学

4 障害児・者の実態

5 身体障害児・者の内訳

第3章 障害の階層とアプローチ

1 WHOの3つのファミリー

2 ICIDHからICFへ

3 ICFの分類項目

4 障害へのアプローチ

5 ICFによるアプローチ

6 病気と障害の相違

第4章 リハビリテーション評価学

1 障害の評価

2 身体計測

3 運動学

4 身体所見

5 運動機能

6 感覚障害

7 小児の運動発達

8 高次脳機能障害

9 ADLの評価

10 認知症の評価

11 電気生理学検査

第5章 リハビリテーション治療学

1 心理的アプローチ

2 廃用症候群

3 関節拘縮

4 筋力強化

5 全身運動

6 歩行練習

7 認知行動療法

8 リスク管理

9 リハビリテーションの流れと目標

第6章 ライフステージにおける障害特性

1 ライフサイクル

2 障害児の特性

3 青年期

4 成人期

5 老年期

6 ライフステージにおける障害アプローチ

第7章 高齢者のリハビリテーション

1 平均寿命と健康寿命

2 サルコペニアとフレイル

3 老年症候群

4 要支援と要介護の原因疾患

5 認知症

6 高齢者のリハビリテーションの原則

第8章 脳損傷のリハビリテーション 脳卒中,脳外傷,低酸素脳症との比較

1 脳血管障害

2 脳外傷

3 低酸素脳症

第9章 脊髄損傷のリハビリテーション

1 外傷性脊髄損傷の疫学

2 脊髄損傷の原因

3 脊髄の機能解剖

4 損傷タイプと病態

5 機能障害

6 活動制限

7 アプローチ

第10章 神経筋疾患のリハビリテーション

1 パーキンソン病

2 脊髄小脳変性症

3 筋萎縮性側索硬化症

4 脊髄性筋萎縮症

5 多発性硬化症

6 重症筋無力症と筋無力症候群

7 末梢神経障害

8 自律神経の機能と分類

第11章 運動器疾患のリハビリテーション

1 骨粗鬆症

2 変形性関節症

3 関節リウマチ

4 血友病性関節症

5 発育性股関節形成不全

6 ペルテス病

7 骨形成不全症

8 軟骨無形成症

9 骨折の治療

10 側弯症

11 足関節の捻挫

第12章 呼吸器疾患のリハビリテーション

1 肺炎

2 慢性閉塞性肺疾患

第13章 心血管系のリハビリテーション

1 心不全

2 虚血性心疾患

3 不整脈

4 心臓弁膜症

5 下肢慢性動脈閉塞症

第14章 肢体不自由児のリハビリテーション

1 脳性麻痺

2 筋ジストロフィー

3 二分脊椎

第15章 発達障害児・者のリハビリテーション

1 改正発達障害者支援法

2 自閉症スペクトラム

3 発達学習障害

4 注意欠如・多動性障害

5 トゥレット障害

6 選択性緘黙症

第16章 担がん患者のリハビリテーション

1 がんの部位別罹患数

2 リハビリテーションの特徴

3 がん治療後の障害評価

4 問題点とアプローチ

5 がんサバイバーシップ

第17章 精神障害の基礎事項

1 身体面の症状

2 心理面の症状

3 生活・行動面の変化

4 うつ病

5 双極性障害(躁うつ病)

6 統合失調症

7 パーソナリティ障害

8 神経症と心因反応(ストレス障害)

9 アルコール依存症

10 てんかん

第18章 災害医学とリハビリテーション

1 トリアージ

2 肺血栓塞栓症

3 心理的応急処置

4 被災者に接する7つのポイント

付表:ICF(国際生活機能分類)


索引

MEMO

 1-1 Physiatry/Physiatrist

 1-2 Baruch委員会とRusk

 1-3 星野富弘さんの活躍

 1-4 ポリオ

 2-1 療育の父─高木憲次

 2-2 ポリオ・ワクチンについて

 2-3 業務独占と名称独占

 2-4 知的障害と精神薄弱について

 3-1 健康の定義

 5-1 下垂足と尖足について

 5-2 球麻痺と仮性球麻痺

 5-3 ポリオ後症候群

 6-1 サリドマイド胎芽症

 8-1 画像診断について

 8-2 SPECTについて

 8-3 除脳と除皮質肢位

 11-1 ビタミンKと出血病

 11-2 ビタミンKと抗血液凝固剤

 11-3 アトラス

 11-4 ルノワールと関節リウマチ

 11-5 血友病とラスプーチン

 11-6 RiemenbugelとPavlik

 11-7 血友病と医原性AIDS

 12-1 動脈血ガス圧(Torr)

 13-1 ステントについて

 13-2 肺塞栓症と下大静脈フィルター

 14-1 重症心身障害児

 15-1 Downについて

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書籍情報

  • ISBN:9784263266816
  • ページ数:328頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年9月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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