モダトレ2 描けばわかる心電図ドリル!

  • ページ数 : 252頁
  • 書籍発行日 : 2024年9月
  • 電子版発売日 : 2024年11月5日
4,180
(税込)
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商品情報

内容

●24回のドリルで心電図と不整脈の薬を理解できる!
●心電図、電気生理学、薬理学の知識を連動する考え方を学ぶための1冊目!

不整脈の薬物治療の学習でよく陥るピットフォールとして、心電図のパターン暗記があります。しかし、不整脈の薬物治療には、どのような刺激伝導異常が生じるかを知ったうえで理論的に心電図を解析し、かつその異常を是正する薬理作用をもつ薬剤を選択することが必要です。こう聞くと非常に難しく感じますが、実はこの思考過程を学ぶためのコツをつかめば、この分野の理解は大きく前進します。前作の「モダトレ」(2019年7月刊)で紹介しきれなかったそのコツを紹介する機会を、今回ついに得ることができました。
本書は、総合的な薬物治療評価のために心電図、電気生理学、薬理学の知識を連動する考え方を学べる問題形式となっていますが、答えがわからない場合には無理する必要はありません。答えをみて理解できれば十分です。この点は通常の問題集とは異なるため、誤解のないようお願いします。また、詳細に解説すると難しくなる内容は成書に譲って、理解を優先するために省略し、簡易的な表現としている点もご了承ください。

序文

はじめに

前作モダトレが出版されてから,約5年の歳月が経過しました。その5年間を振り返って考えてみると臨床現場での薬剤師を取り巻く環境は大きく変わり,より多くの領域での活躍の場が増えてきたと感じます。モダトレは臨床活動を行っていくうえで必要なさまざまある患者情報のなかから,これまで薬剤師が積極的に活用してこなかったモダリティ情報も薬物治療の評価方法の1つとして活用することを目的として執筆しました。なかでも取り分け臨床上,モダリティの活用頻度の高い循環器領域はモダトレと相性が良かったという実感があります(私が勝手に思っているだけかもしれませんが)。 循環器領域は,心不全治療でのチーム医療への参画,地域連携をはじめとしてここ5年で最も薬剤師の活躍の場が大きく広がった領域の1つといっても過言ではありません。本領域で活用されるモダリティは多岐にわたりますが,そのなかで心電図は他の画像を中心としたモダリティとは異なる評価スキルの習得が必要であり,薬剤師はその活用において他の職種に比べて高いスキルが必要となります(後述)。それゆえに,前作のモダトレでは心電図という領域の広さ,奥深さからそれだけを十分に取り上げ,解説することができなかったことがずっと心残りでした。そこで,今回その心残りを解消すべく心電図のみにフォーカスをしたモダトレ2を執筆しようと思い立ちました。

しかし,そもそも薬剤師が心電図を確認するのは本当に必要なのか? という言葉を耳にすることがあります。ですが,例えばQT延長のような薬物治療の副作用や有効性を確認するさまざまな場面では,心電図をみなければ確認しようがない(確認したほうがはるかに効率的)ことは多くあり,薬剤師が心電図を活用することは必要であるといえます。一方で,こういった活用の目的もなく,ただ心電図を学習して解析できるようになったとしても,それは本当に必要なことかは疑問が残ります。ここに薬剤師が心電図を学習するうえでの大きなピットフォールがあります。誤解を恐れずにいうと,薬剤師が心電図を確認するのに必要なのは,心電図の解析スキルだけではありません。薬剤師が心電図を真に活用しようとした場合,それだけではなく,同時に薬理学の理解が必要であり,そのためには医師でも敬遠しがちな活動電位などの電気生理学という敷居がどうしても高くなる領域を学習しなければなりません。この点は,医師(専門医を除く)や看護師などの他職種の心電図学習では,まず解析スキルを習得することを優先するというスタンスとは大きく異なります(この違いを意識しているか否かでその活用方法に大きな差が生じ,それが薬剤師が心電図を確認する必要は本当にあるのか? という議論が生じるの1つの要因となっているのかもしれません)。

そう考えると,私たち薬剤師が心電図を活用しようとする際に必須な最低限の知識は,他職種の追随を許さないくらいハードルが高くなってしまっているといっても過言ではありません。そして,さらにそれをいざ学ぼうとした際には心電図,電気生理学,薬理学のそれぞれの領域を初学者向けの書籍で学ばざるをえなくなるのですが,それらを自身のなかで咀嚼し曲がりなりにも思考のなかでこれらを連動できるようになるには,かなりの苦労と時間を要するため挫折しそうになります(少なくとも私は挫折を何度も繰り返しました)。

そこで,本書籍のスタンスとしては,これらの知識を連動して考える際の思考過程を学ぶ第一歩目の入門書を目指しました(目指したつもりです)。あくまで第一歩目というスタンスですので理解を優先するため,あえて省いた部分や細かいニュアンスを調整した部分があります。いろいろと細かい点が気になる方は多くいるかもしれませんが,全部を解説するとこの領域を新たに学習しようとする方の意欲をそいでしまう可能性がありますので,この点はご理解いただいて大目にみていただければと思います。本書を通じて心電図が薬剤師の総合的な薬物治療の評価方法の1つとして活用されることに少しでも貢献することができるならば,筆者としてこのうえない幸せです。

最後に私事で恐縮ですが,多くの負担をかけたにも関わらず,応援し続けてくれた家族への感謝,そして,医療人として,薬剤師として,大切なことは何かを教えてくれたわが子「太智」への生涯を通じて一時も忘れることのない感謝の念を今回もここで述べさせていただきます。

「お父さんはずっと約束は忘れないよ。教えてくれたこと,それを続けていくことが,君が生きた証だから。」


2024年8月

大分三愛メディカルセンター薬剤部
梶原洋文

目次

第1章 徐脈編

 第1回 洞調律波形の心電図と刺激伝導系の関係を知ろう!

 第2回  房室ブロックと心電図の関係を知ろう! その①Ⅰ・Ⅱ度房室ブロック

 第3回  房室ブロックと心電図の関係を知ろう! その②Ⅲ度房室ブロック

 第4回 洞不全症候群と心電図の関係を知ろう!

 第5回 徐脈性不整脈のリスクを評価しよう!

 第6回 期外収縮と心電図の関係を知ろう!その①心房期外収縮

 第7回 期外収縮と心電図の関係を知ろう!その②心室期外収縮

 第8回 QT延長症候群を確認してみよう!

 第9回 副作用の徐脈性不整脈,QT延長症候群を考えよう!その①

 第10回 副作用の徐脈性不整脈,QT延長症候群を考えよう!その②

 第11回 副作用の徐脈性不整脈,QT延長症候群を考えよう!その③

 第12回 副作用の徐脈性不整脈,QT延長症候群を考えよう!その④

第2章 頻脈編

 第1回 心房細動と心電図の関係を知ろう!

 第2回 洞性頻脈,心房頻拍を理解しよう!

 第3回 心房粗動を理解しよう!

 第4回  房室回帰性頻拍(AVRT)を理解しよう! その①WPW症候群

 第5回  房室回帰性頻拍(AVRT)を理解しよう! その②AVRT

 第6回 房室結節回帰性頻拍(AVNRT)を理解しよう!

 第7回 発作性上室頻拍(PSVT)を理解しよう!

 第8回  房室結節を抑制する薬剤を考えてみよう! その①房室結節に作用する薬剤

 第9回  房室結節を抑制する薬剤を考えてみよう! その②抗不整脈薬

 第10回  抗不整脈薬のリズムコントロール作用を 少し考えてみよう!

 第11回 心室性不整脈について考えてみよう! その①心室頻拍

 第12回  心室性不整脈について考えてみよう!  その②特発性心室頻拍・心室細動

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書籍情報

  • ISBN:9784840756143
  • ページ数:252頁
  • 書籍発行日:2024年9月
  • 電子版発売日:2024年11月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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