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- 作業遂行6因子分析ツール クライエントの思いと主体的な作業の実行状況を支援する
商品情報
内容
作業遂行6因子分析ツール(Occupational Performance Analysis Tool with 6 Factors:OPAT6)とは、クライエントの作業遂行を「主体的な作業の実行状況」として捉え、その作業遂行にどのような要因が関連しているか多角的に分析し、介入方針やアプローチの立案を導く臨床ツールです。
作業遂行へ関連する因子を、「健康状態」「心身機能」「活動」「環境」「認識」「情緒」という6つの因子とし、特に「認識」「情緒」という2つの因子はクライエントの“思い”が表出されている因子としています。
特に回復期リハビリテーションでは、クライエントの生活行為における課題が幅広いため、それら多くの課題を並行しながらも、優先度を見定めつつ、作業療法は展開されています。本ツールを活用することで、大局的な思考が求められる作業療法士ならではの思考過程が視覚化され、かつ、クライエントの主体性や内的動機付けを具体的に整理でき、さらに、個別性を尊重しつつも偏りのない作業療法介入が実践できるようになります。
作業療法は、作業を介在させることで、内界と外界をつなげることができる、唯一無二の療法です。さあ、目の前のクライエントと一緒に、あなたの作業療法をしてみましょう!
序文
はじめに
作業遂行6 因子分析ツールという聞き慣れない本書を手に取っていただいてありがとうございます.この本は,作業遂行6 因子分析ツール(OPAT6)研究会の設立メンバーで毎月,夜遅くまで話し合ってきた作業療法への思いと情熱が詰まっています.さて,日本における現在の作業療法は,さまざまに活動領域を拡げてきていますが,同時に若手スタッフの急増に伴う専門職教育における課題が生じています.また,目の前の日常業務に追われ,作業療法は本来どうあるべきかを考えることが後回しになることも多く,これは皆さんが日頃もやもやしてしまっていることにも通じているのではないかと思います.私たちの作業療法は,それを成り立たせているルーツや哲学のもとに実践される技術であり,その基本となるものがクライエント中心の作業療法という考え方です.OPAT6 は,クライエントの内面への理解を深め,その人の主体的な作業の実行状況の変化を可能にする作業療法ツールです.本書の構成は以下のようになっています.
第1章では,作業療法を実践する場で求められるものを考え,作業療法が「クライエントの生活を彩る作業遂行の実現を支援するサービス」であると述べています.それに対し,作業療法の臨床現場における現状と課題を整理したうえで,クライエント中心の作業療法を実践するためにOPAT6 が有効であることを説明しています.
第2章では,作業療法の臨床の核を考えます.作業療法を成り立たせているものは何かを,そのルーツ,作業療法の哲学,作業療法の教育,クライエント中心の作業療法実践について説明しています.そして,OPAT6 におけるクライエントの理解の仕方について示し,OT が現場でどのような専門職であると認知されればもっと必要とされるのかを述べています.
第3章では,OPAT6 の特徴と,それを用いた作業療法の基本的な流れを概説しています.クライエントに関する情報収集と評価から課題を抽出し,その課題について六角形の形をした状況図(OPAT6 で使用する図)を作成して分析する方法を述べます.そして,作成された状況図から,作業療法におけるセラピー仮説とアプローチを立案し,その実施につなげる方法を説明します(図).第4章では,OPAT6 による作業療法の基本的な展開を代表的な事例を用いて説明しています.
第5章では,回復期リハビリテーションの初期,中期,後期,フォローアップ期の4 つの時期別の関わり方について,状況図を用いて視覚的に表し,熟練したOT の実践知を紹介しています.回復期リハビリテーションの作業療法では,課題に志向したトップダウンアプローチで,作業に焦点を当てた実践が進められますが,クライエントの状態がどの時期に当たるのかを見据えながら,それぞれに必要なアプローチを進めます.また,退院移行支援の際には,クライエントの“その人らしさ” を大切にした作業療法へと展開していきますが,その具体的なノウハウについても触れました.
第6章では,5 つの事例を紹介しています.掲載順に,ADL をテーマにした脊髄損傷の事例,家事役割再獲得を目指した高齢の事例,疼痛コントロールとADL 獲得が課題となった事例,セルフマネジメントをテーマにした認知機能障害の事例,最後に,在宅の事例として終末期に離床と家族交流をテーマとした事例です.また,各章の随所には,本文で触れられなかったテーマに関するMemo を載せています.Column とあわせて,本文の理解を深めるためのヒントが得られるようにしました.読者の皆さんには,本書を通じて,是非,作業に焦点を当てた治療・指導・援助である作業療法にOPAT6 を活用していただき,このシンプルな六角形の状況図を作業療法の臨床実践や教育に愛用してほしいと願っています.
OPAT6 は単体でも使用できる一方で,他の作業療法の理論やツールと併用して,その多角的で複雑な課題を視覚化する部分を担う使い方もできます.このように,OPAT6 はさまざまに応用できるツールだと考えており,引き続き臨床実践研究を進めて,OPAT6 を用いたクライエントの内面を重視した作業療法の普及と発展に取り組んでいきます.どうぞよろしくお願いいたします.
2024年8月
作業遂行6 因子分析ツール研究会
会長小林幸治
目次
第1章 作業療法の役割
1.クライエントの生活を彩る作業遂行の実現
作業療法にできること
作業療法の実践の場で求められるもの
作業療法の臨床現場における現状と課題
クライエントの望む「参加」の実現
「主体的な作業の実行状況」の改善
第2章 作業療法の臨床の核を考える
1.作業療法を成り立たせているもの
作業療法のルーツ
作業療法の哲学
作業療法の教育
クライエント中心の作業療法の実践
2.OPAT6 におけるクライエントの理解の仕方
クライエントの生活や人生についての理解と「参加」の関連
クライエントと作業についての理解
3.現場で専門職として必要とされるために
専門職として臨床に理論やモデルを活用することで貢献できる
リハビリテーションチームにおけるOT の特性
現場で専門職として必要とされるために
第3章 作業遂行6 因子分析ツール(OPAT6)とは
1.OPAT6 の概要と特徴
OPAT 6 の開発の背景
OPAT 6 とはどんな臨床ツールなのか
OPAT 6 の特徴
2.主体的な作業の実行状況と6 つの因子
「主体的な作業の実行状況」を捉えることの意義
「主体的な作業の実行状況」と6 つの因子の関連
6つの因子の特性
3.OPAT6 を用いた作業療法の展開
状況図とは
OPAT 6 のプロセス
情報収集と全体像の評価
課題の抽出
課題の分析
セラピー仮説の立案
アプローチの実施
効果の確認
column クライエントの作業や生活史の情報収集の仕方
第4章 OPAT6における作業療法の流れ
1.OPAT6 を活用した作業療法の実際
はじめに
情報収集と全体像の評価
課題の抽出
課題の分析
セラピー仮説の立案
アプローチの実施
効果の確認
column 作業療法ガイドラインとOPAT6
第5章 回復期リハビリテーションの支援の考え方
1.回復期リハビリテーションにおけるOT の視点
回復期リハビリテーション病棟での作業療法
2.回復期の時期と実行状況の課題
回復期の作業療法は「自分の作業を取り戻す」療法
時期別の関わりの考え方
3.各時期における支援の在り方
前期:ADL レベルの作業遂行の支援
中期:役割再獲得のための作業遂行支援
後期:退院支援のための作業遂行支援
column 退院後の生活を知る取り組み
第6章 OPAT6 に基づく実践事例
1.排泄自立に向けて取り組んだ脊髄損傷の事例
要旨
事例プロフィール
開始時の全体像:ICF
リハビリテーション(チーム)目標
課題の抽出(生活・人生の課題)
課題の分析
セラピー仮説の立案
経過
結果(状況図による分析)
考察
2.主婦としての役割再獲得を目指した右片麻痺の事例
要旨
事例プロフィール
開始時の全体像:ICF
リハビリテーション(チーム)目標
課題の抽出(生活・人生の課題)
課題の分析
セラピー仮説の立案
経過
結果(状況図による分析)
考察
3.患手の疼痛恐怖を克服し着替えが可能になった橈骨遠位端骨折の事例
要旨
事例プロフィール
計画見直し時の全体像:ICF
リハビリテーション目標
課題の抽出(生活・人生の課題)
課題の分析
セラピー仮説の立案
経過
結果(状況図による分析)
考察
4.生活の自己管理に取り組んだ重度記憶障害の事例
要旨
事例プロフィール
開始時の全体像:ICF
リハビリテーション(チーム)目標
課題の抽出(生活・人生の課題)
課題の分析
セラピー仮説の立案
経過
結果(状況図による分析)
考察
5.寝たきりになっても人生の最期まで楽しみを得られた末期がんの事例
要旨
事例プロフィール
開始時の全体像:ICF
チーム目標
課題の抽出(生活・人生の課題)
課題の分析
セラピー仮説の立案
経過
結果(状況図による分析)
考察
column OPAT 6 と他の作業療法の理論やツールを併用すること
付録
人生物語作成シート
状況図シート
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書籍情報
- ISBN:9784895908306
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2024年11月
- 電子版発売日:2024年11月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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