予防接種 全訂新版<小児科臨床ピクシス>

渡辺 博 (専門編集) / 五十嵐 隆 (総編集) / 中山書店

  • ページ数 : 264頁
  • 書籍発行日 : 2014年4月
  • 電子版発売日 : 2017年2月24日
8,250
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商品情報

内容

最高水準のワクチン学に基づく接種実践書.

標準的なスケジュールと未接種対応,アレルギー・免疫不全など疾患をもつ児や感染症罹患後・ガンマグロブリン投与後・早産児・けいれん既往など特殊な状況での接種,妊婦への有益性投与と禁忌,海外渡航用接種,感染症罹患者との接触後緊急接種,年代による抗体保有差と対応,副反応報告義務など,接種医に必要な情報を,もれなく読みやすく解説.

あわせて読む → 「小児科臨床ピクシス」シリーズ

序文

序─改訂にあたって

本書が2008年12月に世に出てから5年余りが経過した.2008年12月といえばHibワクチンが任意接種ワクチンとしてちょうど販売開始された時であった.その後の日本におけるワクチン環境の変化はご存じの通りで,Hibワクチン一つをとっても現在すでに定期接種化が達成され,乳児期に最初に受けるワクチンとして定着している.日本の予防接種は今まさに30年の眠りから覚めたといってよい状況である.

以前,ある出版関係の方から,「本は生もので,食品と同じように賞味期限がある」とお聞きしたことがあった.おもしろいことを言うなと思ったが,考えてみればなるほどその通りである.予防接種関連の本の場合,通常でも3年がいいところではなかろうか.5年は賞味期限切れといってよい時期であった.ましてやこの5年の変化である.本シリーズの方針である"最新の情報を,読みやすく,わかりやすく"の根幹である"最新の情報"が甚だあやしい状況となっていたところであった.ちょうどそのような時期に,この改訂のお話をいただいたしだいである.

本改訂版の作製にあたっては,すべての執筆の先生方から突然の依頼にもかかわらず,ご快諾をいただけた.また年末の忙しい時期に短い準備期間のなかで作業を完了いただいた.この場を借りて改めて御礼申し上げるしだいである.できあがった本書を手にした感想は,間違いなく現時点で最新の情報を,読みやすくわかりやすく解説した予防接種解説書が完成したということである.特徴としてさらに一つ付け加えたいのは,各項目の解説内容の深さである.専門の先生方にお願いする分担執筆でなければ達成できない特徴で,本書の大きな魅力になっている.

なお本書の編集にあたり,「各論」のワクチンの並びを初版から変更したことをここでお断りしておく.初版では定期接種ワクチン・任意接種ワクチンの順に並べていたのを,使い勝手も考えて,改訂版では定期・任意の区別なしに,必要なワクチンを接種開始年齢順に並べるようにした.初版からの読者の方々にはご不便をおかけする面もあるかもしれないがご容赦いただきたい.

最後に,本改訂にあたっても初版時と同様,多大な尽力をいただいた中山書店の編集部に深く感謝する.改訂作業の舞台裏ではいくつもの山と谷があったと伺っている.そのうえ,私からの提案にもすべて前向きに対応いただき,当初の予定通りの発行にこぎ着けられたのはひとえに編集部の努力のたまものである.プロの技を垣間見た思いである.

本書が変遷していく日本の予防接種制度のなかで,ワクチンの理解の一助となり,予防接種の普及・拡大の助けとなることを願う.


2014年3月


帝京大学医学部附属溝口病院小児科教授

渡辺 博

目次

予接種総論

1章

日本の予防接種 予防接種と法律

日本の定期予防接種

ワクチンの開始年齢と接種間隔

個人の予防接種の計画

2章

2ワクチン ワクチンと免疫応答

生ワクチンと不活化ワクチン

ワクチンの保管法

チメロサール

3章

予防接種の実施 予診票

ワクチンの接種量

ワクチンの接種法

ワクチンの同時接種

4章

副反応 予防接種の副反応

アナフィラキシーの対応

予防接種後副反応の報告

健康被害の救済処置

5章

特殊な状況での予防接種 予防接種の禁忌

感染症罹患時・罹患後の予防接種

アレルギー疾患児の予防接種

卵アレルギーと予防接種

血液腫瘍疾患児の予防接種

免疫不全児の予防接種

臓器移植と予防接種

免疫グロブリン投与後の予防接種

腎臓疾患児の予防接種

早産児・低出生体重児の予防接種

けいれん既往児の予防接種

重症心身障害児の予防接種

心血管系疾患児の予防接種

成人女性・妊婦の予防接種

接種間隔があきすぎたときの対応

ワクチン不足時の対応

6章

海外との関係 海外で受けた予防接種の継続

海外渡航者・移住者への予防接種

英文予防接種証明書

予防接種各論

1章

Hibワクチン Hibワクチンの効果

Hibワクチンの接種対象

Hibワクチンの接種法

Hibワクチンの副反応

世界のHibワクチン接種の現状

2章

肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌多糖体ワクチンの効果

肺炎球菌多糖体ワクチンの接種と副反応

肺炎球菌結合型ワクチン

3章

ロタウイルスワクチン ロタウイルスワクチンの効果

ロタウイルスワクチンの接種法

ロタウイルスワクチンの副反応

4章

B型肝炎ワクチン B型肝炎ワクチンの効果と接種対象

B型肝炎ワクチンの接種法

B型肝炎ワクチンの副反応

世界のB型肝炎ワクチン接種の現状

5章

ポリオワクチン 不活化ポリオワクチンの接種法

不活化ポリオワクチンの有効性

不活化ポリオワクチンの副反応

ポリオワクチン未接種者への対応

ポリオ根絶計画とポリオの現状

6章

DPT-IPV DPT-IPVの接種法

DPT-IPVの接種年齢

DPT-IPVの副反応

DPT-IPV未接種者・未完了者への対応

日本の百日咳の現状

百日咳既往者のDPTワクチン接種

日本の破傷風の現状

米国のTdapワクチン

7章

BCGワクチン BCGワクチン接種の変遷

BCGワクチンの効果

BCGワクチンの接種法

BCGワクチンの副反応,コッホ現象

BCGワクチン未接種者への対応

ピクシスエッセイ

ワクチンビジョンと実践

8章

麻疹風疹混合ワクチン 麻疹風疹混合ワクチンの接種法

麻疹風疹混合ワクチンの副反応

麻疹風疹混合ワクチン未接種者への対応

麻疹ワクチンの接触後緊急接種

1歳未満の麻疹ワクチン接種

麻疹風疹混合ワクチン2回接種の意義

日本の麻疹流行の現状

WHOの麻疹風疹排除計画

日本の先天性風疹症候群の現状

9章

おたふくかぜワクチン おたふくかぜワクチンの効果

おたふくかぜワクチンの接種法

おたふくかぜワクチンの副反応

10章

水痘ワクチン 水痘ワクチンの効果

水痘ワクチンの接種法

水痘ワクチンの副反応

帯状疱疹と水痘ワクチン

11章

日本脳炎ワクチン 日本脳炎ワクチンの接種法

日本脳炎ワクチンの副反応

日本脳炎の流行状況

乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの効果

日本脳炎ワクチン未接種者への対応

12章

インフルエンザワクチン インフルエンザワクチンの効果

インフルエンザワクチンの接種法

インフルエンザワクチンの副反応

13章

ヒトパピローマウイルスワクチン 子宮頸癌の疫学とヒトパピローマウイルスワクチン

ヒトパピローマウイルスワクチンの効果

ヒトパピローマウイルスワクチンの接種法

ヒトパピローマウイルスワクチンの副反応

14章

A型肝炎ワクチン A型肝炎ワクチンの効果

A型肝炎ワクチンの接種と副反応

15章

海外渡航時に必要なワクチン 狂犬病ワクチン

黄熱ワクチン

付表

予防接種実施規則・実施要領改正後に予想される接種間隔規制の緩和

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書籍情報

  • ISBN:9784521739519
  • ページ数:264頁
  • 書籍発行日:2014年4月
  • 電子版発売日:2017年2月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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