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この1冊で極める不明熱の診断学~不明熱の不明率を下げるためのガイドブック

  • ページ数 : 308頁
  • 書籍発行日 : 2012年6月
  • 電子版発売日 : 2019年8月21日
4,400
(税込)
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商品情報

内容

不明熱を診るなら,発熱だけに注目してても診断はつかない.手がかりとなる「+α」を捜せ!

不明熱診療の基礎知識から,知っておくべきメジャー/マイナーな鑑別疾患,病歴からのアプローチ,身体所見のポイント,検査の組み立てと評価,症例検討と,あらゆる角度から診断に至る考え方を記した決定版.豊富な図表,臨床で役立つclinical pearlやエピソードを満載し,初診で不明熱を診ることの多い若手内科医向きの内容となっている.不明熱で生じる皮疹写真集,不明熱の鑑別診断リスト等付録も充実.

あわせて読む → ケースで学ぶ不明熱の診断学~エキスパートの頭の中を覗いてみよう

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序文

「不明熱」の診断は難しいという研修医の声をよく聞く.これが,吐血であれば,上部消化管が病変の在りかであるとすぐ想定できるのに,発熱はあまりにも漠然として原因を特定しにくいからであろう.その結果,発熱患者を診て,肺炎,尿路感染症などのcommon な疾患であるとスナップ診断できなければウイルス性上気道炎(感冒)としてゴミ箱診断名に押し込んでしまうとか,「不明熱なのでわかりません」という思考停止に陥ることもよくある反応である.発熱⇒抗菌薬,CRP 上昇⇒抗菌薬という「考えなし」の脊髄反射的なアプローチをとるのも時にみられる.

本文にも書いたが,発熱は極めて非特異的な症状であり,鑑別の対象となる疾患は非常に多い.特徴を捉えてスナップ診断できればよいが,多くの場合は,分析的,体系的なアプローチが必要になる.これが何を意味するかというと,「発熱自体にのみ注目していては,診断はつかない.発熱以外の手がかりに目を向けないといけない」ということである.つまり,発熱(不明熱)の鑑別診断とは,(発熱+α)のαを探しながら,あたりをつけて鑑別診断を狭めていく作業である.

本書では,「不明熱」の基本的な知識について述べるとともに,名古屋第二赤十字病院総合内科で研修医,後期研修医に普段から指導している,「手がかりとなるα」をいろいろな方向から多角的に捉える考え方やコツについての解説に力を入れた.また,知っていれば楽にスナップ診断できるのに,知らないがために診断できないピットフォール的な症例や,発熱⇒抗菌薬,CRP 上昇⇒抗菌薬という,よく行われるアプローチが時に破滅的なアウトカムをもたらす実例についても盛り込んだ.

とは言え,本書に示した定石はあくまで目安にすぎない.不明熱診断の要諦は,想像力を働かせてよく考えることに尽きる.一本調子にはいかず,難しいのは確かであるが,不明熱診療の面白さは考えることにある.

本書が苦手な不明熱の診断の助けになり,ひとりでも多くの患者さんに良いアウトカムをもたらすことができれば,著者一同の大きな喜びである.


2012年5月

著者を代表して 野口 善令

目次

第I章 不明熱とは何か(総論)

1 不明熱の定義

2 外来患者の「不明熱」〜入院させるべきか,帰してもよいか?〜

3 入院患者の「不明熱」

4 海外渡航者の「不明熱」

5 HIV 感染症と発熱

6 発熱性好中球減少症

第II章 「不明熱」の鑑別診断学(診断推論)〜疾患リストをみてみよう〜

1 「不明熱」の診断推論〜ある程度あたりをつけて検査すべし〜

2 考える材料をリストアップ!

3 「不明熱」診断の概略マップ

4 これが不明熱の正体!(よく出合う,見逃してはいけない,気になる疾患20)

5 そんなの知らないよー 〜uncommon? まさかの不明熱〜

第III章 「不明熱」診断の病歴学(発熱+αのαを探すための問診テクニック)

1 現病歴で押さえるポイント

2 家族歴で押さえるポイント

3 既往歴で押さえるポイント

4 生活歴で押さえるポイント

5 服薬歴で押さえるポイント

6 ROS で押さえるポイント

第IV章 「不明熱」診断の身体所見学 〜診るポイントは?〜

1 総論〜身体所見のストラテジー〜

2 バイタルサイン

3 頭部のどこに気をつけて診ていくか?(眼・鼻・耳,側頭動脈,副鼻腔など)

4 頸部のどこに気をつけて診ていくか?(咽喉頭部,甲状腺,リンパ節など)

5 胸部のどこに気をつけて診ていくか?(心臓,肺,乳房など)

6 腹部・骨盤部のどこに気をつけて診ていくか?(腹部触診,Murphy 徴候,直腸診など)

7 背部のどこに気をつけて診ていくか?

8 四肢・手指・足指のどこに気をつけて診ていくか?

9 皮疹のどこに気をつけて診ていくか?(紫斑,紅斑,皮下結節,結節性紅斑など)

第V章 「不明熱」診断における検査学〜どんな検査をしていくか〜

1 ある程度あたりをつけて検査しないと...「どうしてこの検査やってない」症候群

2 血液検査の何に注目するか?

3 生化学検査の何に注目するか?

4 CRP をどう使う?

5 血液培養はどう読むか?

6 ウイルスマーカーをどう使いこなす?

7 腫瘍マーカーをどう使いこなす?

8 尿検査の何に着目するか?

9 胸部単純X 線写真はどう読むか?

10 CT はどう読むか?

11 生検はどのような場合に行うか?

第VI章 empiric therapy から根治的治療へ

1 「 不明熱」の診療における抗菌薬の選択・使用の考え方

2 ステロイドの使用量・使用方法と注意点

第VII章 ケーススタディで学ぼう〜症例・エピソード解説〜

付録 不明熱診断マトリックス

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784830620270
  • ページ数:308頁
  • 書籍発行日:2012年6月
  • 電子版発売日:2019年8月21日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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