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- 根拠がわかる注射のための解剖学
商品情報
内容
医療技術行為の大半は被験者にとって侵襲的であるため、十分な局所解剖学的背景を理解したうえで行うことが大切です。
本書は、解剖学のオーソリティーである佐藤達夫先生が、医療現場で実施される頻度の高い注射・採血の解剖学的背景を、実際の剖出写真や明解なイラストを用いて解説しています。
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序文
はじめに
医療技術行為の大半は被験者にとっては程度の差はあれ侵襲的であるから、十分な局所解剖学的背景を理解したうえで行うべきことは言うまでもない。もちろん解説書も少なくないし、近年はカラー写真印刷技術を駆使して説明したものも少なくない。しかし、総じてハウ・ツーものに終わっており、その手技を可能にしている解剖学的背景についての言及は不十分か、あるいはそれまでの記載の踏襲に終わっている場合が少なくない。そして、誤った記載が伝統的に継承されているおそれも絶無とは言えないだろう。そこで、いったんすべて洗いなおすつもりであたることにしたいと考えた。
しかし、扱うべき事項はあまりにも多い。すべてに言及していては自然に内容の質も不満足になりがちである。そこで、今回は実施される頻度の高い注射と採血にまとをしぼることにした。皮下注射はもちろんのこと、筋肉内注射(筋注)や静脈内注射(静注)、採血も、刺入した注射針はまず皮下組織を通過する。皮静脈は皮下の大きな道路になぞらえることができるが、道路に沿って電線が走り、地下に下水道が走っているように、多くの動線が静脈に沿って走っており、無考えな穿刺は危険である。筋注でも、筋の深部を走る神経を損傷すれば麻痺を生ずる恐れがある。
注射や採血に必要な解剖学は現場で伝承的になされてきており、少なからぬ誤解も継続的に残っているかもしれない。しかし、20 世紀の最後の10 年以来、看護系大学に大学院が設置されると、看護技術の基盤解剖学の研究も進み、大いに改善されたと思われる。しかも、調査研究の多くが解剖学教室との共同研究としてなされ、解剖学分野から見ても質の高い信頼に足るデータが提供され、大きな進歩が得られている。本書ではこれらの業績を積極的に取り入れることにした。注射および採血にあたっては、周囲の解剖を承知していることが大切であるので、分かりやすい図版の作成に努力した。渡辺清氏の手による美しい図版は、必ずや読者の理解に役立つと思われる。しかし、解剖の理解にさらにリアリティを与えたいと思い、実際の剖出写真を示説した。いずれも生前のご意思に基づいて献体されたご遺体による所見であり、ここに心から敬意を表して御礼申し上げたい。また、写真撮影を担当した小林克氏に感謝したい。
本書は、(株)インターメディカの赤土正幸前社長から医療・看護技術の基盤となる解剖学参考書の執筆の依頼を受けて制作した。赤土正明氏、樋口賢一氏をはじめとして(株)インターメディカ制作部の積極的な協力があってはじめて制作可能であった。ここに記して謝意を表したい。
2021年5月
佐藤達夫
目次
Lecture1 静脈注射・採血
どの静脈注射に注射すれば安全か?
穿刺部位としてよく用いられる肘窩の皮静脈
皮静脈の走行──手背側の静脈網がよく発達
皮静脈の走行には、豊富なバリエーションがある
皮下の静脈と神経は近接して走っている
皮神経の枝の数が多いのは、肘窩の内側
EVIDENCE 尺側皮静脈の周辺・前面(浅層)には、多数の皮神経の枝が走行
逆三角形をイメージし、その奥を走る動脈・神経に注意
深く刺すと上腕動脈や正中神経を傷害する
肘窩の断面からもわかる、推奨される注射部位
皮下の “細い動脈” に刺入してしまう危険性
皮下の “深い動脈” に刺入してしまう危険性
Advanced Lecture 肘窩の解剖
EVIDENCE まれにみられる、“浅い” 前腕の動脈変異にも注意!
Column “血管” といえば、静脈のこと?
Column 橈側皮静脈と尺側皮静脈、その名の由来は?
手クビ近くの静脈穿刺は安全?
穿刺する候補は橈側皮静脈
タバチエールと周囲の解剖
STUDY 橈骨動脈が手掌に戻る際に通る隙間
タバチエールに穿刺する際は十分に注意!
STUDY 背側ではよくみえる、手クビの腱
Advanced Lecture 手クビまわりの橈骨動脈の走行
Column 上腕伸側への静脈注射
Check! 足クビへの静脈注射──穿刺に適しているのは内側? 外側?
STUDY 伏在神経は、大腿前面から足クビまで達する唯一の神経
Lecture2 皮下注射
皮下注射の際は、橈骨神経の走行に注意!
橈骨神経は腕神経叢の最も大きな枝
橈骨神経は腋窩後壁の三角隙を通る
“回旋” する腋窩神経に対して橈骨神経は “らせん” 状
橈骨神経は筋間中隔を貫いて後ろから前へ下行する
筋間中隔の貫通部が注射時の“ウィークポイント”
上腕伸側への安全な注射部位とは?
Check! 外側上顆より4横指上方に注意!
POINT 肘頭が術者に向くと橈骨神経を損なわない
EVIDENCE 皮下脂肪は、男性より女性の方が厚い
Advanced Lecture 橈骨神経のらせん状の走行
皮下注射で影響を受ける橈骨神経の支配枝
三角筋の表面部への皮下注射
NOTE上腕の皮神経は大きく分けて2パターン
STUDY インスリン注射の適切な部位
Lecture3 筋肉注射:殿筋
殿部への安全な注射部位は?
主な神経の通り道となる、2つのあな(孔)
殿筋は、大・中・小の三層構造
中殿筋への注射で保護したい上殿神経
人体で最も長く太い、坐骨神経の走行
Column ヒトの殿筋が発達しているのはなぜか?
神経を損傷しない、安全な刺入位置はどこ?
Column “クラークの点”のクラークとは?
Column 現在は注射禁忌! グロスの三角
Advanced Lecture 殿筋の三層構造と神経の走行
Check! 神経を損傷してしまったら、どのような影響があるのか?
2本の神経から構成される坐骨神経
脛骨神経、総腓骨神経の特徴
梨状筋との交差形態は3パターン
脛骨神経と総腓骨神経の重なり方
上殿神経損傷の影響
Column 注意したい、注射針の “刺入深度”1
Column 注射針が腸骨を貫通すると危険!
Check! 小児への筋肉注射で適切な部位は?
殿部・三角筋は適さない
適しているのは大腿前側
EVIDENCE 大腿筋群の重さの比較
EVIDENCE 大腿四頭筋で “いちばん重い”のは、外側広筋
大腿四頭筋の構造
大腿四頭筋を支配する大腿神経
大腿への適切な注射部位は?
外側広筋への注射部位
NOTE大腿四頭筋硬縮症に注意
Lecture 4 筋肉注射:三角筋
肩峰から3横指下に注射すると “危険”?
頸から起こり、“後ろから前へ”回る腋窩神経
腋窩神経は1つの隙間から4つの枝へ分かれる
肩峰から “3横指下” は本当に安全か?
腋窩神経の主枝は、肩峰から “ほぼ3横指下を通る”
推奨される注射部位は“正三角形” の内部
Advanced Lecture その他に推奨される注射部位
Column 三角筋の上方へ注射すると…
Check! 刺入時の注意点1──三角筋前方への刺入
Check! 刺入時の注意点2──後上腕回旋動脈
三角筋はでこぼこした大きな筋肉
上部、中間部、下部で厚さと固さが異なる三角筋
Column 注意したい、注射針の“刺入深度”2
EVIDENCE 三角筋は、上肢においては上腕三頭筋に次ぐ大きな筋である
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書籍情報
- ISBN:9784899964469
- ページ数:116頁
- 書籍発行日:2021年7月
- 電子版発売日:2021年8月11日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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