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- 医学のあゆみ282巻11号 心筋炎―医療と医学の最前線
商品情報
内容
・心筋炎は,心臓の筋肉の炎症性疾患と広く定義される.一般にウイルス感染をきっかけとした自己免疫が本態であり,重症心不全をきたし,しばしば致命的であるが,発症頻度は低く,少し特殊な心疾患と認識されてきた.
・昨今,COVID-19急性心筋炎,それに関連した小児多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS),さらにCOVID-19 mRNAワクチン関連心筋炎といった新たな疾患カテゴリーが次々と提唱され,心筋炎に対する関心は急速に高まった.
・本特集では,現在日本で行われている心筋炎の診断,治療に加え,病態メカニズム,特に病原体感染と免疫の関与に関する最新の知見を紹介し,今後の課題を明らかにする.
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序文
はじめに
心筋炎は,心臓の筋肉の炎症性疾患と広く定義される.一般に,ウイルス感染をきっかけとした自己免疫が本態であり,重症心不全をきたし,しばしば致命的であるが,発症頻度は低く,少し特殊な心疾患と認識されてきた.しかし,2020 年初頭からまたたく間に世界を席巻した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)によって,COVID-19 急性心筋炎,それに関連した小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatorysyndrome in children:MIS-C/pediatric inflammatory multisystem syndrome:PIMS),さらにCOVID-19 mRNA ワクチン関連心筋炎といった新たな疾患カテゴリーが次々と提唱され,心筋炎に対する関心は急速に高まった.
また,新興感染症への対応に追われる一方,わが国の死因第一位であるがんに対する治療も精力的に続けられ,がん免疫療法の発展に伴い治療によって生じる心筋炎が新たな問題として浮上している.心筋炎は通常一過性の経過をとるが,免疫制御機構の破綻あるいはウイルスの持続感染により炎症が持続すると,慢性心筋炎に移行する.日本では1962 年に今野・榊原が開発した心内膜心筋生検鉗子を用いて心筋生検を積極的に行い,ヒト組織所見に基づく心筋炎の病態解析と診断が飛躍的に進歩した.さらに一部の拡張型心筋症の心筋組織に慢性心筋炎の所見がみられることから,ウイルス性急性心筋炎,慢性心筋炎,拡張型心筋症は連続的なひとつの疾患群と解釈されるようになった.しかしアメリカ,ヨーロッパでは,急性,慢性など炎症の時相による変化という視点が欠如し,同時に,生活習慣病など種々の疾患に共通する基盤病態として慢性炎症の定義が大きく広がったことから,心臓の炎症性疾患の概念,用語は世界中で混乱している.
本特集では,現在日本で行われている心筋炎の診断,治療に加え,病態メカニズム,特に病原体感染と免疫の関与に関する最新の知見を紹介し,今後の課題を明らかにする.
企画:今中恭子(三重大学大学院医学系研究科修復再生病理学)
目次
特集心筋炎─ 医療と医学の最前線
はじめに 今中恭子
心筋炎・心膜炎の診断と病理 尾上健児
ウイルス性心筋炎の病原ウイルス検索手法とその意義 平田雄一郎・鈴木忠樹
心筋炎の薬物治療・非薬物治療 奥村貴裕
慢性心筋炎と拡張型心筋症 大郷恵子
心筋炎と免疫応答 安斉俊久
Onco-Cardiologyにおける心筋炎 田尻和子
小児心筋炎とCOVID-19 ─ MIS-C/PIMS 小垣滋豊
COVID-19ワクチン関連心筋炎 大森 拓・土肥 薫
連載
バイオインフォマティクスの世界18(最終回)
プレシジョン・メディシンⅡ ─ がんゲノミクスの応用 凌 一葦
人工臓器の最前線❻
呼吸不全に対する膜型人工肺(VV-ECMO)─ withコロナの時代に向けて 星野あつみ・市場晋吾
医療AI技術の現在と未来 ─ できること・できそうなこと・できないこと❶
はじめに 大野健太
医療へのレディオミクスAIの貢献 有村秀孝・他
TOPICS
消化器内科学
潰瘍性大腸炎の診断に有用な新たな自己抗体マーカー 角田洋一
腎臓内科学
宇宙旅行時の腎臓の役割 ─“ うちゅうじん”の正体 鈴木教郎
FORUM
グローバルヘルスの現場力❸
グローバルヘルスにおけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント 勝部まゆみ
書評
『免疫学者のパリ心景 新しい「知のエティック」を求めて』 木村彰方
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書籍情報
- ISBN:9784006028211
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2022年9月
- 電子版発売日:2022年9月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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