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- 眼科抗菌薬 適正使用マニュアル
商品情報
内容
最適な抗菌薬と適切な中止時期がわかる、点眼・内服・点滴の実践的な処方例が満載
本書は、眼感染症分野で抗菌薬適正使用に真剣に取り組んできた医師たちによる「眼科領域 抗菌薬適正使用推進チームの提言」です。眼感染症のエキスパートといわれる執筆者たちの中で現時点でのスタンダードとなる考え方、処方が示されています。
総論では、全身の感染症を知り尽くした感染症内科のオピニオンリーダーである青木洋介先生、矢野晴美先生が、抗菌薬と患者と微生物の関係、また抗菌薬の特徴をわかりやすく解説しています。抗菌薬を使用する医師として大前提となる知識です。続いてマイクロバイオームの観点から抗菌薬が与える影響(江口洋先生)を明らかにし、現在の眼科領域の問題点(佐々木香る先生)に加え、抗菌薬の影響を鑑みても、なお眼科で全身投与を行うべき状況(薄井紀夫先生)を簡潔明瞭に記しています。
各論では、眼感染性疾患として、眼瞼炎(佐々木香る先生)、結膜炎(中川尚先生)、角膜炎(鈴木崇先生)、涙道関連疾患(戸所大輔先生)、眼窩蜂巣炎(稲田紀子先生)を取り上げ、日ごろからそれぞれのエキスパートが投与している推奨処方を、本音を含めて惜しみなく開示しています。
手術関連投与としては、白内障含め種々の手術関連におけるパスを記しています(子島良平先生・宮田和典先生)。また、急を要する濾過胞炎(丸山勝彦先生)、バックル感染(出田隆一先生)、眼内炎(薄井紀夫先生)、角膜移植術後(外園千恵先生)について、現実と理想の間でどのように抗菌薬を選択し処方するかを解説しました。
本書は、作りも徹底的に実践にこだわっています。 ・投与薬の注意点や、用法用量の詳細も本書だけですぐわかる、つまり薬剤部への問い合わせや他の書籍で調べなくとも、すぐ処方できる記載に統一
・抗菌薬を投与する前に、鑑別診断が必要な非感染性疾患の画像と特徴を一覧とし、短時間にチェックできる形式
・カバーを外せば、机に置いて患者さんの前で開いても違和感はない装丁
つまり、すべては、患者さんに説明をしながら、その場で開いて、見比べて、調べてすぐ処方できることを目指しました。処方を思いとどまる場面も、自信をもって処方できる場面も、そして今まで使ったことがなかったキノロン以外の抗菌薬を処方する場面も体験できるはずです。
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序文
はじめに
我々眼科医は,1日に何本の抗菌点眼薬を処方するだろうか.その1本1本が3,000~5,000μg/mLという大変な高濃度の抗菌薬である.眼表面の常在菌叢は3日で影響を受けるという.さらに涙点から鼻涙管を伝って,鼻腔,咽喉頭で常在菌と接触する.そこでは次第に菌の選択がかかり,やがて耐性菌の増加を生みだす.
2020年以降,感染症を甘く見てはいけないことを,私たちは身をもって感じた.ウイルスに限らず,細菌も同じである.私たちが開発する武器(薬)に対して,微生物は賢く変異を遂げ,さらに猛威を振るう.今に始まったことではなく,過去にも同じことが周期的に発生していたという.ペスト,コレラ,スペインかぜ,天然痘,エイズ,それぞれの時代の人々は今の私たちと同じ恐怖を味わっただろう.しかし,この恐怖は我々の意識には届いていなかった.2019年3月には,日々頻用するセフェム系抗菌薬の製造ラインがストップする事態も発生した.「もし,キノロン点眼が全く効かなくなったら」「もし,キノロン点眼の製造ラインがストップしたら」私たちは,明日からの眼科診療をやりこなせるだろうか.先人たちが懸命に研究し,試行錯誤しながら長い年月をかけて開発した抗菌薬の恩恵に味をしめた私たちは,自由にそして安易に使える状況に慣れてしまった.このまま経過すれば,薬剤耐性菌による死者は世界で年間1,000万人に及ぶと試算されている.今,あらためて私たちの世代で方向転換をしておかなければならない.AMR対策アクションプランは,2015~2020年に限ったことではなく,永続的なものであるべきである.
執筆者の一覧を見ていただきたい.本書は,眼感染症分野で抗菌薬適正使用に真剣に取り組んできた医師たちによる「眼科領域 抗菌薬適正使用推進チームの提言」である.眼感染症のエキスパートといわれる執筆者たちの中で現時点でのスタンダードとなる考え方,処方が示されている.
総論では,全身の感染症を知り尽くした感染症内科のオピニオンリーダーである青木洋介先生,矢野晴美先生に,抗菌薬と患者と微生物の関係,また抗菌薬の特徴について,わかりやすく解説していただいた.抗菌薬を使用する医師として大前提となる知識である.続いて現在の眼科領域の問題点(佐々木)に加え,マイクロバイオームの観点から抗菌薬が与える影響(江口洋先生)を明らかにしていただき,これらの抗菌薬の影響を鑑みても,なお眼科で全身投与を行うべき状況(薄井紀夫先生)を簡潔明瞭に記していただいた.各論では眼感染性疾患として,眼瞼炎(佐々木),結膜炎(中川尚先生),角膜炎(鈴木崇先生),涙囊炎(戸所大輔先生),眼窩蜂巣炎(稲田紀子先生)を取り上げ,日ごろからそれぞれのエキスパートが投与している推奨処方を,惜しみなく開示していただいた.
手術関連投与としては,周術期の考え方(佐々木)に続き,白内障を含め種々の手術関連における自施設のパスを記していただいた(子島良平先生・宮田和典先生).また,急を要する濾過胞関連感染症(丸山勝彦先生),眼内炎(薄井紀夫先生),バックル感染(出田隆一先生),角膜移植後(外園千恵先生)について,現実と理想の間でどのように抗菌薬を選択し処方するか,本音を吐露していただいた.
本書では,終始徹底的に実践にこだわった.
● 投与薬の注意点や用量用法の詳細も,本書だけですぐわかる,つまり薬剤部への問い合わせやDI 検索で調べなくとも,すぐ処方できる記載に統一した.
● 投与する前に,鑑別診断が必要な非感染性疾患の写真を一覧とし,短時間でチェックできる形式とした.
● カバーを外せば,机に置いたり患者の前で開いても違和感がない装丁とした.
すべては,患者に説明をしながらその場で開いて,見比べて,調べてすぐ処方できることにこだわった.つまり,本書は棚に飾る書ではなく,日常臨床の傍らに置いて,症例ごとに該当ページを繰って,カバーを外してボロボロになるまで使いこんでいただきたい.そうすれば,処方を思いとどまる場面も,自信をもって処方できる場面も,そして今まで使ったことがなかったキノロン以外の抗菌薬を処方する場面も体験できるはずである.
最後に,多忙の中,想いを同じくして渾身の原稿を書き上げ,推敲してくださった執筆者の先生方,立案・企画のみならず見事なまでの校正を行い,編集に奔走いただいた三輪書店の久瀬幸代氏,全ての方の多大なご尽力で完成に至った.心から感謝を申し上げたい.
本書は,次世代に向けて抗菌点眼薬の温存を心から願う執筆者たちの想いそのものである.眼科領域における抗菌薬の不適切使用削減と,抗菌薬を次世代に繋ぐために役立つことを願う.
2021年10月
佐々木香る
目次
Chapter1 抗菌薬の基本事項と大原則
01 抗菌薬使用の大原則・・・青木洋介
1. 医療全般を危うくする抗菌薬耐性
2. 体内に不可欠な微生物
3. ヒト・抗菌薬・起因菌の三角関係
4. エッセンス:抗菌薬適正使用の大原則
02 抗菌薬系統別の特徴と注意点・・・矢野晴美
1. 抗菌薬適正使用の実践に向けて
2. 主な抗菌薬の特徴とチェックポイント
ペニシリン系抗菌薬
セフェム系抗菌薬
カルバペネム系抗菌薬
グリコペプチド系抗菌薬
オキサゾリジノン系抗菌薬
アミノグリコシド系抗菌薬
フルオロキノロン系抗菌薬
クリンダマイシン
テトラサイクリン系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
クロラムフェニコール
ST合剤
03 抗菌薬点眼・内服は熟考して処方すべきもの,これが基本・・・佐々木香る
1. 白内障周術期に,どれほどの量の抗菌薬投与が適切か
2. 角膜炎に対する抗菌薬の全身投与
3. 結膜炎におけるキノロン点眼
4. 身の回りを見渡して
04 安易な抗菌薬内服が及ぼす怖い影響・・・江口 洋
1. 抗菌薬がマイクロバイオームに及ぼす影響
2. 乳幼児期・小児期の抗菌薬投与が腸内フローラに及ぼす影響
3. 抗菌点眼薬の予防投与の必要性
05 眼科医が全身投与に踏み切る条件・・・薄井紀夫
1. 全身投与の適応
2. 未来を守るために
Chapter2 眼疾患別/抗菌薬使用法
01 感染性疾患
眼瞼炎・・・佐々木香る
1. 眼瞼炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 抗菌薬投与に至るフローチャート
3. 抗菌薬投与前に鑑別すべき抗菌薬不要な疾患
実際の疾患別処方例
麦粒腫・化膿性霰粒腫
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
麦粒腫・化膿性霰粒腫の処方例
麦粒腫・化膿性霰粒腫の抗菌薬中止時期
眼瞼膿瘍
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
眼瞼膿瘍の処置と処方例
眼瞼膿瘍の抗菌薬中止時期
ブドウ球菌性眼瞼炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
ブドウ球菌性眼瞼炎の処方例
ブドウ球菌性眼瞼炎の抗菌薬中止時期
結膜炎・・・中川 尚
1. 結膜炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 抗菌薬投与に至るフローチャート
3. 抗菌薬投与前に鑑別すべき抗菌薬不要な疾患
実際の疾患別処方例
細菌性結膜炎(淋菌を除く)
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
細菌性結膜炎の処方例
細菌性結膜炎の抗菌薬中止時期
淋菌性結膜炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
淋菌性結膜炎の処方例
淋菌性結膜炎の抗菌薬中止時期
クラミジア結膜炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
クラミジア結膜炎の処方例
クラミジア結膜炎の抗菌薬中止時期
角膜炎・・・鈴木 崇
1. 角膜炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 抗菌薬投与に至るフローチャート
3. 治療としての抗菌薬投与前に鑑別すべき疾患
実際の疾患別処方例
細菌性角膜炎
細菌性角膜炎に共通する臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
起因菌ごとの臨床像と処方例
グラム陽性球菌による角膜炎
グラム陰性桿菌による角膜炎
コリネバクテリウム角膜炎
非定型抗酸菌角膜炎・ノカルジア角膜炎
細菌性角膜炎の抗菌薬中止時期
カタル性角膜浸潤
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
カタル性角膜浸潤の処方例
カタル性角膜浸潤の抗菌薬中止時期
マイボーム腺炎角膜上皮症
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
マイボーム腺炎角膜上皮症の処方例
マイボーム腺炎角膜上皮症の抗菌薬中止時期
涙囊炎・・・戸所大輔
1. 涙囊炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 抗菌薬投与に至るフローチャート
3. 抗菌薬投与前に鑑別すべき抗菌薬不要な疾患
実際の疾患別処方例
急性涙囊炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
急性涙囊炎の処方例
急性涙嚢炎の抗菌薬中止時期
慢性涙囊炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
慢性涙囊炎の処方例
慢性涙囊炎の抗菌薬中止時期
涙小管炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
涙小管炎の処方例
涙小管炎の抗菌薬中止時期
眼窩蜂巣炎・・・稲田紀子
1. 眼窩蜂巣炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 抗菌薬投与に至るフローチャート
3. 抗菌薬投与前に鑑別すべき抗菌薬不要な疾患
実際の疾患別処方例
副鼻腔炎から波及した眼窩蜂巣炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
副鼻腔炎から波及した眼窩蜂巣炎の処方例
副鼻腔炎から波及した眼窩蜂巣炎の抗菌薬中止時期
内因性眼内炎に起因した眼窩蜂巣炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
内因性眼内炎に起因した眼窩蜂巣炎の処方例
内因性眼内炎に起因した眼窩蜂巣炎の抗菌薬中止時期
02 手術関連感染症
濾過胞関連感染症・・・丸山勝彦
1. 濾過胞関連感染症における抗菌薬投与の使用原則
2. 早期診断のために見逃してはいけない所見
3. 診断に迷ったときにどうすべきか
実際の疾患別処方例
濾過胞関連感染症〔ステージⅠ(濾過胞炎)〕
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
ステージⅠの処方例
抗菌薬中止の時期
予 後
濾過胞関連感染症〔ステージⅡ~Ⅲ(眼内炎)〕
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
ステージⅡ~Ⅲの処方例
外科治療の時期
抗菌薬中止の時期
予 後
4. 有濾過胞眼に対する抗菌薬予防投与について
眼内炎・・・薄井紀夫
1. 細菌性眼内炎における抗菌薬投与の使用原則
2. 早期診断のために見逃してはいけない所見
3. 感染症かどうか迷ったときにどうすべきか
4. 硝子体手術の実際
実際の疾患別処方例
術後急性細菌性眼内炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
術後急性細菌性眼内炎の処方例
抗菌薬中止の時期
白内障術後遅発性眼内炎
臨床像
治療に際しての注意点
内因性眼内炎
臨床像
抗菌薬投与に際しての注意点
真菌性眼内炎の特徴と鑑別ポイント
5. 眼内炎発症予防に関連する抗菌薬投与についての私見
バックル感染・・・出田隆一
1. 強膜バックリング術後感染症
2. 抗菌薬使用の考え方
3. まとめ
03 予防投与
白内障周術期における考え方・・・佐々木香る
1. 白内障周術期における抗菌薬投与量の提案
2. 眼科領域における周術期抗菌薬適正使用のガイドライン
周術期における予防投与の実際・・・子島良平・宮田和典
1. 抗菌点眼薬の予防投与の現状と問題点
2. 内眼手術および外眼手術での抗菌薬投与の実際
Column
角膜移植後の抗菌薬投与-眼表面は嘘をつかない-・・・外園千恵
付 録
・菌の名称から抗菌薬を選択するための参考処方例ページ・・・佐々木香る
・眼科医師が頻用する抗菌薬(キノロン系もしくはセフェム系)の使用について注意が必要な細菌・・・佐々木香る
・その他,覚えておきたい特殊な菌と選択すべき全身抗菌薬・・・佐々木香る
・「実は真菌!」と判明した場合の抗真菌薬局所投与の作製法・・・佐々木香る
・腎機能低下時に減量が必要な抗菌薬・抗真菌薬(成人)・・・青木洋介
・腎機能・肝機能による用量調整が不要な抗菌薬・抗真菌薬(成人)・・・青木洋介
あとがき-日本眼感染症学会から-・・・井上幸次
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書籍情報
- ISBN:9784895907378
- ページ数:312頁
- 書籍発行日:2021年11月
- 電子版発売日:2021年12月8日
- 判:A6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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