心不全の心臓リハビリテーション U40世代のanswer

  • ページ数 : 386頁
  • 書籍発行日 : 2022年1月
  • 電子版発売日 : 2022年1月19日
7,260
(税込)
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商品情報

内容

若手医師と若手メディカルスタッフによる初めての心不全リハの実践書

U-40心不全ネットワークを中心に,最前線で活躍する若手医療者による心不全に特化した心臓リハビリテーションの実践的書籍.エビデンスで語れる領域はもちろん,語ることが困難な領域についても症例や経験を交えて各分野のスペシャリストが記載.明日からの臨床ですぐに役立てられる「決め台詞集」「失敗談」「スコア・図表」も収録し,心臓リハビリテーションにかかわるすべての医療者に有益な一冊となっている.

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序文

序文

「心不全パンデミック」という言葉が聞かれるようになって久しい.心不全患者は人口の高齢化に伴い増加の一途を辿っており,循環器領域における心不全診療の重要性は年々増している.

心臓リハビリテーションは1970年代に急性心筋梗塞発症後を対象に早期離床と社会復帰を目指して実施されるようになった.一方,心不全においても同様に,心臓リハビリテーションは神経体液性因子や炎症性サイトカイン,血管内皮機能,骨格筋代謝等の改善を経て,運動耐容能の改善や再入院予防等の予後の改善に有効であることがわかってきた.また,心不全はフレイル・サルコペニアといった病態が併存することも多く,この超高齢社会において心臓リハビリテーションは必要不可欠な循環器医療となっている.実際に,近年制定された,「脳卒中・循環器病対策基本法」の基本的施策においても,心臓リハビリテーションという言葉はあちらこちらに散見され,その必要性や期待の高さがうかがえる.

そのようななか,2013年に40歳以下の心不全診療に興味をもつ有志で立ち上げたU40心不全ネットワーク(https://u40hf.com/)では,医療現場の最前線で活躍する若手の医療者による心不全に特化した心臓リハビリテーションの実践的書籍を企画した.

本書は,心不全における心臓リハビリテーションについて,エビデンスに基づき整理することを主眼におき,エビデンスが未構築またはエビデンスで語ることが困難な領域においても,それぞれのスペシャリストに症例や経験を交えて執筆いただいた.また,明日からの日常臨床に活用してもらえるように,巻末にはコラムとして今すぐ使える「心臓リハビリの決め台詞や失敗談」や「心臓リハビリに役立つスコア・図表」を盛り込んだ.編集途中には「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」が改訂されることとなったが,こちらも執筆者の先生方に対応いただき,最新の内容として追加した.

以上の内容は,心臓リハビリに関わる,医師や看護師,薬剤師,理学療法士,栄養指導士,作業療法士などのメディカルスタッフにとって,初学者から上級者にいたるまで大いに役立つものであると自負しており,本書が循環器診療に携わるすべての方々にとって有益であることを切望する.

最後に,本書の発行に際し,貴重な機会を頂き,辛抱強く企画,編集いただいた中外医学者企画部桂彰吾氏ならびに編集部の皆さまに心から感謝の意を表したい.


2021年11月

谷口達典

目次

1章 心不全における心臓リハビリ:総論

1.心不全における心臓リハビリのエビデンス〈谷口達典〉

A.心不全における心臓リハビリ

B.心臓リハビリの効果

C.HFrEF vs HFpEF

D.急性期リハビリvs慢性期リハビリ

E.運動様式

F.心臓リハビリと心不全の予後

G.心臓リハビリの安全性

H.費用対効果

I.心臓リハビリのエビデンス構築にまつわる課題

2.心不全の病態生理と心臓リハビリ〈木阪智彦 武田充史〉

A.心不全の病態生理

B.心筋梗塞の病態生理

C.心不全,心筋梗塞に対する運動療法

D.病態生理にもとづいた心臓リハビリ

E.令和時代の心臓リハビリを実践するため理解すべき病態メカニズム

3.心不全におけるCPXによる病態評価と検査方法〈上田正徳 村田 誠〉

A.心肺運動負荷試験の意義

4.心臓リハビリのさまざまな評価指標〈河野裕治〉

A.筋力

B.歩行速度

C.抑うつ

5.心臓リハビリの質の評価〈水野 篤〉

A.医療の質の定義

B.質評価指標は実際にどのようにして決めるのか?

C.質評価指標の構造

D.Quality measuresから学ぶこと

6.心臓リハビリと診療報酬〈大石醒悟〉

A.心臓リハビリの全体像

B.心大血管疾患リハビリテーション料と周辺事項

C.集中治療室におけるリハビリ

D.回復期以降のリハビリ

2章 時間軸で評価する心臓リハビリ

1.急性期心臓リハビリ〈高橋裕介〉

A.心不全患者に対する早期離床

B.心不全急性期における病態の把握

C.離床プログラム

D.離床困難な患者に対する早期リハビリの可能性

2.前期回復期〈長村生野〉

A.前期回復期における入院心臓リハビリ

B.前期回復期における心不全療養指導

3.後期回復期〈伊藤新平〉

A.慢性心不全の外来心臓リハビリ

B.心筋梗塞後に対する外来心臓リハビリ

C.外来心臓リハビリの実際

D.当院の紹介,症例提示

E.外来心臓リハビリが普及しない理由

F.外来心臓リハビリに通院できない理由

4.維持期心臓リハビリ〈齊藤正和〉

A.維持期心臓リハビリの目的と効果

B.本邦の維持期心臓リハビリの現状

C.地域密着型維持期心臓リハビリ支援活動「MedExクラブ」

D.MedExクラブの活動の実際

E.維持期リハビリの今後の課題

3章 ハートチームによる心臓リハビリ

1.ハートチームによる心臓リハビリ〈若林留美〉

A.チーム医療とは

B.心不全におけるチーム医療の必要性

C.ハートチームによる包括的心臓リハビリプログラムの実施

D.ハートチームが円滑に運営されるために必要な整備

E.ハートチーム介入による疾病管理プログラムの実際(事例)

2.心臓リハビリにおける患者教育〈仲村直子 北井 豪〉

A.患者教育のエビデンス

B.心臓リハビリにおける患者教育のポイント

C.心臓リハビリでの禁煙支援

3.心臓リハビリにおける栄養指導〈宮島 功〉

A.栄養指導の考え方の変化

B.心不全再発の基本は減塩指導

C.エネルギー摂取量の確保の重要性

D.適正体重について

E.身体構成成分の考え方

F.心臓悪液質・体重減少に対する考え方

G.まとめ

4.心臓リハビリにおける服薬指導〈中村美紀〉

A.心臓リハビリにおける薬剤師の役割は患者教育と薬学的管理である

B.なぜこの薬を飲む必要があるのか,いつまで飲む必要があるのかを説明し服薬アドヒアランスを

  向上させる,またこの薬を飲むことのリスクは何かを説明し副作用重篤化を回避する

C.患者の生活環境・家族背景・認知機能などの情報を共有し,在宅での服薬管理を多職種で取り組む

D.薬学的管理では,各種診療ガイドラインの概要を理解し推奨薬剤の提案を行い,

  個々に合わせた薬物治療適正化を推進する

E.市販薬とワルファリンの相互作用

5.心臓リハビリにおける地域包括医療〈荻原真之〉

A.地域における運動療法

B.疾病管理としての心臓リハビリ

C.在宅を中心とした心不全の疾病管理

D.心臓リハビリにおける地域包括的医療の実際

6.心不全患者の訪問リハビリ〈鬼村優一〉

A.訪問リハビリの役割

4章 さまざまな心臓リハビリアプローチ

1.AT処方による運動療法〈三浦弘之〉

A.運動量と運動療法の効果・リスクの関係

B.運動中のエネルギー代謝とAT

C.AT決定法

D.AT処方のメリット,デメリット

E.AT処方の具体例

2.CPXによらない運動処方〈熊坂礼音〉

A.患者要因によるCPX施行不能例への対応

B.運動処方時の注意

C.運動強度

D.運動時間・頻度

E.運動強度の変更・外来リハビリでの注意点

F.運動療法時の注意点

G.CPX検査を行わないことについて

3.レジスタンス運動〈田屋雅信〉

A.エビデンス

B.メリットとデメリット

C.高齢心不全に対するレジスタンストレーニング

4.高強度インターバルトレーニング〈設楽達則〉

A.エビデンス

B.メリットとデメリット

5.電気刺激を活用した心臓リハビリ〈田中伸弥 神谷健太郎〉

A.神経筋電気刺激療法のエビデンス

B.NMESの方法

5章 心不全併存疾患別心臓リハビリ

1.COPD〈木村(秋月)三奈〉

A.COPDと心不全

B.COPDの生存率

C.COPDが心機能に及ぼす影響

D.COPDに心不全を合併した場合の生存率

E.COPDにおける身体活動量と予後

F.COPD合併心不全に対するリハビリの効果

G.COPD合併疾患があることによる注意すべき点とその対処方法

H.COPD合併心不全に対するリハビリの実際

2.不整脈〈佐藤宏行〉

A.心房細動

B.心室性不整脈・ICD

C.ペースメーカ

D.心臓再同期療法

3.CKD〈相澤直輝〉

A.心腎連関

B.CKD(ESKD)とは?

C.CKDと心不全の疫学

D.CKD合併心不全患者に対する心臓リハビリ

4.整形疾患〈竹内雅史〉

A.ロコモティブシンドロームや整形疾患単体での生存率,心不全合併による悪影響

B.ロコモや整形疾患合併の心不全に対する心臓リハビリの効果

C.ロコモや整形疾患があることによる注意点とその対処法

D.症例提示

5.脳卒中〈山下遊平 生須義久〉

A.脳血管障害と心臓リハビリ

B.心臓リハビリと合併症

C.注意点と対処方法

6.肺高血圧症(PH)〈田村雄一〉

A.PHに対する運動療法のエビデンス

B.PHの運動療法は運動耐容能が低い例に有効

C.PHに対する運動療法の安全性

D.自験例:WiiFit®を用いたPH患者に対する在宅運動療法の有効性

7.糖尿病,高度肥満,やせ〈加藤大志〉

A.糖尿病

B.肥満・やせ

6章 特別な注意を必要とする症例

1.高齢者のフレイル・サルコペニアの心臓リハビリ〈小西正紹〉

A.サルコペニア・フレイルと心不全における現在のエビデンス

B.サルコペニア・フレイル合併心不全に対する心臓リハビリの効果

C.サルコペニア・フレイル合併患者の心臓リハビリにおける注意点と対処方法

2.ACHDの心臓リハビリ〈椎名由美 児玉浩幸〉

A.成人先天性心疾患の頻度および予後

B.ACHD患者の運動耐容能低下・サルコペニア

C.Fontan循環と骨格筋

D.ACHD患者のサルコペニアの予防

E.ACHD患者に対する運動処方

F.ACHD患者に対する在宅リハビリ

3.うつ・認知症患者に対する心臓リハビリ〈石井亜由美〉

A.心不全とうつ

B.心不全と認知症

4.周術期の心臓リハビリ〈岡田大輔〉

A.術前心不全管理とリスク評価

B.術前の身体機能

C.術前の心臓リハビリのエビデンス

D.術後リハビリ

E.周術期心臓リハビリの実際

F.適切な介入時期は?

G.介入時の注意点は?

H.術前の運動処方は?

I.運動療法以外の術前のサポートは?

J.初回離床時の注意点は?

K.術後リハビリの進め方は?

5.重症心不全患者への心臓リハビリ〈新保麻衣〉

A.重症心不全とは

B.重症心不全への運動療法

C.包括ケアとしての心臓リハビリ

6.心臓移植前後の心臓リハビリ〈神田龍馬〉

A.心臓移植術後の心臓リハビリ

B.心臓移植待機期間の長期化と心臓移植術前の心臓リハビリ

7.終末期心不全に対する心臓リハビリ〈鷲田幸一〉

A.心臓リハビリの定義・概念の変遷

B.医学モデルから生活モデルへ,ケアモデルの変遷

C.終末期心不全に対する心臓リハビリ

D.終末期ケアとしての心臓リハビリ

E.心不全緩和ケアとしての心臓リハビリ

F.具体的事例において考える

column 1.遠隔心臓リハビリ〈菊池篤志〉

column 2.海外における心臓リハビリ〈木阪智彦〉

column 3.ロボットを使った心臓リハビリ〈高橋裕介〉

column 4.クリニカルパスを使った心臓リハビリ〈高橋佑太 西畑庸介〉

column 5.心臓リハビリ立ち上げのコツ〈岡村大介 桑原政成〉

column 6.腹部大動脈瘤と心臓リハビリ 〈中出泰輔〉

column 7.がんと心臓リハビリ 〈木田圭亮 貝原俊樹〉

column 8.心臓リハビリにおける決め台詞集

column 9.心臓リハビリにおける失敗談

付録 心臓リハビリに役立つスコア・図表

[1] うつの評価尺度:PHQ-2日本語版

[2] うつの評価尺度:PHQ-9日本語版

[3] うつの評価尺度:HAD

[4] うつの評価尺度:SDS

[5] 栄養の尺度:CONUT

[6] 栄養の尺度:PNI

[7] 栄養の尺度:GNRI

[8] 栄養の尺度:GLIM criteria

[9] 栄養の尺度:MNA

[10] CKDの重症度分類

[11] 認知機能:MMSE

[12] 認知機能:長谷川式

[13] 身体機能の尺度:SPPB

[14] 6分間歩行の基準値

[15] Borg指数

[16] 手術死亡率:Euroscore

[17] 手術死亡率:STS score

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書籍情報

  • ISBN:9784498067387
  • ページ数:386頁
  • 書籍発行日:2022年1月
  • 電子版発売日:2022年1月19日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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