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商品情報
内容
薬剤による生活機能低下が見過ごされたまま,生活機能低下に対してリハビリテーションを行っていることがあります.
そこでリハビリテーションと薬物療法との距離を近づけるべく,『リハ薬剤』の考え方・概念が登場しました.
本書は『リハ薬剤』を実践するための手引書であり,シームレスな支援の一助となる一冊です.
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序文
はじめに
リハ薬剤とは,リハビリテーション(以下リハ)と薬剤の距離を縮めることを目的とした文字通りリハと薬剤を合わせた言葉です.私が経験するリハの現場は病院です.病院の薬剤師配置が一般病棟や療養病棟で進む一方で,回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟での薬剤師配置は専従化されませんでした.実際には,回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟においても薬剤師による薬物療法の調整が必要です.退院した患者さんは生活の場に帰っていきます.薬物療法の大半は生活の中にあります.これまでの薬剤師は処方から患者さんをみることを重視してきたため,生活から薬を考えることは苦手としてきました.
リハでは,生活をみることを得意としています.リハとは,失われた身体機能を回復する訓練,とのみ捉えられがちです.リハには,身体的な回復だけではなく,精神的にも,社会的にも,個人の生活の質を高める支援をすることが含まれています.リハの現場では,生活を全人的に評価する国際生活機能分類(ICF)が用いられ,ICFの評価を基にリハの目標が決定します.
薬剤師がICFの評価をできるようになると生活の中にある薬物療法の視点が加えられます.ICFは,薬物療法が得意とする部分と非薬物療法が得意とする部分のお互いの強みを生かすことができます.本書『リハ薬剤マネジメント』は,リハ薬剤実践のための手引書です.本書が,リハと薬剤の距離を感じさせないバリアフリーの支援を目指す一助となれば幸いです.
2021年9月
中道 真理子
おわりに
リハ薬剤という言葉を私が作ったのは,2017年です.老年医学や総合診療医学の領域では,ポリファーマシーなどが注目されてきましたが,リハ領域ではまだ注目されているとは言い難い状況です.一方,薬学領域では日本老年薬学会が設立されて高齢者の薬物療法は注目されていますが,リハを要する障害者の薬物療法はまだ注目されていません.
リハの臨床現場では,薬剤性パーキンソン症候群,薬剤性嚥下障害,薬剤性排泄障害,薬剤性意識障害,薬剤性サルコペニアなど,薬剤による生活機能低下を認める障害者は少なくありません.しかし,薬剤師は薬物有害事象には詳しくても,生活機能や暮らしには詳しくありません.一方,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士といったリハ関連職種は生活機能には詳しくても,薬剤には詳しくありません.また,医師や看護師で,薬物有害事象と生活機能の両方に詳しい方はあまりいません.その結果,薬剤による生活機能低下が見過ごされたまま,生活機能低下に対するリハを行っていることがよくあります.当然,生活機能やQOLを最大限高めることはできません.
そこでリハと薬剤の距離を近づけるべく,リハ薬剤という言葉と概念を作りました.一部の薬剤師には,疾患モデルではなく生活モデルの薬物療法を専門にしてほしいと期待しています.リハ関連職種には,生活機能低下の原因として薬物有害事象の可能性を疑い,薬剤師や医師に相談してほしいです.そして今後,リハ薬剤に関するエビデンスが増えて,地域包括ケア病棟や回復期リハ病棟などで薬剤師の病棟専任が義務化され,リハカンファレンスへの薬剤師の参加が当然となる時代が来ることを期待しています.本書がその一助になれば幸いです.
2021年9月
若林 秀隆
目次
Chapter 1 リハ薬剤マネジメント
1.リハ薬剤マネジメントとは
2.リハ薬剤アセスメント・推論
3.リハ薬剤ゴール設定
4.リハ薬剤介入
5.リハ薬剤モニタリング
Chapter2 薬剤起因性老年症候群関連薬
1.抑うつ
2.ふらつき・転倒
3.食欲不振
4.便秘・下痢,便失禁
5.排尿障害・尿失禁
6.摂食嚥下障害
Chapter3 セッティング別のリハ薬剤マネジメントの実践
1.地域(外来)
2.高齢者施設
3.急性期病院
4.地域包括ケア病棟
5.回復期リハ病棟
Chapter4 リハ薬剤マネジメントのケースレポート
1.地域(外来)
2.高齢者施設
3.急性期病院
4.地域包括ケア病棟
5.回復期リハ病棟
Chapter5 リハ薬剤にかかわる専門職種
1.PT(理学療法士)
2.OT(作業療法士)
3.ST(言語聴覚士)
4.Ns(看護師)
5.DH(歯科衛生士)
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書籍情報
- ISBN:9784525777012
- ページ数:304頁
- 書籍発行日:2021年9月
- 電子版発売日:2022年2月9日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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