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- ガチ産業医presents 産業医のピットフォール
商品情報
内容
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序文
はじめに
はじめまして,ガチ産業医の五十嵐 侑と申します.
私は日本で唯一産業医を養成する大学である産業医科大学を卒業し,その後産業医としてのトレーニングコースで修練を積み,現在も産業医学を専門としている者です.日々ガチンコで産業医学に向き合っていることから,「ガチ産業医」として,SNS での発信や,ガチ産業医ブログを書いております.この本は,ガチ産業医ブログから,特に大事だと思った内容をまとめたものになります.この本のターゲットは,現在産業医活動をしている方や,これから産業医をしようとしている医師・医学生向けをメインにしてはいますが,それだけではなく,同じ産業保健活動に従事する産業看護職や心理職,衛生管理者,安全衛生担当者にも読んでいただきたいと思っております.この本では,産業医として表現している部分も,適宜産業保健職として置き換えていただければと存じます.
この本の切り口は「産業医活動のピットフォール(落とし穴)」です.産業医活動は企業ごとにその中身が変わってきますし,連携対応する人も様々です.その中で合意形成や着地点探しをすることもあり,正解がないことも多いと言えます.しかし,落ちてはいけない落とし穴,踏んではいけない地雷のようなものは多く存在します.プロ野球の野村克也監督は,「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」と述べていますが,落とし穴にはパターンがあり,そうした落とし穴にはまってしまうことで,成果が出せない産業医活動になることや,周囲からの理解が得られず,産業医活動はちっとも楽しくない,やりがいがない,という状況に陥ってしまいます.産業医活動はやり方によってうまく進めることができ,たくさんのやりがいや醍醐味がある仕事です.落とし穴にはまってしまって,それらをわからずにやめてしまうのは非常にもったいないと思います.そして,それは産業医自身のみならず,落とし穴にはまった産業医活動・安全衛生活動が展開されてしまうことは,企業にとっても労働者にとっても,極めて不幸なことと言えます.
そこで,私がこれまでの専属・嘱託産業医活動の中で多くの落とし穴にはまってきた経験や,諸先輩方から教わった経験,後進産業保健職の育成,産業保健に関わる研究活動,産業保健職間のネットワークなどから得られた知見を「産業医活動のピットフォール(落とし穴)」として発信することで,皆さまの産業医活動の一助になればと思い執筆を始めました.この書籍は,ある意味では自分がはまってきた落とし穴を紹介することで,次にまたはまらないようにという自戒の気持ちもこもっています.読者の皆様が,落とし穴にはまらない産業医活動を行うことで,世の中の働く人たちの健康・ウェルビーイングの支援につながれば大変嬉しく思います.
2021年11月
五十嵐 侑
目次
本書のピットフォール一覧
この本の読み方
落とし穴とは何か
落とし穴を踏まえた上での産業医活動の進め方
用語の注意
なぜ落とし穴が多く発生するのか
産業医側の背景
企業側の背景
労働者側の背景
【1章 産業医の役割について】
①仕事を人に適合させる
②安全配慮義務の履行の補助者
安全配慮義務の過大解釈の落とし穴
過介入な安全配慮義務の落とし穴
疾病利得の落とし穴
労働判例の落とし穴
手段債務と結果債務
③産業医は企業の健康のリスクマネジメントの助言者
4 つの責任
④産業医は安全衛生活動の脇役
法的背景
安全衛生活動の主役は労使
事業者・労働者間におけるコンフリクト
助言者として実現可能性を協働して模索する
助言先の「事業者」とは
⑤産業医の役割の変遷
[コラム①]「困った産業医とは! ?」
【2章 産業医活動のジレンマ】
①疾病利得
疾病利得は本人の利益になるのか
部署全体を見て就業上の措置をかける
落とし穴に対する工夫
②臨床医マインド
産業医と臨床医の比較
疾病性ばかり評価する落とし穴
従業員(患者)に肩入れしすぎる落とし穴
守秘義務の落とし穴
確定診断に固執するという落とし穴
診断と治療という落とし穴
緊急時の対応・処置の落とし穴
病気のレッテルという落とし穴
疾病性を説明するという落とし穴
疾病性を現場に評価させるという落とし穴
③健康を扱うことの難しさ
健康を目的とする落とし穴
健康至上主義の落とし穴
倫理的配慮の落とし穴
ポピュレーション・アプローチの落とし穴
健康経営の落とし穴
[コラム②]産業保健はチーム・体制づくり
【3章 産業医活動の様々な場面の落とし穴】
①健康診断事後措置
健康診断の目的の落とし穴
健診判定の落とし穴
健診結果だけで判定という落とし穴
文脈なき就業制限という落とし穴
就業制限基準の落とし穴
就業制限期間の落とし穴
②面談
目的なき面談の落とし穴
③受診勧奨
言われるがまま受診という落とし穴
薬が処方されないという落とし穴
健診機関の判定基準の落とし穴
自己保健義務への受診勧奨の落とし穴
受診ハードルの落とし穴
④保健指導
根拠・目的が曖昧な保健指導の落とし穴
一方的指導という落とし穴
お節介の功罪という落とし穴
健康至上主義の落とし穴
生活習慣が個人の問題という落とし穴
時間意識・コスト意識のない保健指導の落とし穴
特定保健指導の混同の落とし穴
期待しすぎの落とし穴
エビデンスの落とし穴
⑤職場巡視
目的なき職場巡視という落とし穴
記録を残さない落とし穴
質問なき職場巡視の落とし穴
ルール・マナー違反の職場巡視の落とし穴
あら探しの職場巡視の落とし穴
根拠や改善策なき指摘という落とし穴
非定常作業の落とし穴
想像力なき職場巡視の落とし穴
仕組み化なき対策という落とし穴
その場限りの対策という落とし穴
月に1 度だけ職場巡視という落とし穴
計画なき職場巡視の落とし穴
[コラム③]新しい職場で産業医をはじめるとき
⑥衛生委員会
目的意識なき衛生委員会参加の落とし穴
スケジュールの落とし穴
アウトな発言の落とし穴
顔をつぶすという落とし穴
公平性の落とし穴
アップデート不足の落とし穴
周知の落とし穴
⑦衛生講話
企業ニーズとミスマッチの落とし穴
対象者分析不足の落とし穴
専門用語の落とし穴
長すぎるという落とし穴
高すぎるゴール設定の落とし穴
タイミングの落とし穴
後追い型の落とし穴
おまけ:衛生講話100 選
[コラム④]産業医として情報収集
⑧過重労働面談
目的なき面談という落とし穴
安全配慮義務の落とし穴
実効性なき措置の落とし穴
報告書なき面談という落とし穴
残業が悪という落とし穴
残業が体に悪いという落とし穴
残業はメンタルに悪いという落とし穴
Healthy worker effect(健康労働者効果)の落とし穴
36 協定の落とし穴
法の番人という落とし穴
残業自己申告の落とし穴
タイムラグの落とし穴
⑨メンタルヘルス対策
はじめに
コミットメントなき落とし穴
もぐらたたきのメンタルヘルス対策の落とし穴
計画なきメンタルヘルス対策の落とし穴
ゼロ目標の落とし穴
掘り起こしの落とし穴
人材流動性の落とし穴
企業カルチャーの落とし穴
業務起因性の落とし穴
疾病性の落とし穴
[コラム⑤] 精神科医じゃなくてもメンタルヘルスは対応できるのか
⑩自殺対策
相談してくださいの落とし穴
産業医ありきの仕組みづくり
情報周知の落とし穴
情報発信の落とし穴
自殺話題忌避の落とし穴
自殺忌避のメンタルヘルス対策の落とし穴
産業医が当事者の落とし穴
ジェンダーロールの落とし穴
防ぎえない自殺
おまけ
⑪ストレスチェック
事業者の主体性なき落とし穴
一次予防という落とし穴
支援なき調査介入の落とし穴
曖昧なターゲットの落とし穴
スクリーニングの落とし穴
レッテル貼りという落とし穴
エビデンスの落とし穴
安全配慮義務の落とし穴
⑫ストレスチェック―高ストレス者面談
はじめに
目的なき面談の落とし穴
目的なき受検者の落とし穴
人事マターの落とし穴
報告書なき面談という落とし穴
アンバランスな情報の落とし穴
個人情報の落とし穴
⑬ストレスチェック―集団分析
はじめに
集団分析の実施状況
コミットメントなき職場環境改善
流動性の落とし穴
管理職の通知表という落とし穴
人数規模の落とし穴
任意受検の落とし穴
繁忙期の落とし穴
対策の難しさ
解釈の落とし穴
⑭復職支援
主治医の意見通りの落とし穴
判断基準の落とし穴
復職不可の落とし穴
産業医が全部判断する落とし穴
休職満了の落とし穴
職場環境改善なき職場復帰の落とし穴
業務起因性の落とし穴
休職支援の落とし穴
支援しすぎの落とし穴
働くことは健康に悪い? の落とし穴
疾病性の落とし穴
⑮健康情報の取り扱い
守秘義務の落とし穴
法定外項目の落とし穴
取り扱い禁止の健康情報
人事的不利益な取り扱いという落とし穴
感染症差別の落とし穴
LGBTQ+差別の落とし穴
就職差別の落とし穴
過剰配慮・疾病利得の落とし穴
ルールの実効性の落とし穴
自己決定権の落とし穴
補足
[コラム⑥]産業医活動と仕組み作り
⑯がん検診
がん検診の功罪の落とし穴
検診の質の落とし穴
がん検診受診率の落とし穴
対策型検診の落とし穴
がん検診の実施目的の落とし穴
がん検診の受診目的不明の落とし穴
安全配慮義務の落とし穴
法定外項目の落とし穴
エビデンスの落とし穴
福利厚生の落とし穴
不幸なイベントの落とし穴
最後に
⑰勧告権
プロセスなき勧告という落とし穴
勧告して終わりという落とし穴
勧告のあて先が人事や管理職という落とし穴
根拠が希薄な勧告という落とし穴
重大性なき勧告という落とし穴
具体的対策がない勧告という落とし穴
口頭勧告という落とし穴
忖度と迎合という落とし穴
⑱ブラック産業医
ブラック発言の落とし穴
知らず知らずに不当解雇に加担してしまう落とし穴
人事部癒着の落とし穴
産業医の取るべきスタンス
[コラム⑦]産業医としてのトレーニング
あとがき・謝辞
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書籍情報
- ISBN:9784498014145
- ページ数:222頁
- 書籍発行日:2022年2月
- 電子版発売日:2022年2月9日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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