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- メディカルスタッフのための基礎からわかるカウンセリングと心理療法
商品情報
内容
カウンセリングや心理療法の技法は,心理専門職のみならず,医療職にとっても患者・家族との対人関係を築くうえで,非常に有用なものです.
本書では,医療職が日常の業務に活かせるカウンセリングや心理療法について,それらの基礎となる理論から具体的な技法・ケースまで,読みやすい文章とイラストで解説していきます. 各種医療職の養成校のテキストとしてだけでなく,カウンセリング・心理療法を学びたい医療職向けの入門書としても最適な一冊です.
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序文
まえがき
本書は,メディカルスタッフをはじめとする対人援助職を志す人々に向けて,心理的支援を行う際に必要な考え方や知識をまとめたものです.ここで紹介する内容は,いずれも実際の支援(医療をはじめとするさまざまな領域で行われる心理的支援やいわゆるカウンセリング)を行うとき,基本としておさえておきたいものです.
第1~3章では,カウンセリングの意味合いや考え方,第4章では伝統的な治療法である精神分析学,第5章では特に行動面の修正を目指す行動療法,第6章ではカウンセリングの代名詞ともいえる来談者中心療法,第7章ではものの考え方やとらえ方に関与する認知療法・認知行動療法,第8章では対人交流を理解し豊かな交流を実現する交流分析,第9章では今生じている対人関係に焦点化し調整を試みる対人関係療法,第10章では第4~9章で紹介した心理療法と同様に大切ないくつかの心理療法についてまとめました.これらの心理療法は,臨床心理学をベースとした支援を行う際に有用なものであり,その考え方やエッセンスは,メディカルスタッフをはじめとした対人援助職全般に求められるものです.また,第11~12章では子どもと大人の理解や関わり方について,第13章では心身の健康保持増進に関わる考え方についてまとめました.これらの知識は,実際の臨床場面で支援を行うときにも必要となるものです.さらに,第14章では心理検査法について,第15章では精神疾患について取り上げ,それぞれの特徴や留意点などをまとめています.これらはいずれも臨床で活躍する際には前提としておさえておきたい知識です.
以上のとおり,本書は臨床心理学的な支援やカウンセリング,心理療法の基礎を学ぶためのものとして構成され,初学者に必要な知識を十分にお伝えすることを目的としています.もっとも,実臨床の場面で活躍する際に必要な知識はこの限りではなく,継続した学習と技能のブラッシュアップが必要不可欠ですが,基本的な知識の獲得や蓄積した知識の整理を行う際に本書がお役に立てれば幸いです.
2020年3月にCOVID-19が蔓延して以来,私たちの生活スタイルは大きく変化しました.カウンセリングをはじめとした対人支援のあり方も問われるようになり,こうした環境下でクライエントや患者とよばれる要支援者を支えるために,現在でもさまざまな工夫が続けられています.
「人を支えること」とはどのようなことなのでしょうか? このような環境のなかで私たち支援者に求められることは多様であり,また難しくもあります.要支援者を適切に支え,よりよい日常を送るためのお手伝いができるような専門家を目指すとき,私たちは日々勉強し,研鑽することが求められます.
カウンセラーや心理専門職とよばれ,その名の下に活躍できるようになるためには,勉強(知識の蓄積)に加えて実践がとても重要です.心理専門職を目指すプロセスでは,演習や実習の機会において実践を経験し,十分なトレーニングを積むことが求められます.しかし,こうした実践やトレーニングは,カウンセラーや心理専門職を目指す人に限定されることはなく,メディカルスタッフであれば誰もが求められるものともいえます.こうした実践をよりよいものとするためには,その実践の背景にある考え方や理論,方法論を十分に知り,実践を解釈しながら理解し,ときにはそれらを疑うことも重要です.こうしたプロセスのほんの一部であったとしても,本書がお役に立てることを願っております.
最後に,いつも支えてくださった南山堂編集部の松村みどり氏に深くお礼申し上げます.こうした支えがなくして本書を完成させることはできませんでした.よい支援者となってくださり,ありがとうございます.
自身も毎日の生活を精一杯生きているのと同様に,好きな他人も嫌いな他人も精一杯生きています.多様な人々が存在する世の中で,自身と同様である他者を純粋性をもって支えることを目指すとき,臨床心理学やカウンセリングの考え方が少しでも役立つことを願っております.
2022年2月
入学試験真っ盛りの研究室にて 山蔦圭輔
目次
1 カウンセリング,心理療法とは
1 カウンセリングとは
2 カウンセリングの種類
3 カウンセリングの対象者
4 カウンセラーに必要な知識・能力
5 カウンセリングと心理療法
6 カウンセリングにおけるエビデンス
2 心理学・臨床心理学とカウンセリングの展開
1 心理学・臨床心理学の誕生と発展
2 カウンセリングの歴史
3 カウンセラーの資格とその専門性
1 カウンセリング・心理的支援に関する資格
2 カウンセラーの専門性
3 心理専門職・カウンセラーの活動領域
4 精神分析学
1 フロイトによる精神分析学の歴史
2 精神分析学の基本的な理論
[ケース紹介]カウンセラーと患者の間に生じた転移・逆転移
5 行動主義心理学と行動療法
1 行動主義心理学の歴史
2 新行動主義心理学とオペラント条件づけ
3 行動療法
[ケース紹介]看護師に対して攻撃的な態度をとる入院患者
6 人間性心理学と来談者中心療法
1 人間性心理学とは
2 来談者中心療法の理論
3 来談者中心療法の技法と姿勢
[ケース紹介]病気になってふさぎ込んでしまった入院患者
7 認知療法と認知行動療法
1 認知療法
2 認知行動療法
[ケース紹介]「 電車に乗ることができない」患者に対する認知行動療法
8 人間関係と心理療法
1 交流分析とは
2 交流分析の理論と方法
[ケース紹介]同僚との関係に悩むクライエントに行った交流分析
9 対人関係療法
1 対人関係療法の成り立ち
2 対人関係療法の問題領域
3 対人関係療法の治療目標と方法
4 対人関係療法で用いる代表的な技法
[ケース紹介]過食嘔吐がやめられない学生に対する対人関係療法
10 大切な心理療法と心理的技法
1 ゲシュタルト療法
2 催眠療法
3 家族療法
4 日本独自の心理療法
5 リラクセーション法
6 心理療法・心理的技法の選択と統合的心理療法
[ケース紹介]息子の不調を心配する両親
11 子どもを対象とした心理的支援
1 芸術療法
2 プレイセラピー
3 子どもへの支援の実際
[ケース紹介]状況に変化がみられない相談室登校の生徒
12 大人を対象とした心理的支援
1 ストレスのメカニズムと研究,ストレスの対処法
2 労働者への心理的支援の実際
[ケース紹介]医師からのパワハラを訴えた看護師
13 予防的支援とカウンセリング
1 健康心理学とは
2 予防の種類
3 予防に関する理論
4 健康保持増進とカウンセリング
5 支援者の健康保持増進と不調の予防
[ケース紹介]禁煙に消極的な患者への禁煙指導
14 心理アセスメントと心理検査法
1 心理アセスメント
2 心理検査法
15 精神疾患と心理的支援
1 精神疾患と診断基準
2 神経発達症群/ 神経発達障害群
3 統合失調症
4 うつ病
5 双極性障害
6 不安症
7 心的外傷およびストレス因関連障害群
8 パーソナリティ障害
9 強迫症/ 強迫性障害とその関連障害
10 摂食障害
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書籍情報
- ISBN:9784525504816
- ページ数:165頁
- 書籍発行日:2020年3月
- 電子版発売日:2022年4月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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