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- 24時間医学で考える脳神経内科~患者の1日を通して診る~
商品情報
内容
すべての患者は眠る.しかしながら,そして当然ではあるが,診療の重きは覚醒時の症状に置かれる.その覚醒時の症状,実は睡眠時に原因がないだろうか? 睡眠と覚醒は互いに影響を及ぼす表裏一体の関係である.脳血管障害,てんかん症候群,認知症,パーキンソン病,不随意運動などを睡眠医学の視点で捉え直すことで,現場での新たな引き出しを臨床医に提供する.“あの患者の夜”を知ることで,昼の診療が大きく変わるはずである.
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序文
序文 ~睡眠と覚醒を評価しないですむ診療科はない~
この本を評して「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と言った方がいる.まさに正鵠を射ている.しかし,これがなぜ当たっているのかは少し説明が必要だろう.なぜなら,この言葉を理解するには睡眠医学の持つ医学の一部門としての特殊な立ち位置を理解しなければならないからだ.ちなみに私は米国の睡眠医学専門医資格を持って睡眠医学診療に従事している.元々は脳神経内科の専門医として働いていたのだが,睡眠医学に惚れ込んでトレーニングを受け直した.そんな睡眠医学に惚れ込んでいる私だが,睡眠医学を専門にしている上で少し困ったことがある.私が知り合いに「睡眠医学を専門にしています」と言うと医療関係者でも時々微妙な表情になられることがあるのだ.彼らにしてみたら「ほー,忙しそうですね」とも言えないし,「ほー,エリートじゃないですか?」とも言えなくて困るのだろう.ど直球に「なんですか,それは?」「そんな科があるのですか?」ともよく聞かれる.そして,「まあ,睡眠時無呼吸症候群とか不眠症の患者さんを診ています」と言うと「ああ,なるほどね」と,ようやく腑に落ちた表情をしてもらえる.睡眠の医学なのだからきっと「睡眠の病気や問題を扱う科」なのだろうというわけだ.しかしながら,この紹介は睡眠医学を手っ取り早く知らない人たちに説明するためだけが目的であって,睡眠医学の本質ではない.
睡眠医学の本質とは「睡眠と覚醒はお互いに影響しあっている」ということだ.睡眠医学は「睡眠と覚醒の両方を診る(唯一の)科」なのである.と,ここまで書いてきて「睡眠と覚醒の両方を診る(唯一の)科が睡眠医学科」だなんて言ってしまっていいのかと思わないだろうか?
何しろすべての診療科の患者は眠り,そして覚醒して活動するのだから睡眠医学科以外が睡眠を診ないでいいはずがない.そして,ちょっと考えてもわかるが,睡眠医学科がすべての診療科の睡眠時と覚醒時における現象を一手に引き受けるのはいろんな意味で不可能だ.今までの議論を整理してみよう.
1)睡眠医学は睡眠と覚醒を考える医学である.(これは新しい知識?)
2)すべての診療科の患者は眠り,覚醒する.(当たり前)
3) 睡眠医学科だけではすべての患者の睡眠と覚醒を引き受けられない.(これも当たり前)ここから導かれる結論は,「すべての医療従事者は人間を相手にするかぎり睡眠医学から逃れることはできない→どの診療科であっても睡眠医学を勉強するしかない」ということだ.
そんな中で,この24 時間の評価の必要性を説いた最初の本が脳神経内科であったことには理由がある.まず,「私が脳神経内科も専門にしているから」である.そして,「睡眠の中枢である脳を扱うので睡眠と覚醒の変化による影響を受けやすい疾患が多い」からだ.こんな睡眠と覚醒に関係の深い脳神経内科の教科書で睡眠医学の要素がなかったら不完全だと思うのだが,案外無視されて書かれていることも多い.そこは私にとって大きなフラストレーションであった.だからこそ,この本ではあえて睡眠医学をメインのテーマに据えて脳神経疾患を解説した.よって,この本は「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と言えるのだ.
さらに,偶然共著者である新進気鋭の脳神経内科医である原田陽平先生と知り合う機会があり,彼の若く柔軟な頭脳でこの難解な切り口の企画に乗ってもらえたことで格段に良いものになった.
そして,当然の論理の帰結ながら24 時間の評価の必要性は他の診療科であっても全く変わらず重要である.賢明な読者諸氏はお気づきかもしれない.そう,私は是非ともこの24 時間医学をシリーズ化したいのである.すべての科を網羅したとき,私の「どの科の患者も眠り覚醒するのだからどの医療従事者も睡眠医学を学ばねばならない」という野望が少し達成されることになる.そのためには,この本を手に取り,購入するだけでなく,知り合いやご友人に勧めていただきたい.そして我こそは共著者に! と名乗り出ていただければ幸いである.
この24 時間医学を通じて睡眠医学を知っていただき,睡眠医学と聞いて今後皆さんの反応が「ん? なんだ? そのどマイナー科は? 食っていけるのか?」ではなく,「ああ,そうね.私の患者も眠って覚醒するから(睡眠医学を専門にする気はないけど)勉強しないとね」という反応になってくれる未来がくるように日々活動していくつもりだ.もしよければ私のTwitter のアカウント@earlyquarryをフォローして情報交換していただければ幸いである.
執筆の際に日本の事情とあまりに乖離してはならないと思い,関西電力病院睡眠関連疾患センター長の立花直子先生には原稿のチェックをしていただいた.ご多忙にもかかわらず快く引き受けていただいた.実は前述の「脳神経内科の皮を被った睡眠医学の本」と評していたのも彼女である.いつもながらの慧眼に恐れ入る.貴重なフィードバックをいただいた.ここに謝意を表したい.それでも,私の理想論がそこかしこに残っており,日本の現状とそぐわないことが多いと思う.これはあくまでも私が責任を負うものである.
最後になったが,この少々無謀とも言える企画に興味を持ち,支えていただいた中外医学社企画部の桂 彰吾様と,実際に世に出す気の遠くなる編集作業をしていただいた編集部の桑山亜也様に謝意を表したい.
2022年4月
河合 真
目次
CHAPTER 0 24時間医学の概念を取り入れるべし(河合真)
CHAPTER 1 24時間医学で考える脳血管障害(河合真)
CHAPTER 2 24時間医学で考える筋強直性ジストロフィー(原田陽平)
CHAPTER 3 24時間医学で考える重症筋無力症(原田陽平)
CHAPTER 4 24時間医学で考える筋萎縮性側索硬化症(原田陽平)
CHAPTER 5 24時間医学で考える多発性硬化症(河合真)
CHAPTER 6 24時間医学で考えるてんかん症候群(河合真)
CHAPTER 7 24時間医学で考える認知症(河合真)
CHAPTER 8 24時間医学で考える脊髄損傷(河合真)
CHAPTER 9 24時間医学で考える頭痛(原田陽平)
CHAPTER 10 24時間医学で考えるパーキンソン病(原田陽平)
CHAPTER 11 24時間医学で考える不随意運動(原田陽平)
CHAPTER 12 24時間医学で考える末梢神経障害(河合真)
Column
患者だけの24 時間医学ではない.医療従事者の側も24時間医学で考えろ.(河合真)
対症療法を一段下げて考えていないか? (河合真)
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書籍情報
- ISBN:9784498328884
- ページ数:110頁
- 書籍発行日:2022年6月
- 電子版発売日:2022年6月17日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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