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- 食道癌取扱い規約 第12版
商品情報
内容
5年ぶりの改訂となる今版では、新たに臨床病期別の詳細な治療アルゴリズムを策定し、アルゴリズムの分岐点に関与する重要なCQを追加・更新。また、患者の立場に立った益と害のバランスを重視し、CQ策定段階から患者と24もの協力学会へ意見を求め、多角的な視点から議論を重ねた。その他にもStageIVb食道癌に対する化学療法レジメンの表が追加、最新の食道癌取扱い規約第12版の内容が反映され、ますます使いやすくなった食道癌治療に必携の一冊。
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序文
第12 版 序
2015 年に第11 版が発刊されてから7 年経過し,第12 版を発行することとなった。
今回の改訂においては,術前治療の重要性が高まっていることを勘案し,術前診断に関する記載,特に治療方針に大きな影響があると考えられるT4 診断およびリンパ節転移診断について,大幅に追加・修正するとともに,治療効果判定規準についても改訂を加えた。また,領域横断的がん取扱い規約との整合性を図るように改訂を加えた。
前回の改訂からの継続検討事項として,UICC のTNM 分類と可能な限り整合性が図られたが,UICC のTNM 分類第7 版では日本食道学会の全国登録のデータが反映されていないこと,鎖骨上リンパ節の取り扱いが全く異なるため,N 分類の整合性は見送られていた。今回は,N 分類も含め,TNM 分類との整合性を図るべく,転移個数による分類を採用した。また,全国登録のデータをもとにリンパ節転移状況と生存率から郭清効果が検討され,領域リンパ節の群分類が変更されていたが,再発頻度も検討することで,より実臨床に即した領域リンパ節を策定した。これらリンパ節転移のステージングの変更に伴い,食道癌全国登録の予後情報を用いて,術前治療が標準となった時代における新たなステージング分類を策定した。
食道胃接合部癌の診断基準が決定し,7 ページからなる小冊子が追加されていたが,今回の改訂では,日本胃癌学会と合同で食道胃接合部癌の定義および記載項目を策定した。また,食道胃接合部癌の領域リンパ節を策定し,病期診断に関する記載を追記した。委員による多くの議論が重ねられ本改訂が行われた。まだ議論すべき点も残っているが各委員の尽力に心より感謝したい。
改訂要旨:
① 食道の区分としてAe をなくし,食道胃接合部領域(Jz)を新たに規定した。
② 画像診断で隣接臓器浸潤の判定に難渋することがあるので,cT3 を切除可能(cT3 resectable:cT3r)と切除可能境界(cT3 borderline resectable:cT3br)に亜分類した。cT3r,cT3br,cT4 の鑑別診断について,参考CT 画像とその根拠となる参考所見を追記した。
③ cN の診断のため,各リンパ節の領域別にCT によるリンパ節サイズによる診断精度を参照して,推奨カットオフ値を示した。また,PET による診断も参考資料として加えた。
④ リンパ節転移の程度(グレード)分類において,TNM 分類との整合性を鑑み,領域リンパ節の転移個数による分類を採用した。これに伴い胸部食道癌では占居部位ごとのリンパ節群を廃止し,新たに胸部食道癌全体に対する領域リンパ節を設定した。この際,鎖骨上リンパ節は領域リンパ節ではなく遠隔リンパ節と分類した。ただし,切除による根治が期待されるのでM1aとして他の遠隔転移M1b と区別する。106pre,106tbR,112aoP は転移陽性例では郭清されることも多いが,十分なデータがないので今回は,遠隔転移M1b とした。
⑤ リンパ節郭清の程度(D)は術式により規定し,胸部食道癌ではD1:D2 未満の郭清,D2:2領域郭清,D3:3 領域郭清と定義した。ただし,106tbL,111,8a,11p は標準的2 領域郭清範囲に含めるが省略してもよいとした。
⑥ 進行食道癌に対する術前治療が標準化されたことに伴い,これまでは共通であった進行度分類を,臨床的進行度分類,組織学的進行度分類に分けてそれぞれ最新のデータに基づき設定した。
⑦ 食道胃接合部癌に関して,日本胃癌学会と合同で,食道胃接合部癌の定義および記載項目を策定し,胃癌および食道癌全国登録での取り扱いを整理することで,今後さらなる実態調査を行えるようにした。また,領域リンパ節を策定し,病期診断に関する記載を追記した。
⑧ RECIST の治療効果判定規準では食道癌原発巣は非標的病変となっているが,予後に対する影響が大きいので,一定以上の大きさの原発巣に対するCT による効果判定規準の指標を作成した。また同時に内視鏡による原発巣の治療効果判定規準を更新した。さらに,内視鏡によるCR判定後の局所再発の診断基準を策定した。
⑨ 内視鏡診断・治療の進歩に伴い,日本食道学会の拡大内視鏡による食道表在癌深達度診断基準検討委員会で策定された分類(2012 年9 月)の内容を規約に記載した。
⑩「 Squamous intraepithelial neoplasia」を再評価し改訂した。
⑪ 従来存在していた手術所見:surgical findings[s](手術肉眼所見,術中画像所見,切除標本の肉眼所見),および内視鏡治療所見:findings in the endoscopic treatment[e](術中所見・切除標本の肉眼所見)は,final findings に含めるとし,記載項目から削除した。
2022年9 月
日本食道学会
理事長 土岐祐一郎
食道癌取扱い規約委員会
委員長 土岐祐一郎
委 員 武 藤 学,日 月 裕 司,藤 也寸志
安 田 卓 司,矢 野 雅 彦,小 山 恒 男
根 本 建 二,渡 邊 雅 之,亀 井 尚
瀬 戸 泰 之,村上健太郎,新 井 冨 生
峯 真 司,白 川 靖 博,田 中 晃 司
取扱い規約委員会ワーキング
委 員 坪 佐 恭 宏,大 幸 宏 幸,川久保博文
門 田 智 裕,三 梨 桂 子,山 本 幸 子
白 石 治,谷 山 裕 亮,八 木 浩 一
岡 村 明 彦,宮 田 博 志,太 田 光 彦
田 邊 俊 介,中 島 康 晃,藤 田 武 郎
吉 田 直 矢,川 田 研 郎,大 塚 耕 司
山 﨑 誠,牧 野 知 紀,山下公太郎
病理組織検討委員会
委員長 眞 能 正 幸
委 員 根 本 哲 生,八 尾 隆 史,河 内 洋
渡 邉 玄,新 井 冨 生
内視鏡検討委員会
委員長 武 藤 学
委 員 門馬久美子,岩 切 勝 彦,小 山 恒 男
川 田 研 郎,上 里 昌 也,南 ひとみ
石 原 立,飯 島 克 則,藤 井 誠 志
九 嶋 亮 治,矢 野 友 規
目次
第1部 規約
1 目的と対象,記載法
2 原発巣の記載
3 リンパ節転移の記載
4 遠隔臓器および遠隔リンパ節転移(M)
5 進行度
6 内視鏡的および外科的切除標本の取り扱い
7 病理組織所見
8 食道胃接合部およびバレット食道の取り扱い
9 治療法
10 治療成績
11 TNM分類
第2部 食道癌に対する放射線療法および化学療法の効果判定規準
はじめに
1 対象
2 標的病変の効果判定規準
3 非標的病変の効果判定規準
4 CT/PET‒CTによる原発巣の治療効果判定規準
5 内視鏡による原発巣の治療効果判定規準
6 総合効果
7 最良総合効果判定と効果の確定
8 薬物・放射線治療の組織学的効果判定規準
参考資料
1 病型分類
2 画像による隣接臓器浸潤cT4診断
3 食道癌の領域リンパ節の名称,番号およびその範囲と境界
4 CTおよびPET‒CTによるリンパ節転移診断能
5 組織図譜
6 バレット粘膜,バレット食道
7 原発巣測定法による効果判定規準の有用性と妥当性の検討
8 内視鏡による原発巣の治療効果判定規準
CR例の内視鏡像
non‒CR/non‒PD例の内視鏡像
non‒CR/non‒PD(RR)例の内視鏡像
PD例の内視鏡像
CR後局所再発所見(LR)
9 薬物・放射線治療の組織学的効果判定規準
10 進行度別予後曲線
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書籍情報
- ISBN:9784307204613
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2022年9月
- 電子版発売日:2022年9月14日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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