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- はじめての赤ちゃん診療~令和生まれの乳児のミカタ
商品情報
内容
クリニック開業23年の著者が,豊富な経験則をもとに診療の極上エッセンスを伝授します。
しゃべらない赤ちゃんの診察はどうしたらよいか。日常よく出合う症状(発熱,咳嗽,嘔吐など)の診かたのポイント,家族の味方にとなるコツをはじめ,乳児の薬、予防接種、感染症について紹介。これから乳児を診る必要のある後期研修医はもちろん,現役小児科医にも有用な情報が記述されています。
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序文
序文
本書名『はじめての赤ちゃん診療』からわかるように,本書は,これから乳児を診察する必要に迫られた研修医や他科の医師を想定して記述している。筆者は大学の高名な医師でもなく,研究者でもない。還暦を過ぎ,20年以上,地域の小児科クリニックを営む医師である。学問的な内容より,実際に目の前に乳児が来たときにどのように対応すればよいのかを述べている。
昭和から平成,そして令和と時代が流れ,小児医療をめぐる環境も大きく変わった。経験的な診療からエビデンスを重んじ,それに則り多くのガイドラインが普及した。医療の均てん化が図られ,医療も進歩したと開業医ながら実感している。
2019年末に報告されたCOVID-19は,瞬く間にパンデミックとなり,世界中を席巻した。感染予防のため,集団にならないように行動自粛を求められ,対面でのコミュニケーションの機会は激減した。そのなかで個人はSNS(socialnetworking service)やマスメディアにより,容易に膨大な情報に接することはできるが,孤立化という代償を払っているように見える。育児が人生のなかで割の合わない仕事と評価され,SNSなどからの情報過多は子どもを育むことに必ずしも貢献しているとはいえず,むしろ「家庭力の低下」や「地域力の低下」を引き起こしている。
かつて小児のプライマリ医療の存在価値は大部分の軽症のなかから,ほんの一握りの重症をいかに早く,適切に見つけ出すかにあった。令和になり,子どもの心の問題だけでなく,母親の育児不安,育児困難感まで範囲を広げ,気づき,対応することが必要となっている。母親自らが感情を表出せず,自我を表情に出さなくなっている。本書の副題を「令和生まれの乳児のミカタ」としたのも,乳児の「診かた」だけでなく,母親の「味方」になるという意味合いを含んでいる。
現在,医療の形式知としてガイドラインが整備されたが,小児科医の職人技というべき言語化できない暗黙知はまだまだ必要と感じる。知識だけでは対応できない,エビデンスに示されていないことを伝えなくてはならないのではないか,そう感じていたときに本書の企画の相談を受けた。
現役の小児科医にも読んでいただければうれしい限りであり,若手の医師には今後の診察の糧になれば幸いである。
2022年8月 猛暑のなかで
橋本政樹
目次
第1章 令和生まれの乳児 ココを診る
平成から変化してきた乳児の診察
①医療機器の進歩と普及
②新しいワクチンの導入;早めのワクチンデビューをサポートする
③広がる乳児の集団保育
【コラム】保育園症候群
かかりつけ医に選ばれる5つの方法
①まず母親の目を見る;心配を受け止める
②乳児を裸にして診察する;すべてを診る
③PAT・バイタルサインをとる;見立てに客観性をもたせる
④エコー検査をプライマリで行う
⑤見通しをはっきりさせる;「こうなったら危険」を伝える
乳児診察の7つのポイント
①身体計測値の診かた;キホンのキ
②視診の重要性;虐待は普通に起こっている
③聴診で聴くべきところ;聴診器は伊達じゃない
④打診・触診の必要性;温故知新
⑤外陰部;恥ずかしいところも気にかける
⑥股関節;見逃したらアウト
⑦成長・発達の評価;小児科の神髄
第2章 乳児健診 ココを診る
基本の診察手順
①育児環境の情報を得,身体計測を行い,成長曲線を確認する
②裸にして全身を診る(視診)
③目を合わせ,乳児とコンタクトを試みる(感覚器の確認)
④肌を触ってみる(大泉門も確認)
⑤聴診を行い,腹部エコー検査を活用する
⑥股関節を確認する
⑦発達過程を診る
1か月健診
よくある健診場面
①母親のメンタルを気にかける(産後うつ病など)
②母乳哺育の唯一の欠点(ビタミンK欠乏症)
③新生児マススクリーニング,新生児聴力スクリーニングは済んでいるか
④便の色は白くないか(胆道閉鎖症)
⑤ワクチンスケジュールは立てられているか
3~4か月児の健診
よくある健診場面
①体重の増加はどうか,頭囲の変化はどうか
②定頸しているか,原始反射(モロー反射,ATNR)は消失しているか
③発育性股関節形成不全(DDH)を見逃さない
④育児不安と,そこからくる虐待の危険性を探る
【コラム】生まれたときからの陥没呼吸
6~7か月児の健診
よくある健診場面
①離乳食(補完食)を開始しているか
②お座り,寝返りができるようになり,事故が多くなる
③人見知り,顔にかかったハンカチなどを取る
9~10か月児の健診
よくある健診場面
①つかまり立ち,つたい歩きはできているか(独歩への準備)
②バイバイなどのまねをするか(心の成長)
③原始反射の完全な消失,パラシュート反射の出現
④ワクチン接種歴の確認
1歳児の健診
第3章 こんな症状で来院してきたら ココを診る
①発熱「熱が出ました」
②咳嗽「ゼロゼロが止まりません」
③鼻汁・鼻閉「ブヒブヒが気になります」
④嘔吐「ゲロしました」
⑤下痢「水のようなうんちが出たんです」
⑥便秘「うんちが出ません」
⑦けいれん「ひきつけを起こしたんです」
⑧黄疸「肌が黄色いんです」
⑨貧血「顔が白いんです」
⑩発育不良「うちの子,小さくないですか」
⑪食物アレルギー「うちの子,食物アレルギーでしょうか」
⑫皮膚トラブル「ガサガサがひどいんです」
⑬お尻のトラブル「おむつかぶれみたいなんです」
+α 外陰部の悩み
+α 臍のトラブル
【コラム】小児科外来にみる父親
第4章 NICUを退院した乳児 ココを診る
低出生体重児の5つの特徴
①成長・発達の未熟さ
②未熟な肺
③未熟な腎
④未熟児貧血
⑤骨の未熟さ
第5章 乳児と薬
小児の薬物動態
①吸収
②分布
③代謝
④排泄
アドヒアランス(子どもが薬を飲んでくれない)
①飲ませかたの工夫
②薬剤の味
【コラム】お母さんの顔が怖い!
処方すべきか,しないほうがよいのか
①かぜ薬
②抗ヒスタミン薬
③抗菌薬
服薬しても大丈夫? 副作用が心配
【コラム】授乳している母親の内服薬はどうしたらいいの?
第6章 予防接種と感染症 ~そのワクチンは必要ですか?に答える~
生後2か月からのワクチンデビュー
ワクチン忌避
VPDとワクチン接種スケジュール
①4種混合ワクチン(DPT-IPV)
②Hibワクチン(インフルエンザ菌b型感染症)
③肺炎球菌ワクチン(侵襲性肺炎球菌感染症)
④B型肝炎ワクチン
⑤BCGワクチン(結核)
⑥ロタウイルスワクチン(ロタウイルス感染症)
ワクチンによる副反応
【コラム】予防接種健康被害
【コラム】男性への子宮頸がんワクチン接種
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書籍情報
- ISBN:9784867190531
- ページ数:252頁
- 書籍発行日:2022年9月
- 電子版発売日:2022年10月5日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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