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- 生存曲線で考える 血液内科外来診療
商品情報
内容
これまで感覚的に行うことの多かった様々な血液疾患の外来治療・経過観察のポイントを「生存曲線」というデータに基づき,まだ経験の少ない血液内科の医師,また専門ではないが経過観察を行う必要のある他科の医師にもわかりやすく解説.
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序文
巻頭言
埼玉県は人口に比して血液内科の診療施設が少ないため,市中病院の血液内科はとても貴重な存在です.外来,入院診療と多忙を極める中,6冊目の著書を上梓する著者の才能と努力には感嘆を覚える他ありません.
本書は生存曲線という新たな切り口から外来診療をまとめたものですが,血液内科の外来診療自体はかなりハードかもしれません.外来の特性として短い時間で方向を見極めて判断することはもちろん,再発可能性のチェック,次回の化学療法のアレンジ,入院のタイミング決め,移植後合併症のスクリーニングなど,ときには患者さんの生死に直結するという危機感もあり,施設によってはかなりスリリングな経験と思います.加えて,入院病床数が限られているときなど,いかにして外来で持ちこたえるかという技量も要求されます.ところが,入院と違って1症例ずつ指導してくれる指導医が傍らにいる訳ではありません.特に造血器悪性腫瘍は再発・増悪したときも進行速度は速く,タイムリーなすくい上げが要求され,うまくいかないと挽回するのに多大な努力を要することもままあります.一方で,外来の混雑のひどさから受診間隔をできるだけ延ばしたいという欲求もあり,個々の症例のリスクを考えながら経験的に間隔を調整しています.生存曲線という興味深い視点は,外来での再発・増悪リスクや受診間隔を考える上で大きな示唆を与えてくれるものと思います.
同時に,現在行われている造血器悪性腫瘍の治療については概ね網羅されており,コアとなる文献も引用されています.外来で患者さんを呼び入れる前にさっと目を通すだけでも知識が定着していくのに役立つでしょう.また,コンパクトにまとまっていることから,カンファレンスで治療のディスカッションが行われる際に参考にするのにもよいかもしれません.時間があれば,引用文献に直接当たって,試験が行われた背景,組み入れ基準,プライマリーアウトカム,有害事象,試験の問題点などを見ていくと治療成績の報告を見る目がどんどん養われていくと思います.
ただ,ひとつ注意しておかなければならないのは,ここに挙げられた生存曲線のほとんどは治験や臨床研究の結果です.そのためリアルワールドとは多少の乖離があるかもしれません.是非,皆さんの経験でその差を埋めて,リアルワールドデータを作っていってください.また,個々の患者さんの疾患の状況や社会的背景をよく考慮して本書を応用していただかれるよう願っています.
2022年9月
防衛医科大学校 血液内科
木村文彦
緒言
この度,6冊目の本を執筆させていただきました.6冊目の本は血液内科の外来診療についてです.
当然ながら血液内科の外来も外来での治療をベースにする疾患と治療後の経過観察に大きく分かれます.
血液腫瘍の経過観察もそうですが,一般的に悪性腫瘍は全生存率や無再発生存期間を念頭に置きながら経過観察をしています.これは感覚的にやっている先生も多いと思います.それを感覚ではなくデータに基づいて外来経過観察のポイントを記載したものになります.
また,外来治療では再生不良性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・自己免疫性溶血性貧血などの良性疾患の治療や骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫などの「完治ではなく共存を目指す」抗がん剤治療を行う患者,その他の完治を目指す疾患に分かれます.外来診療という「短い」診療時間において,経過を予測しながら最適な医療を行うことはかなり重要なことだと思います.少しでもわかりやすいように私見を含んで記載しておりますが,一つの参考として考えていただけますと嬉しく思います.
造血幹細胞移植については専門性が高く,患者の基礎疾患,寛解時期,ドナーの情報,ドナーソースなどさまざまな情報が必要になります.それを診ている移植施設の先生がより生存曲線などを理解していると思いますので,この本では省かせていただきました.
それぞれの疾患における外来治療・経過観察のポイントについて外来をやり始めた若手血液内科の先生,近くに血液内科がなく経過観察を行っている先生など外来を行う多くの先生のお役に立てることを祈念して緒言とさせていただきます.
2021年11月
TMGあさか医療センター 血液内科
渡邉純一
目次
1 急性骨髄性白血病(予後良好群)(CBF白血病,high dose AraC)
大量シタラビン療法
予後不良因子
微小残存病変
2 急性骨髄性白血病(中間リスク)
中間リスク群の生存曲線
中間リスクの予後不良群
3 急性骨髄性白血病(高リスク)
予後不良群の生存曲線
ELN2017における再発率
4 高齢者AMLに対するアザシチジン
高齢者AMLに対するアザシチジン
5 ベネトクラクス併用化学療法
ベネトクラクス併用化学療法のスケジュールと背景・寛解率
有害事象
生存曲線
6 CAG療法・AVG療法
CAG療法
AVG療法
7 FLT3阻害薬
ギルテリチニブ
キザルチニブ
8 Ph陰性急性リンパ性白血病(16〜24歳)
若年者Ph陰性ALL
高リスク・標準リスク
9 Ph陰性急性リンパ性白血病(25〜65歳)
Ph陰性ALL
維持療法の重要性
10 Ph陽性急性リンパ性白血病(Dasa+BFM骨格)
Dasatinib+BFM骨格
再発リスクとMRD
11 Ph陽性急性リンパ性白血病(Dasatinib+HyperCVAD/HD-MTX-AraC)
Dasatinib+hyperCVAD
非移植群(維持療法群)
12 Ph陽性急性リンパ性白血病(Dasatinib+PSL)
Dasatinib+PSL
再発患者とT315I
13 ブリナツモマブ
ブリナツモマブ
移植へのブリッジング
14 イノツズマブ オゾガマイシン
イノツズマブ オゾガマイシン
移植へのブリッジング
15 急性前骨髄球性白血病(ATRA+Chemo)
ATRA+Chemotherapy
16 急性前骨髄球性白血病(ATRA+ATO)
ATRA+ATO
高リスク群
17 濾胞性リンパ腫(R-CHOP療法)
R-CHOP,FLIPI2
治療後の評価
治療反応性(早期再発)
18 濾胞性リンパ腫(R-B療法)
R-B療法
R-B後早期再発
19 濾胞性リンパ腫(リツキシマブ単剤・無治療経過観察)
リツキシマブ単剤/watch and wait
R単剤,R維持療法
20 濾胞性リンパ腫(リツキシマブ─レナリドミド)
R2療法
R2療法のメリット
21 濾胞性リンパ腫(Obinutuzumab:G-B, G-CHOP)
Obinutuzumab(初発;GALLIUM試験)
リツキシマブ後,obinutuzumab
22 原発性マクログロブリン血症
IPSS WM,Revised IPSS WM
LPL/WM に対するR-B療法
LPL/WM に対するボルテゾミブ
23 MALTリンパ腫(gastric and non-gastric)
MALTリンパ腫
MALTリンパ腫の早期再発
24 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R-CHOP療法)
DLBCLの予後評価
NCCN-IPI
R-mini-CHOP療法
25 再発難治DLBCLに対する救援化学療法
R-ESHAP療法
R-DHAP,R-ICE療法
CHASER療法
R-GDP療法
その他の救援療法
ポラツズマブ ベドチン
26 マントル細胞リンパ腫(若年者)
MIPI
HyperCVAD/HD-MTX-AraC療法
R-CHOP/R-DHAP交代療法
27 マントル細胞リンパ腫(高齢者・救援化学療法)
マントル細胞リンパ腫に対するR-B療法
VR-CAP療法
再発難治マントル細胞リンパ腫に対するイブルチニブ
28 バーキットリンパ腫
バーキットリンパ腫に対するR-HyperCVAD/HD-MTX-AraC療法
R-CODOX-M/IVAC療法
バーキットリンパ腫に対するDA-R-EPOCH療法
29 High Grade B cell lymphoma(ダブルヒットリンパ腫)
ダブルエクスプレッサー・ダブルヒットリンパ腫
ダブルエクスプレッサー
ダブルヒットリンパ腫
30 末梢性T細胞リンパ腫
PIT score
CHOEP療法
31 末梢性T細胞リンパ腫(A-CHP療法)
A-CHP療法
32 末梢性T細胞リンパ腫(新規薬剤)
ロミデプシン
プララトレキサート
ブレンツキシマブ ベドチン
モガムリズマブ
フォロデシン
33 ホジキンリンパ腫(ABVD,A-AVD療法)
ABVD療法,IPS
A-AVD療法
34 成人T細胞白血病リンパ腫
ATLLの生存期間
VCAP-AMP-VECP療法
移植前治療
35 再発・難治ATLL
モガムリズマブ
レナリドミド
ツシジノスタット
36 慢性リンパ性白血病
初発CLLに対するFCR/イブルチニブ
再発難治CLLに対するイブルチニブ
アカラブルチニブ
再発難治CLLに対するベネトクラクス
37 多発性骨髄腫(初発・移植適応)
寛解導入療法
移植前の寛解レベル
VRD induction → 自家移植
VCD → 自家移植
38 多発性骨髄腫(初発・移植非適応)
DLd療法
レナリドミド+低用量デキサメサゾン
Dara-VMP療法
高齢者に対するボルテゾミブベースの治療
VRd療法(移植なし)
自家移植の適応年齢は?
39 ボルテゾミブ耐性骨髄腫の治療
IRd療法
DLd療法
DKd,Kd療法
Kd療法
ELd療法
KRd療法
40 レナリドミド耐性骨髄腫の治療
PVd療法
PAN-Bd療法
Kd,Bd療法
Pd療法
41 ボルテゾミブ・レナリドミド耐性骨髄腫の治療
Kd療法
ダラツムマブ単剤
DKd療法
Pd療法
PCd療法
EPd療法
Isa-Pd療法
42 多発性骨髄腫・維持療法
自家移植後 → R維持療法
自家移植後 → イキサゾミブ維持療法
自家移植後 → ボルテゾミブ維持療法
移植非適応,イキサゾミブ維持療法
43 骨髄異形成症候群(低リスク)
IPSS-R
免疫抑制療法
5q−症候群
ダルベポエチンα
その他
44 骨髄異形成症候群(高リスク)
アザシチジン
実臨床データ
アザシチジン無効後
45 慢性骨髄性白血病
イマチニブ
ダサチニブ
ニロチニブ
ボスチニブ
46 骨髄増殖性腫瘍
真性赤血球増加症
本態性血小板血症
原発性骨髄線維症
47 骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍
CMML
aCML
MDS/MPN-U
48 再生不良性貧血
血縁者間同種造血幹細胞移植
非血縁者間同種造血幹細胞移植
免疫抑制療法
60歳以上
初回免疫抑制療法 no-responder
49 溶血性貧血
自己免疫性溶血性貧血
AIHAの寛解率
血栓性血小板減少性紫斑病
50 特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病・後天性血友病
特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病
後天性血友病
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書籍情報
- ISBN:9784498225367
- ページ数:180頁
- 書籍発行日:2022年10月
- 電子版発売日:2022年9月30日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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